訪問診療・在宅医療とは|対象・費用・依頼の流れを医師が解説する完全ガイド
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「親の通院に毎回付き添うのがつらくなってきた」「退院後、自宅に帰れるのかどうかわからない」「自宅でどこまで医療が受けられるのか知りたい」——そんな思いでこのページにたどり着いた方は、おそらく今、大切な家族のことを考えながら何かを探しているのではないでしょうか。
訪問診療・在宅医療とは、医師や看護師などが定期的に自宅や施設を訪れ、医療を届ける仕組みです。通院が難しくなった高齢者や、退院後の療養が必要な方が自宅で生活を続けるための重要な選択肢のひとつです。
このガイドでは、訪問診療の基本から対象・費用・依頼の流れまでを医師監修のもとで体系的にまとめました。「うちの親は対象になるのか」という疑問から、費用の目安、相談先の探し方まで、一通り確認いただけます。
訪問診療・在宅医療とは?まず知っておきたい基本
訪問診療と往診の違い
「訪問診療」と「往診」は似た言葉ですが、医療制度上の意味は異なります。
| 項目 | 訪問診療 | 往診 |
|---|---|---|
| 定義 | 医師が計画的・定期的に自宅を訪問する | 患者や家族の求めに応じて臨時で医師が出向く |
| 頻度 | 月2回以上が基本(計画的) | 必要に応じて随時 |
| 保険点数 | 在宅患者訪問診療料として算定 | 往診料として算定 |
| 特徴 | 継続的な病状管理・計画的なケアが中心 | 急変時や緊急時の対応に使われることが多い |
訪問診療は「医師が計画的に患者の自宅を訪れ、継続的に診療を行う」ものです。一方、往診は急な体調変化などに応じて臨時で訪問するものです。詳しくは往診料とは?訪問診療との違いを家族目線で整理をご覧ください。
在宅医療でできること・できないこと
在宅医療では、以下のような医療が自宅で受けられます。
対応できる主なもの
- 内科的診察・処方・病状管理
- 血液検査・尿検査などの検査(一部)
- 点滴・注射・在宅酸素療法
- 胃ろう・尿道カテーテルの管理
- 褥瘡(じょくそう:床ずれ)のケア
- 緩和ケア・疼痛コントロール
- 看取りの対応
原則として在宅では難しいもの
- 全身麻酔を要する手術
- MRI・CT・内視鏡(施設によって一部対応可)
- 輸血・高度集中治療(ICU管理)
- 急性期の緊急手術
状態によっては入院が必要になる場合があります。在宅でできることとできないことの詳しい整理は在宅医療のメリットとデメリットを親の生活目線で考えるも参考にしてください。
どんな人が対象になるのか
訪問診療の対象となるのは、通院が困難な方が基本です(厚生労働省の定める要件)。具体的には次のような状態の方が対象として想定されます。
- 歩行が困難で外出に介助が必要な方
- 認知症が進み、一人での通院が難しい方
- 慢性疾患(心不全・COPD・がんなど)で療養中の方
- 退院後に自宅で療養が必要な方
- 人工呼吸器・胃ろうなどを使用している方
年齢制限はなく、小児・成人・高齢者を問いません。「まだ元気だから対象外では?」と思われる方でも、定期的な通院が身体的・精神的に負担になってきた場合は相談の対象になりえます。
詳しくは訪問診療とは?親の通院が難しい時に知りたい基本をご覧ください。
かかりつけ医との併用や引き継ぎはできるか
現在のかかりつけ医を「辞める」必要はありません。 訪問診療医と既存のかかりつけ医が情報を共有しながら連携する形(併診)や、病院から在宅医への引き継ぎ(移行)はよく行われています。
ただし、同一月に複数の医師が訪問診療を行う場合は保険上の制限があるため、担当医師間での確認が必要です。紹介状(診療情報提供書)を用意することで引き継ぎがスムーズになります。
こんなときに訪問診療を検討する
通院が負担になってきたとき
