仰臥位で褥瘡が心配なとき、家族が見たい部位
仰臥位(仰向け)では、背中側の骨が出っ張る部位に圧が集中しやすく、褥瘡(じょくそう・床ずれ)が起こりやすくなります。まずは後頭部、肩甲骨、仙骨、踵(かかと)を見て、赤みや皮膚の破れがないか確認することが大切です。心配が続くときは、体位変換の工夫だけで抱え込まず、在宅医療へ相談する選択肢があります。
まず押さえたい、仰臥位で褥瘡が起こりやすい部位
仰向けでは、骨とベッドの間で皮膚が圧迫されやすくなります。特に見たいのは次の部位です。
| 見る部位 | 理由 | 家族が確認したいこと |
|---|---|---|
| 後頭部 | 枕との接触が続きやすい | 赤み、痛み、湿り、髪の絡まり |
| 肩甲骨 | 骨が出ていて圧が集まりやすい | 片側だけ赤い、熱っぽい |
| 背骨の出っ張り | 皮膚が薄く圧を受けやすい | しみる訴え、ただれ |
| 仙骨・尾骨 | 長時間の仰臥位で負担が大きい | 赤み、皮むけ、浸出液 |
| 踵 | 体重が一点にかかりやすい | 浮かせても痛がる、黒ずみ |
褥瘡の基本は、圧迫・ずれ・摩擦・湿りの4つです。これは厚生労働省の在宅医療推進や、褥瘡ケアを含む地域連携の考え方ともつながります。在宅医療の基本はこちらも参考になります。
「赤いだけ」と見過ごしやすいきっかけ
ご家族が最初に気づくのは、はっきりした傷ではなく「いつもと違う皮膚」です。たとえば、寝たきり気味になったあとに、次のような変化があるときは注意が必要です。
- 体位変換をしても赤みが消えない
- 触ると熱い、または冷たく感じる
- 痛みや違和感を言うようになった
- おむつや汗で皮膚がふやけている
- 食事量が落ち、やせてきた
褥瘡は、写真映えするような“深い傷”だけが問題ではありません。初期の段階で気づくほうが、負担の少ない対応につながります。詳しい褥瘡の全体像は、褥瘡の基本を知る記事もあわせてご覧ください。
見分け方の目安は「消える赤みかどうか」
仰臥位で赤く見えても、すぐに褥瘡とは限りません。目安は、圧を除いたあとに赤みが消えるかです。
– しばらくして消える赤み:一時的な圧迫のことがあります
– 圧を除いても消えない赤み:褥瘡の初期の可能性があります
– 皮膚が破れている、滲出液がある:早めの医療相談が必要です
ただし、色の見え方は皮膚の色調や照明でも変わります。写真だけで判断せず、状態に迷うときは医師や訪問看護に相談してください。
混同しやすいものとの違い
仰臥位の皮膚変化は、褥瘡以外でも起こります。
| 似て見えるもの | 褥瘡との違い |
|---|---|
| 汗や蒸れによるかぶれ | 圧が当たる骨の部分に限らないことが多い |
| おむつかぶれ | 会陰部や臀部の広い範囲に出やすい |
| 打撲 | ぶつけた経緯がある、内出血が目立つ |
| 乾燥や湿疹 | 皮膚全体が荒れやすく、圧の部位に限らない |
気管切開がある方では、カフ圧の管理や体位の調整が同時に必要になることがあります。また、ストーマがある方では装具のずれや皮膚トラブルが褥瘡と混ざって見えることがあります。気になる場合は、気管切開がある親を在宅で支えるときの基本やストーマがある親の在宅介護で確認したいケアの基本も役立ちます。
家族が見落としがちな、仰臥位の皮膚トラブル
褥瘡は「見えている赤み」だけでなく、生活の変化の中で進みます。見落としやすいのは次の点です。
- 寝返りの回数が減っている
- 食欲低下や脱水で皮膚が弱っている
- 発熱や感染症のあとに急に寝ている時間が増えた
- 失禁や発汗で皮膚が湿りやすい
- 介護する側が忙しく、観察の時間が短い
このようなときは、体位変換の方法を見直すだけでなく、在宅医療や訪問看護の力を借りると負担が軽くなる場合があります。全体像は在宅医療・在宅ケアのまとめで整理できます。
在宅医療と褥瘡ケアは、早めにつながるほど組み立てやすい
褥瘡が心配な段階では、「まだ相談するほどでは」と迷う方が多いです。ですが、状態が悪くなってからでは、通院や処置の選択肢が狭くなることがあります。
在宅医療では、医師の診察を前提に、体位の工夫、栄養状態の確認、必要時の処置、訪問看護との連携を組み合わせます。厚生労働省も在宅医療の推進を進めており、介護保険制度の支援と組み合わせる考え方が重要です。
当院の在宅診療の現場から
