大腸がんとは|症状・検査・治療・生活までを医師監修で解説する総合ガイド
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大腸がんは、日本人が最もかかりやすいがんのひとつです。国立がん研究センターがん情報サービスの統計(2019年データ)によると、大腸がんの罹患数は男女合計で年間約15万人を超えており、部位別罹患数で第1位となっています。一方で、早期に発見・治療できれば根治が十分に見込めるがんでもあります。
このページでは、「症状が気になる方」「検診で要精密検査と言われた方」「診断後の治療を検討している方」「ご家族のサポートを考えている方」など、さまざまな立場の方に向けて、大腸がんに関する知識を体系的にまとめています。診断・治療の最終判断は必ず主治医・専門医にご相談ください。
大腸がんとは?まず知っておきたい基礎知識
詳細は大腸がんの基礎知識・全体像|押さえておきたい要点を医師監修で解説もあわせてご参照ください。
大腸の役割と、がんが起こりやすい部位
大腸は長さ約1.5〜2mの消化管で、小腸から続く「盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸」から構成されます。水分や電解質を吸収し、便を形成・貯留して排出するという重要な役割を担っています。
がんが発生しやすい部位は、S状結腸と直腸で全体の約60〜70%を占めます。続いて上行結腸にも多く見られます。部位によって症状や手術方法が異なるため、どこにがんが生じているかを把握することは治療方針を考えるうえで重要です。
結腸がん・直腸がん・上行結腸がん・S状結腸がんの違い
| 部位 | 特徴 |
|---|---|
| 上行結腸がん(上行結腸癌) | 右側の結腸。便が液状のため出血が目立ちにくく、貧血や体重減少で気づくことが多い |
| S状結腸がん(S字結腸癌・S状結腸癌) | 左下腹部。便が固形化しており、血便・便通変化・腹痛が現れやすい |
| 直腸がん | 肛門に近く、鮮血の血便・排便後の残便感が出やすい。括約筋温存の可否が手術の重要課題となる |
詳しくは大腸がんとは何か?原因・症状・検査の基本を整理をご覧ください。
上皮内癌とは?進行がんとの違い
上皮内癌(じょうひないがん)とは、がん細胞が粘膜の上皮層にとどまり、粘膜筋板を超えていない状態を指します(深達度Tis)。リンパ節転移のリスクがほぼなく、内視鏡治療で完結できることがほとんどです。一方、粘膜下層以深に浸潤した進行がんは転移リスクが高まり、手術や薬物療法が必要になることがあります。大腸における上皮内癌は、早期発見の代名詞ともいえる段階です。
2型大腸癌とは?病理・分類の基本
大腸がんは肉眼的形態によって「0型(表在型)〜5型」に分類されます。2型大腸癌は「潰瘍限局型」と呼ばれ、潰瘍を形成しつつ周囲の腸壁に比較的明瞭な境界をもつ腫瘍です。最も頻度が高い肉眼型のひとつで、内視鏡や手術検体で確認されます。この分類は病理診断や治療計画に活用されますが、患者さんが日常的に意識する必要はなく、担当医からの説明で確認する情報です。
大腸がんの症状と初期サイン
大腸がんの症状・初期サイン|押さえておきたい要点を医師監修で解説で、より詳しく解説しています。
便通の変化、血便、腹痛、体重減少などの主な症状
大腸がんの代表的な症状は次のとおりです。ただし、初期は無症状のことも多く、症状だけで判断するのは困難です。
- 血便・下血: 赤い血が便に混じる、または便が黒っぽくなる
- 便通の変化: 下痢と便秘を繰り返す、排便のリズムが変わった
- 腹痛・腹部不快感: とくに左下腹部の痛みや張り
- 体重減少・食欲低下: 明らかな原因なく数か月で数kg減少した場合
大腸がんの症状と初期サインを見分けるポイントも参考にしてください。
便が細い、残便感、貧血、疲れやすさ
腸管が腫瘍によって狭くなると、便が細くなったり、排便後も残便感が続いたりします。上行結腸がんでは便が固形化する前に通過するため血便が目立ちにくく、慢性的な出血による鉄欠乏性貧血(顔色の悪さ・疲れやすさ・動悸)が最初のサインになることがあります。
おならが増える・臭いが強いときに考えること
腫瘍によって腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)のバランスが乱れると、おならが増えたり、硫黄のような臭いが強くなることがあります。ただし、おならの臭いや量は食事内容や便秘でも変化するため、これだけで大腸がんと判断することはできません。持続的に気になる場合は、他の症状と合わせて消化器科を受診することをおすすめします。
