自宅でできる医療処置のすべて|胃ろう・在宅酸素・褥瘡ケアと管理の実際
「胃ろうがあると、もう家には帰れないのでは」「在宅酸素を使っているのに、病院以外で管理できるのか」——こうした疑問を持ちながら検索しているご家族は少なくありません。しかし、医師・訪問看護師・薬剤師などの専門職が連携する体制が整えば、多くの医療処置は自宅でも安全に継続できます。
このガイドでは、胃ろう・在宅酸素療法・褥瘡ケア・CVカテーテル管理・人工呼吸器管理など、在宅で対応できる主な医療処置の内容と管理のポイントを体系的に解説します。「いつ相談すればよいのか」「家族が覚えられるか不安」といった疑問にも答えながら、在宅医療という選択肢を具体的にイメージできるよう構成しました。
在宅で受けられる医療処置とは?|「病院でしかできない」と思われがちな処置も自宅で対応できる場合
在宅医療で行う処置の基本:診断・治療は医師の診察が前提
在宅医療とは、通院が困難な方の自宅や施設に医師・看護師などが訪問し、診療・処置・療養指導を行う医療のかたちです。厚生労働省も在宅医療の推進を重要施策として位置づけており、訪問診療の体制整備が進んでいます(厚生労働省 在宅医療の推進)。
ただし、診断や治療方針の決定は必ず医師の診察に基づいて行われます。このガイドの情報は一般的な解説であり、個々の方の処置内容・頻度・管理方法は、主治医や訪問看護師とご相談のうえ決定してください。
自宅で対応しやすい処置と、病院入院が必要になることがある処置
| カテゴリー | 在宅で対応できる主な処置例 | 入院が必要になることがある状態の例 |
|---|---|---|
| 栄養・水分 | 胃ろう管理・経管栄養・点滴・IVH | 重篤な誤嚥性肺炎・高度の脱水 |
| 呼吸 | 在宅酸素療法・人工呼吸器管理・気管切開後ケア | 急性増悪・酸素化の著しい悪化 |
| 皮膚 | 褥瘡処置・スキンケア | 深部組織への感染・外科的デブリードマン |
| 排泄 | 膀胱留置カテーテル・自己導尿支援 | 尿路感染による敗血症 |
| 中心静脈 | CVカテーテル管理 | カテーテル感染・血栓塞栓症 |
| 疼痛緩和 | 医療用麻薬の投与・調整 | 急性の強い痛み・意識障害を伴う状態 |
この表はあくまで目安です。状態によっては、表の「在宅で対応できる処置」であっても入院が適切な場合があります。
訪問診療・訪問看護・薬剤師の役割の違い
- 訪問診療(医師):定期的に訪問して診察・処方・処置方針の決定を行います。急変時の24時間対応が求められます。
- 訪問看護(看護師・保健師など):医師の指示のもと、処置・観察・療養指導・家族への指導を担います。処置の実施頻度が高く、日常管理の中心となります。
- 訪問薬剤師(薬局):薬の管理・多剤調整・飲み合わせの確認を行い、残薬整理なども支援します。
どんな人が在宅で医療処置を受けているのか
高齢で通院が難しい人
加齢により体力・移動能力が低下し、定期通院が困難になった高齢者が在宅医療の主な対象です。「少し歩くと息が切れる」「車に乗り降りするだけで疲れる」という段階でも、訪問診療への切り替えは十分に選択肢に入ります。
脳梗塞後遺症、認知症、神経難病、がん、心不全、呼吸器疾患の人
脳梗塞後遺症や嚥下障害、ALS(筋萎縮性側索硬化症)などの神経難病、がんの在宅緩和ケア、慢性心不全・慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患を抱える方は、医療処置を継続しながら自宅で療養するケースが増えています。認知症とともに自宅で暮らす選択肢については、別のガイドも参考になります。
退院後の療養先として在宅医療を選ぶケース
入院治療を終えた後、自宅に帰るために訪問診療を活用するケースも多くあります。退院後すぐに医療的サポートが必要な場合、退院当日から訪問診療を開始することも可能です。
施設入居や転院も含めて比較したいときの考え方
在宅医療は「自宅に帰るための唯一の選択肢」ではなく、施設入居・転院と並ぶ一つの選択肢です。退院後の療養先をどう決めるかについては、それぞれのメリット・デメリットを比較するガイドを参考にしてください。在宅医療を詳しく知りたい方は、在宅で受けられる医療処置|選択肢を比べるためのまとめも参照できます。
在宅で受けられる主な医療処置一覧
胃ろう・経管栄養の管理
