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褥瘡が治らないときの相談先|在宅での悪化サインと対応策

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褥瘡が治らないときの相談先|在宅での悪化サインと対応策

この記事の3行まとめ
  • 褥瘡(床ずれ)が数週間たっても改善しない・傷が深くなる・においや膿が出るときは、自己判断せず医療職への相談が必要です。
  • 悪化のサインを早めに見つけることが、壊死や敗血症(血液への細菌感染)といった深刻な状態を防ぐカギになります。
  • 通院が難しい方でも、訪問診療を通じて自宅で専門的な評価・処置を受けられます。

褥瘡が「治らない」とはどういう状態?

在宅でケアを続けているのに傷がよくならない——そのような状況は珍しくありません。一般的に、浅い褥瘡であれば適切なケアで2〜4週間程度で改善の兆しが見られることが多いとされています。しかし次のような状況が続く場合は「治らない状態」として医療職への相談を検討するタイミングです。

状況 目安の期間 考えられること
赤みや腫れが引かない 1〜2週間以上 圧迫の継続、栄養不足
傷の大きさや深さが変わらない・悪化する 2〜3週間以上 ケア方法の不一致、感染の可能性
においや黄色・緑色の液体(膿)が出る 数日以内に相談 細菌感染が疑われる
黒や茶色に変色した部分が広がる すみやかに相談 皮膚や組織の壊死の可能性

褥瘡の重症度(ステージ)の全体的な理解については、褥瘡(床ずれ)とは|原因・ステージ・治療・予防・在宅ケアまで医師が解説する総合ガイドもあわせてご覧ください。

在宅でチェックすべき悪化のサイン

見た目(色・形・大きさ)で気づくサイン

日本褥瘡学会の評価ツール「DESIGN-R®2020」では、傷の深さ・滲出液(にじみ出る液体)の量・感染の有無・皮膚の状態などを点数で評価します。専門職でなくても、以下のポイントを毎日観察することで変化に気づきやすくなります。

  • 赤み・紫色の変色: 皮膚が赤く、指で軽く押しても色が戻らない場合は圧迫による血流障害のサインです
  • 水ぶくれや皮がむけた状態: 傷が表面だけでなく少し深くなっていることを示します
  • 黒や茶色の硬い部分(壊死組織): 皮膚・皮下組織が死んでいる状態で、専門的な処置が必要です
  • 傷の縁がジクジクして広がっている: 感染や低栄養で傷の治りが妨げられている可能性があります

においや液体の変化

  • 強いにおい・黄緑色の液体(膿): 細菌感染(感染性褥瘡)のサインです
  • 血が混じった液体が急に増えた: 傷が深部に達している可能性があります

全身状態の変化

  • 発熱(37.5℃以上が続く)
  • ぐったりして反応が鈍い、意識が混濁する
  • 食欲の急激な低下

これらは褥瘡が感染源となり、全身に影響を及ぼし始めているサインです。夜間・休日であっても救急受診を検討してください。

なぜ褥瘡は治りにくくなるのか|主な原因

褥瘡がなかなか治らない場合、以下の要因が重なっていることが少なくありません。

  1. 圧迫が続いている: 体位変換の頻度が不十分、またはマットレスが傷の状態に合っていない
  2. 栄養不足: たんぱく質・亜鉛・ビタミン類が不足すると皮膚の再生が遅れます
  3. 水分・失禁による皮膚のただれ: 尿や便で皮膚がふやけると感染しやすくなります(IAD:失禁関連皮膚炎)
  4. 処置の方法や使う材料が傷の状態に合っていない: 市販の湿潤材や消毒薬が逆効果になることがあります
  5. 基礎疾患の影響: 糖尿病・末梢血管障害・低アルブミン血症(栄養状態を示す血液検査値の低下)があると回復が遅れます
  6. 感染の見落とし: 外見上は大きく変わらなくても、内部で細菌が繁殖している場合があります

家族ができる対応と「ここまでが家族の役割」の境界線

介護士が行える褥瘡処置の範囲|医療行為との境界を解説でも詳しく解説していますが、家族が自宅でできることと、医療職に任せるべきことには明確な区別があります。

家族が継続できること

  • 2時間に1回程度の体位変換(寝る姿勢の変更)
  • 皮膚の清潔保持(やさしく拭く・洗う)
  • 傷まわりの観察・記録(スマートフォンで写真を撮っておくと相談時に役立ちます)
  • 医師・看護師に指示された処置の補助

医師・看護師に相談・交代すべきこと

  • 傷の洗浄方法や使う薬・被覆材(ドレッシング材)の変更
  • 壊死した組織の除去(デブリードマン)
  • 感染が疑われる傷への対応
  • 医療用外用薬の使用(医師の処方・指示のもとで行うものです)

市販の軟こうや湿潤シートは軽い皮膚トラブルに限られます。褥瘡が疑われる場合は自己判断での使用を続けず、医師・看護師に相談してください。

在宅で医師に診てもらうという選択肢

「病院に連れていくのが難しい」「毎回の通院が負担になっている」という場合、訪問診療という選択肢があります。訪問診療では、医師が定期的にご自宅を訪問し、傷の評価・処置・外用薬やドレッシング材の選択、マットレス(体圧分散用具)の見直しを行います。

自宅でできる医療処置のすべて|胃ろう・在宅酸素・褥瘡ケアと管理の実際では、訪問診療で実際に行える処置の範囲を紹介しています。また、訪問診療の対象・費用・依頼の流れについては訪問診療・在宅医療とは|対象・費用・依頼の流れを医師が解説する完全ガイドをご参照ください。

