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施設入居か在宅か|褥瘡リスクで考える介護環境の選び方

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施設入居か在宅か|褥瘡リスクで考える介護環境の選び方

この記事を読んでわかること(3行まとめ)
1.褥瘡リスクが高い方の介護環境(施設・在宅)には、それぞれ固有の強みと限界がある。
2.どちらの環境を選んでも、体制を整えれば褥瘡ケアの質を一定水準に保つことができる。
3.「通えない」「処置に自信がない」という場合でも、訪問診療という選択肢がある。

施設か在宅か、どちらが「褥瘡に強い」のか

「施設に入れた方が床ずれ(褥瘡)を予防できるのか」「自宅で介護を続けていいのか」——この問いに、一言で答えられる正解はありません。大切なのは、どちらの環境でも褥瘡ケアに必要な体制が整っているかどうかです。

褥瘡の基礎知識(原因・進行の段階・治療の全体像)については、褥瘡(床ずれ)とは|原因・ステージ・治療・予防・在宅ケアまで医師が解説する総合ガイドでくわしく説明しています。まだ読んでいない方は、あわせてご参照ください。

介護環境の選択に迷っている方は、まず在宅・介護施設での褥瘡ケア完全ガイドで全体像を整理してから、本記事で施設・在宅の比較をご確認ください。

褥瘡リスクが高くなる方の特徴

介護環境を選ぶ前に、ご本人の状態がどの程度の褥瘡リスクを持っているかを把握しておくことが重要です。

リスク因子 具体的な状態
動けない・動きにくい 寝たきり、車いすのみでの生活、自力での寝返りが難しい
皮膚の弱さ 高齢による皮膚の薄さ・乾燥、むくみ(浮腫)
栄養・体重の問題 食事量の低下、低タンパク、体重減少、肥満
感覚の問題 痛みや圧迫を感じにくい(神経障害・意識障害など)
排泄の問題 尿や便による皮膚のただれ(IAD=失禁関連皮膚炎)
基礎疾患 糖尿病・心不全・脳卒中後遺症・パーキンソン病など

日本褥瘡学会(https://www.jspu.org/)は、リスクアセスメントのためのツールとしてブレーデンスケールなどの活用を推奨しています。ケアマネジャーや訪問看護師に依頼すると、専門的な評価を受けることができます。

施設介護のメリット・デメリット

メリット

  • 24時間の見守り体制:夜間の体位変換(横向きにするなど姿勢を変える動作)が行いやすい。
  • 専門職との連携:施設内に看護師が常勤・オンコールで配置されている場合、観察の頻度が高い。
  • 体圧分散用具(専用マットレスなど)の導入:多床室でも設備が整っていることが多い。
  • 家族の介護負担の軽減:ご家族が休息を取りながら面会に集中できる。

デメリット

  • 施設ごとのケアの質のばらつき:看護師数・褥瘡対策チームの有無・外部医療機関との連携体制は施設によって大きく異なる。
  • 入居前の確認が欠かせない:施設選びで褥瘡への対応力を確認しないまま入居すると、発生後のトラブルになることがある。
  • 家族が関与しにくい:面会制限がある場合、皮膚の変化を家族が早期に気づけないことがある。

施設入居を検討する際の具体的な確認ポイントや、入居後に褥瘡が発生した場合の対処については、老人ホームの床ずれ対応|入居前の確認と発生時の対処法をご覧ください。

在宅介護のメリット・デメリット

メリット

  • 家族の目が届く:皮膚の変化に気づきやすく、小さな赤みの段階から対応できる。
  • 本人のペースで生活できる:慣れた環境・食事・リズムが保たれ、全身状態の安定につながることがある。
  • 訪問看護・訪問診療との連携:医師・看護師が自宅に来て褥瘡を評価・処置できる体制を整えられる。
  • 介護保険で福祉用具を借りられる:体圧分散マットレスや特殊寝台(介護ベッド)は介護保険の福祉用具貸与を利用できる(厚生労働省 介護保険制度:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/)。

デメリット

  • 家族の負担が大きい:夜間の体位変換・清拭・おむつ交換が必要な場合、介護者の疲労が蓄積しやすい。
  • 医療処置の範囲の制限:介護士が行える褥瘡処置には範囲がある。薬の塗布や傷の処置は原則として医師・看護師が行う(詳しくは介護士が行える褥瘡処置の範囲|医療行為との境界を解説をご参照ください)。
  • 緊急対応の遅れ:深夜に傷が悪化しても、すぐに医師に診てもらえないことがある。