口から食事ができなくなった方に、腹部に設けた小さな穴(胃ろう孔)を通じてチューブで栄養を入れる方法です。栄養剤の注入・チューブの清潔管理・皮膚周囲のケアが主な在宅管理の内容です。胃瘻のメリットとデメリットを在宅介護の視点で比べたいも参考に、ご家族でじっくり考えてみてください。
在宅酸素療法(HOT)の管理
慢性的に血中酸素濃度が低い方が、自宅で酸素を吸入しながら生活する療法です。「HOT(Home Oxygen Therapy)」と略されます。機器の管理と安全な使用方法が重要です。
褥瘡(床ずれ)ケアと処置
長時間同じ姿勢でいることで皮膚・組織が壊死する「褥瘡(床ずれ)」の予防・処置も在宅で対応できます。体位変換・スキンケア・専用の創傷被覆材の使用が中心です。
点滴・中心静脈栄養(IVH)・CVカテーテル管理
経口摂取や胃ろうが難しい場合、血管を通じて直接栄養や薬剤を投与します。中心静脈栄養(IVH)は鎖骨下・頸部・鼠径部などの太い静脈にカテーテルを留置して行います。管理の詳細は後述のH2でも解説します。
膀胱留置カテーテル・自己導尿の支援
自力での排尿が困難な方に、尿道にカテーテル(細い管)を挿入して尿を排出する処置です。定期的な交換や感染予防の観察が必要です。詳しくは膀胱留置カテーテルの在宅管理の要点をご覧ください。
人工呼吸器管理(ALSなどで行われる在宅療養)
ALSや筋ジストロフィーなど呼吸筋が障害される疾患では、鼻や口にマスクを装着するNPPV(非侵襲的陽圧換気)や、気管切開を経由するTPPV(気管切開下陽圧換気)を在宅で継続することがあります。
気管切開の管理
のど(気管)に直接穴を開け(気管切開)、そこにチューブを挿入して呼吸を確保する処置です。チューブ周囲の清潔保持・痰の吸引・加湿管理が日常的なケアの中心です。気管切開がある親を在宅で支えるときの基本も参考にしてください。
吸引・排痰ケア
自力で痰を出すことが難しい方に、吸引カテーテルを使って痰を取り除く処置です。訪問看護師が行う場合が多いですが、家族が手順を習得して日常的に行うケースもあります。
疼痛緩和のための医療処置
がんや慢性疾患に伴う痛みに対して、医療用麻薬(オピオイド)の内服・貼付剤・皮下注射などを在宅で使用できます。痛みのコントロールは在宅療養の質を左右する重要な要素です。
糖尿病のインスリン管理
血糖コントロールが必要な方のインスリン注射の管理・用量調整も、訪問診療と訪問薬剤師の連携で在宅対応が可能です。低血糖の観察と対応方法を家族が把握しておくことが重要です。
服薬管理・多剤調整
高齢者は複数の薬を服用していることが多く(ポリファーマシーと呼ばれます)、飲み合わせや副作用のリスクが高まります。訪問薬剤師と在宅医が連携して、薬の種類や量を見直すことができます。
胃ろうの在宅管理:食事・注入・トラブル対応
胃ろうで自宅療養を続けるために必要な準備
胃ろうで自宅に帰るためには、栄養剤・チューブ・注射器(カテーテルチップシリンジ)・専用テープなどの物品を事前にそろえておく必要があります。退院前に訪問看護師・訪問診療医と連絡を取り、必要物品・注入スケジュール・緊急連絡先を確認しておきましょう。費用の目安については胃ろうにかかる費用を在宅で確認したい方へで整理しています。
注入時に気をつけること
- 注入前に胃ろうチューブの位置を確認する(引っ張らない)
- 上半身を30〜45度起こした姿勢で注入し、注入後もしばらく同じ姿勢を保つ(逆流・誤嚥の予防)
- 注入速度が速すぎると嘔気・下痢の原因になるため、指定の速度を守る
- 注入後はチューブをぬるま湯でフラッシュする(詰まり予防)
皮膚トラブル、漏れ、つまりが起きたときの対応
胃ろう孔周囲の皮膚が赤い・ただれている・分泌物が多い場合は、訪問看護師または在宅医に早めに相談してください。栄養剤の漏れが続く場合も、チューブのサイズや交換時期の問題である可能性があります。自己判断でチューブを引き抜くことは避けてください。
家族が担う部分と訪問看護が担う部分
| 役割 | 家族が担う主な内容 | 訪問看護が担う主な内容 |
|---|---|---|
| 日常の栄養注入 | 手順を習得すれば家族が実施可能 | 手順の指導・確認 |
| チューブの定期交換 | 原則、医師が実施 | 補助・記録 |
| 皮膚観察 | 毎日の観察・異常の報告 | 定期的な処置・評価 |
| トラブル対応 | 連絡・応急処置の判断 | 対応・報告・処置 |
在宅酸素療法(HOT)の実際|酸素機器の使い方と注意点
HOTとは何か
