訪問診療・在宅医療とは|対象・費用・依頼の流れを医師が解説する完全ガイド › (本記事)
「親の通院がつらそうになってきた」「退院後の療養先をどう決めればよいか」——そう感じてこのページを開いた方は、費用の目安や手続きの流れを知りたいのではないでしょうか。
訪問診療の料金は、医療保険・介護保険の使い方や状態によって大きく変わります。しかし、制度を理解して準備を整えれば、通院と比べても大きな差が出ないケースが多くあります。このページでは「費用の仕組み」「手続きの流れ」「よくある迷いへの答え」を横断的に整理しました。各テーマの詳細記事へのリンクも用意していますので、必要な情報から確認してください。
訪問診療の料金はどう決まる?まずは「医療保険」と「介護保険」の違いを整理する
訪問診療は原則として医療保険が使われる
訪問診療とは、医師が定期的に自宅や施設を訪問して行う計画的な診察です。この診察料・管理料などは原則として医療保険(健康保険・後期高齢者医療制度など)が適用されます。
1〜3割の自己負担割合は外来と同様に決まり、75歳以上の方は後期高齢者医療制度の対象となります。医療保険で受ける在宅医療の仕組みについては、在宅医療は医療保険で受けられる?費用の見通しを知りたい私へ でも詳しく解説しています。
介護保険が関わるのは「居宅療養管理指導」などの場面
介護保険は訪問診療そのものには適用されませんが、医師や薬剤師・管理栄養士などが自宅を訪問して療養上の指導を行う「居宅療養管理指導」は介護保険の給付対象となります。
つまり「訪問診療(医療保険)」と「居宅療養管理指導(介護保険)」は別のサービスです。この違いを混同して検索される方が多いため、介護保険 訪問診療 料金と居宅療養管理指導の関係を整理した記事 もあわせてご覧ください。
「往診」「訪問診療」「訪問看護」の違いを簡単に確認する
| 種別 | 担当者 | 計画性 | 保険 |
|---|---|---|---|
| 訪問診療 | 医師 | 定期・計画的 | 医療保険 |
| 往診 | 医師 | 臨時・緊急時 | 医療保険 |
| 訪問看護 | 看護師など | 計画的 | 医療・介護保険いずれか |
| 居宅療養管理指導 | 医師・薬剤師など | 計画的 | 介護保険 |
往診は体調が急変したときに臨時で来てもらうもの。費用の考え方も訪問診療と異なります(詳細:往診の料金はどのくらい?急な体調変化に備えたい方へ)。
訪問診療の費用の内訳
診察料・管理料・処方箋発行などの基本的な考え方
訪問診療の費用は、大きく「在宅患者訪問診療料(診察料に相当)」と「在宅時医学総合管理料(継続的な管理に対する報酬)」に分かれます。これらは点数(1点=10円)で設定されており、自己負担はその1〜3割です。
処方箋を発行した場合、薬代は別途かかります。調剤薬局による在宅への薬剤配達サービス(在宅患者訪問薬剤管理指導)も利用できます。
詳しい内訳の考え方は訪問診療の料金表を見る前に知りたい医療保険と介護保険の仕組みをご覧ください。
検査や処置、点滴、酸素療法などが加わる場合
採血・尿検査・レントゲン(ポータブル)・点滴・在宅酸素療法(HOT)・胃ろう管理など、処置の内容によって費用は上乗せされます。特に在宅酸素療法は機器のレンタルと指導管理料が加算されます。
これらの追加費用も含めた月ごとの総額イメージは訪問診療の料金はどれくらい?親の費用を確認する基本で整理しています。
がんの在宅医療で費用が変わることがある場面
がん(悪性腫瘍)の方が在宅で緩和ケアを受ける場合、「在宅がん医療総合診療料」という包括的な点数が算定できる場合があります。これは週4日以上の訪問が見込まれる末期がんの患者さんが対象で、訪問診療・往診・訪問看護などが一括で算定される仕組みです。
がん在宅医療の費用の変化については、がん在宅医療 費用をテーマとした専門記事で詳細をご確認ください。通常の訪問診療とは費用の組み立てが異なるため、担当医に確認することが大切です。
交通費や薬代はどう考えるか