病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーから紹介を受け、退院前カンファレンスに参加することが多くあります。退院当日から訪問診療を始めるケースもあり、24時間連絡体制で夜間・休日の急変にも備えています。消化器内視鏡やエコーの経験を生かし、栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素にも対応しています。訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所と連携し、たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じています。
受診・相談の目安
次のようなときは、在宅医療や訪問診療への相談を検討してください。
- 仰向けで同じ部位の赤みが繰り返し出る
- 週に1回以上の通院や体位調整の負担が大きい
- 退院後の療養先が決まっていない、または急に決める必要がある
- 家族の付き添いや介護で夜間対応が難しい
- 食事量低下、やせ、むくみがあり皮膚状態も心配
この段階では「まだ相談するほどでは」と感じる方が多いのですが、在宅医療は状態が悪化してからでは選択肢が狭まります。情報だけ聞いてみる、という使い方で構いません。
気になる方は、訪問診療・在宅医療の相談窓口をご覧のうえ、ご予約・お問い合わせからご相談ください。
よくある質問
Q. 仰向けで赤いだけなら、様子を見てもいいですか?
一時的な圧迫で消える赤みなら経過観察になることもありますが、圧を除いても消えない赤みは褥瘡の初期の可能性があります。迷うときは早めに相談してください。
Q. 家でできる対策は何ですか?
体位変換、踵を浮かせる工夫、シーツのしわを減らすこと、皮膚を清潔かつ乾燥しすぎないよう保つことが基本です。無理なマッサージは避けてください。
Q. どのタイミングで訪問看護を使うとよいですか?
赤みが続く、体位変換が難しい、家族だけでは観察が不安、という段階で相談すると組み立てやすいです。医師の診察とあわせて導入を検討します。
Q. 褥瘡があると入院しかありませんか?
いいえ、状態によっては在宅での管理が可能なこともあります。ただし、感染や深い組織障害がある場合などは入院治療が必要になることがあります。
Q. まだ通院できるのですが、在宅医療を考えてもよいですか?
はい。通院できる段階でも、退院支援や将来の備えとして情報収集しておく意味があります。現在のかかりつけ医との関係を続けたまま、併診や引き継ぎを検討できます。
参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医/専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全。略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。 公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
ご家族の通院が難しくなってきた、退院後の療養先に迷っている、自宅でどこまで医療が受けられるか知りたい——そうしたご相談を、たまプラーザで承っています。 ご予約・お問い合わせ からご連絡ください。TEL 045-909-0117(横浜市青葉区)。ご相談の際は、お薬手帳または薬剤情報提供書/医療保険証・各種受給者証/介護保険証・介護保険負担割合証/(お持ちであれば)診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリーをご用意いただくとスムーズです。ご本人が来院できない場合のご相談も承ります。
【ご相談・ご予約はお気軽にどうぞ】
仰臥位での褥瘡が心配なときのご相談・ご予約は、お電話またはWebからどうぞ。
【ご相談時の持参物】 お薬手帳または薬剤情報提供書/医療保険証・各種受給者証/介護保険証・介護保険負担割合証/(お持ちであれば)診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリー
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。