「付き添いのたびに仕事を休まなければならない」「親が疲れ果てて帰ってくる」——そうした状況は、訪問診療を検討する一つのサインです。訪問診療のメリットは?親の通院負担を減らす選択肢を整理では、在宅に切り替えることで変わることを整理しています。
退院後の療養先を早めに決めたいとき
病院から退院が告げられたとき、「自宅に帰れるのか」「施設しかないのか」と迷う家族は少なくありません。退院後の療養先の選び方については退院後の療養先はどう決める?在宅・施設・転院の選び方ガイドも参照してください。在宅医療を活用することで、自宅療養のハードルが大きく下がる場合があります。
認知症・寝たきり・慢性疾患で通院が難しいとき
認知症が進むと、病院という非日常的な環境への移動そのものが患者さんにとって強いストレスになることがあります。認知症とともに自宅で暮らす|症状・対応・在宅医療の使い方ガイドでは、認知症の方に対する在宅医療の活用方法をまとめています。
がんの療養や緩和ケアを自宅で考えたいとき
がんの治療が一段落し、緩和ケア(痛みや苦しみを和らげることを目的としたケア)へ移行する段階では、自宅での療養を希望する方も増えています。がん在宅医療の費用については後述の「費用の目安と制度」の章で解説します。緩和ケアの具体的な内容や看取りについては在宅での看取り・終末期ケア完全ガイド|家族が知っておきたい流れと備えをご覧ください。
ショートステイや施設入居中でも相談できるか
ショートステイ(短期入所生活介護:数日〜数週間の施設での一時的な宿泊ケア)中でも、条件を満たせば訪問診療を受けられる場合があります。ただし、ショートステイ先に既に在籍する協力医がいる場合は制限があります。詳しくは「対応できる場所・できない場面」の章で説明します。
受診・相談の目安
以下のような変化があれば、訪問診療の相談を検討してみてください。
- 週に1回以上の通院に付き添いが必要で、家族の負担が増してきた
- 退院後の療養先がまだ決まっていない
- 歩行が不安定・車椅子が必要になってきた
- 認知症が進み、一人での外出が難しくなってきた
- 慢性疾患の悪化が続き、在宅での管理が不安
- 本人が「病院に行くのがつらい」と言うようになった
「うちの親は訪問診療の対象になるのか」——その判断から一緒に整理します。まずは状況をお聞かせください。ご予約・お問い合わせからご連絡いただければ、電話・来院のいずれでもご相談に対応しています。
こんな変化があれば相談を検討
上記の箇条書きをご参照ください。「まだ元気だから」と思っていても、状態が進んでからでは選択肢が限られる場合があります。
家族だけで先に相談してよいケース
ご本人が来院できない状況でも、ご家族だけで事前相談をしていただくことは可能です。「親の状況を先に説明して、対象になるか聞きたい」というご相談は歓迎しています。
まだ早いか迷うときの考え方
訪問診療の導入時期について、家族が最も迷うのは「まだ早いのでは?」という点です。しかし、状態が悪化してからでは対応できるクリニックの空き状況や選択肢が狭まることも事実です。早めに情報収集しておくことは、将来の選択肢を広げることにつながります。訪問診療・在宅医療を知る|気づく・見極めるためのまとめも参考にしてください。
相談のタイミングを逃しやすい場面
- 入院中で「まだ退院しない」と思っているとき(退院日が突然決まる場合があります)
- 「施設に入ったら終わり」と思い込んでいるとき
- 介護保険のケアプランにまだ医療系サービスが入っていないとき
退院支援から始まる在宅医療
退院日が急に決まることがある理由
急性期病院(治療を集中的に行う病院)では、病状が安定すると在院日数を短縮する方向で退院調整が進みます。ご家族が「まだ早い」と感じていても、医療的な観点では「急性期の治療が一段落した」と判断されると退院の話が急に進むことがあります。退院後の準備が間に合わないと感じた方は、早めに病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談することをお勧めします。