医師の交通費(訪問に要する実費)は別途請求される場合があります。ただし、クリニックによって対応は異なります。薬代・調剤料も医療保険の自己負担割合に応じて発生します。高齢者の往診費用の目安を確認したい方向けの記事も参考にしてください。
訪問診療の料金の目安を確認する
月ごとの費用イメージは状態や回数で変わる
| 状況の例 | 月額自己負担の目安(1割負担の場合) |
|---|---|
| 月2回訪問診療・処置なし | 約5,000〜8,000円程度 |
| 月2回+在宅酸素療法あり | 約8,000〜12,000円程度 |
| 末期がんで週複数回(包括算定) | 状態・訪問数で大きく変動 |
※上記はあくまで目安です。自己負担割合(1〜3割)・加算の有無・処置内容によって変わります。実際の費用は担当医または医療機関に確認してください(出典:厚生労働省「在宅医療の推進」2024年度診療報酬改定を参考)。
公的保険、高額療養費制度、自己負担割合で差が出る
医療費が一定額を超えた場合、高額療養費制度により自己負担に上限が設けられます。所得区分ごとに上限額が異なり、手続きにより払い戻しを受けることができます。事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、窓口での支払いをあらかじめ上限額に抑えられます。
高額療養費制度の活用方法は在宅医療の費用を高額療養費でどう抑えられるかを解説した記事でまとめています。
費用は改定されるため、最新情報の確認先を知っておく
診療報酬は2年ごと(偶数年)、介護報酬は3年ごとに改定されます。本記事の数値はあくまで目安であり、最新の情報は以下でご確認ください。
- 厚生労働省「在宅医療の推進」:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061944.html
- ご加入の健康保険組合・後期高齢者医療広域連合
- お住まいの自治体(横浜市の場合:横浜市介護・高齢者福祉ページ)
介護保険はどこまで使える?在宅医療と介護保険の関係
介護保険 訪問診療 料金と検索されやすい理由
「介護保険 訪問診療 料金」と検索される方の多くは、「介護保険が使えれば自己負担が減るのでは」という期待から調べているケースが多いようです。結論として、訪問診療の診察料は医療保険が適用され、介護保険は使えません。ただし、同時に受けるサービスの中に介護保険が使えるものがあるため、混同されやすいのです。
介護保険で利用するサービスと医療保険で受ける診療の違い
| サービス | 保険 | 担当者 |
|---|---|---|
| 訪問診療(診察・管理) | 医療保険 | 医師 |
| 居宅療養管理指導(指導・助言) | 介護保険 | 医師・薬剤師・管理栄養士など |
| 訪問看護(医師指示のある場合) | 医療保険優先 | 看護師など |
| 訪問介護・通所介護など | 介護保険 | 介護福祉士など |
医療保険と介護保険の使い分けについては訪問診療で医療保険と介護保険をどう使い分けるかを解説した記事で詳しく説明しています。
居宅療養管理指導はどんなときに使うか
要介護認定を受けた方が対象で、医師が月2回(末期がん等の場合は週2回)まで、薬剤師が月2〜4回、管理栄養士が月2回を上限として算定できます。服薬管理・栄養指導・口腔ケア指導など、療養生活全般を支える役割があります。
詳細は居宅療養管理指導と訪問診療の違いを整理した記事をご覧ください。
ケアマネジャーや医療機関と連携して確認する流れ
介護保険サービスを受けるには要介護認定が前提です。担当のケアマネジャー(介護支援専門員)に相談し、ケアプランに位置づけてもらうことで、居宅療養管理指導を含む介護サービスが利用できるようになります。まだケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターへ相談するところから始めてください。
マイナ保険証は在宅医療でどう使う?
