喘息と肺炎の違いを、親のせきや息苦しさから考える
高齢者に多い病気と急変のサイン|受診の目安を医師が解説する総合ガイド › 高齢者に多い病気と急変サイン|気づく・見極めるためのまとめ › (本記事)
親御さんのせきや息苦しさが続くと、「喘息なのか、肺炎なのか」と迷うことがあります。見た目だけでは区別しにくいこともありますが、経過や熱、痰、呼吸の苦しさの出方を手がかりに、受診の必要性を考えることはできます。まずは落ち着いて、危険なサインがないかを確認していきましょう。
喘息と肺炎の違いを、最初にひとことで整理すると
喘息は、気道が過敏になって狭くなり、ぜーぜー・ヒューヒューしやすい病気です。いっぽう肺炎は、肺に炎症や感染が起きて、発熱、痰、だるさ、呼吸のしにくさが出やすくなります。
ただし高齢の方では、典型的な症状がそろわないことがあります。熱が高くならない肺炎もあれば、喘息でも強い息苦しさが続くことがあります。診断は診察と必要な検査が前提です。
| 項目 | 喘息で多いこと | 肺炎で多いこと |
|---|---|---|
| きっかけ | ほこり、寒暖差、夜間、運動、風邪の後 | 風邪の後、食べ物の誤嚥、体力低下 |
| せき | 乾いたせきが多い | 痰を伴うことが多い |
| 呼吸音 | ゼーゼー、ヒューヒュー | ゴホゴホ、呼吸が浅い |
| 熱 | ないことも多い | 発熱することがある |
| 経過 | 波がある、夜に悪化しやすい | じわじわ悪化することがある |
喘息や肺炎の見分けで悩むときは、高齢者に多い病気と急変のサイン|相談・依頼するためのまとめ も参考になります。
親のせきや息苦しさで調べ始めるきっかけ
「最近、夜になるとせき込む」「階段で息が上がる」「会話の途中で息継ぎが増えた」など、家族が先に変化に気づくことは少なくありません。
また、風邪が長引いているように見えて、実は肺炎だったということもあります。特に高齢の方では、食事中のむせ、飲み込みにくさ、食欲低下、ぼんやりした様子が手がかりになることがあります。
この段階で、通院が負担になってきた、退院後の見守りが必要そうだと感じたら、訪問診療・在宅医療を知る|相談・依頼するためのまとめ を見ておくと、相談の入口が整理しやすくなります。
喘息と肺炎を見分けるときの目安
見分けのヒントは、症状の組み合わせと時間の経過です。
| 観察のポイント | 喘息を考えやすい場面 | 肺炎を考えやすい場面 |
|---|---|---|
| せきの性質 | 乾いたせき、夜間に悪化 | 痰が増える、痰がからむ |
| 息苦しさ | 発作的に強まる | じわじわ続く |
| 発熱 | 目立たないこともある | ある、または微熱が続く |
| 生活の変化 | しゃべりにくい、横になると苦しい | 食欲低下、元気がない、ぼんやりする |
| 聴こえる呼吸音 | ゼーゼーしやすい | 必ずしも目立たない |
肺炎の背景として、誤嚥や体力低下が関わることがあります。むくみや心不全が気になる場合は、浮腫とは何か、むくみが続く私のための確認ポイント もあわせて確認すると、息苦しさの原因整理に役立ちます。
混同しやすいものとの違いを知っておく
喘息と肺炎は似て見えますが、実際には別の病気です。ただし、心不全や誤嚥性肺炎、気管支炎でもせきや息苦しさが出ます。心不全は、心臓の働きが弱って体に水分がたまりやすくなる状態で、足のむくみや体重増加を伴うことがあります。
高血圧がある方は、日ごろから血圧の変化と体調を一緒に見ておくと、急な変化に気づきやすくなります。観察項目を整理した記事としては、高血圧の症状が気になる私へ、受診の目安を整理 も参考になります。
家族が見落としがちなポイント
高齢の方は、「熱が高くないから大丈夫」「せきが少しあるだけ」と見過ごされやすいです。しかし、肺炎では食欲低下、会話量の減少、普段より眠い、歩くとふらつくといった変化が先に出ることがあります。
また喘息でも、吸入薬の使い忘れや、吸い方がうまくいかず症状が続くことがあります。薬が効いている前提で様子を見るより、使い方も含めて確認した方が安心です。必要に応じて、受診のついでに在宅での見守りや療養体制も相談できます。
在宅医療とのつながり
喘息や肺炎そのものの診断は医師の診察が必要ですが、通院が難しくなってきた方では、在宅医療が療養の選択肢になります。厚生労働省も在宅医療の推進を示しており、介護保険制度や人生会議(ACP)では、本人の意思や生活をふまえた準備の大切さが案内されています。
