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膵臓がん手術の方法と受けられる条件を解説






膵臓がん手術の方法と受けられる条件を解説|医師監修で解説


膵臓がん手術の方法と受けられる条件を解説

膵臓がんとは|症状・検査・治療・生活までを医師監修で解説する総合ガイド膵臓がんの手術|押さえておきたい要点を医師監修で解説 › (本記事)

膵臓がんの手術は、がんの位置・進行度・周囲の血管への広がり・全身状態によって適応が判断されます。手術が可能と判断されれば根治(治癒を目指した治療)を目指すことができる一方、切除が難しいと判断される場合も少なくありません。この記事では、主な手術の方法・手術を受けられる条件・手術ができない場合の考え方を、公的診療ガイドラインをもとにわかりやすくまとめています。まずは全体像を把握し、主治医との話し合いに役立ててください。

膵臓がんの手術はどんな治療か

手術の目的と、がんを切除する意味

膵臓がんの治療において、手術(外科的切除)は現時点で根治を目指せる中心的な手段です。がんを含む膵臓の一部または全部を切除し、リンパ節や周囲の組織も合わせて取り除くことで、体内のがん細胞をできる限り除去することを目的とします。

ただし、切除できたとしても再発の可能性があるため、多くの場合は手術後に薬物療法(抗がん剤)を組み合わせる治療が行われます。

手術が治療の中心になりやすい病期

日本膵臓学会の分類では、がんの進行度(ステージ)や主要血管への浸潤(がんが血管に広がっている状態)の有無によって、「切除可能」「切除可能境界」「切除不能(局所進行)」「切除不能(遠隔転移あり)」に分類されます。手術が第一選択になりやすいのは「切除可能」と判断された段階です。「切除可能境界」の場合は、手術前に薬物療法を行って縮小を図るケースもあります(国立がん研究センター がん情報サービス, 2024年更新)。

膵臓がんで受けられる主な手術の方法

膵頭十二指腸切除術

膵臓の頭部(膵頭部)にがんがある場合に行われる手術で、膵頭部・十二指腸・胆管の一部・胆嚢などをまとめて切除します。切除後は消化液の流れを再建するため、複数の吻合(ふんごう:腸管をつなぎ合わせること)が必要な、技術的に難度の高い手術です。手術時間は6〜10時間程度になることも少なくありません。

膵体尾部切除術

膵臓の体部〜尾部にがんがある場合に行われます。脾臓(ひぞう)を同時に切除することが多く、膵頭十二指腸切除術と比較すると再建の必要がない分、手術の工程がやや少なくなります。腹腔鏡(内視鏡的に行う低侵襲手術)で行われるケースも増えています。

膵全摘術

膵臓全体を切除する手術で、がんが膵臓全体に及んでいる場合や、部分切除では切除断端(切り取った端の部分)にがんが残る場合などに選択されます。膵臓をすべて取り除くため、インスリン(血糖を下げるホルモン)と膵酵素(消化液)が一切分泌されなくなり、術後は厳格な血糖管理と消化酵素の補充が生涯にわたり必要になります。

そのほかの手術や、体への負担を抑える工夫

ロボット支援手術や腹腔鏡手術は、体への負担(侵襲)を抑えられる可能性があり、一部の施設・条件下で行われています。ただし、保険適用の範囲や施設によって実施状況が異なるため、担当医に確認することが重要です。

膵臓がん手術を受けられる条件

がんの広がりと切除可能性

分類 主な特徴 手術の方向性
切除可能 主要血管への明らかな浸潤なし、遠隔転移なし 手術が第一選択
切除可能境界 主要血管に一部接しているが浸潤は限定的 術前治療後に手術を検討
切除不能(局所進行) 主要血管に大きく浸潤し切除困難 薬物療法・放射線療法が中心
切除不能(遠隔転移) 肝臓・肺・腹膜など他臓器に転移あり 薬物療法が中心