マイナ保険証の確認が必要になる場面
2024年12月以降、従来の健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証(マイナンバーカードを健康保険証として使用する仕組み)への移行が進んでいます(出典:厚生労働省)。訪問診療でも、保険資格の確認が必要なため、対応する医療機関では資格確認の仕組みを整備しています。
保険証情報や限度額認定の確認を家族が準備しておくとよいもの
- マイナ保険証(または資格確認書)
- 各種受給者証(後期高齢者医療被保険者証、公費受給者証など)
- 限度額適用認定証(高額療養費の窓口負担を抑えるため事前申請が必要)
- 介護保険証・介護保険負担割合証
マイナ保険証への同意手続きを代理で行う場合は、医療機関や保険者の案内に従ってください。
使い方は医療機関や自治体の案内で確認する
マイナ保険証に関する手続き・制度の詳細は変更される場合があります。最新情報はお住まいの市区町村や加入保険の窓口、または厚生労働省のウェブサイトでご確認ください。
申し込みから開始までの手続き
まずはかかりつけ医や病院に相談する
「訪問診療を受けたい」と思ったら、まずはかかりつけ医か入院中の病院の担当医に相談してください。紹介状(診療情報提供書)を作成してもらうと、引き継ぎがスムーズになります。現在のかかりつけ医を「やめる」必要はなく、併診(同時並行での受診)や段階的な引き継ぎも可能です。
訪問診療への移行の流れは訪問診療の流れが知りたい方向けの記事で詳しく解説しています。
在宅医療クリニックへの問い合わせから初回相談までの流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①問い合わせ | 電話・Web・家族のみでの来院相談も可 |
| ②初回面談 | 現在の状態・希望・保険情報を確認 |
| ③医師の訪問日程調整 | かかりつけ医と連携しながら引き継ぎ |
| ④訪問診療開始 | 契約・同意書の確認後、定期訪問が始まる |
ご本人が来院できない場合でも、ご家族だけでの相談を受け付けているクリニックがあります。まずはお気軽にお問い合わせください。
費用や手続きをより詳しく確認したい方は、相談・依頼するための情報をまとめたページもあわせてご覧ください。
退院前カンファレンスで在宅医が関わるときの進め方
退院前カンファレンスとは、退院前に病院スタッフ・在宅医・ケアマネジャー・訪問看護師などが一堂に集まり、在宅での療養方針を共有する場です。ここに在宅医が参加することで、薬の管理・処置の引き継ぎ・緊急時の連絡体制が明確になります。
病院の地域連携室(医療ソーシャルワーカー)に「退院前カンファレンスに在宅医にも参加してほしい」と伝えると調整してもらえます。
退院日が急に決まったときに確認すること
実際には退院日が数日前に突然決まり、「自宅か施設か」を急いで決めなければならないケースが少なくありません。そのような状況でも、在宅医療クリニックへの早期連絡で退院当日からの訪問診療開始に対応できる場合があります。退院が近づいたと感じたら、早めに在宅医療クリニックへ問い合わせることをお勧めします。
退院支援で訪問診療を検討するケース
病院から「自宅か施設か」と言われたときの選択肢
「自宅か施設か」と二択で提示されることがありますが、在宅医療を組み合わせることで自宅療養の難易度は大きく下がります。医師の定期訪問・24時間の連絡体制・訪問看護・介護サービスが連携すれば、ご家族の負担を分散しながら在宅療養を続けることが可能になるケースがあります。
地域包括ケア病棟の入院期間と、在宅移行を逆算して準備する考え方
地域包括ケア病棟は、急性期治療後のリハビリや在宅への移行を支援する病棟です。入院期間は原則60日が上限とされています(出典:厚生労働省)。入院中から在宅医療の準備を進めることで、退院後の療養生活をスムーズにスタートできます。
自宅療養の難しさを下げるために在宅医療を早めに入れる意義
状態が悪化してからでは選択肢が狭まります。「まだ大丈夫かな」という段階で情報を集め、必要に応じて早期に在宅医療を導入しておくことが、結果的に療養の安定につながることがあります。
施設入居や転院を含めて比較してよいこと
在宅医療がすべての人に適しているわけではありません。施設入居・療養型病院への転院・ショートステイの活用なども重要な選択肢です。選択肢を比べるためのまとめページを参考に、状況に合った選択を検討してください。家族の選択を否定せず、並べて考えることが大切です。
「まだ早いのでは」と迷うときの受診・相談の目安
通院が負担になってきたと感じるとき
電車・バスでの通院に付き添いが必要になってきた、外来の待ち時間が体力的につらいと感じてきた、という状況は訪問診療への移行を検討するサインの一つです。状態が比較的安定しているうちに在宅医療を導入しておくと、緊急時の体制も整えやすくなります。
