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胃がん治療法の種類と選び方をわかりやすく解説






胃がん治療法の種類と選び方をわかりやすく解説


医師監修|胃がん治療法ガイド

胃がん治療法の種類と選び方をわかりやすく解説

胃がんの治療法は、内視鏡治療・手術・薬物療法・放射線治療・緩和ケアなど複数あり、がんの進み具合(ステージ)と患者さんの全身状態によって選択肢が変わります。本記事では、胃がんの治療法の種類と選び方の基本を整理します。個々の方針は必ず主治医とご相談ください。

胃がんの治療法を選ぶ前に知っておきたいこと

治療方針は「がんの進み具合」と「全身状態」で変わる

胃がんの治療法を決める際には、①がんが胃壁のどの深さまで達しているか(深達度)、②リンパ節や他臓器への転移の有無、③患者さんの年齢・体力・持病などの全身状態、という三つの視点が基本になります。同じ「胃がん」という診断でも、早期の段階であれば内視鏡だけで完結することもあれば、進行している場合は複数の治療を組み合わせることもあります。

主治医と相談しながら決めるのが基本

治療方針は、消化器外科・消化器内科・腫瘍内科など複数の専門医がカンファレンス(合同検討会)で協議して決めるのが標準的です。疑問点はその都度主治医に確認し、納得したうえで治療を進めることが大切です。別の医療機関でセカンドオピニオンを求めることも、適切な判断を助ける手段の一つです。

胃がんの主な治療法

内視鏡治療

口から内視鏡を挿入し、胃の粘膜をカメラで直視しながらがんを切除する方法です。代表的な術式として、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)があります。身体への負担が少なく、胃を温存できるのが利点ですが、適応はリンパ節転移の可能性がきわめて低い早期胃がんに限られます。

手術(胃切除)

外科手術によって胃の一部または全部を切除する方法です。リンパ節郭清(周囲のリンパ節を合わせて切除すること)を行うのが標準です。腹腔鏡下手術(お腹に小さな穴を開けてカメラと器具を使う方法)と開腹手術があり、がんの場所・大きさ・患者さんの状態によって選択されます。

薬物療法(抗がん剤・分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬)

  • 抗がん剤(化学療法): がん細胞の増殖を抑える薬を投与する治療です。術後の再発予防(補助化学療法)や、手術困難な進行・再発がんへの治療として用いられます。
  • 分子標的薬: がん細胞の特定のタンパク質(HER2など)を標的にして攻撃する薬です。HER2陽性の胃がんに対して用いられます。
  • 免疫チェックポイント阻害薬: 免疫の「ブレーキ」を外すことでがんへの攻撃を促す薬です。特定の条件を満たす進行・再発胃がんに保険適用があります(2025年7月時点)。詳しくは胃がんの免疫療法の位置づけと特徴をご参照ください。

放射線治療が行われる場面

胃がんへの放射線治療は、欧米と比較して日本では限定的な使用にとどまっています。骨転移や脳転移による痛み・神経症状の緩和を目的とした症状緩和(姑息的放射線治療)や、出血・通過障害の抑制などに用いられることがあります。

緩和ケア

緩和ケアは治療のあらゆる段階で並行して行われるものです。痛み・吐き気・食欲不振などの症状をコントロールし、生活の質(QOL)を維持することを目的とします。積極的な治療が難しくなった時期だけに行うものではなく、診断早期から取り入れることが推奨されています(国立がん研究センター がん情報サービス)。

ステージ別にみる胃がん治療の考え方

ステージ 病変の広がりの目安 主に検討される治療
ステージⅠ(早期) 粘膜〜粘膜下層、リンパ節転移なし〜少数 内視鏡治療(ESD)、胃切除手術
ステージⅡ・Ⅲ(進行) 筋層以深への浸潤、またはリンパ節転移あり 胃切除+リンパ節郭清、術後補助化学療法
ステージⅣ(転移あり) 他臓器・腹膜への転移 薬物療法(化学療法・分子標的薬・免疫療法)、緩和ケア
再発・転移 治療後の再発 薬物療法、症状緩和目的の放射線治療、緩和ケア

※ステージ分類は病理・画像検査の結果によって確定します。上表はあくまで参考であり、個々の方針は主治医がご判断します。

早期胃がんで検討される治療

粘膜内に限局し、一定の条件(大きさ・組織型など)を満たす場合はESDが第一選択となることが多いです。条件を外れる場合は外科手術が選ばれます。

進行胃がんで検討される治療

手術でがんを切除したうえで、術後に再発リスクを下げるために抗がん剤を使う補助化学療法が標準的な流れです。

再発・転移がある場合の治療

根治(完全な治癒)を目指すより、がんをコントロールしながら生活の質を維持することを主眼とした治療が中心になります。胃がんの治療の選択肢と考え方もあわせてご参照ください。