在宅酸素療法(HOT)とは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)・慢性心不全・肺線維症などにより、安静時・労作時に低酸素血症を生じる方が、自宅で酸素を吸入しながら生活する治療法です。医師の処方に基づいて、医療機器業者が機器を自宅に設置します。
酸素濃縮器・ボンベ・チューブの管理
- 酸素濃縮器:室内の空気から酸素を濃縮して供給する機器。コンセントに接続して使用します。フィルターを定期的に清掃する必要があります。
- 酸素ボンベ(携帯用):外出時に使用します。残量の確認を習慣化してください。
- 鼻カニューラ・チューブ:定期的に交換します。鼻の周囲が赤くなっている場合は、当て方や固定の位置を見直します。
外出時や停電時に備えること
停電時は酸素濃縮器が使用できなくなるため、ボンベを常に一定量以上確保しておくことが重要です。停電時の対応手順・業者への緊急連絡先を、あらかじめ家族全員で共有してください。
酸素使用中に避けたい行動
火気は絶対に避けてください。 酸素は燃焼を助ける性質があり、喫煙・コンロ・ライターなどを酸素使用中に近づけることは重大な事故につながります。同居家族の喫煙にも注意が必要です。
HOTを続けながら生活する際の限界と確認点
酸素流量の自己調節は行わないでください。「息が苦しいから流量を上げる」と判断することで、かえって体にとって危険な状態(CO2貯留)を招く場合があります。呼吸状態が悪化したと感じたときは、まず訪問診療・訪問看護に連絡してください。
褥瘡ケアは自宅でもできる?|処置・予防・観察ポイント
褥瘡の原因と悪化を防ぐ工夫
褥瘡(床ずれ)は、体重がかかる部位(仙骨・踵・肩甲骨など)が長時間圧迫されることで血流が途絶え、皮膚や組織が壊死する状態です。在宅での予防の基本は「除圧」「スキンケア」「栄養管理」の三本柱です。
体位変換、スキンケア、栄養管理の重要性
- 体位変換:少なくとも2時間に1回を目安に体の向きを変えます。エアマットレスなどの除圧用具の活用も有効です。
- スキンケア:皮膚を清潔・適度に湿潤に保ちます。おむつ使用中は排泄物が皮膚に長時間接触しないよう注意します。
- 栄養管理:低栄養は褥瘡の発生・悪化のリスクを高めます。たんぱく質・ビタミン・亜鉛などの栄養状態の維持が重要です。
受診が必要な褥瘡のサイン
次のような場合は、早めに在宅医または訪問看護師に連絡してください。
- 創部が深くなった・黒く変色した
- 悪臭のある分泌物が増えた
- 発熱・創周囲の熱感・赤みが拡大している
- 骨まで到達しているように見える
在宅での処置と病院での治療が必要な場合
浅い褥瘡(ステージI〜II)は、訪問看護師による定期的な処置・創傷被覆材の使用で在宅対応できることが多くあります。一方、深部組織が壊死している場合(ステージIII〜IV)や、感染が骨・関節に及んでいる場合は、外科的処置(壊死組織の除去:デブリードマン)が必要となり、入院・手術が適切なこともあります。
CVカテーテル・IVHの在宅管理|違いと看護のポイント
CVカテーテルとは
CVカテーテル(中心静脈カテーテル)とは、鎖骨下・頸部・上腕などの静脈から先端を心臓近くの太い静脈(中心静脈)まで挿入した細い管のことです。高濃度の栄養液・薬剤を投与できるため、口から食事ができない方や点滴治療が長期にわたる方に使用されます。
IVHとの違い
IVH(Intravenous Hyperalimentation:中心静脈栄養)はCVカテーテルを用いて高カロリー輸液を投与する栄養法の名称です。CVカテーテルは「器具」、IVHは「栄養法」という位置づけになります。
ダブルルーメンが使われる場面
ダブルルーメン(二腔カテーテル)は、1本のカテーテルに2つの通路(ルーメン)があるものです。栄養液と薬剤を同時に別々に投与したい場合などに使用されます。
在宅でのカテーテル管理で注意する感染・閉塞・抜去
| リスク | 観察ポイント | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 感染(カテーテル関連血流感染) | 刺入部の発赤・腫脹・熱感・発熱 | 訪問看護・在宅医に即連絡 |
| 閉塞(詰まり) | 輸液が滴下しない・押し子が固い | 自己判断での無理な通水は避ける |
| 抜去・逸脱 | カテーテルが抜けた・位置がずれた | 自己判断での再挿入は絶対にしない |
CVカテーテル管理に訪問看護が関わる範囲