退院後の療養先を早めに決めたいとき
退院が近づいてから慌てることのないよう、入院中の段階から情報収集を始めることをお勧めします。在宅医療で家族の負担と必要書類を確認したい方向けの記事も参考にしてください。
家族だけで相談したいとき
「親に気づかれたくない」「まず費用感だけ知りたい」という段階でのご相談も可能です。ご本人が来院できない場合でも、ご家族のみでの相談を受け付けているクリニックがあります。
かかりつけ医との併診・引き継ぎを考えるとき
現在のかかりつけ医との関係を断つ必要はありません。専門的な外来治療を続けながら、在宅での管理を在宅医に担ってもらう「併診」の形も選択肢の一つです。
当院の在宅診療の現場から
AIプラスクリニックたまプラーザでは、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーからのご連絡を受け、退院前カンファレンスに参加して在宅への引き継ぎを行っています。退院当日からの訪問診療開始にも対応しており、24時間の連絡体制を敷いて退院直後の不安定な時期の急変にも夜間・休日対応しています。
消化器外科・内視鏡の経験を活かし、在宅での栄養管理・嚥下評価・胃ろう管理・在宅酸素療法にも対応しています。地域の訪問看護ステーション・居宅介護支援事業所と緊密に連携しながら、たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じています。「まず費用感だけ聞きたい」「家族だけで話を聞きたい」というご相談もお気軽にどうぞ。
訪問診療を始める前に家族が確認しておきたいこと
どこまで自宅で対応したいかを家族で共有する
在宅療養の目標(できる限り自宅で過ごしたい・急変時は入院を希望するなど)を家族で話し合い、在宅医と共有しておくことが大切です。厚生労働省が推進する「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」も参考になります。
緊急時の連絡先や夜間休日の対応を確認する
訪問診療クリニックが24時間対応しているかどうか、夜間・休日の連絡先はどこか、を契約前に必ず確認してください。
服薬管理、介護サービス、訪問看護との役割分担を整理する
訪問診療だけで在宅療養は成り立ちません。訪問看護・ヘルパー・ケアマネジャーとの連携のもとで、それぞれの役割分担を明確にしておきましょう。
入院が必要になる場合もあることを理解しておく
在宅医療は「自宅での療養を支える」ものですが、状態によっては入院が必要になることがあります。訪問診療は入院を完全に代替するものではなく、入院が必要と判断した際に適切に対応する連携体制があることが重要です。
受診・相談の目安
以下のいずれかに当てはまる場合は、早めに在宅医療クリニックへご相談ください。
- 週1回以上の通院が身体的・移動の面で負担になってきた
- 退院後の療養先がまだ決まっていない(または退院が近い)
- 家族の付き添いが時間・体力の面で限界になってきた
- がんや心不全などで在宅での緩和ケア・管理を検討している
- 「まだ早いかも」と思いながら、一度は情報だけ集めておきたい
費用は制度の使い方で大きく変わります。ご家族の状況に当てはめた概算をお伝えできますので、ご予約・お問い合わせからお気軽にご相談ください。
よくある質問
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参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお) 医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医 専門:消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
ご家族の通院が難しくなってきた、退院後の療養先に迷っている、自宅でどこまで医療が受けられるか知りたい——そうしたご相談を、たまプラーザで承っています。
たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心とした地域で訪問診療を行っており、隣接する都筑区・川崎市宮前区のご相談にも対応しています。
ご予約・お問い合わせ TEL:045-909-0117(横浜市青葉区)
ご相談の際は、以下をご用意いただくとスムーズです。
- お薬手帳または薬剤情報提供書
- 医療保険証・各種受給者証
- 介護保険証・介護保険負担割合証
- (お持ちであれば)診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリー
ご本人が来院できない場合のご相談も承ります。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。