膵臓がんとは|症状・検査・治療・生活までを医師監修で解説する総合ガイド
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膵臓がん(すい臓がん/膵がん)は、早期には自覚症状がほとんど現れないため、発見時にすでに進行していることが多いがんです。国立がん研究センターがん情報サービスの統計(2022年データ)によると、膵がんの全ステージを合わせた5年相対生存率は10〜15%前後とされており、がんのなかでも予後が厳しい疾患の一つとして知られています。ただし、この数値はあくまで統計上の集団データであり、個々の患者さんの状況に直接あてはまるものではありません。
このページは、膵臓がんについて初めて向き合う患者さんとご家族のために、症状・検査・ステージ・治療・副作用・生活・サポートまでを体系的に整理した総合ガイドです。各トピックの詳細は、リンク先のサブページで深く解説しています。判断・治療方針はかならず主治医・専門医とご相談ください。
膵臓がんとは何か|膵がん・すい臓がんの基本を医師監修で整理
膵臓の役割と、がんができる仕組み
膵臓は胃の裏側に位置する細長い臓器で、外分泌機能(消化酵素を十二指腸へ分泌)と内分泌機能(インスリン・グルカゴンなどのホルモンを血液中へ分泌)の2つの役割を担います。膵臓がんの多くは、消化液を運ぶ導管(膵管)を覆う上皮細胞が悪性化した膵管腺がん(腺がん)で、全膵臓がんの90%以上を占めます。
膵臓の基礎的な仕組みや、がんとの関係については「膵臓とは?がんとの関係もわかる基礎知識」で詳しく解説しています。
膵がんと膵内分泌腫瘍の違い
内分泌細胞(ランゲルハンス島)から発生する「膵内分泌腫瘍(PNETs)」は、一般的な膵管腺がんとは生物学的な特性が大きく異なります。進行が緩やかなことが多く、予後も相対的に良好な場合があります。診断・治療方針が異なるため、病理検査で正確に区別することが重要です。
膵体部癌・膵尾部癌など部位による違い
膵臓は解剖学的に「頭部・体部・尾部」に分けられます。
| 部位 | 発生率 | 特徴的な症状 |
|---|---|---|
| 膵頭部 | 約60〜70% | 黄疸(胆管圧迫)が比較的早期に出やすい |
| 膵体部(膵体部癌) | 約15〜20% | 症状が乏しく発見が遅れやすい |
| 膵尾部 | 約10〜15% | 脾臓に近いため転移リスクあり、症状が乏しい |
いずれも発見が遅れやすいですが、頭部は黄疸を手がかりに比較的早期に気づかれる場合があります。
このページでわかることと、まず押さえたい前提
本ガイドは一般的な医学情報の提供を目的としています。記載する統計・分類は2025年7月時点の公的情報(国立がん研究センター・日本癌治療学会ガイドライン等)に基づきますが、個別の状況は必ず主治医にご確認ください。
膵臓がんの症状・初期サイン
初期に出やすい症状と見逃しやすい理由
膵臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれます。初期段階では腹部の深い場所にあるため、他の臓器に圧迫が生じるまで自覚症状が現れにくく、健診でも描出が難しい臓器です。
腹痛・背中の痛み・黄疸・体重減少などの代表的なサイン
代表的な症状として以下が挙げられます。
- みぞおちの痛み・鈍痛
- 背中の痛み(神経や後腹膜への浸潤)
- 黄疸(皮膚・白目が黄色くなる)、褐色尿、灰白色便
- 体重減少・食欲不振
- だるさ・倦怠感
背中の痛みや膵臓が悪いときに出やすい症状については、「膵臓が悪いと出る症状とは?背中の痛みや初期サイン」も参考にしてください。詳しくは膵臓がんの症状・初期サインのサブガイドをご覧ください。
糖尿病の悪化や急な血糖変化に気づくポイント
もともと糖尿病のなかった方での急な血糖上昇、または既存の糖尿病が突然コントロールしにくくなった場合は、膵臓の機能低下を示している可能性があります。糖尿病の新規発症が膵臓がんの発見のきっかけになるケースも報告されています。
受診を急いだほうがよい症状
黄疸・急激な体重減少(1〜2ヶ月で3kg以上)・持続する腹痛や背部痛がある場合は、早めに消化器内科を受診することをお勧めします。
