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膵臓癌は完治した人がいる?治療の考え方を整理






膵臓癌は完治した人がいる?治療の考え方を整理|医師監修で解説


膵臓癌は完治した人がいる?治療の考え方を整理

「膵臓がんで完治した人はいるのか」という疑問は、診断を受けた方やご家族にとって、とても切実な問いです。結論から言えば、膵臓がんで治療後に長期生存している方は実際に存在します。ただし、その条件や可能性は病期(ステージ)・腫瘍の状態・体力など個人差が大きく、すべての方に同じ見通しが当てはまるわけではありません。本記事では、公的データをもとに膵臓がんの治療成績を整理しながら、「完治」への考え方と治療選択の視点をわかりやすく解説します。治療方針の決定は必ず主治医・専門医とのご相談のうえで行ってください。


膵臓がんで「完治した人」はいるのか

「完治」と「治る」をどう考えるか

医学的に「完治」という言葉に明確な定義はなく、一般には「治療後に再発・転移がない状態が長期間続いている」ことを指す場合が多いです。膵臓がんでは治療後も一定期間の経過観察が続くため、「いつ完治と言えるか」は主治医と継続的に確認していく性質のものです。「再発がなく日常生活を送っている」状態を目指すという意味では、完治を現実的な目標として掲げることは可能です。

まず知っておきたい膵臓がん治療の基本

膵臓がん(膵がん)は、膵臓の外分泌組織から発生する悪性腫瘍です。発見時にすでに進行していることが多く、早期発見が難しいことが治療成績に影響しています。治療の柱は手術(外科的切除)・抗がん剤・放射線治療であり、病期や全身状態に応じて組み合わせが検討されます。膵臓がんの全体像については膵臓がんの総合ガイドもあわせてご覧ください。


膵臓がんは本当に治るのか?公的データで見る現実

膵臓がんの生存率・治療成績の見方

国立がん研究センター がん情報サービスが公表するデータ(2024年時点の最新集計)によると、膵臓がんの5年相対生存率は全病期合計で約14〜15%とされています。一方で、病期(ステージ)ごとに成績は大きく異なります。

病期(目安) 状態の概要 5年相対生存率(目安)
ステージⅠ 膵臓内に限局 約50〜70%前後
ステージⅡ 周辺組織への浸潤・一部リンパ節転移 約20〜40%前後
ステージⅢ 主要血管への浸潤・広範なリンパ節転移 約10%前後
ステージⅣ 遠隔転移あり 数%前後

※数値は国立がん研究センター がん統計(ganjoho.jp)をもとにした目安です。診療施設・治療内容により異なります。

余命や生存率が示すこと・示さないこと

生存率はあくまで集団の統計値であり、個々の患者さんの状況を直接反映するものではありません。同じ病期でも、腫瘍の大きさ・位置・遺伝子変異の状態・体力・治療への反応性などによって経過は異なります。数字は治療方針を考えるための参考情報であり、個人の予後を断定するものではないことをご理解ください。


「完治した人」に共通しやすい条件

手術で切除できる状態だった

現時点で膵臓がんの根治(治癒を目指した治療)に最も有効とされるのは外科的切除です。切除できた方の長期生存率は、切除できなかった方と比べて統計的に高い傾向があります。

早期に見つかっていた

腫瘍が小さく、主要血管や周囲臓器への浸潤が少ない段階(ステージⅠ〜Ⅱ相当)で発見された場合、切除可能な割合が高くなります。健診・精密検査での偶発的発見が多い状況ですが、糖尿病の急激な悪化・体重減少・背部痛などのサインに早めに気づくことも重要です。

術後補助療法や経過観察を継続できた

手術後も抗がん剤(術後補助化学療法)や定期的な画像検査による経過観察を継続できた方は、再発時の早期対応が可能になります。術後補助療法については膵臓がんの治療薬の種類と使い分けもご参照ください。

体力や合併症の面で治療を進めやすかった

膵臓がんの手術は体への負担が大きく、心肺機能・肝機能・栄養状態などが治療継続に影響します。術前から栄養管理・リハビリテーションを行い、良好な全身状態を維持することも重要な要素のひとつです。


膵臓がん治療の選択肢と「完治」を目指す考え方

手術が中心になるのはどんな場合か

腫瘍が切除可能(Resectable)または切除可能境界(Borderline Resectable)と判断された場合、手術が第一選択となります。術前に化学療法や放射線治療で腫瘍を縮小させてから手術に臨む「コンバージョン手術」が検討されるケースもあります。

抗がん剤・放射線治療を組み合わせる意味

手術前後の補助化学療法(ゲムシタビン塩酸塩、S-1など)は再発リスクの低減を目的として行われます。日本膵臓学会の診療ガイドラインでも術後補助化学療法の実施が推奨されています。放射線治療は局所病変の制御や疼痛緩和に用いられることがあります。