病院で「自宅か施設か」を迫られたときの考え方
病院から提示される選択肢は「自宅退院か施設入所か」の二択になりがちですが、在宅医療(訪問診療)を組み合わせれば、自宅での療養の難易度が大きく下がる場合があります。訪問診療医・訪問看護師・ケアマネジャーが連携することで、医療的処置が必要な方でも自宅療養が可能になるケースがあります。
もちろん、施設入所や転院を否定するものではありません。大切なのは「在宅医療という選択肢もある」と知ったうえで、家族で検討することです。
退院前カンファレンスに在宅医が加わるメリット
退院前カンファレンス(退院前に病院スタッフと在宅の支援者が集まって引き継ぎを行う会議)に在宅医が参加することで、以下のメリットがあります。
- 入院中の病状・処置内容を直接確認できる
- 退院当日から必要な医療・ケアを漏れなく引き継げる
- 患者さん・ご家族の希望を医療チーム全体で共有できる
退院後の医療継続については退院後の療養先はどう決める?在宅・施設・転院の選び方ガイドも参考にしてください。
地域包括ケア病棟の入院期間と準備のポイント
地域包括ケア病棟(急性期治療後のリハビリ・在宅復帰支援を目的とした病棟)の入院期間は、原則として1回あたり60日が上限です(2024年時点)。上限に達する前に、在宅または施設への移行準備を整えておく必要があります。「まだ時間がある」と思っているうちに期限が来ることがあるため、入院当初から在宅医療の情報収集を始めることをお勧めします。
訪問診療の流れ
相談から初回診察までの流れ
| ステップ | 内容 | 目安期間 |
|---|---|---|
| ① 相談・問い合わせ | 電話・来院・Web問い合わせ | 当日〜数日 |
| ② 状況確認・訪問可否の検討 | 病状・居住地・保険情報の確認 | 数日以内 |
| ③ 主治医への連絡・紹介状の手配 | 必要に応じて | 数日〜1週間 |
| ④ 初回訪問診察 | 自宅にて実施 | 相談後1〜2週間以内が目安 |
| ⑤ 診療計画の作成 | 医師が書面で作成・説明 | 初回訪問後 |
緊急性がある場合(退院当日からの訪問診療など)はより迅速に対応できる場合があります。
初回訪問で確認する内容
- 現在の病状・既往歴(これまでにかかった病気)
- 服薬内容(お薬手帳が役立ちます)
- 在宅での生活状況・介護状況
- ご本人・ご家族の希望(療養の方針、看取りに関する考えなど)
- 訪問頻度・緊急時の連絡体制の確認
診療計画の立て方
医師は訪問診療開始後に「在宅療養計画」を作成し、患者さんとご家族に説明・同意を得ます。計画には、訪問頻度・管理する疾患・緊急時の対応方針などが記載されます。訪問診療のケアプラン文例を知りたいときの考え方も参考にしてください。
定期訪問と臨時往診の使い分け
定期訪問(例:月2回の訪問診療)で日常的な病状管理を行いながら、体調急変や疼痛増悪などの緊急時には「臨時往診」を利用します。この組み合わせが在宅医療の基本的な形です。
急変時にどう対応するか
訪問診療を行うクリニックは、24時間の連絡体制を整えていることが求められています(在宅時医学総合管理料の算定要件)。夜間・休日でも電話相談や緊急往診に対応できる体制かどうかを、依頼前に確認しておくと安心です。急変時の対応については高齢者に多い病気と急変のサイン|受診の目安を医師が解説する総合ガイドも参考にしてください。
在宅医療で受けられる主な医療・ケア
診察・処方・病状管理
聴診・触診・バイタル確認(血圧・体温・酸素飽和度など)を行い、慢性疾患の管理や薬の処方を継続します。一部の検査(採血・尿検査・超音波検査など)は在宅でも実施可能です。
点滴・注射・酸素療法など
脱水の補正や薬剤投与のための点滴、皮下注射・筋肉注射のほか、在宅酸素療法(HOT:Home Oxygen Therapy)も対象です。在宅酸素については自宅でできる医療処置のすべて|胃ろう・在宅酸素・褥瘡ケアと管理の実際で詳しく解説しています。