施設・在宅の比較早見表

比較ポイント 施設介護 在宅介護
夜間の体位変換 スタッフが対応(施設による) 家族が主体・訪問看護で補助
皮膚観察の頻度 勤務交代ごと(施設による) 家族が常時+訪問看護定期訪問
処置できる専門職 施設内看護師(医師は嘱託) 訪問看護師+訪問診療医
体圧分散用具 施設が用意(レベルは様々) 介護保険の福祉用具貸与で利用可
家族の身体的負担 比較的少ない 大きい(支援体制で軽減可)
家族が変化に気づく機会 面会時のみ 日常的に気づける
費用 月額利用料(施設種別で異なる) 介護保険+訪問診療費など

「在宅でも医師に診てもらえる」という選択肢

在宅介護を選んだ場合や、施設から在宅に戻した場合に「褥瘡を医師に診てもらえない」と思っている方が少なくありません。しかし、訪問診療を利用すれば、医師が自宅に来て傷の状態を評価し、外用薬・ドレッシング材(傷を保護する医療用被覆材)の選択や処置の指示を行うことができます。

訪問診療・在宅医療とは|対象・費用・依頼の流れを医師が解説する完全ガイドでは、訪問診療でできることや依頼の方法をくわしく説明しています。また、自宅でできる医療処置のすべて|胃ろう・在宅酸素・褥瘡ケアと管理の実際では、在宅での褥瘡処置の実際についても解説しています。

通院が難しい状況でご家族が一人で抱え込んでいる場合、介護と病院付き添いの負担が重いとき、在宅医療を考えるの記事も、選択肢を整理するうえで参考になります。

在宅での家族ケアの基本とポイント

在宅で褥瘡ケアを支える場合、ご家族にできることと、専門職に依頼すべきことを分けて整理することが重要です。

家族が日常的にできること

1.皮膚の観察(骨が出っ張っている部分の赤みを毎日確認する)
2.2時間を目安にした体位変換(横向き・仰向けを交互に変える)
3.清潔の保持(シャワー・清拭・おむつ交換の徹底)
4.水分・栄養の確認(食事量・体重の変化を記録する)
5.褥瘡の写真記録(訪問看護師・医師への報告に活用)

家族が具体的にできるケアの詳細は、高齢者・寝たきりの褥瘡ケア|在宅介護で家族ができることをご覧ください。

専門職に依頼すること

  • 褥瘡の深さ・大きさ・滲出液(傷からしみ出る液体)の評価
  • 医師の指示に基づく外用薬・ドレッシング材の選択と処置
  • 体圧分散マットレスの種類・エア圧の調整
  • ケアマネジャーへの訪問回数・サービス内容の相談

環境選択のチェックリスト

施設・在宅どちらを選ぶかの検討に使えるチェックリストです。

施設入居を検討するとき

☐ご本人が完全に寝たきりで、家族だけでの夜間ケアが限界に近い
☐医療処置(点滴・傷処置など)が頻繁に必要な状態になっている
☐介護者の健康状態が悪化しつつある
☐施設の褥瘡対策チーム・看護体制を事前に確認できた

在宅継続を検討するとき

☐訪問看護・訪問診療の利用体制を整えられる
☐介護保険でマットレス等の福祉用具を借りられる
☐家族の介護負担をデイサービス・ショートステイで分散できる
☐ご本人が自宅療養を強く希望している

どちらか一方に固執せず、状態が変わったら見直す柔軟さが大切です。施設でも在宅でも、定期的に状態を評価し直す仕組みを作ることが、褥瘡悪化を防ぐ鍵になります。

当院の在宅褥瘡診療の現場から

AIプラスクリニックたまプラーザは在宅療養支援診療所として、訪問診療による褥瘡ケアに取り組んでいます。診察では日本褥瘡学会が推奨するDESIGN-R®2020(傷の深さ・滲出液の量・皮膚の状態などを点数で評価する指標)を用いて傷の状態を客観的に評価し、外用薬やドレッシング材の選択、体圧分散用具の見直しまでをご自宅で行います。