刺入部の消毒・ドレッシング(被覆材)の交換・輸液ラインの交換は訪問看護師が実施します。輸液の種類・速度の変更は医師の指示が必要です。ご家族は観察・異常の報告・機器の管理補助が主な役割です。
人工呼吸器・気管切開の在宅管理|ALSなどで行われる療養
ALSで在宅人工呼吸器を使う場面
ALSでは病気の進行とともに呼吸筋の力が低下し、自力での呼吸が難しくなります。初期段階ではNPPV(マスク型の人工呼吸器)を就寝時のみ使用するケースが多く、進行するとTPPV(気管切開下での人工呼吸)への移行を検討します。この選択は本人・家族・医師が十分に話し合って決める必要があり、厚生労働省の人生会議(アドバンス・ケア・プランニング:ACP)のプロセスが参考になります。
気管切開後に必要なケア
- 気管カニューレ(気管に挿入するチューブ)の清潔管理・固定
- 気管孔周囲の皮膚ケア・感染予防
- 加湿(乾燥した空気は痰が固まりやすくなります)
- 定期的なカニューレ交換(医師または訪問看護師が実施)
吸引、加湿、機器の確認で重要なこと
痰の吸引は気道を清潔に保つために不可欠です。吸引の手技・機器の操作は訪問看護師が指導しますが、緊急時に備えて家族も基本的な手順を習得しておくと安心です。人工呼吸器の機器確認・アラームへの対応は、機器を提供する業者と連携して対応方法を事前に確認してください。
家族だけで抱え込まないための支援体制
人工呼吸器管理・気管切開後の在宅療養は、家族の負担が大きくなりがちです。訪問看護の利用頻度を増やす・短期入所(レスパイト入院)を定期的に活用するなど、家族が休める体制を作ることが長期的な在宅療養の継続につながります。医療的ケアが必要な在宅支援を進めるための基本も参考になります。
在宅療養が難しくなった場合の選択肢
状態の急変・家族の介護力の限界・感染症の重症化などにより、在宅継続が難しくなる場面があることも事実です。そのときには入院・施設転居・レスパイト入院など複数の選択肢を検討できます。訪問診療医・ケアマネジャーと事前に「もし在宅が続けられなくなったら」の話し合いをしておくと、いざというときに焦らずに対応できます。
退院後すぐに在宅医療が必要になる理由|退院支援でよくある流れ
退院日が急に決まり、療養先を早く決める必要がある
病院から「来週退院できます」と急に告げられ、あわてて療養先を探すというケースは珍しくありません。退院後の在宅療養を支える仕組みとして、訪問診療・訪問看護を退院当日から開始することが可能です。在宅医療の基本的な仕組みと依頼の流れを確認しておくと、退院前の準備がスムーズになります。
病院から「自宅か施設か」と提示されるときの考え方
病院の退院支援担当者(医療ソーシャルワーカー)からは「自宅か施設か」という形で選択肢が示されることがあります。しかし、訪問診療・訪問看護の体制を整えることで、「自宅に帰るが、医療的なサポートも受ける」という選択が現実的になります。施設と在宅の比較については在宅で受けられる医療処置|選択肢を比べるためのまとめも参考にしてください。
退院前カンファレンスに在宅医が加わるメリット
退院前カンファレンスとは、病院の医師・看護師・MSW(医療ソーシャルワーカー)・ケアマネジャー・在宅医などが一堂に会して、退院後の支援方針を確認する会議です。在宅医が参加することで、現在の医療的状態・必要な処置・緊急時の対応方針が在宅チームにスムーズに引き継がれます。
地域包括ケア病棟の入院期間と準備のタイミング
地域包括ケア病棟は、急性期治療後の患者が在宅復帰に向けてリハビリ・療養を行う病棟です。入院期間の上限は原則60日とされており(厚生労働省の診療報酬上の規定による)、逆算して在宅の準備を進める必要があります。「まだ期間がある」と思っているうちに退院日が近づくケースも多いため、入院中から早めに相談を始めることが大切です。
かかりつけ医との併診・引き継ぎは可能
「訪問診療を始めると、今のかかりつけ医との関係が切れてしまうのでは」と心配される方もいますが、一定期間の併診や、かかりつけ医からの引き継ぎという形での移行が可能な場合があります。状況に応じて主治医・在宅医それぞれに確認してみてください。
自宅で医療処置を受けるために必要な体制
訪問診療でできること
訪問診療では、定期的な診察・処方・処置方針の決定のほか、急変時の往診・看取りまで対応します。訪問診療・在宅医療を知る|相談・依頼するためのまとめでは、依頼の具体的な流れも解説しています。
訪問看護でできること