胃ろう・カテーテル・褥瘡などの管理
胃ろう(腹部から胃に直接栄養を入れるための管)・尿道カテーテル・気管カニューレの管理、褥瘡(床ずれ)の処置と予防指導も在宅医療の範囲内です。これらの処置は訪問看護師と連携して行われることが多いです。
緩和ケア・疼痛コントロール
がんや慢性疾患に伴う痛みの管理(医療用麻薬の調整を含む)、呼吸困難・倦怠感などの症状緩和を在宅で行います。自宅での看取りを希望される場合は、事前に医師・看護師・家族で方針を共有しておくことが大切です。
看護師・薬剤師・ケアマネジャーとの連携
在宅医療は医師単独で行うものではなく、多職種連携が基本です。
| 職種 | 役割 |
|---|---|
| 訪問看護師 | 日常的な観察・処置・療養支援 |
| 薬剤師 | 在宅での服薬管理・薬の配達 |
| ケアマネジャー | 介護保険サービス全体のコーディネート |
| 訪問介護員 | 身体介護・生活支援 |
ケアプランに訪問診療を組み込む際の考え方は訪問診療のケアプラン文例を知りたいときの考え方、薬剤師の在宅での役割については居宅療養管理指導と介護保険の関係を親の費用目線で整理も参考にしてください。
費用の目安と制度
訪問診療の費用はどのくらいか
費用は「医療保険」が適用されます。患者さんの自己負担割合(1〜3割)によって異なります。以下は目安です(2024年度診療報酬改定時点)。
| 負担割合 | 月2回訪問の場合の目安(在宅時医学総合管理料等含む) |
|---|---|
| 1割(後期高齢者等) | 約5,000〜10,000円程度/月 |
| 2割 | 約10,000〜20,000円程度/月 |
| 3割 | 約15,000〜30,000円程度/月 |
※上記は往診料・処置料・薬代は含まない概算です。実際の費用は病状・処置内容・加算の有無によって大きく異なります。詳細は訪問診療の料金はどれくらい?親の費用を確認する基本をご覧ください。
医療保険・介護保険の使い分け
- 医療保険:訪問診療・往診・医師が行う処置・医療費全般
- 介護保険:居宅療養管理指導(医師や薬剤師が介護保険で行う管理・指導)・訪問介護・訪問看護(一部)
同じ「在宅医療」でも、医療保険と介護保険が組み合わさって使われます。65歳以上で介護保険を持っている方は、介護保険が優先される場合があります。
がん在宅医療の費用で確認したい点
がんの方が在宅で緩和ケアを受ける場合は、「在宅がん医療総合診療料」という特別な点数が算定されることがあります。医療用麻薬の費用・訪問看護の費用も加わるため、月の自己負担が通常より高くなる場合があります。高額療養費制度(月の医療費自己負担額に上限が設けられる制度)の適用を確認することをお勧めします。
月額の見通しを立てるときの注意点
月ごとの費用は、訪問回数・処置内容・使用する薬・加算の有無などによって変わります。「月いくらかかるか」を具体的に確認するには、担当医師またはクリニックのスタッフに見積もりを求めることが確実です。
費用は改定されるため確認先をチェックする
診療報酬は原則2年ごと、介護報酬は3年ごとに改定されます。本記事の数値は執筆時点の目安であり、最新情報は厚生労働省 在宅医療の推進または横浜市 介護・高齢者福祉でご確認ください。費用・制度の全体像は訪問診療・在宅医療を知る|費用と手続きを確認するためのまとめにまとめています。
依頼方法と準備するもの
どこに相談すればよいか
- 担当のケアマネジャー(すでに介護保険を利用している場合)
- 病院の地域連携室・医療ソーシャルワーカー(入院中・退院前)
- お住まいの地域の地域包括支援センター(初めての場合)
- かかりつけ医(紹介状を依頼できる場合)
- 訪問診療クリニックへの直接問い合わせ
都筑区で訪問診療を探すなら?親の通院が難しい私向けの相談先には、地域での相談先の探し方も掲載しています。
依頼時に伝える情報
- 患者さんの氏名・生年月日・住所
- 主な病名・現在の治療内容
