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急変時のDNARを考える前に、家族で確認したいこと

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急変時のDNARを考える前に、家族で確認したいこと

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急変時のDNAR(心肺蘇生を行わないこと)を考える場面では、「延命をあきらめる話なのでは」と不安になりやすいです。ですが、まず大切なのは、ご本人の状態、病気の見通し、急変したときに何を望むのかを家族で共有することです。DNARは医療者と家族だけで決めるものではなく、本人の意思確認を含めて整理していく話し合いです。

急変や受診の見極めをまとめた全体像はこちらも参考にしながら、この記事では「考える前に確認したいこと」を順に整理します。

まず押さえたい基本として、DNARの意味を整理する

DNARは「心停止や呼吸停止が起きたときに、胸骨圧迫や電気ショックなどの心肺蘇生を行わない」という意思表示です。治療全体をやめる、見捨てる、という意味ではありません。
たとえば酸素投与、痛みを和らげる治療、点滴、感染症治療、食事や水分の支え方などは、別に検討されます。ここが誤解されやすい点です。

こう調べ始める方が多いのは、急変が現実味を帯びたとき

次のようなきっかけで、家族が急変時のDNARを考え始めることがよくあります。

  • 何度も入退院を繰り返している
  • 心不全や肺炎を起こしやすいと言われた
  • 食事量が落ち、むせやすくなった
  • 退院が近いが、自宅で急変したときが心配
  • 本人が「もう苦しい処置は望まない」と話し始めた

特に心不全では、病気そのものの進み方により、息切れやむくみを繰り返しながら体力が落ちることがあります。病態生理(病気で体の仕組みがどう変わるか)を知ると、急変の前に何を整えるべきかが見えやすくなります。
また、状態が不安定になる前に情報を集めておくと、在宅医療の基本と依頼の流れを落ち着いて検討しやすくなります。

急変時のDNARを考える前に、見分けておきたい判断の目安

DNARの話し合いは、目の前の1回の出来事だけで決めるより、全体の状態を見て進めます。次の表は、考える際の目安です。

観点 確認したいこと 相談のヒント
体力 以前より歩けない、起きている時間が短い 急変時の対応を具体化しやすい
食事・飲み込み むせる、食べる量が減る 誤嚥性肺炎の予防も含めて整理
呼吸・循環 息切れ、むくみ、動悸が増えた 心不全などの悪化を疑う
本人の希望 「苦しい処置は避けたい」などの発言 ACP(人生会議)の対象
家族の受け止め 連絡体制や同意が分かれていないか 先に家族内で整理する

ACP(人生会議)は、将来の医療やケアについて前もって話し合うことです。厚生労働省も、本人の価値観を共有しておく大切さを示しています。

混同しやすいものとの違いを、急変時のDNARと一緒に確認する

DNARと似ていて、混同されやすいものがあります。

用語 意味 DNARとの違い
DNR/DNAR 心肺蘇生をしない 急変時の蘇生に限定した判断
治療差し控え 侵襲の強い治療を行わないことがある 点滴や酸素などは別に考える
看取り 最期の時期を支えるケア DNARの有無と同義ではない
施設入居 生活の場を変える選択 医療方針の決定とは別

急変時のDNARを考えるとき、「何をしないか」だけでなく「何を続けるか」を確認することが大切です。胸骨圧迫をしない場合でも、苦痛の軽減や家族への説明は続きます。

家族が見落としがちなポイントとして、本人の言葉を急がず拾う

家族は「まだ元気だから早いのでは」と考えやすい一方で、悪化してからでは選べる対応が少なくなることがあります。だからこそ、元気なうち・入院中に退院が見えた段階で整理することが役立ちます。

また、かかりつけ医との関係を断つ必要はありません。併診や引き継ぎは可能です。たとえば退院前カンファレンスに在宅医が加わると、病院での方針が自宅療養にそのままつながりやすくなります。
相談先を探すときは、訪問診療・在宅医療を知るための相談ガイドも参考になります。

当院の在宅診療の現場から

病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーから紹介を受け、退院前カンファレンスに参加することが多くあります。退院当日から訪問診療を始めるケースもあり、特に退院直後の不安定な時期は24時間の連絡体制が重要です。消化器内視鏡やエコーの経験を生かし、在宅での栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素にも対応しています。たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じています。

在宅医療とのつながりを、急変時のDNARと同時に考える

DNARの話し合いは、在宅で過ごすかどうかの検討ともつながります。退院支援では、病院から「自宅か施設か」の二択で示されることがありますが、在宅医療が入ると自宅療養の難易度は下がる場合があります。
ただし、訪問診療なら必ず自宅で最期まで過ごせる、という意味ではありません。 病状によっては入院が必要になることもあります。
在宅医療全体の制度や役割は、厚生労働省の在宅医療の推進で確認できます。介護保険の使い方は厚生労働省の介護保険制度が参考になります。

受診・相談の目安

次のような場合は、急変時のDNARも含めて主治医や在宅医療の相談先に確認するとよいです。

  • 入退院を繰り返し、今後の見通しが分かりにくい
  • 退院後の療養先がまだ決まっていない
  • 家族の付き添いや通院介助が難しくなってきた
  • 本人の希望を家族だけでは整理しきれない
  • 自宅での急変対応や連絡先を具体的に決めたい

この段階では「まだ相談するほどでは」と感じる方が多いのですが、在宅医療は状態が悪化してからでは選択肢が狭まります。情報だけ聞いてみる、という使い方で構いません。
必要であれば、ご予約・お問い合わせからご相談ください。

よくある質問

Q. DNARがあると、治療は何もしてもらえないのですか?

いいえ、そうではありません。DNARは主に心肺蘇生を行わない意思表示であり、酸素、痛みの緩和、感染症の治療、栄養や水分の支え方などは別に検討します。

Q. 本人がまだ元気でも、急変時の話し合いをしてよいですか?

はい。むしろ元気なうちのほうが、本人の希望を落ち着いて確認しやすいです。ACP(人生会議)の考え方に沿って進めると整理しやすくなります。

Q. 家族だけで相談しても大丈夫ですか?

ご本人が来院できない場合でも、家族のみの相談は可能です。本人の意思が分かるメモや過去の発言があると、話し合いの助けになります。

Q. 施設入居を考えていても相談できますか?

はい。自宅、施設、入院のどれかを無理に勧めるものではありません。選択肢を並べて、何が現実的かを一緒に整理するための相談です。

Q. 退院が急に決まったときも間に合いますか?

状況によりますが、退院当日からの訪問診療開始に対応できる場合もあります。退院前カンファレンスで早めに共有すると、引き継ぎが円滑になります。


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参考文献・出典

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全。
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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