S状結腸がん・S字結腸癌でみられやすい症状
S状結腸がん(S字結腸癌・S状結腸癌)は便が固形になった部位に発生するため、便秘・下痢の繰り返し、血便、左下腹部痛、腸閉塞様の腹部膨満が現れやすいのが特徴です。腸管の狭窄が進むと急性腸閉塞に至る場合があり、早期受診が重要です。
大腸がんの検査・診断
大腸がんの検査・診断|押さえておきたい要点を医師監修で解説もあわせてご覧ください。
便潜血検査と大腸内視鏡検査の違い
| 検査 | 特徴 | 限界 |
|---|---|---|
| 便潜血検査(2日法) | 自宅採取、侵襲なし、検診の基本 | 出血しない病変や小さなポリープは検出困難 |
| 大腸内視鏡検査 | 直接観察・生検・ポリープ切除が可能 | 前処置(下剤)が必要、穿孔リスクが極低確率で存在 |
便潜血検査は簡便ですが、陰性でもがんを完全に否定できるわけではありません。症状がある場合や高リスク者は、内視鏡検査を積極的に検討することが重要です。
生検でわかることと、診断確定までの流れ
内視鏡で疑わしい病変を発見した場合、生検(組織を採取して顕微鏡で調べる検査)を行い、がん細胞の有無・組織型・分化度を確認します。診断確定後は、CT・MRI・超音波検査でがんの広がりやリンパ節・他臓器への転移を調べ、ステージを決定します。
CT・MRI・超音波・血液検査の役割
- CT: 遠隔転移(肝臓・肺・リンパ節など)の評価に必須
- MRI: 直腸がんの局所進展(括約筋・骨盤臓器への浸潤)の評価に優れる
- 超音波(エコー): 肝転移のスクリーニング、経過観察に活用
- 腫瘍マーカー(CEA・CA19-9): 術後再発モニタリングに使用。診断単独での感度は高くない
詳しい検査の流れは大腸がん検査の方法と流れをわかりやすく解説をご参照ください。
検査を受ける前に知っておきたい注意点
大腸内視鏡検査前日〜当日にかけて食事制限と下剤服用が必要です。抗血栓薬(血液をサラサラにする薬)を服用中の方は、事前に主治医への相談が必要です。鎮静剤を使用する場合は当日の車の運転ができないことも覚えておきましょう。
大腸がんの検診・予防・リスク
大腸がんの検診・予防・リスク|押さえておきたい要点を医師監修で解説で詳しく解説しています。
検診で見つける意義と、受けるタイミング
厚生労働省の指針では、40歳以上を対象に年1回の便潜血検査(2日法)が推奨されています。検診で早期発見できれば、内視鏡治療のみで完結できる可能性が高く、生存率にも大きく影響します。
食事・運動・飲酒・喫煙などの生活習慣とリスク
国立がん研究センターの研究(多目的コホート研究)によると、赤肉・加工肉の過剰摂取、運動不足、飲酒、喫煙、肥満が大腸がんのリスクを高める要因として示されています。食物繊維の摂取や適度な運動はリスク低減に関連するとされていますが、「これをすれば必ず予防できる」という断定はできません。
家族歴や炎症性腸疾患など、注意したい背景
- 家族性大腸腺腫症(FAP): APC遺伝子変異により多数のポリープが生じ、放置するとほぼ100%大腸がんに進展
- リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌): ミスマッチ修復遺伝子の変異による遺伝性大腸がん
- 潰瘍性大腸炎・クローン病: 長期の慢性炎症ががんリスクを高める
これらの背景がある方は、通常より若い年齢から、短い間隔でのサーベイランスが推奨されます。詳しくは大腸がんの原因と予防のために知りたいポイントをご覧ください。
公的データからみる大腸がんの現状
国立がん研究センターがん統計(2019年)によると、大腸がんの罹患数は男性で第3位、女性で第1位です。死亡者数も男女とも上位に位置しており、日本社会における重要な公衆衛生上の課題となっています。
大腸がんのステージ・分類・進行度
大腸がんのステージ・分類・進行度|押さえておきたい要点を医師監修で解説で詳しく解説しています。
ステージ0〜IVの考え方
| ステージ | 概要 |
|---|---|
| ステージ0 | 上皮内癌(粘膜内にとどまる) |
| ステージI | 粘膜下層〜固有筋層への浸潤。リンパ節転移なし |
| ステージII | 固有筋層を超える浸潤。リンパ節転移なし |
| ステージIII | リンパ節転移あり。遠隔転移なし |
| ステージIV | 肝臓・肺・腹膜などへの遠隔転移あり |
深達度、リンパ節転移、遠隔転移の見方
