側臥位で褥瘡が心配なとき、家族が見たい部位
側臥位は、圧がかかる部位が限られるぶん、褥瘡(じょくそう)を見つけやすい場所もある体位です。家族がまず見るべき部位を押さえておくと、赤みや皮膚のただれに早く気づきやすくなります。なお、皮膚の状態だけでなく、痛み・発熱・食欲低下があれば主治医や訪問看護へ相談してください。まずは在宅で受けられる医療処置の全体像も合わせて確認すると整理しやすいです。
側臥位で褥瘡が起こりやすい部位を先に知っておく
側臥位では、骨が出っ張っている部分に圧が集中しやすくなります。とくに見たいのは、耳、肩の先、肋骨、腰骨、膝の内側・外側、足首です。シーツのしわや寝間着のよれ、湿り気も皮膚トラブルの原因になります。
| 見る部位 | 確認したいこと |
|---|---|
| 耳・頬 | 片側だけ赤い、痛がる、マスクや枕でこすれていないか |
| 肩・肋骨・腰骨 | 赤みが消えない、熱感、硬さ、押しても痛い |
| 膝・くるぶし | 反対側の骨同士が当たっていないか、クッションがずれていないか |
| かかと・足先 | 体位が崩れて接触していないか、むくみで圧が増していないか |
赤みが30分以上引かない、皮膚が紫っぽい、湿ってふやけるといった変化は、早めの確認が必要です。状態が気になる方は、訪問診療・在宅医療の相談の流れを見ておくと、家族だけでも動きやすくなります。
こう調べ始める方が多い(よくあるきっかけ)
「横向きに寝かせると、背中は守れているのに、逆にどこが危ないのだろう」と心配になって検索される方が多いです。きっかけとしては、次のような場面がよくあります。
- 退院後に寝ている時間が増えた
- 体位変換をしても同じ場所が赤くなる
- オムツ交換のたびに皮膚が荒れている
- 胃ろうや在宅酸素、膀胱留置カテーテルがあり、寝返りの介助が難しい
褥瘡は、「寝ているだけ」で起こるのではなく、圧・ずれ・湿り気・栄養状態が重なると起こりやすくなります。家族だけで抱え込まず、必要に応じて訪問看護や訪問診療を使うのは自然な選択です。
見分け方・判断の目安
褥瘡かどうかを見極めるときは、色だけでなく「消えるか」「痛みがあるか」「皮膚が壊れているか」を見ます。押しても白くならない赤みは要注意です。高齢の方では皮膚が薄く、見た目の変化が小さくても深く傷んでいることがあります。
| 変化 | 目安 |
|---|---|
| 一時的な赤み | 体位を変えると薄くなる |
| 持続する赤み | 圧を抜いても残る |
| 皮膚のめくれ・水疱 | こすれやずれの影響が疑われる |
| 黒っぽい変色・強い痛み | 深い損傷の可能性があるため受診を検討 |
褥瘡の段階を写真で比べたくなることがありますが、自己判断だけで進めず、必要なら褥瘡の基本を整理した記事も参考にしてください。診断は医師の診察が前提です。
混同しやすいものとの違い
側臥位で見つかる赤みは、褥瘡だけとは限りません。かぶれ、汗によるふやけ、テープかぶれ、打撲、感染などもあります。褥瘡は「圧迫が続いた場所」に出やすいのが特徴です。
| よくあるもの | 褥瘡との違い |
|---|---|
| かぶれ | 触れた範囲に広がりやすい |
| 汗や失禁による皮膚炎 | 湿った部位に出やすい |
| 打撲 | ぶつけた記憶があることが多い |
| 圧迫による赤み | 骨の出っ張りに一致しやすい |
胃ろうがある方では、固定部の周囲がこすれていないかも確認します。あわせて胃ろうの在宅管理で見るポイントも参考になります。
家族が見落としがちなポイント
見た目の赤みだけでなく、痛み、落ち着かなさ、食事量低下、眠りがち、発熱もヒントです。人工呼吸器を使っている方では、設定上の問題そのものよりも、体位が崩れて圧が偏ることが心配になる場面があります。PEEP(呼気終末陽圧)は肺を広げるための設定ですが、体位管理の代わりにはなりません。
また、膀胱留置カテーテルがある場合は、管の引っ張りや尿漏れで鼠径部や仙骨周囲の皮膚が荒れやすくなります。看護の視点で見ると、皮膚・栄養・排泄・体位はセットで確認するのが大切です。
在宅医療とのつながり
褥瘡が心配になる時期は、在宅医療を考えるきっかけにもなります。訪問診療では、皮膚だけでなく、栄養状態、嚥下、胃ろう、在宅酸素、排泄の管理まで含めて見ます。病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーから退院前カンファレンスに参加し、退院当日から訪問診療を始めることもあります。
在宅医療は、かかりつけ医をやめることではありません。併診や引き継ぎも可能です。厚生労働省も在宅医療の推進やACP(人生会議)を案内しており、早い段階で情報を集めておく意義があります。退院支援の流れは在宅医療の相談・依頼のまとめに整理されています。
当院の在宅診療の現場から
当院では、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーから紹介を受け、退院前カンファレンスに参加して在宅への引き継ぎを行っています。退院当日から訪問診療を開始することもあり、退院直後の不安定な時期には24時間の連絡体制で夜間・休日の急変にも対応しています。消化器内視鏡・エコーの経験を生かし、栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素まで含めて支援しています。たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じています。
受診・相談の目安
次のようなときは、相談のタイミングです。
- 同じ場所の赤みが何日も続く
- 皮膚がむける、水疱ができる、黒っぽくなる
- 体位変換や清拭のたびに強く痛がる
- 退院後の療養先や介護体制がまだ決まっていない
- 家族の付き添いや寝返り介助が続けにくい
この段階では「まだ相談するほどでは」と感じる方が多いのですが、在宅医療は状態が悪化してからでは選択肢が狭まります。情報だけ聞いてみる、という使い方で構いません。
ご予約・お問い合わせから、まずは状況をお知らせください。
よくある質問
Q. 側臥位なら褥瘡は起こりにくいですか?
いいえ。背中の圧は減っても、耳、肩、肋骨、腰骨、膝、足首などに圧が集まることがあります。体位の工夫と定期的な確認が必要です。
Q. 赤みがあっても、しばらく様子を見てよいですか?
体位を変えても赤みが引かない場合は、早めに相談してください。写真を撮って変化を記録すると、受診時に役立ちます。
Q. 胃ろうやカテーテルがあると、褥瘡は増えますか?
器具そのものが直接の原因ではありませんが、ずれや湿り気、介助のしにくさで皮膚トラブルが起こりやすくなります。観察項目を決めておくと安心です。
Q. 訪問診療は、まだ早い段階でも相談できますか?
はい。退院前の段階や、家族だけの相談でもかまいません。主治医との関係を続けながら、在宅療養の準備を進めることもできます。
Q. 施設入居を考えている場合でも相談してよいですか?
もちろんです。自宅、施設、入院のどれがよいかは、病状や介護力で変わります。選択肢を並べて考えることが大切です。
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参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全。
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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ご相談の際は、お薬手帳または薬剤情報提供書/医療保険証・各種受給者証/介護保険証・介護保険負担割合証/(お持ちであれば)診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリーをご用意いただくとスムーズです。ご本人が来院できない場合のご相談も承ります。
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【ご相談時の持参物】 お薬手帳または薬剤情報提供書/医療保険証・各種受給者証/介護保険証・介護保険負担割合証/(お持ちであれば)診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリー
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。