膵臓がんの検査・診断
問診・診察で確認すること
受診時は、症状の経過・糖尿病の有無・喫煙歴・家族歴・飲酒歴などを詳しく問診します。
血液検査と腫瘍マーカーの位置づけ
腫瘍マーカー(腫瘍が産生するタンパク質の血中濃度を調べる検査)としてCA19-9とCEAが代表的です。ただし、腫瘍マーカーだけで診断は確定できません。CA19-9は早期では上昇しないこともあり、他の疾患でも上昇する場合があります。あくまで画像検査・病理検査と組み合わせて総合的に判断します。
画像検査(超音波・CT・MRI・EUSなど)の役割
| 検査 | 特徴 |
|---|---|
| 腹部超音波(エコー) | 低侵襲で最初のスクリーニングとして使用 |
| CT(造影CT) | 腫瘍の位置・大きさ・血管との関係を評価 |
| MRI/MRCP | 胆管・膵管の詳細な描出 |
| EUS(超音波内視鏡) | 小さな病変や膵管の変化を高精度に描出 |
| ERCP | 膵管・胆管を直接造影、組織採取も可能 |
検査の詳細は「膵臓癌の検査には何がある?腫瘍マーカーや血液検査」と膵臓がんの検査・診断サブガイドで整理しています。
生検・病理検査が必要になるケース
治療方針を決定するためには、腫瘍組織を採取して顕微鏡で確認する病理診断が必要です。EUSガイド下生検やERCPによる膵液細胞診などが選択されます。
膵腫瘤疑いと言われたときの流れ
健診や他の検査で「膵腫瘤疑い(膵臓に腫れがある可能性)」と指摘された場合は、専門医による精密検査が必要です。焦らず、まず消化器内科・消化器外科へご相談ください。
膵臓がんの検診・予防・リスク
検診で見つけにくい理由と考え方
膵臓は胃や腸の後ろ側に位置しており、一般的な人間ドック・健診では描出が難しい臓器です。現時点で、対策型検診(国が推奨する標準的ながん検診)として膵臓がん単独の検診プログラムは設けられていません。
リスク要因として知られるもの
膵臓がんのリスク要因として報告されているものには以下があります(国立がん研究センター情報サービス参照)。
- 喫煙(最も強いリスク要因の一つ)
- 慢性膵炎
- 糖尿病(特に2型)
- 肥満
- 飲酒(慢性膵炎を介した間接的な影響)
- 膵嚢胞性病変(IPMNなど)
詳しくは「膵臓がんの原因とは?予防につながるリスクの考え方」と膵臓がんの検診・予防・リスクサブガイドをご参照ください。
家族歴・遺伝の関わり
膵臓がんは一部に遺伝的素因が関わる場合があります。2親等以内に2人以上の膵臓がん患者がいる「家族性膵がん」では、リスクが高まるとされています。BRCA2遺伝子変異などとの関連も報告されています。
生活習慣で意識したい点
禁煙・節酒・適正体重の維持が、現時点でリスク軽減につながると考えられています。ただし「これをすれば必ず防げる」という方法はなく、リスクを下げる努力と定期的な受診を組み合わせることが大切です。
膵臓がんのステージ・分類・進行度
ステージの考え方とTNM分類の基本
膵臓がんの進行度は、国際的にTNM分類(T:腫瘍の大きさ・広がり、N:リンパ節転移、M:遠隔転移)に基づいて評価されます。日本では日本膵臓学会の分類も用いられています。
| ステージ | 大まかな状態 |
|---|---|
| IA・IB | 膵臓内に限局(手術適応が多い) |
| IIA・IIB | 近傍リンパ節への転移あり |
| III | 主要血管への浸潤あり(切除困難) |
| IV | 遠隔転移あり(肝・肺・腹膜など) |
進行度によって治療方針がどう変わるか
手術による切除が根治を目指す唯一の方法ですが、切除可能かどうかはステージと血管浸潤の程度によって判断されます。切除困難例では薬物療法・放射線治療が中心となります。
転移の有無と臓器別の見方
膵臓がんは肝臓・腹膜・肺などへ転移しやすい特徴があります。転移の詳細は膵臓がんの再発・転移サブガイドで解説しています。また「膵臓癌ステージ4とは?末期の治療と向き合い方」も参考にしてください。
ステージだけで予後を判断できない理由
統計上の生存率はあくまで集団データです。同じステージでも、腫瘍の生物学的特性・体力・併存疾患・治療への反応性によって経過は異なります。詳細は膵臓がんのステージ・分類・進行度サブガイドをご覧ください。