重要な血管への広がりと手術適応

膵臓は上腸間膜動脈(じょうちょうかんまくどうみゃく)・腹腔動脈(ふくくうどうみゃく)・門脈などの主要血管と隣接しています。これらの血管にがんが広く浸潤している場合は、切除しても根治が見込めないと判断されることが多く、手術適応から外れる場合があります。ただし、施設によっては血管合併切除・再建を含む拡大手術を行うケースもあり、専門施設での評価が重要です。

全身状態や年齢、合併症の確認

手術の適応は、がんの進行度だけでなく患者さんの全身状態(PS:パフォーマンスステータス)、心肺機能、腎機能、糖尿病や肝硬変などの合併症の状況によっても判断されます。高齢であっても全身状態が良好であれば手術が検討されることがあり、一方で若くても全身状態が不良であれば適応外となる場合があります。

膵臓癌手術ができないといわれるのはどんなときか

切除が難しい主な理由

  • 主要血管(上腸間膜動脈・腹腔動脈など)への広範な浸潤
  • 肝臓・肺・腹膜・遠隔リンパ節などへの遠隔転移
  • 腹水(おなかに水がたまっている状態)の存在
  • 全身状態が手術に耐えられないと判断される場合

手術以外の治療を検討するケース

手術ができないと判断された場合でも、治療の選択肢がなくなるわけではありません。薬物療法(抗がん剤)・放射線療法・緩和ケアなどを組み合わせることで、症状の緩和やQOL(生活の質)の維持を目指すことができます。膵臓がんの手術費用や他の治療選択肢については、手術費用の目安と保険制度もあわせてご覧ください。

手術の前に行う検査と準備

画像検査で確認すること

CT(造影CT)・MRI・超音波内視鏡(EUS:内視鏡の先端に超音波装置をつけてがんの状態を詳しく調べる検査)・PET-CTなどを組み合わせて、がんの位置・大きさ・血管への浸潤・転移の有無を評価します。これらの画像情報が手術適応の判断の土台になります。

術前評価と栄養状態の確認

血液検査・呼吸機能検査・心電図などで全身状態を評価します。膵臓がんでは食欲低下・消化吸収障害による栄養不足が起こりやすく、栄養状態が不良な場合は術前から栄養療法を行い、体力を整えてから手術に臨む場合があります。

手術前後に起こりやすい合併症への備え

膵臓の手術後には、縫合不全(吻合部がうまくつながらない状態)・膵液瘻(すいえきろう:膵液が漏れ出す状態)・感染症・血糖コントロール不良などの合併症が起こることがあります。担当医からの説明を十分に受け、疑問点は手術前に確認しておくことが大切です。

手術後の生活で知っておきたいこと

入院期間や回復の目安

膵頭十二指腸切除術では、合併症がなければ術後2〜4週間程度の入院が一般的です。退院後も外来でのフォローが続きます。

食事、血糖管理、膵酵素補充が必要になること

切除範囲によって、インスリン分泌能・消化酵素分泌能が低下または消失します。食後高血糖の管理や、市販・処方の膵消化酵素薬の内服が必要になる場合があります。食事は少量頻回から始め、栄養士と連携しながら徐々に慣らしていきます。

再発予防のための追加治療

切除後の術後補助化学療法(手術後に行う抗がん剤治療)は、再発リスクを下げる可能性が示されており、多くの場合で推奨されています(日本臨床腫瘍学会のガイドラインに基づく)。具体的な薬剤や期間は主治医と相談して決定します。

当院での診療から

主治医と相談しながら手術適応を判断する流れ

当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備え、鎮静下での胃・大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。膵臓がんを疑う所見が見つかった場合、または他院で膵臓がんと診断された場合には、地域連携クリティカルパス(診療連携の仕組み)を活用して、速やかに手術対応可能な基幹病院へご紹介しています。手術後のフォローアップ(採血・画像管理・栄養状態の確認など)は当院でも担当し、患者さんが安心して地域で療養を続けられるよう連携しています。また、在宅療養支援診療所として在宅緩和ケアや看取りにも対応しており、治療のどの段階においてもご本人とご家族を継続的にサポートできる体制を整えています。