胃がん治療の選び方で重視されるポイント

がんの深さ・リンパ節転移・遠隔転移の有無

内視鏡・CT・超音波内視鏡などで評価します。リンパ節転移や他臓器転移の有無が、手術の可否や薬物療法の組み合わせに大きく影響します。

年齢や持病、体力、栄養状態

高齢の方や心臓・肺・腎臓などに持病がある場合は、体への負担が少ない治療が優先されることがあります。栄養状態は手術後の回復や薬物療法の継続にも影響するため、治療前から管理栄養士や専門チームと連携することが一般的です。

胃をどの程度残せるか

胃全摘ではなく、幽門側(下部)や噴門側(上部)の部分切除が可能かどうかは、食後の生活の質に関わります。可能な範囲で胃を温存する方針が取られることもあります。

副作用と生活への影響

仕事・家庭生活・通院頻度など、患者さんの生活背景も治療選択に含まれます。副作用の種類と対処法、治療スケジュールを事前に確認しておくことが重要です。

当院での診療から

治療法を整理して理解するための診察の進め方

当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備えており、鎮静下での胃内視鏡検査を日常的に行っています。検査で早期がんを疑う所見が見つかった場合は、速やかに基幹病院へ紹介し、地域連携クリティカルパスを活用して術後の経過観察・フォローアップを当院が担当します(監修医・佐藤靖郎医師は厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員を歴任)。また、在宅療養支援診療所として、在宅での緩和ケアや看取りにも対応しています。「治療の流れがよくわからない」「どこに相談すればよいかわからない」という段階からご相談いただけます。

セカンドオピニオンで確認したいこと

「現在の治療方針が自分の状態に合っているか」「他に選択肢はないか」を別の専門医に確認することは、適切な選択につながります。セカンドオピニオンを希望する場合は、主治医に紹介状と検査データの提供を依頼するとスムーズです。胃がんの治療成績と病院選びのポイントもご参照ください。

公的データでみる胃がん治療の現状

国立がん研究センターが示す治療情報の見方

国立がん研究センター「がん情報サービス」では、胃がんの標準治療や診療ガイドラインに基づく情報が公開されています。治療法の概要を確認する際の信頼できる情報源として活用できます。

統計を見るときの注意点

生存率などの統計データは、過去の多数の患者さんのデータをまとめたものです。個々の患者さんに当てはまるものではなく、年齢・全身状態・治療環境によって異なります。数字だけで一喜一憂せず、主治医と一緒に解釈することが大切です。

受診・相談の目安

胃がんと診断されたら早めに相談したい症状

診断後、「どの病院で治療を受けるか」「何を優先するか」が整理できていない場合も、まずは消化器専門医に相談することをお勧めします。

強い痛み、食事がとれない、体重減少があるとき

これらは病状の進行や治療の副作用によって起こることがあります。我慢せず早めに主治医や担当医療機関にご連絡ください。

治療の副作用がつらいとき

抗がん剤による吐き気・倦怠感・口内炎などは、適切なサポート(支持療法)で軽減できることがあります。緩和ケアチームや薬剤師にも相談できる体制を整えている医療機関も多くあります。

よくある質問(FAQ)

胃がんは手術しないと治療できませんか?

手術以外の治療も存在します。早期胃がんでは内視鏡治療(ESD)で切除できる場合があり、進行・再発がんでは薬物療法が中心となることもあります。どの治療が適しているかは、がんの状態と全身状態によって異なりますので、主治医とご相談ください。

抗がん剤だけで治療することはありますか?

手術が難しい進行・再発胃がんでは、薬物療法(抗がん剤・分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬など)が主な治療手段となります。術後再発予防のために抗がん剤を使用する「補助化学療法」もあります。

仕事や日常生活を続けながら治療できますか?

治療の種類や副作用の程度によります。外来で行う薬物療法では、就労を継続しながら治療を受けている方もいます。ただし、体調や仕事の内容によって個人差が大きいため、担当医や医療ソーシャルワーカーに相談しながら検討することをお勧めします。

余命や生存率はどこまで参考にできますか?

生存率などの統計データは、過去に診断・治療を受けた多くの患者さんのデータを集計したものです。個々の患者さんの予後を示すものではなく、年齢・体力・治療環境・がんの特性などによって異なります。統計の数値はあくまで参考として捉え、ご自身の状況については主治医に直接お聞きになることをお勧めします。

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参考文献・出典

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師・医学博士 / AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴

1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割

厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。


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