訪問看護師が担う処置の範囲は広く、胃ろう管理・褥瘡処置・CVカテーテルの消毒・吸引・インスリン投与の確認・服薬管理の補助など多岐にわたります。頻度は状態に応じて週1〜7回程度が目安ですが、医師の指示書が必要です。
薬局・ケアマネジャー・病院との連携
在宅医療は医師・看護師だけでなく、訪問薬剤師・ケアマネジャー(介護支援専門員)・連携病院が一つのチームとして機能します。ケアマネジャーはサービス全体の調整役であり、訪問診療の導入を相談する際も力になってもらえます。在宅で受けられる医療処置|困りごとに対処するためのまとめでは、各専門職への相談のコツも整理しています。
家族が準備しておく情報と物品
訪問診療を依頼する際に用意しておくと役立つ情報・書類は以下のとおりです。
- お薬手帳または薬剤情報提供書
- 医療保険証・各種受給者証
- 介護保険証・介護保険負担割合証
- 診療情報提供書(紹介状)・退院時サマリー(お持ちの場合)
- 自宅の間取り・生活状況のメモ(訪問経路・ベッドの位置など)
緊急時の連絡先をどう決めるか
在宅療養では「何かあったときにどこに電話するか」を事前に決めておくことが重要です。訪問診療クリニックの24時間連絡先・訪問看護ステーションの緊急連絡先・救急に連絡する状況の目安を、紙に書いて目の見える場所に貼っておくと安心です。
在宅で受けられる医療処置の限界|入院や転院が必要になることもある
急な悪化、重い感染、呼吸状態の変化
在宅で管理していても、急な体調変化・重篤な感染症(敗血症・誤嚥性肺炎)・呼吸状態の急激な悪化などが起きた場合は、入院治療が必要になることがあります。訪問診療医や訪問看護師は夜間・休日の往診にも対応していますが、入院が必要と判断した場合は救急搬送・連携病院への紹介を行います。
自宅の環境や介護体制が整わない場合
在宅療養を安全に続けるには、医療的な条件だけでなく、住環境(ベッド・段差・トイレ)や介護にかかわる家族・ヘルパーの体制が整っていることが前提です。環境整備が難しい場合は、施設入居を視野に入れることも一つの選択です。
家族の負担が大きいときの見直し
在宅療養が長期化すると、介護を担う家族の疲弊が生じます。「もう限界かもしれない」と感じたときに見直しを検討することは、決して後ろめたいことではありません。家族の負担軽減のための選択を「失敗」と受け取らないでほしいと思います。
施設入居を含めて選択肢を考える視点
在宅での看取り・終末期ケアの流れと備えでは、自宅療養・施設・入院それぞれの選択肢を、ご本人の意思を中心に整理する方法も解説しています。大切なのは「どれが正解か」ではなく、ご本人と家族にとって納得のできる選択をすることです。
当院の在宅診療の現場から
AIプラスクリニックたまプラーザでは、病院の地域連携室・医療ソーシャルワーカーからのご紹介を受け、退院前カンファレンスに参加したうえで在宅への引き継ぎを行っています。退院当日からの訪問診療開始にも対応しており、退院直後の不安定な時期の急変に対しても夜間・休日対応が可能な24時間連絡体制を敷いています。
院長は消化器内視鏡・腹部エコーの経験を活かし、在宅での栄養管理・嚥下評価・胃ろう管理・在宅酸素療法にも積極的に対応しています。地域の訪問看護ステーション・居宅介護支援事業所との連携を基本としており、一人で管理するのではなくチームで支える体制を整えています。
対応エリアはたまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心とした地域で、隣接する都筑区・川崎市宮前区についてもご相談に応じます。
受診・相談の目安
以下のような状況があれば、在宅医療を検討するタイミングです。早めの情報収集が、その後の選択肢を広げます。
- 通院の負担が大きくなってきた:週1回以上の通院が体力的・家族の付き添いの面から難しくなっている
- 退院後の療養先が決まっていない:退院日が近いが、自宅に帰るための医療的サポートが整っていない
- 医療処置の管理に不安がある:胃ろう・在宅酸素・カテーテル・褥瘡の自宅管理のやり方がわからない
- 家族の介護負担が限界に近い:介護しながら仕事・育児との両立が難しくなっている
- 「まだ早いかも」と迷っている段階:状態が悪化してからでは選択肢が狭まることがあります。迷っている段階でのご相談が、余裕ある判断につながります
「うちの親は訪問診療の対象になるのか」——その判断から一緒に整理します。ご本人が来院できない場合のご家族だけのご相談も承っています。まずはご予約・お問い合わせからお気軽にご連絡ください。