- 現在の通院先・主治医
- 介護保険の有無と要介護度(要支援・要介護1〜5のいずれか)
- ご自宅の構造(一戸建て・マンション等、エレベーターの有無)
- 緊急時の連絡先
紹介状や薬の情報があるとよい理由
紹介状(診療情報提供書)があると、これまでの治療経過・検査結果・処方内容を在宅医が正確に把握でき、初回から適切な医療を開始できます。お薬手帳または薬剤情報提供書も必ずご用意ください。
家族が同席できない場合の相談方法
ご本人が来院できない場合・ご家族が同席できない場合でも、電話やオンラインでの事前相談は可能です。まずはご連絡ください。
ケアマネジャーや病院との連携の進め方
訪問診療を開始した後、ケアプラン(介護サービス計画)に医療系サービスを組み込む場合はケアマネジャーとの連携が必要です。訪問診療・在宅医療を知る|相談・依頼するためのまとめでは、依頼から開始までのプロセスをまとめています。在宅医療機器の準備については在宅医療機器市場は何が広がっている?親の在宅療養を考える私へも参考にしてください。
対応できる場所・できない場面
自宅で受けられるケース
一戸建て・マンション・賃貸住宅を問わず、生活の場であれば原則として訪問診療の対象となります。バリアフリーでなくても対応できる場合がほとんどです。
施設やショートステイ先で受けられるケース
特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・グループホームなど、一定の介護施設に入居中でも訪問診療を受けられる場合があります。ただし、施設の種類によって医師の配置要件が異なるため、施設側と在宅医双方に確認が必要です。
ショートステイ先(短期入所生活介護)での訪問診療については、原則としてショートステイ事業所と同一建物内の医師や協力医療機関が対応することとなっており、外部の訪問診療医が入れないケースもあります。事前に確認することをお勧めします。
すぐに入院が必要になる場合
以下のような状態は、訪問診療での対応ではなく救急受診・入院が必要です。
- 意識障害・呼吸停止・心停止
- 骨折・大量出血などの外傷
- 急性心筋梗塞・脳卒中が疑われる症状
- 重篤な感染症(高熱・敗血症が疑われる状態)
訪問診療は在宅療養の継続をサポートするものであり、急性期の集中治療に代替するものではありません。
訪問診療の限界と病院受診が必要な症状
在宅医療には限界があります。病状が進行して在宅での対応が困難になった場合は、入院や施設への転居が必要になることがあります。これは在宅医療の「失敗」ではなく、状態に応じた最善の判断です。
訪問診療を始める前によくある不安
かかりつけ医を変える必要はあるのか
繰り返しになりますが、現在のかかりつけ医との関係を終わらせる必要はありません。「かかりつけ医は病院の外来で引き続き診てもらい、在宅での定期管理は訪問診療医が担う」という形も可能です。
自宅で看取れると決まっているわけではない
「訪問診療を始めたら絶対に自宅で最期まで過ごさなければならない」ということはありません。状態の変化に応じて、入院や施設への転居を選ぶことは自然なことであり、在宅医療との併用や移行は可能です。ご本人やご家族の希望を定期的に確認・更新することが大切です(ACP:アドバンス・ケア・プランニング。本人の意向を事前に話し合っておくプロセス)。
施設入居や入院を選ぶのも大切な選択肢
家族の介護力・住環境・医療ニーズによっては、施設入居や入院が最善の選択肢である場合もあります。在宅医療は「正解」の一つに過ぎず、施設や入院という選択を否定するものではありません。大切なのは、十分な情報をもとに家族で話し合うことです。
家族の負担をどう分担するか
在宅医療を導入しても、家族の介護負担がゼロになるわけではありません。訪問介護・デイサービス・ショートステイなどの介護保険サービスと組み合わせることで、家族の負担を分散させることが重要です。ケアマネジャーと連携してサービスを組み立てることをお勧めします。