訪問看護ステーション・ケアマネジャー・福祉用具専門相談員と連携しながら、ご本人とご家族の状況に合わせた在宅治療計画を一緒に立てていきます。悪化している場合や外科的な処置が必要と判断した場合は、連携病院への紹介も行います。

監修医の佐藤靖郎医師は、消化器外科医として長年にわたり術後の傷・難治性の創傷(なかなか治らない傷)の管理に携わってきた経験を、在宅での褥瘡ケアにも活かしています。

受診・相談の目安

以下のような状態が見られる場合は、早めに医師や訪問看護師への相談をおすすめします。

  • 赤みが1〜2日経っても消えない、または押しても色が変わらない
  • 傷が白っぽく・黄色っぽくなってきた、または深くなっている感じがある
  • 傷から臭いがする、膿のようなものが出てきた
  • 発熱(37.5度以上が続くなど)を伴っている
  • どの向きに寝かせればよいか、どうケアすればよいか迷っている
  • ご本人が通院できず、傷を診てもらえる場所がない

床ずれは、ご家族だけで判断・処置を続けると悪化に気づきにくいものです。訪問診療では医師がご自宅で傷を診て、処置の方法・薬・マットレスまで一緒に見直します。ご本人が通院できない場合も、ご家族だけでのご相談から承っています。

ご予約・お問い合わせ

よくある質問

Q. 褥瘡があっても施設に入居できますか?

施設の種類や傷の状態によって異なります。特別養護老人ホームや介護老人保健施設は、一定程度の医療対応が可能ですが、重度の褥瘡(骨が見えるほどの深い傷など)がある場合は受け入れが難しいこともあります。入居前に傷の状態と施設の医療対応力を必ず確認してください。詳しくは老人ホームの床ずれ対応|入居前の確認と発生時の対処法を参照してください。

Q. 在宅で褥瘡の処置は誰がやってくれますか?

訪問看護師が定期的な処置を担当し、外用薬の種類やドレッシング材の交換頻度は医師の指示のもとで決まります。家族が行える範囲(清潔を保つ・観察する・体位を変えるなど)と、専門職が行う範囲を分けて役割を決めることが大切です。医療用医薬品の使用は必ず医師の処方・指示に従ってください。

Q. 施設に入居したら褥瘡は絶対に防げますか?

施設に入居しても褥瘡が発生することはあります。重要なのは、施設が「褥瘡対策チームを設置しているか」「リスクのある方に適切なマットレスや体位変換を行っているか」「発生時にすぐ医師に連絡できる体制があるか」を入居前に確認することです。

Q. 在宅から施設へ、施設から在宅への移行はできますか?

状態の変化に合わせて移行することは可能です。たとえば、傷がある程度回復した段階で在宅に戻ったり、介護負担が増した段階で施設を検討したりすることは、介護の現場でよく見られます。ケアマネジャーや医師に相談しながら、段階的に検討することをおすすめします。

Q. 訪問診療を使うと費用がかかりますか?

訪問診療は医療保険・介護保険の適用対象です(条件により自己負担額が異なります)。費用の目安や対象については、訪問診療・在宅医療とは|対象・費用・依頼の流れを医師が解説する完全ガイドでくわしく説明しています。制度の詳細は改定される場合がありますので、最新情報はご相談時にご確認ください。

Q. 施設でも在宅でもない「ショートステイ」は褥瘡の方に使えますか?

ショートステイ(短期入所生活介護)は、在宅介護をしながら一時的に施設を利用するサービスです。介護者が休息を取りながら在宅を継続する手段として有効で、褥瘡のある方でも利用できる施設があります。ただし施設ごとに対応できる医療行為の範囲が異なるため、事前に傷の状態と施設の対応力を確認することが必要です。

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参考文献・出典

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)
専門:消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全

1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

AIプラスクリニックたまプラーザの訪問診療

褥瘡の在宅治療に対応しています。傷の評価から処置・薬・マットレスの選択まで、ご自宅でトータルにサポートします。

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TEL:045-909-0117

対応エリア:たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心とした地域

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。褥瘡の状態や処置・薬の選択は、必ず医師・看護師の判断のもとで行ってください。医療用医薬品・医療機器の使用は処方・指示に従ってください。制度・費用は改定される場合があります。

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