寝たきりでおしりが痛いとき、家でできる対処と相談先では、通院できない状況でどこに相談すればよいかを具体的にまとめています。

どの診療科・機関に相談するか

相談先 向いている状況
かかりつけ医・訪問診療医 まず最初の相談窓口。評価・処置・専門科への紹介まで対応
皮膚科 皮膚の炎症・感染・IAD(失禁関連皮膚炎)が中心の場合
形成外科 深い傷・壊死・外科的処置(皮弁手術など)が必要な場合
外科・整形外科 骨まで達している(骨髄炎が疑われる)場合など
訪問看護ステーション 日常の処置・観察・家族への指導を継続的にサポート
ケアマネジャー 福祉用具(マットレス等)の見直し・サービス調整

受診先の選び方については褥瘡は何科を受診?家族が知っておきたい受診先と入院の目安で詳しく解説しています。

当院の在宅褥瘡診療の現場から

AIプラスクリニックたまプラーザは、在宅療養支援診療所として訪問診療を通じた褥瘡管理に取り組んでいます。診察では日本褥瘡学会が定めたDESIGN-R®2020を用いて傷の状態を客観的に評価し、外用薬やドレッシング材の選択・体圧分散用具(マットレス等)の見直しをご本人・ご家族と一緒に行います。訪問看護ステーション・ケアマネジャー・福祉用具専門相談員とも連携し、在宅での治療計画を多職種でサポートします。

監修医の佐藤靖郎医師は、消化器外科医として術後創・難治性創傷の管理に長年携わってきた経験をもとに、在宅での複雑な創傷にも対応しています。傷の状態が悪化している場合や外科的処置が必要と判断した場合は、連携病院への紹介も行っていますので、一人で抱え込まずにご相談ください。

受診・相談の目安

以下のいずれかに当てはまる場合は、早めに医師・看護師にご連絡ください。

  • 赤みや傷が2週間以上改善しない、または悪化している
  • 傷から強いにおい・黄色や緑色の液体(膿)が出ている
  • 傷まわりの皮膚が黒や茶色に変色してきた
  • 38℃近い発熱が続く、またはぐったりしている
  • 処置の方法や使う材料をどうすればよいかわからない
  • ご本人が通院できず、在宅での対応に不安がある

床ずれは、ご家族だけで判断・処置を続けると悪化に気づきにくいものです。訪問診療では医師がご自宅で傷を診て、処置の方法・薬・マットレスまで一緒に見直します。ご本人が通院できない場合も、ご家族だけでのご相談から承っています。

→ ご予約・お問い合わせ

よくある質問

Q. 市販の軟こうや湿潤絆創膏を使い続けてよいですか?

市販のケア用品は、ごく浅い擦り傷や軽度の皮膚トラブルを対象としたものです。褥瘡が疑われる場合、または赤みが数日以上続く場合は、自己判断での使用を続けず医師・看護師にご相談ください。傷の深さや感染の有無によって適切な材料は異なります。

Q. 訪問看護師がいるのに、なぜ治らないのでしょうか?

訪問看護師は処置の実施や観察に欠かせない存在ですが、医療用外用薬の変更や傷の医学的な再評価は医師の役割です。「処置を続けているのに改善しない」と感じた場合は、担当の訪問看護ステーションや訪問診療医に「処置内容の見直しを相談したい」と伝えてみてください。

Q. 病院に入院しないと治せない傷ですか?

深さや感染の程度によります。浅い傷や感染のない傷は、訪問診療・訪問看護の体制を整えることで在宅での治療継続が可能な場合があります。一方、壊死組織の外科的除去(手術)が必要な場合や、全身状態が急激に悪化している場合は入院が必要になることがあります。まず医師に現状を診てもらい、判断を仰いでください。

Q. 褥瘡の治療にかかる費用は介護保険で賄えますか?

マットレス(体圧分散寝具)などの福祉用具は介護保険制度の福祉用具貸与サービスとして対象になる場合があります(厚生労働省・介護保険制度)。医療用の外用薬・ドレッシング材は医療保険が適用されます。訪問診療の費用も医療保険・介護保険制度のもとで自己負担が定められています。詳細はケアマネジャーや担当医にご確認ください。なお制度・費用は改定される場合があります。

Q. 老人ホームに入居中ですが、傷が治らないと言われています。家族はどう動けばよいですか?

まず施設側にケアの内容と現状の傷の評価(深さ・大きさ・感染の有無)を具体的に聞いてみましょう。改善が見られない場合は外部の医療機関への受診や訪問診療の導入を相談する権利があります。老人ホームの床ずれ対応|入居前の確認と発生時の対処法もご参考にしてください。

Q. 高齢の親の体重が減って栄養が心配です。褥瘡と関係ありますか?

関係があります。体重の減少・食欲低下・血液検査でのアルブミン値(栄養状態の目安)の低下は、褥瘡が治りにくくなる重要な要因のひとつです。高齢者・寝たきりの褥瘡ケア|在宅介護で家族ができることでは栄養面のケアについても触れています。担当医・管理栄養士・訪問看護師に栄養補助の方法を相談してみてください。

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参考文献・出典

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)
専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴

1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

AIプラスクリニックたまプラーザの訪問診療

褥瘡の在宅治療に対応しています。ご本人が通院できない場合も、まずはお気軽にご相談ください。

ご予約・お問い合わせ

TEL: 045-909-0117

対応エリア: たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心とした地域

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。褥瘡の状態や処置・薬の選択は、必ず医師・看護師の判断のもとで行ってください。医療用医薬品・医療機器の使用は処方・指示に従ってください。制度・費用は改定される場合があります。

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