切除できない場合の治療目標の考え方

切除不能な場合も、化学療法を中心とした治療で「病気の進行を抑え、生活の質(QOL)を維持する」ことを目標にします。治療の目標は「治癒」だけでなく、「できる限り長く、できる限り快適に過ごすこと」も重要な視点です。


免疫療法や自由診療を考える前に確認したいこと

科学的根拠がどの程度あるか

「免疫細胞療法」「代替療法」などを謳う治療が多く存在しますが、膵臓がんに対して保険診療として承認された免疫チェックポイント阻害薬は現時点で一部に限られており、多くの免疫療法は有効性・安全性のエビデンス(科学的根拠)が十分に確立されていません。詳しくは膵臓癌の免疫療法とは?治療の選択肢と注意点をご覧ください。

標準治療との違いと注意点

「標準治療」とは最も効果が劣るものではなく、現時点で科学的根拠が最も蓄積されている治療です。標準治療を中断・回避して自由診療に移行すると、治療機会を失うリスクがあります。費用負担も大きくなる場合があり、慎重な判断が必要です。

主治医に必ず確認したいポイント

  • その治療の対象となる遺伝子変異・バイオマーカーの有無
  • 臨床試験(治験)として参加できる選択肢があるか
  • 標準治療と並行して行えるものか、排他的なものか

当院での診療から

治療方針を決めるときに重視する情報

当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備え、鎮静下の胃・大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。膵臓がんを早期に疑う所見(超音波での膵管拡張、腫瘤陰影など)を認めた場合は、速やかに連携する基幹病院へ紹介し、精密検査・治療方針の決定につなげています。治療方針を考えるうえでは、病理診断の結果・画像での病変範囲・患者さんの全身状態・ご希望の三つを丁寧に把握することを重視しています。

セカンドオピニオンで整理できること

「主治医の説明がよく分からなかった」「別の医師の意見も聞きたい」という場合、セカンドオピニオンを受けることで情報を整理しやすくなります。当院では受診相談のなかでセカンドオピニオン先の選び方についてもご案内が可能です。

当院でご相談いただける内容

術後フォローとして地域連携クリティカルパスによる継続的な経過観察を担当するほか、在宅療養支援診療所として在宅緩和ケア・看取りにも対応しています。「治療先での説明が難しくて理解できなかった」「自宅での療養について相談したい」という方も、まずはお気軽にご相談ください。


受診・相談の目安

こんなときは早めの受診が望ましい

  • 原因不明の体重減少が続いている
  • 背中や上腹部の痛みが持続している
  • 黄疸(皮膚・白目が黄色くなる)・茶色い尿・灰白色の便がある
  • 糖尿病が急激に悪化した、または最近発症した
  • 健診で膵臓に関する異常を指摘された

治療方針に迷うときに相談したいタイミング

  • 手術・抗がん剤・放射線のいずれかを勧められ、迷っている
  • 免疫療法や自由診療が「効く」と紹介され、判断に悩んでいる
  • 治療を続けるかどうか、家族と意見が分かれている

すでに治療中でも確認しておきたいこと

術後補助療法の継続状況・副作用への対応・定期検査のスケジュールなど、現在の治療について「これでよいのか」と感じたときもご相談いただけます。ご予約・お問い合わせはこちらからどうぞ。


よくある質問(FAQ)

膵臓がんは早期なら完治を目指せますか
ステージⅠ相当の段階で切除できた場合、長期生存例は存在します。ただし、膵臓がんは再発リスクが他のがん種に比べて高い傾向があるため、術後も継続的な経過観察が重要です。「完治を目指せるか」は腫瘍の状態や体力など個別の要因によって異なります。必ず担当医にご確認ください。
手術できれば必ず治りますか
手術はあくまで治癒を目指すうえで有力な手段ですが、切除後も再発する可能性があります。術後補助化学療法や定期検査の継続が再発リスクの低減に寄与するとされており、手術後の管理も治療の重要な一部です。
完治したかどうかはいつ分かりますか
一般に術後5年間再発がなければ「治癒」とみなされる傾向がありますが、膵臓がんでは5年を超えて再発する事例もあるため、担当医の指示に従った継続的な経過観察が推奨されます。「いつ完治と言えるか」の判断は、主治医と都度確認することが大切です。
再発しやすいと聞きますが、何に気をつければよいですか
膵臓がんは術後の再発率が高く、定期的な画像検査・腫瘍マーカー検査が重要です。また、栄養管理・適度な運動・禁煙・節酒などの生活習慣の見直しも全身状態の維持に役立ちます。具体的な注意点は担当医・栄養士と相談して決めていきましょう。
標準治療以外を選ぶ前に何を確認すべきですか
(1)その治療の有効性を示す査読済みの臨床試験データがあるか、(2)標準治療の代わりではなく補完として行えるものか、(3)費用・身体的負担が適切かどうか、(4)担当医がその治療を把握しているか、の4点を必ず確認してください。膵臓癌の免疫療法を検討するときの視点も参考にしてください。

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参考文献・出典


本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。


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本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。


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