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胃がんの免疫療法とは?治療の位置づけを解説






胃がんの免疫療法とは?治療の位置づけを解説


医師監修|胃がん免疫療法ガイド

胃がんの免疫療法とは?治療の位置づけを解説

胃がんの治療において「免疫療法」という言葉を耳にする機会が増えています。しかし、「どんな治療なのか」「自分に使えるのか」「保険は効くのか」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

本記事では、胃がんの免疫療法の基本的な仕組みと、手術・抗がん剤などの標準治療における位置づけを、公的なガイドラインや国立がん研究センターの情報をもとにわかりやすく解説します。免疫療法はすべての方に適応になるわけではなく、検査結果や病状によって判断が異なります。個別の治療方針については、必ず主治医・専門医にご相談ください。

胃がんの免疫療法とは?まず知っておきたい基本

免疫療法で「何をする治療」なのか

私たちの体には、がん細胞を異物として認識し攻撃する免疫の仕組みが備わっています。しかしがん細胞は、免疫の「ブレーキ」を利用して攻撃から逃れる性質を持っています。

免疫療法(がん免疫療法)とは、この「ブレーキを解除」することで自分自身の免疫機能を再び働かせ、がん細胞を攻撃しやすくする治療です。近年、注目されているのは免疫チェックポイント阻害薬と呼ばれる薬剤で、がん細胞が免疫細胞の働きを抑える信号(チェックポイント)を遮断する作用があります。

胃がん治療で使われる免疫療法の種類

現時点で胃がんに対して国内で保険適用を取得している主な免疫チェックポイント阻害薬として、PD-1(免疫ブレーキの信号を受け取る受容体)を標的とする薬剤が挙げられます。これらは主に化学療法(抗がん剤)と組み合わせて使われることが多く、単独で使用される場合もあります(適応は状況によって異なります)。

なお、「免疫細胞療法」「樹状細胞療法」など、保険適用外(自由診療)のものも「免疫療法」と呼ばれることがあります。これらについては後述しますが、科学的根拠のレベルが異なる点に注意が必要です。

胃がん治療における免疫療法の位置づけ

手術・薬物療法・放射線療法との違い

治療法 主な目的 主な対象
手術(外科治療) がん病巣の物理的切除 主に早期〜局所進行がん
薬物療法(抗がん剤・分子標的薬) がん細胞の増殖を抑制・縮小 進行・再発がんを含む幅広い病期
放射線療法 放射線でがん細胞を死滅させる 局所病変の制御、緩和目的など
免疫チェックポイント阻害薬(免疫療法) 免疫機能を介してがん細胞を攻撃 主に進行・再発がん(適応要件あり)

免疫療法は単独で使うことよりも、化学療法などと組み合わせて使われるケースが多く、「手術に取って代わる治療」ではありません。

免疫療法が検討されるのはどんな場面か

保険診療における免疫チェックポイント阻害薬は、主に切除不能な進行・再発胃がんの薬物療法として検討されます。適応となるかどうかは、腫瘍の性質(後述の検査項目)や全身状態、既往治療の内容によって判断されます。

胃癌 治療 ガイドラインでの扱い

日本癌治療学会・日本胃癌学会による診療ガイドラインおよび国立がん研究センター「がん情報サービス」では、進行・再発胃がんに対する薬物療法の一つとして免疫チェックポイント阻害薬が位置づけられています。最新のガイドライン情報は、日本癌治療学会 がん診療ガイドライン等でご確認いただけます。

胃がんの免疫療法が向いているかを決める検査

PD-L1、MSI、HER2などの確認項目

免疫療法が適応かどうかを判断するために、腫瘍組織を用いた以下のような検査が行われることがあります。

検査項目 内容の概要
PD-L1発現検査 腫瘍や免疫細胞がPD-L1(免疫抑制の信号物質)をどれだけ出しているかを測定する
MSI検査(マイクロサテライト不安定性) がん細胞のDNA修復機能の異常を調べる検査。MSI-Highだと免疫療法が効きやすい傾向がある
HER2検査 がん細胞表面のHER2タンパクの過剰発現を調べる(分子標的薬の適応判断にも関わる)

検査結果が治療選択にどう影響するか

これらの検査結果が「陽性」や「高値」だからといって、必ずしも免疫療法が最適とは限りません。全体的な病状・体の状態・他の治療との組み合わせを踏まえて、主治医が総合的に判断します。検査の必要性や結果の意味については、担当医に詳しく確認することをおすすめします。

免疫療法の効果と限界

効果が期待できるケースと期待しにくいケース

MSI-Highのケースや、PD-L1高発現のケースでは免疫チェックポイント阻害薬の効果が期待されやすいとされています。一方で、これらの指標が低い場合は効果が限定的なこともあります。また、効果が出ていたとしても、治療の継続中に効果が弱まることもあります。

いずれにしても、「必ず効く」「完全に治る」という保証はなく、個々の病状によって結果は大きく異なります。

どのくらいの根拠があるのかを公的情報で確認する

免疫チェックポイント阻害薬は、国内外の臨床試験(ランダム化比較試験)で有効性と安全性が検証されたうえで承認を受けており、保険診療として提供されています。詳細は国立がん研究センター がん情報サービスの胃がんページでもご確認いただけます。

副作用と注意点

免疫チェックポイント阻害薬は、免疫の過剰反応によって正常な臓器に炎症が起きる「免疫関連有害事象(irAE)」と呼ばれる副作用が生じることがあります。

  • 皮膚の発疹・かゆみ
  • 下痢・腸炎
  • 甲状腺や副腎などの内分泌異常
  • 肺炎(間質性肺炎)
  • 肝機能異常

これらは早期発見・早期対応が重要です。治療中に体調の変化を感じた場合は、自己判断せずに速やかに医療機関に連絡してください。

胃がん 免疫療法を受ける前に知っておきたいこと

保険診療と自由診療の違い

区分 特徴
保険診療(承認済み) 有効性・安全性が審査を経て承認。費用の一部を公的保険で負担
自由診療(未承認・適応外) 保険対象外。全額自己負担。科学的根拠の水準はさまざま