膵臓がんの治療の選択
治療の基本方針を決める要素
治療方針は、①腫瘍の切除可能性、②ステージ、③患者さんの全身状態(PS:パフォーマンスステータス)、④本人の希望を総合的に考慮して決定されます。
手術・薬物療法・放射線治療の使い分け
| 治療法 | 主な対象 |
|---|---|
| 手術(外科的切除) | 切除可能例 |
| 薬物療法(抗がん剤) | 切除不能例・術後補助療法・術前化学療法 |
| 放射線治療 | 局所進行例・症状緩和 |
| 緩和ケア | すべてのステージで並行して提供 |
複数の治療を組み合わせる考え方
手術と薬物療法の組み合わせ(術前化学療法・術後補助化学療法)や、放射線と薬物療法の同時併用などが状況に応じて検討されます。
セカンドオピニオンを検討する場面
治療方針に迷う場合や、切除可能かどうかの判断が難しい場合は、別の専門医の意見(セカンドオピニオン)を求めることができます。これは主治医への不満ではなく、患者さんの権利です。
詳しくは膵臓がんの治療の選択サブガイドをご覧ください。
膵臓がんの手術
手術の対象となる条件
主要な動脈(腹腔動脈・上腸間膜動脈など)への浸潤がなく、遠隔転移がない「切除可能」と判断された場合に手術が検討されます。
膵頭部・膵体部・膵尾部で異なる術式
| 部位 | 代表的な術式 |
|---|---|
| 膵頭部 | 膵頭十二指腸切除術(PD/Whipple法) |
| 膵体部・膵尾部 | 膵体尾部切除術(DP)、脾合併切除を伴うことも |
| 膵全体 | 全膵切除術(まれ) |
手術の詳細は「膵臓がん手術の方法と受けられる条件を解説」と膵臓がんの手術サブガイドで確認できます。
手術で期待されることと限界
外科的切除は現時点で根治を目指す唯一の手段ですが、術後も再発リスクがあるため、補助化学療法が標準的に実施されます。「膵臓癌は完治した人がいる?治療の考え方を整理」も参考にしてください。
膵臓がんの薬物療法・抗がん剤
薬物療法が使われる場面
切除不能例の主たる治療として、また術後補助療法・術前化学療法としても使用されます。
代表的な抗がん剤治療の考え方
現在の標準治療として、ゲムシタビン+ナブパクリタキセルやFOLFIRINOX療法(フォルフィリノックス:フルオロウラシル・ロイコボリン・イリノテカン・オキサリプラチンの4剤併用)が広く用いられています。患者さんの体力・臓器機能に応じて選択されます。
詳細は「膵臓がんの抗がん剤治療の基本と副作用を解説」と膵臓がんの薬物療法・抗がん剤サブガイドをご覧ください。
膵臓がんの放射線治療
放射線治療が検討される場面
局所進行例(切除困難だが遠隔転移がない場合)や、疼痛緩和(骨転移など)を目的として行われることがあります。「膵臓がんの骨転移とは?症状と治療の考え方」も参考にしてください。
薬物療法との併用について
化学放射線療法(放射線治療と抗がん剤の同時併用)が、局所進行例の一部で選択されます。体への影響(吐き気・消化器症状・倦怠感)が重なるため、副作用管理が重要です。
膵臓がんの免疫療法・先進医療
現在の標準治療との違い
免疫療法や先進医療に分類される治療の一部は、標準治療(保険診療の範囲で科学的根拠が確立した治療)とは区別されます。現時点で膵臓がんに対してPD-1/PD-L1阻害薬(免疫チェックポイント阻害薬)の保険適用は限定的であり、MSI-High(マイクロサテライト不安定性が高い)など特定の条件を満たす場合に限られます。
科学的根拠のある治療と、慎重に考えるべき治療
「免疫療法」と称する自由診療のなかには、科学的根拠(エビデンス)が確立していないものも多く存在します。費用が高額になるケースもあり、主治医との相談なしに選択することは慎重にお考えください。詳細は「膵臓がんの先進医療とは?内容と受け方を解説」と膵臓がんの免疫療法・先進医療サブガイドをご覧ください。
膵臓がんの副作用・合併症ケア
治療中に起こりやすい副作用
薬物療法では、吐き気・食欲低下・末梢神経障害(手足のしびれ)・骨髄抑制(白血球・血小板の減少)などが起こりうります。手術後は膵液瘻(すいえきろう)・消化吸収障害・糖尿病の悪化などに注意が必要です。