訪問診療・在宅医療とは何か、最初に知っておきたいこと を確認しておくと、「まだ早いかも」と感じる段階でも、情報収集しやすくなります。
当院の在宅診療の現場から
当院では、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーからの紹介を受け、退院前カンファレンスに参加して在宅への引き継ぎを行っています。退院当日から訪問診療を開始することもあり、24時間の連絡体制で退院直後の不安定な時期の急変にも夜間・休日対応しています。消化器内視鏡やエコーの経験を生かし、栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素まで連携可能です。たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じています。
受診・相談の目安
次のようなときは、早めに医療機関へ相談してください。
- ✔ せきや息苦しさが数日以上続き、以前より悪化している
- ✔ 発熱、痰の増加、食欲低下、ぼんやりした様子がある
- ✔ ゼーゼーが強い、会話が途切れる、横になると苦しい
- ✔ 通院の付き添いが負担になってきた、本人が一人で受診しにくい
- ✔ 退院後の療養先が決まっていない、在宅で見守れるか不安がある
この段階では「まだ相談するほどでは」と感じる方が多いのですが、在宅医療は状態が悪化してからでは選択肢が狭まります。情報だけ聞いてみる、という使い方で構いません。ご相談はご予約・お問い合わせ から承っています。
よくある質問
Q. 喘息と肺炎は、家族だけで見分けられますか?
完全には難しいです。せきの性質、熱、痰、息苦しさの出方は手がかりになりますが、高齢の方では典型的でないことがあります。診察を受けた方が安心です。
Q. 熱がないなら肺炎ではないですか?
いいえ、熱が目立たない肺炎もあります。食欲低下や元気のなさ、呼吸の変化が手がかりになることがあります。
Q. 喘息は高齢者でも起こりますか?
はい、起こります。以前からの持病としてある場合も、新しく症状が出てくる場合もあります。吸入薬の使い方確認も大切です。
Q. どちらか迷うとき、まず何を見ればよいですか?
発熱、痰、息苦しさの強さ、会話のしやすさ、食事中のむせ、普段との違いを見てください。急な悪化や意識がぼんやりする場合は早めの受診が必要です。
Q. 通院が大変になってきたら、在宅医療は相談してよいですか?
はい。かかりつけ医との関係を続けたまま、併診や引き継ぎの形で相談できます。家族のみの相談も可能です。
関連記事
- ✔ 高齢者に多い病気と急変サイン|相談・依頼するためのまとめ
- ✔ 高齢者に多い病気と急変のサイン|受診の目安を医師が解説する総合ガイド
- ✔ 訪問診療・在宅医療を知る|相談・依頼するためのまとめ
- ✔ 訪問診療・在宅医療とは|対象・費用・依頼の流れを医師が解説する完全ガイド
- ✔ 浮腫とは何か、むくみが続く私のための確認ポイント
参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医/専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全。略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。 公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
ご家族の通院が難しくなってきた、退院後の療養先に迷っている、自宅でどこまで医療が受けられるか知りたい——そうしたご相談を、たまプラーザで承っています。 ご予約・お問い合わせ からご連絡ください。TEL 045-909-0117(横浜市青葉区)。ご相談の際は、お薬手帳または薬剤情報提供書/医療保険証・各種受給者証/介護保険証・介護保険負担割合証/(お持ちであれば)診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリーをご用意いただくとスムーズです。ご本人が来院できない場合のご相談も承ります。
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。
ご予約・お問い合わせ