現在、国内で承認されている胃がんへの免疫チェックポイント阻害薬は保険診療の対象です。「免疫細胞療法」「NK細胞療法」などと呼ばれる自由診療のものは、現時点では科学的に確立された有効性が示されているとはいえず、慎重な判断が必要です。

未承認の免疫療法を検討するときの注意点

未承認治療を選ぶ際は、以下の点を確認することが重要です。

  • 臨床試験(治験)のデータが公開されているか
  • 費用が事前に明示されているか
  • 承認済み標準治療を妨げないか
  • 主治医やがん専門医に相談しているか

主治医に確認したい質問

  • 自分の腫瘍に対して免疫療法は保険適用になるか
  • 期待できる効果と副作用のリスクは何か
  • 他の治療法との組み合わせはどうか
  • 効果をどのように評価していくか

胃がん 食事療法と免疫療法の関係

治療中に食事で気をつけたいこと

免疫療法を受けている期間中は、治療の副作用(下痢・口内炎・食欲不振など)によって食事が十分にとれないことがあります。栄養状態は免疫機能や治療継続にも影響するため、医師・管理栄養士と相談しながら工夫することが大切です。

  • 消化しやすい食事を少量ずつとる
  • 水分をこまめに補給する
  • 特定の食品や栄養補助食品を大量に摂ることは、主治医に確認してから

胃がん 食事 療法は「治療の代わり」ではない

「食事を変えることでがんが治る」という考え方は、科学的根拠が確立されていません。食事療法はあくまでも体力・栄養状態を維持するためのサポートであり、手術・薬物療法・免疫療法などの標準治療に取って代わるものではありません。食事に関する不安や疑問は、主治医や病院の栄養士にご相談ください。

当院での診療から

診療の流れ

当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備え、鎮静下での胃・大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。胃がんを疑う所見が認められた場合は、速やかに基幹病院(がん診療連携拠点病院等)へご紹介し、地域連携クリティカルパスの仕組みを通じて術後のフォローアップを継続的に担当しています。

当院の監修医・佐藤靖郎医師は、厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員および神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役として、地域医療連携の実務に深く関わってきた経緯があります。免疫療法などの高度な治療は基幹病院が担いますが、「治療方針を理解したい」「かかりつけ医として並走してほしい」という方の相談にも対応しています。

在宅療養支援診療所として、在宅での緩和ケア・看取りにも対応しており、治療の各段階で途切れない支援を目指しています。

セカンドオピニオンで確認できること

治療方針に迷いがある場合、セカンドオピニオン(別の専門医への意見確認)は患者さんの権利です。当院では「セカンドオピニオンを受けたいが、どこに相談すればよいか」という段階からご相談を受け付けています。ご予約・お問い合わせはこちらよりどうぞ。

受診・相談の目安

こんなときは早めに主治医へ相談

  • 免疫療法を勧められたが、内容が理解できていない
  • 自由診療の免疫療法を検討しているが不安がある
  • 食事がとれず体重が急激に落ちている
  • 治療中に新たな症状(発疹・息苦しさ・強い倦怠感など)が出た
  • セカンドオピニオンを希望している

すぐ受診したい症状

以下の症状は、免疫関連有害事象(irAE)として重篤化することがあります。治療中に現れた場合は自己判断せず、すぐに主治医または医療機関に連絡してください。
  • 息切れ・咳が急に悪化した
  • 高熱が続く
  • 激しい腹痛・血便
  • 急な視力変化・強い頭痛
  • 体の動きや感覚がおかしい

よくある質問(FAQ)

胃がんの免疫療法だけで治療できますか?

現時点では、免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬)は単独で使われるよりも、化学療法と組み合わせるかたちで使われることが多く、「免疫療法だけで完結する治療」として確立されているわけではありません。治療の組み合わせは病状や検査結果によって異なります。主治医と相談して、最適な方針を確認してください。

どのステージでも免疫療法は使えますか?

現在、保険診療として承認されている免疫チェックポイント阻害薬は、主に切除不能な進行・再発胃がん(ステージⅣや再発例など)を対象としています。早期胃がんや、手術で切除可能な段階では、通常まず外科的切除が優先されます。適応については主治医が個別に判断します。

免疫療法は何回くらい続けるのですか?

投与スケジュールや継続期間は、使用する薬剤の種類・病状・副作用の状況によって異なります。一般的には数週間ごとの点滴投与が繰り返されますが、効果がみられなくなった場合や副作用が強い場合は中止・変更されることがあります。担当医から治療計画の説明を受けたうえで、疑問点はその都度確認することをおすすめします。

副作用が心配なときはどうすればよいですか?

免疫関連有害事象(irAE)は早期に対処することが重要です。治療前に「どんな症状が出たらすぐ連絡すべきか」を担当医・看護師に確認しておきましょう。症状が出た際は自己判断で服薬を中断したり、市販薬を使用したりせず、速やかに医療機関に連絡することが大切です。

余命や生存率は治療選択の参考になりますか?

生存率や余命のデータは、多くの患者さんの集計に基づく統計値です。個々の患者さんに同じ数値が当てはまるわけではなく、同じ病期でも治療への反応や経過は人によって大きく異なります。統計データはあくまでも参考情報の一つとして、主治医の説明とあわせて理解するようにしましょう。不安が強い場合は、担当医や医療ソーシャルワーカーへの相談も有効です。

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参考文献・出典

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴:

1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割:

厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。


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