深達度(T因子)はがんが腸壁のどの層まで達しているかを示します。リンパ節転移(N因子)と遠隔転移(M因子)を組み合わせてステージが決まります。これらはCT・MRI・手術検体の病理検査で確認されます。
S状結腸癌・S状結腸がんのステージで押さえる点
S状結腸癌は比較的腸管が細く、早期から閉塞症状が現れることがあります。そのため発見時点でステージが進んでいるケースも見られます。S状結腸癌のステージ別治療については、大腸がんのステージ・分類・進行度|押さえておきたい要点も参照ください。
進行度の判断が治療選択にどう関わるか
ステージIIIまでは手術による根治を目指す治療が基本となります。ステージIVでも転移巣の切除が可能な場合は根治的手術が検討されることがあります。ステージと全身状態・患者さんの希望を総合して治療方針が決まります。詳細は大腸がんステージ3の状態と治療の考え方もご参照ください。
大腸がんの治療の選択
大腸がんの治療の選択|押さえておきたい要点を医師監修で解説もあわせてご覧ください。
手術・薬物療法・放射線療法の位置づけ
大腸がんの治療の柱は手術(内視鏡治療を含む)、薬物療法(化学療法・分子標的薬・免疫療法)、放射線療法の3つです。直腸がんでは術前・術後の放射線化学療法が局所制御に用いられることがあります。
早期がんと進行がんで治療がどう変わるか
- 早期がん(ステージ0〜I): 内視鏡的切除または腹腔鏡手術
- 進行がん(ステージII〜III): 手術+術後補助化学療法を検討
- 転移がん(ステージIV): 切除可能なら手術+薬物療法、切除不能なら薬物療法が中心
年齢、体力、合併症を踏まえた治療方針
高齢者や基礎疾患がある患者さんでは、治療の効果と身体的負担を慎重に天秤にかける必要があります。手術の侵襲を最小化する腹腔鏡手術や、抗がん剤の減量・変更が検討されることもあります。
自由診療や免疫療法を考える前に確認したいこと
保険適用外の治療(自由診療・免疫細胞療法など)については、現時点での科学的根拠(エビデンス)のレベルを確認し、標準治療との並行実施の安全性について主治医に相談することが不可欠です。有効性が保証されているものではなく、高額な費用がかかる場合もあります。標準治療を優先したうえで、十分な情報をもとに判断してください。
大腸がんの手術
大腸がんの手術|押さえておきたい要点を医師監修で解説で詳しく解説しています。
内視鏡治療、腹腔鏡手術、開腹手術の違い
| 術式 | 適応 | 特徴 |
|---|---|---|
| 内視鏡的切除(EMR・ESD) | 早期がん(主にT1以浅) | 入院期間が短い。腸を切除しない |
| 腹腔鏡手術 | 多くの結腸がん・一部の直腸がん | 傷が小さく、回復が早い傾向 |
| 開腹手術 | 進行がん・他臓器合併切除が必要な場合 | 視野が広く複雑な手術に対応可能 |
詳しくは大腸がん手術の方法と術後に知りたいことをご覧ください。
上行結腸癌・上行結腸がんの手術で知っておきたい点
上行結腸がんの手術では右半結腸切除術が基本となります。盲腸・上行結腸・横行結腸右半部とそれに伴うリンパ節を切除し、小腸と残存結腸をつなぎます。腹腔鏡手術が広く普及しており、右側の手術は比較的解剖が明瞭で安全性が高いとされています。
ストーマが必要になる場合と、生活への影響
直腸がんや緊急手術の場合、腸の一部をお腹の表面に出すストーマ(人工肛門)が必要になることがあります。永久ストーマと一時的なストーマがあり、専門の看護師(皮膚・排泄ケア認定看護師)によるサポートを受けながら生活上の管理方法を習得します。
手術前後の準備と回復の流れ
術前は腸管前処置(下剤・食事制限)、術後は排ガス・排便の確認後に食事を再開します。腹腔鏡手術では術後3〜7日程度で退院できるケースが多いですが、個人差があります。
大腸がんの薬物療法・抗がん剤
大腸がんの薬物療法・抗がん剤|押さえておきたい要点を医師監修で解説もあわせてご覧ください。
術後補助化学療法と進行再発がんの治療
ステージIIIでは術後補助化学療法(FOLFOX・CAPOX等のオキサリプラチン含有レジメン)が推奨されます。進行再発がんでは、ベバシズマブ・セツキシマブ等の分子標的薬を組み合わせた治療が行われます。大腸癌の化学療法とは?治療の役割と流れもご参照ください。
分子標的薬、免疫療法の位置づけと限界
RAS・BRAF遺伝子変異の有無によって使える分子標的薬が異なります。また、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)を有する大腸がんには、免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ等)が有効とされており、保険適用が認められています。ただし、すべての大腸がんに免疫療法が有効なわけではなく、遺伝子検査による適応確認が必要です。
