アドバンスケアプランニングとは?私が親と話し合う前に読む
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アドバンスケアプランニングは、将来の病気や体力低下に備えて、ご本人の希望や大切にしたいことを家族や医療者と共有しておく考え方です。元気なうちから始めるほど、いざという時に選択肢を整理しやすくなります。
まず押さえたい基本
アドバンスケアプランニング(ACP)は、日本では「人生会議」とも説明されます。厚生労働省も、人生の最終段階を含む将来の医療・ケアについて、本人・家族・医療者が繰り返し話し合うことを案内しています(厚労省「人生会議(ACP)」)。
大事なのは、延命治療をする・しないを1回で決めることではない点です。たとえば、痛みをどこまで和らげたいか、自宅と施設のどちらを望むか、食事や点滴についてどう考えるか、急変時に救急搬送を望むかなどを、状態に応じて確認していきます。
こう調べ始める方が多い(よくあるきっかけ)
親の変化に気づいて「アドバンスケアプランニングとは何だろう」と調べ始める方は少なくありません。よくあるきっかけは次のようなものです。
- 退院が近づき、家での生活をどうするか急に決める必要が出た
- 通院が増え、家族の付き添いが負担になってきた
- 体力低下や認知機能の変化があり、今後のことが心配になった
- 要介護度5に近い状態になり、できる支援を整理したくなった
介護保険の流れ全体を先に知りたい場合は、申請から利用までの全体像を見ておくと、ACPをどの場面で考えるかがつかみやすくなります。
見分け方・判断の目安
ACPを考える目安は、「今すぐ何かを決める必要があるか」ではなく、話し合いを始める余裕があるうちかどうかです。次の表のように考えると整理しやすいです。
| 状況 | いま考えやすいこと |
|---|---|
| まだ会話や移動ができる | 何を大切にしたいか、希望を書き留める |
| 通院や介護負担が増えてきた | 自宅療養か施設か、支える体制を確認する |
| 入退院を繰り返す | 退院後の療養先や、急変時の対応を相談する |
| 体力低下が進んでいる | 食事、点滴、救急搬送の考え方を共有する |
なお、運動障害とは、立つ・歩く・手を動かすなどの動作がしにくくなる状態を指します。原因は脳卒中、神経疾患、骨折後、筋力低下などさまざまで、原因によって必要な支援が変わります。病名や症状だけで決めつけず、主治医に確認することが大切です。
混同しやすいものとの違い
ACPは、次のような制度や手続きと混同されやすいです。
| 項目 | ACPとの違い |
|---|---|
| 介護保険サービス | 生活支援や通所・訪問サービスを使う制度で、ACPそのものではありません |
| 成年後見制度 | 判断能力が不十分な場合に法的支援を行う制度で、ACPの代わりではありません |
| 事前指示書 | 希望を書面化することはありますが、ACPは繰り返し話し合う過程を含みます |
介護保険サービスの使い方は、要支援2で受けられるサービスを整理した記事も参考になります。ACPは「制度を使う前の考え方」として捉えると分かりやすいでしょう。
家族が見落としがちなポイント
家族が見落としやすいのは、本人の希望が「治療を続けたい」だけでも「家で過ごしたい」だけでもないことです。実際には、痛みを減らしたい、家族に負担をかけたくない、できるだけ慣れた場所で過ごしたい、など複数の思いが重なります。
また、ACPは一度決めたら終わりではありません。体調や生活環境が変われば、話し合いを見直してよいものです。家族だけで抱え込まず、必要に応じて医師、看護師、ケアマネジャー、地域包括支援センターに相談してください。
在宅医療の相談を先に知りたい方は、訪問診療・在宅医療を知るための相談ページも役立ちます。
在宅医療とのつながり
ACPを考えるとき、在宅医療は重要な選択肢の一つです。厚生労働省も在宅医療の推進を進めており、通院が難しくなった方の療養先として自宅や施設での支援が広がっています。
訪問診療は、通院の代わりに医師が定期的に訪問する医療です。急変時は入院が必要になることもありますが、退院後の不安定な時期に備えやすくなります。退院支援では、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーと在宅医がつながると、引き継ぎが円滑です。
とくに、退院日が急に決まり、数日で療養先を決める場面では、在宅医療の基本ガイドを見ておくと整理しやすくなります。
当院の在宅診療の現場から
病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーから紹介を受け、退院前カンファレンスに参加することがあります。退院当日から訪問診療を始めるケースもあり、夜間や休日の急変に備えた24時間連絡体制も整えています。消化器内視鏡やエコーの経験を生かし、栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素にも対応しています。たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じています。
受診・相談の目安
次のようなときは、ACPを含めて相談する目安になります。
- 通院のたびに家族の付き添いが必要で、継続が難しい
- 退院後の療養先がまだ決まっていない
- 食事量が落ち、むせや飲み込みに不安がある
- 急変時に救急搬送するかどうか家族で決めきれない
- 介護や医療の説明が多く、何から優先すべきか分からない
この段階では「まだ相談するほどでは」と感じる方が多いのですが、在宅医療は状態が悪化してからでは選択肢が狭まります。情報だけ聞いてみる、という使い方で構いません。必要であれば、ご予約・お問い合わせからご相談ください。
よくある質問
Q. アドバンスケアプランニングとは、何を決めることですか?
A. 将来の医療やケアについて、「何を大切にしたいか」を共有することです。治療の内容だけでなく、過ごしたい場所や家族への希望も含みます。
Q. 親が元気なうちに話しても早すぎませんか?
A. 早すぎるということはありません。むしろ、状態が落ち着いている時のほうが、本人の考えをゆっくり確認しやすいです。
Q. 家族だけで相談してもよいですか?
A. はい、可能です。本人が来院できない場合でも、まず家族のみで状況整理をする相談は役立ちます。
Q. 施設入居を考えている場合でもACPは必要ですか?
A. 必要になることがあります。住まいが変わっても、急変時の対応や治療の考え方を共有しておく意義はあります。
Q. どこに相談すればよいですか?
A. まずは主治医、地域包括支援センター、ケアマネジャーが相談先になります。必要に応じて在宅医療の相談も組み合わせると、選択肢を整理しやすくなります。
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参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医/専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全。略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。 公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。