胆道閉塞・膵液分泌低下・糖尿病への対応
黄疸が生じた場合は胆管ステントを留置して胆汁の流れを確保する処置(ERCP・PTCD)が必要になることがあります。消化酵素の補充(消化酵素薬)やインスリン療法も検討されます。
下痢が続く場合の対処法は「膵臓がんで下痢が続くときの原因と対処法」を参考にしてください。副作用全般は膵臓がんの副作用・合併症ケアサブガイドで詳しく解説しています。
膵臓がんの再発・転移
再発とは何か、転移とは何か
再発は、治療後に腫瘍が再び増殖すること。転移は、原発巣から離れた臓器(肝臓・肺・腹膜・リンパ節など)に広がること。どちらも検査(CT・血液検査)による定期フォローアップで確認します。
再発後に選ばれる治療
初回治療の種類・治療からの期間・全身状態を考慮して、薬物療法のレジメン変更や緩和ケアが検討されます。
膵臓がんの生存率・予後・余命
公的統計の見方と注意点
国立がん研究センターの全国がん登録データによると、膵がんの5年相対生存率(2013〜2015年診断例)は約12〜13%前後(全ステージ合計)とされています。一方、ステージIの切除可能例では5年生存率が30〜40%台に達するとの報告もあります。
余命に関する情報を読むときの注意
統計は過去のデータに基づいており、現在の治療成績はそれより改善している可能性があります。また、余命の数字はあくまで集団の統計値であり、個々の患者さんに直接あてはまるものではありません。詳しくは「膵臓がんの余命の考え方と主治医への相談ポイント」と膵臓がんの生存率・予後・余命サブガイドをご覧ください。
膵臓がんと生活|食事・仕事・運動・日常の工夫
食事で意識したいこと
消化酵素の分泌が低下している場合、消化の良い食事・少量頻回摂取が助けになります。医師・管理栄養士と相談しながら調整してください。
仕事や家事を続けるときの工夫
治療の種類・副作用の程度によって、就労継続の可否や配慮の内容は異なります。がん相談支援センターや社会保険労務士への相談も選択肢の一つです。
痛みやだるさがあるときの過ごし方
痛みは我慢せず緩和ケアチームに伝えることが重要です。早期からの緩和ケア併用が、生活の質(QOL)の維持に役立つことが示されています。
膵臓がんの心理・家族・サポート
診断直後に起こりやすい気持ちの変化
診断後に不安・怒り・悲しみ・混乱を感じることは自然な反応です。心理的なサポートを受けることは、治療を続けるうえでも重要です。
「夫が膵臓癌になりました」と検索した方へ
パートナーや家族のがん診断は、介護する側にも大きなストレスをもたらします。一人で抱え込まず、がん相談支援センター・患者会・地域の支援機関を積極的にご活用ください。「膵臓がんの体験談ブログから学ぶ心の支え方」も参考になります。
支援全般については膵臓がんの心理・家族・サポートサブガイドをご覧ください。
膵臓がんの費用・医療費制度
治療費の考え方と、費用が変わる要因
入院・手術・薬物療法など、治療内容・施設・期間によって費用は大きく異なります。おおよその目安として、手術を伴う入院は数十〜百万円以上になる場合があります(保険適用前)。
高額療養費制度などの公的支援
医療費が一定額を超えた場合、自己負担を軽減する「高額療養費制度」が利用できます。申請は健康保険組合・協会けんぽ・市区町村窓口で行います。
医療ソーシャルワーカーへの相談
費用・制度・生活の不安は、医療ソーシャルワーカー(MSW)に相談することで、適切な制度の案内を受けることができます。
当院での診療から
AIプラスクリニックたまプラーザは、消化器内視鏡センターを備え、鎮静下での胃・大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。腹部エコーで膵臓の描出異常・膵腫瘤疑いを認めた際は、速やかに大学病院・がん診療連携拠点病院へ紹介し、地域連携クリティカルパスを活用した術後フォローを担当しています。監修医の佐藤靖郎医師は、厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員を務めており、地域連携の実務に精通しています。また在宅療養支援診療所として、在宅緩和ケア・看取りにも対応しており、治療の各段階で患者さんとご家族に寄り添う体制を整えています。「画像で膵臓に異常を指摘された」「腫瘍マーカーの結果が気になる」「どこに相談すればよいかわからない」といった場合もお気軽にご相談ください。