よくある質問
Q. 在宅医療はどこまでの処置に対応できますか?
胃ろう管理・在宅酸素療法・褥瘡処置・CVカテーテル管理・人工呼吸器管理・気管切開後のケア・疼痛緩和のための医療用麻薬投与・インスリン管理など、幅広い処置に対応できます。ただし、どの処置まで在宅で行えるかは、ご本人の状態・自宅の環境・家族の介護力・訪問看護の体制によって異なります。具体的な内容は担当医師とご相談ください。
Q. 家族が医療処置を覚えられるか不安です
胃ろうへの注入・血糖測定・吸引器の操作など、家族が行う処置は訪問看護師が丁寧に指導します。最初から完璧にできる方はほとんどいません。「できることを少しずつ増やす」「難しい処置は看護師が担当する」という役割分担で進めることが多いため、最初から一人で抱え込む必要はありません。
Q. かかりつけ医がいても訪問診療を利用できますか?
可能な場合が多くあります。現在のかかりつけ医との併診・情報共有のうえで訪問診療を開始するケースや、かかりつけ医から訪問診療医への引き継ぎという形をとるケースがあります。状況に応じて、在宅医・かかりつけ医の双方に相談してみてください。
Q. 退院前から相談すると早すぎませんか?
早すぎることはありません。退院前に在宅医療の体制を整えておくことで、退院当日からスムーズに在宅療養を始めることができます。地域包括ケア病棟の入院期間には上限があるため、入院中から並行して準備を進めることをお勧めします。
Q. 費用はどのくらいかかりますか?
訪問診療の費用は、医療保険の自己負担割合(1〜3割)と、介護保険サービスの利用料が組み合わさって発生します。また、処置の種類・訪問回数・使用する物品によっても変わります。制度は改定されることがあるため、詳細は担当の在宅医・ケアマネジャー・保険者の窓口にご確認ください。費用の概要については在宅で受けられる医療処置|費用と手続きを確認するためのまとめも参考にしてください。
Q. 施設入居と在宅医療はどう比較すればよいですか?
どちらが正解ということはなく、ご本人の医療的ニーズ・生活の希望・家族の状況・費用などを総合的に考える必要があります。施設でも訪問診療を受けられる場合があります。退院後の療養先の選び方のガイドが参考になります。
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参考文献・出典
- 厚生労働省「在宅医療の推進」
- 厚生労働省「介護保険制度について」
- 厚生労働省「人生会議(アドバンス・ケア・プランニング:ACP)」
- 厚生労働省「認知症施策」
- 日本在宅医療連合学会
- 日本老年医学会
- 横浜市「介護・高齢者福祉」
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門領域:消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴:1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター(外科医長・救命救急センター副部長)、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
ご家族の通院が難しくなってきた、退院後の療養先に迷っている、自宅でどこまで医療が受けられるか知りたい——そうしたご相談を、たまプラーザで承っています。
対応エリアはたまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心とした地域です。隣接する都筑区・川崎市宮前区についてもご相談ください。ご本人が来院できない場合のご家族だけのご相談も承っています。
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ご相談の際は、以下をお持ちいただくとスムーズです。
- お薬手帳または薬剤情報提供書
- 医療保険証・各種受給者証
- 介護保険証・介護保険負担割合証
- 診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリー(お持ちであれば)
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。