副作用の種類と、日常生活で気をつけること
主な副作用には、吐き気・末梢神経障害(手足のしびれ)・骨髄抑制・脱毛(レジメンによる)・下痢などがあります。詳細は大腸がんの抗がん剤治療と副作用への備えをご覧ください。
治療中の通院頻度と仕事・家事との両立
FOLFOX療法では2週ごとに外来または短期入院で点滴を行います。内服のカペシタビン単剤なら自宅での服薬が中心となります。仕事との両立については、治療スケジュールを職場に相談し、産業医や社会労務士への相談も選択肢です。
大腸がんの副作用・合併症ケア
大腸がんの副作用・合併症ケア|押さえておきたい要点を医師監修で解説で詳しく解説しています。
吐き気、下痢、便秘、口内炎、しびれへの対処
- 吐き気: 制吐剤(5-HT3拮抗薬等)を予防的に使用
- 下痢・便秘: 整腸剤・食事内容の調整。大腸がんの下痢はなぜ起こる?便秘との関係と受診の目安も参考に
- 口内炎: 口腔ケアの徹底、刺激物を避ける
- しびれ(末梢神経障害): オキサリプラチンによるものは冷たいものへの過敏反応から始まることが多い
感染、脱水、食欲低下などの注意点
骨髄抑制により感染リスクが高まります。38℃以上の発熱があれば速やかに受診が必要です。食欲低下・下痢が続く場合は脱水に注意し、こまめな水分補給と医療機関への相談を心がけてください。
手術後の腸閉塞、感染、排便障害
術後は癒着による腸閉塞(イレウス)のリスクがあります。急激な腹痛・嘔吐・排ガス・排便の停止がある場合は速やかに受診してください。排便障害は術後しばらく続くことがありますが、多くは時間とともに改善します。
早めに医療機関へ相談すべき症状
38℃以上の発熱、強い腹痛、血便の増加、高度の下痢(1日7〜8回以上)、呼吸困難、顔や手足の著明なむくみが生じた場合は、自己判断せず速やかに担当医や救急に相談してください。
大腸がんの再発・転移
大腸がんの再発・転移|押さえておきたい要点を医師監修で解説もご覧ください。
再発しやすい時期と、経過観察の意味
大腸がんの再発は術後2〜3年以内が最も多く、5年が経過観察の目安とされています。定期的な腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)の測定と画像検査(CT・超音波)による経過観察を続けることが、再発の早期発見につながります。
肝転移・肺転移・腹膜転移の基本
大腸がんの遠隔転移では肝転移が最も多く、次いで肺転移、腹膜転移が見られます。詳しいリンパ節転移の広がり方については大腸癌のリンパ節転移とは?広がり方と確認のポイントをご参照ください。
検査で再発を早めに見つける考え方
無症状の段階で再発を発見するほど治療選択肢が広がります。担当医が指示する経過観察スケジュールを守ることが大切です。
再発・転移があっても治療選択肢はあるのか
再発・転移があっても、切除可能な肝転移・肺転移であれば手術が検討されます。切除不能の場合も薬物療法により病状のコントロールや生存期間の延長を目指せる場合があります。「治療の手段がなくなった」と自己判断せず、まず主治医・専門医に相談することが重要です。
大腸がんの生存率・予後・余命
大腸がんの生存率・予後・余命|押さえておきたい要点を医師監修で解説で詳しく解説しています。
生存率は統計であり、個人差が大きいこと
生存率はあくまで集団の統計値です。同じステージでも、個々の患者さんの状況(年齢・体力・腫瘍の性質・治療への反応など)によって経過は大きく異なります。 統計の数字だけで個人の予後を判断することはできません。
ステージ別の見方と、数字の読み解き方
国立がん研究センターがん情報サービス(2009〜2011年診断例のデータ)によると、大腸がんの5年相対生存率はステージIで約90〜95%、ステージIIで約80〜85%、ステージIIIで約70〜75%、ステージIVで約20〜25%前後とされています(※数値はデータ年次・部位により異なります。最新値はがん情報サービスでご確認ください)。
詳しくは大腸がんの生存率とは?5年生存率と見方のポイントをご参照ください。
予後に影響する主な要因
ステージ・リンパ節転移数・腫瘍の組織型・遺伝子変異・治療への反応・全身状態などが予後に影響します。
主治医に確認したい予後のポイント
「自分のがんはどのような性質か」「治療にどう反応しているか」「次のステップは何か」を主治医に率直に質問することをおすすめします。必要に応じてセカンドオピニオンも活用しましょう。