よくある質問
Q. 訪問診療は誰でも受けられる?
A. 医師が「通院困難」と判断した方が対象の基本要件です。年齢・疾患の種類による制限はありませんが、居住地域がクリニックの対応エリア内であることが必要です。まずはご相談ください。
Q. 週に何回くらい来てもらえる?
A. 一般的な訪問診療は月2回が基本です。病状によっては週1回以上の頻度が必要な場合もあります。訪問頻度は担当医師と相談のうえ、診療計画に盛り込まれます。
Q. 夜間や休日の対応はある?
A. 在宅時医学総合管理料を算定するためには、クリニックが24時間の連絡体制を整えていることが要件とされています。夜間・休日の対応体制については、依頼前に必ず確認してください。
Q. 家族が不在でも診てもらえる?
A. 原則として、訪問時に対応できる成人の同席が望ましいですが、鍵の預け先を設ける・ヘルパーが同席するなどの工夫で対応できる場合があります。担当医師にご相談ください。
Q. ショートステイ中でも訪問診療は受けられる?
A. ショートステイ施設の種類や協力医療機関の状況によって異なります。外部の訪問診療医が対応できないケースもあるため、ショートステイ先と在宅医師の双方に事前確認が必要です。
Q. まずは相談だけでも可能?
A. もちろんです。「まだ決めていない」「対象になるか分からない」という段階でのご相談は歓迎しています。情報収集だけでもお気軽にどうぞ。
Q. 退院前から相談するのは早すぎない?
A. 早すぎることはありません。むしろ退院前から相談を始めることで、退院当日から医療が継続でき、在宅への移行がスムーズになります。
Q. 施設入居後も継続できる?
A. 施設の種類と医師の配置状況によります。有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)では外部の訪問診療医が継続できる場合が多いです。特養(特別養護老人ホーム)は原則として施設の嘱託医が担当します。
当院の在宅診療の現場から
AIプラスクリニックたまプラーザでは、病院の地域連携室・医療ソーシャルワーカー(MSW)からの紹介を受け、退院前カンファレンスに在宅医として参加しています。患者さんの入院中の経過を直接把握したうえで引き継ぎを行い、退院当日から訪問診療を開始する体制も整えています。
退院直後は状態が不安定なことも多く、夜間・休日の急変にも24時間の連絡体制で対応しています。消化器内視鏡・腹部超音波の経験を活かし、在宅での栄養管理・嚥下評価(食事を安全に飲み込めるかの評価)・胃ろう管理・在宅酸素にも対応しています。地域の訪問看護ステーション・居宅介護支援事業所と日常的に連携し、多職種でご本人・ご家族を支える体制を心がけています。
対応エリアはたまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じています。
相談先を探すときのポイント
対応できる疾患や地域を確認する
クリニックによって得意とする疾患・対応できる処置に違いがあります。がんの緩和ケア・神経難病・小児在宅医療など、専門性が必要な場合は事前に確認してください。
連携体制や夜間対応を確認する
24時間対応の有無・訪問看護ステーションとの連携状況・緊急入院先の確保体制は、依頼前に確認しておくべき重要なポイントです。
公的情報や自治体窓口も活用する
厚生労働省 在宅医療の推進や横浜市 介護・高齢者福祉では、在宅医療に関する制度情報や相談窓口を確認できます。また、日本在宅医療連合学会では在宅医療の標準的な考え方が公開されています。
迷ったらまずは家族で情報を整理する
「誰が何を担うか」「本人の希望は何か」「家族の介護力はどの程度か」を家族で話し合い、整理してから相談するとスムーズです。訪問診療・在宅医療を知る|選択肢を比べるためのまとめと訪問診療・在宅医療を知る|困りごとに対処するためのまとめも活用してください。
まとめ|訪問診療・在宅医療は「自宅で医療を受ける」選択肢
早めの相談で選択肢を広げやすい
訪問診療・在宅医療は、通院が困難になった高齢者や退院後に療養が必要な方が、自宅や施設で継続的に医療を受けるための仕組みです。「まだ早い」と感じている段階からの情報収集が、将来の選択肢を広げることにつながります。施設入居や入院という選択を否定するものではなく、「在宅医療という選択肢もある」と知ったうえで、ご本人・ご家族が納得できる形を選ぶことが大切です。
まずは現状整理と問い合わせから始める
「親は訪問診療の対象になるのか」「費用はどのくらいかかるのか」「どこに相談すればいいのか」——一つ一つの疑問を整理していくことが第一歩です。親の通院が難しくなったら|受診をあきらめる前に知っておきたい選択肢もあわせてご参照ください。
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- 訪問診療・在宅医療を知る|費用と手続きを確認するためのまとめ
- 訪問診療・在宅医療を知る|相談・依頼するためのまとめ
- 訪問診療・在宅医療を知る|選択肢を比べるためのまとめ
- 訪問診療・在宅医療を知る|困りごとに対処するためのまとめ
参考文献・出典
- 厚生労働省「在宅医療の推進について」
- 厚生労働省「介護保険制度について」
- 厚生労働省「人生会議(アドバンス・ケア・プランニング:ACP)」
- 厚生労働省「認知症施策」
- 日本在宅医療連合学会
- 日本老年医学会
- 横浜市「介護・高齢者福祉」
- 厚生労働省「国民生活基礎調査」
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお) 医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医 専門:消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、医学博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
ご家族の通院が難しくなってきた、退院後の療養先に迷っている、自宅でどこまで医療が受けられるか知りたい——そうしたご相談を、たまプラーザで承っています。
対応エリア: たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心とした地域(隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談ください)
ご予約・お問い合わせ | TEL:045-909-0117(横浜市青葉区)
ご相談の際にご用意いただくと便利なもの:
- お薬手帳または薬剤情報提供書
- 医療保険証・各種受給者証
- 介護保険証・介護保険負担割合証
- (お持ちであれば)診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリー
ご本人が来院できない場合のご家族のみのご相談も承っています。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。