セカンドオピニオンで確認したいポイント

「手術できない」と言われた場合、別の専門施設でセカンドオピニオン(第二の意見)を求めることは、患者さんの正当な権利です。特に「切除可能境界」の判定は施設や専門医によって判断が異なる場合もあるため、膵臓外科・肝胆膵外科の専門施設での確認が有益なことがあります。

公的データからみる膵臓がん手術

膵臓がん治療で手術が位置づけられる理由

国立がん研究センター「がん情報サービス」によれば、膵臓がんの治療は手術・薬物療法・放射線療法が主な柱とされており、現時点で根治を目指せる可能性があるのは外科的切除に限られています。一方、診断時に手術可能な状態の患者さんは全体の約10〜20%程度とされており、早期発見の難しさが課題であることが示されています。

統計を見るときの注意点

生存率や予後の統計は、過去の多数の患者データの集計であり、個々の患者さんに当てはまるものではありません。年齢・全身状態・治療内容・腫瘍の特性など多くの要因が影響するため、数字をそのまま自分に当てはめず、担当医に個別の状況を確認するようにしてください。

受診・相談の目安

どんな症状や検査結果で相談すべきか

以下に該当する場合は、早めに消化器内科または消化器外科に相談することをおすすめします。

  • 原因不明の体重減少・食欲低下が続いている
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)・褐色尿が現れた
  • 背部痛や腹部の鈍痛が続く
  • 健診や他の検査で膵臓の異常(嚢胞・腫瘤・主膵管拡張など)を指摘された
  • 糖尿病が急激に悪化した

「手術できない」と言われたときに確認したいこと

  • 手術できない理由(血管浸潤か、転移か、全身状態か)を具体的に確認する
  • 「切除可能境界」の場合、術前治療後に再評価の可能性があるか確認する
  • 別の専門施設でのセカンドオピニオンを希望する意向を伝えてよいことを知っておく

受診・ご相談のご予約はこちらからお気軽にどうぞ。

よくある質問(FAQ)

膵頭十二指腸切除術の体験談は参考になる?

患者さんの体験談は、手術への不安を和らげたり、術後の生活をイメージしたりする上で参考になることがあります。ただし、がんの状態・手術の内容・術後経過は個人差が大きいため、体験談を自分の状況に直接当てはめるのは難しい面もあります。体験談は「参考の一つ」として活用しつつ、具体的な疑問は必ず担当医に確認することが大切です。

高齢でも膵臓がん手術は受けられる?

年齢そのものが手術の絶対的な禁忌(してはいけない理由)になるわけではありません。心肺機能・腎機能・栄養状態などの全身状態を総合的に評価して判断されます。70〜80歳代で手術を受けるケースも実際にあります。担当医との丁寧な話し合いが重要です。

手術したら必ず治るの?

手術は根治を目指せる可能性がある治療ですが、「必ず治る」とは言えません。術後の再発リスクがあるため、術後の補助化学療法や定期的な画像検査による経過観察が重要です。治療の目標や見通しについては、担当医に率直に確認してみましょう。

余命や生存率はどこまで参考にしてよい?

生存率の統計はあくまで過去データの集計であり、個々の患者さんの予後を示すものではありません。治療の進歩により統計は変化し続けており、過去のデータが現在にそのまま当てはまるとは限りません。統計数値に振り回されず、現在の状態と治療方針を担当医と一緒に確認することを優先してください。

手術以外に選択肢はある?

あります。薬物療法(FOLFIRINOX療法・ゲムシタビン+nab-パクリタキセル療法など)・放射線療法・緩和ケアなどが状況に応じて選択されます。また、臨床試験(治験)への参加という選択肢もあります。膵臓がんの治療全体の選択肢については、膵臓がんの全体像をまとめた総合ガイドもご参照ください。

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参考文献・出典

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)

医師・医学博士/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医

専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

【略歴】

1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

【公的役割】

厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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