大腸がんと緩和ケア・生活の工夫
痛み、倦怠感、食欲低下への支援
緩和ケアは終末期だけのものではなく、診断直後から並行して行われるものです。痛みには医療用麻薬を含む適切な鎮痛薬が使用され、倦怠感・食欲低下にも支持療法が充実しています。
治療中・治療後の食事の考え方
特定の食品が大腸がんを「治す」という科学的根拠はありません。バランスの良い食事・十分なたんぱく質・水分摂取が基本です。消化器症状がある場合は管理栄養士への相談が有効です。
仕事、運動、入浴、旅行の注意点
治療内容と体調によって異なりますが、適度な運動は体力維持・精神的健康に寄与するとされています。旅行や日常活動の可否は主治医に相談のうえ判断してください。
再発予防に向けた生活習慣の整え方
術後・治療後の再発予防に「これをすれば必ず再発を防げる」という方法はありませんが、禁煙・節酒・適度な運動・バランスの良い食事は全般的な健康維持に寄与します。
大腸がんの費用・制度・仕事との両立
治療費の考え方と、保険診療の基本
手術・抗がん剤・放射線療法はいずれも保険診療の対象です。入院・手術費用は術式や入院期間によって異なりますが、高額療養費制度の活用で自己負担を大幅に軽減できます。
高額療養費制度など、利用を検討したい公的制度
高額療養費制度では、月ごとの医療費自己負担に上限が設けられています(所得により異なる)。限度額適用認定証を事前に取得しておくと、窓口での支払いを上限額以内に抑えられます。詳細は加入する健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)に確認してください。
休職・就労継続・傷病手当金の確認ポイント
健康保険の被保険者が療養のため仕事を休んだ場合、傷病手当金(標準報酬日額の3分の2、最長1年6か月)を受給できる場合があります。職場の人事・総務、または社会保険労務士に相談することをおすすめします。
介護や家計の不安を抱えたときの相談先
- がん相談支援センター(全国のがん診療連携拠点病院に設置)
- 社会福祉士・医療ソーシャルワーカー(病院に常勤)
- 厚生労働省「がん対策」ウェブサイト
大腸がんの心理・家族・サポート
大腸がんの心理・家族・サポート|押さえておきたい要点を医師監修で解説もご覧ください。
診断直後に起こりやすい不安や落ち込み
がんと診断された直後は、強い不安・ショック・悲しみ・怒りが生じることは自然な反応です。精神腫瘍科(サイコオンコロジー)や臨床心理士によるサポートを活用してください。
家族ができる支え方と、声かけの工夫
患者さんの気持ちに寄り添い、「なんでも話してほしい」という姿勢を示すことが大切です。過度に励ますより、話を聞くことを優先しましょう。
相談先としてのがん相談支援センター
全国のがん診療連携拠点病院には無料で利用できる「がん相談支援センター」があり、治療・生活・就労・心理などについて専門家に相談できます。
セカンドオピニオンを考えるときのポイント
セカンドオピニオンは患者さんの権利です。「別の先生の意見も聞きたい」と主治医に伝えれば、診療情報提供書や画像データを提供してもらえます。治療開始前でも遠慮なく相談しましょう。また、診断や治療経緯を知る手助けとして大腸がんが見つかるまでの体験談を読む前に知りたいことも参考にしてください。
受診・相談の目安
早めに消化器内科・外科を受診したい症状
次のような症状が2〜4週間以上続く場合は、早めに消化器内科・外科を受診することをおすすめします。
- 血便・黒色便が続く
- 理由のわからない体重減少(3か月で3kg以上)
- 便通の変化(下痢と便秘の繰り返し、便が細くなった)
- 持続する腹痛・腹部膨満
- 貧血の指摘(健診でヘモグロビン低値)
救急受診を考えるべき危険なサイン
- 急激な激しい腹痛
- 大量の血便
- 腹部が著しく張り、排ガス・排便が止まった
- 嘔吐が続き、水分も摂れない状態
これらは腸閉塞・穿孔などの緊急事態の可能性があります。夜間・休日でも救急受診を検討してください。
検診で要精密検査と言われたときの対応
便潜血検査で陽性だった場合は、症状の有無にかかわらず必ず精密検査(大腸内視鏡検査)を受けてください。「症状がないから大丈夫」と自己判断して放置することは危険です。
何科に行けばよいか迷ったときの考え方
血便・便通変化・腹痛があれば「消化器内科」または「消化器外科」が窓口です。かかりつけ医に相談して紹介してもらうことも一つの方法です。ご予約・お問い合わせからもご相談いただけます。
当院での診療から