受診・相談の目安
すぐに受診を考えたい症状
以下の症状がある場合は、早めに消化器内科・外科を受診してください。
- 皮膚や白目が黄色くなった(黄疸)
- 1〜2ヶ月で3kg以上の体重減少
- みぞおち〜背中にかけての持続する痛み
- 原因不明の食欲不振・だるさ
健診異常や画像で異常を指摘されたとき
「膵腫瘤疑い」「膵管拡張」「嚢胞あり」などの所見を指摘された場合は、放置せず専門医に相談してください。
家族歴があり不安なとき
2親等以内に膵臓がん患者が複数いる場合は、遺伝カウンセリングや定期的な画像検査(EUSやMRI)を専門医に相談することが選択肢になります。
迷ったときの相談先の考え方
「どこに相談すればよいかわからない」場合は、まずかかりつけ医や地域のがん相談支援センター(がん診療連携拠点病院に設置)にご連絡ください。当院へのご相談も歓迎しています。ご予約はこちらからどうぞ。
よくある質問(FAQ)
膵臓がんは初期症状が少ないのですか
はい、膵臓は腹部の深い場所にあり、早期には痛みや黄疸などの明確なサインが出にくいことが多いです。そのため発見時に進行していることが多く、定期的な健診と気になる症状があれば早めに受診することが大切です。
すい臓がんは検査で見つけにくいのでしょうか
一般的な健診(胸部X線・血液検査など)では膵臓がんを発見することは難しく、腹部エコーでも描出が困難な場合があります。精密検査としてCT・EUS・MRCPなどが有効ですが、これらは症状や所見があって初めて実施される検査です。高リスク者では専門医への相談が重要です。
腫瘍マーカーだけで診断できますか
できません。CA19-9などの腫瘍マーカーは診断の補助情報として用いますが、早期には上昇しないこともあり、良性疾患でも上昇することがあります。画像検査・病理検査と組み合わせて総合的に判断する必要があります。
膵臓がんは転移しやすいのでしょうか
膵臓がんは発見時に転移(特に肝臓・腹膜・リンパ節)を伴うことが多く、転移しやすいがんの一つです。早期発見・早期治療が予後に影響するため、リスクのある方は定期的な検査が重要です。
余命や生存率はどの程度参考になりますか
統計データはあくまで過去の集団を対象にした数値であり、個々の患者さんに直接あてはまるものではありません。治療法の進歩により現在の成績は向上している場合もあります。ご自身の予後については、主治医に直接ご確認いただくことをお勧めします。
標準治療以外の免疫療法は選べますか
科学的根拠が確立した治療(標準治療)を基本としつつ、条件を満たす場合に臨床試験や一部の保険適用免疫療法が選択肢になります。自由診療の免疫療法は費用・効果・安全性の面から慎重な検討が必要です。主治医に相談のうえ判断してください。
家族に同じ病気がある場合はどうしたらよいですか
2親等以内に膵臓がんの患者が複数いる場合は、遺伝カウンセリングの受診と専門医への相談をお勧めします。遺伝子検査や定期的な画像監視(サーベイランス)が推奨される場合があります。まずはかかりつけ医か消化器専門医にご相談ください。
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参考文献・出典
- 国立がん研究センター がん情報サービス「膵臓がん」
- 国立がん研究センター がん統計(全国がん登録)
- 厚生労働省 がん対策
- 日本癌治療学会 がん診療ガイドライン
- Minds ガイドラインライブラリ(日本医療機能評価機構)
- 日本臨床腫瘍学会
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお) 医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医 専門: 消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。