当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備えており、鎮静下(うとうとした状態)での大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。検査中の不安や痛みを最小限にする体制を整えており、ポリープが見つかった場合は状況に応じてその場での切除(ポリペクトミー・EMR)も行っています。
早期がんや進行がんが疑われる所見が確認された場合は、専門性の高い基幹病院へ速やかに紹介し、地域連携クリティカルパスに基づいて術後のフォローアップを当院が担当する体制を整えています。がんの手術後も患者さんが地域で安心して療養を続けられるよう、定期的な腫瘍マーカー測定・画像評価・症状管理を担います。
また、在宅療養支援診療所として、緩和ケアが必要な段階になった場合も訪問診療・在宅看取りに対応しています。「大腸の症状が気になる」「検診で引っかかった」「治療後の経過観察をどこでやればよいか」など、お気軽にご相談ください。
よくある質問(FAQ)
大腸がんは若くてもかかりますか?
大腸がんは50〜70歳代に多いですが、30〜40歳代でも発症することがあります。特に家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などの遺伝的背景がある方は若年からリスクがあります。症状があれば年齢に関係なく受診することが大切です。
便潜血検査が陰性なら安心してよいですか?
陰性でも大腸がんを完全に否定できるわけではありません。出血していない早期がんやポリープは検出されないことがあります。症状がある方や高リスク者は、陰性であっても医師に相談のうえ大腸内視鏡検査を検討してください。
おならの臭いだけで大腸がんを疑うべきですか?
おならの臭いや量は食事内容・便秘・腸内細菌叢の変化など多くの要因で変動します。おならの臭いだけで大腸がんと判断することはできません。ただし、他の症状(血便・便通変化・腹痛など)を伴う場合は受診を検討してください。
S状結腸がんはどんな症状が出やすいですか?
S状結腸がん(S字結腸癌・S状結腸癌)では、便通の変化(下痢・便秘の繰り返し)・血便・左下腹部の痛みや違和感が比較的出やすいとされています。腸管の狭窄が進むと腹部膨満・排便困難につながることもあります。
上皮内癌なら治療は必要ないですか?
上皮内癌は転移リスクが極めて低いものの、放置すれば進行がんに移行する可能性があります。多くの場合、内視鏡的切除で治療が完結しますが、必ず専門医の診断・判断に従ってください。自己判断で経過観察を続けることはおすすめできません。
免疫療法は大腸がんに有効ですか?
MSI-High(高頻度マイクロサテライト不安定性)を有する大腸がんでは、免疫チェックポイント阻害薬(ペムブロリズマブ等)が保険適用で使用できます。一方、MSI-Highでない大腸がん(全体の多数を占める)への免疫チェックポイント阻害薬の効果は限定的です。保険適用外の免疫細胞療法については、現時点で有効性を保証する科学的根拠はなく、標準治療との並行実施の安全性も確認が必要です。必ず主治医に相談してください。
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参考文献・出典
- 国立がん研究センター がん情報サービス「大腸がん」
- 国立がん研究センター がん統計
- 厚生労働省 がん対策
- 日本癌治療学会 がん診療ガイドライン(大腸癌)
- Minds ガイドラインライブラリ(日本医療機能評価機構)
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門: 消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
たまプラーザで大腸の症状が気になる方、検診で要精密検査と言われた方、治療後の経過観察について相談したい方は、当院へお気軽にお問い合わせください。消化器内視鏡センターを備え、鎮静下での大腸内視鏡検査から術後フォロー、在宅緩和ケアまで対応しています。
TEL: 045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)
初診の際は、保険証・お薬手帳・(お持ちであれば)健診結果や紹介状をご用意いただくとスムーズです。ご予約はWebまたはお電話で承ります。
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。