認知症で受診を拒む親へ、家族ができる対応と相談先
認知症が進むと、「病院に行きたくない」「自分は病気ではない」と受診を拒むことがあります。家族だけで説得し続けるのは負担が大きく、病状確認や治療の継続が難しくなることもあります。まずは無理に連れ出すより、本人の不安を減らしながら、必要に応じて在宅医療や地域の支援につなぐことを考えましょう。
受診を拒む認知症の親で、家族が困りやすい場面
認知症の方は、見知らぬ場所や待ち時間、検査への不安から受診を嫌がることがあります。家族としては「放っておけない」と思っても、毎回の付き添いで仕事を休み続けるのは現実的ではありません。
よくあるのは、次のような場面です。
- 予約日になると「今日は行かない」と強く拒む
- 診察室で医師にうまく症状を伝えられない
- 薬を自己判断でやめてしまう
- 退院後の通院先が決まらず、家族が調整に追われる
このようなときは、通院が難しくなったときの相談先も早めに確認しておくと、家族だけで抱え込みにくくなります。
在宅で今日からできる対応
まず大切なのは、受診を「正しい・間違い」で押し切らないことです。認知症のある方は、本人なりの理由で不安を感じています。説明は短く、具体的に、時間に余裕を持って行うと通りやすくなります。
受診を拒むときの伝え方の工夫
- 「病院」より「体調の確認」「薬の相談」と伝える
- 一度に多く説明せず、前日に軽く伝えて当日も繰り返す
- 本人が安心しやすい家族や支援者に同行してもらう
- 服薬や食事、睡眠の様子をメモしておく
家族の付き添いが難しい場合は、ケアマネジャーや訪問看護に状況を共有して、病院受診以外の方法がないか相談するのも一案です。認知症の対応と在宅療養の全体像は、在宅医療の基本も参考になります。
やってはいけないこと・注意点
本人の尊厳を傷つける対応は、かえって受診拒否を強めることがあります。無理やり連れ出したり、強い言葉で責めたりするのは避けたいところです。
| 注意したい対応 | 理由 |
|---|---|
| 事実を否定して押し切る | 不安や不信感が強まりやすい |
| 家族だけで抱え込む | 体調変化の見逃しや疲弊につながる |
| 受診を先送りし続ける | 脱水、低栄養、転倒、服薬中断に気づきにくい |
また、認知症があっても、急に発熱した、食べられない、歩けないなどの変化があれば、通常の通院だけにこだわらず、在宅診療を含めて検討します。厚生労働省も在宅医療の推進を示しており、通院困難な方への支援は制度上の選択肢です。
専門職に任せた方がよい範囲
家族が頑張るだけでは限界が来やすい場面があります。特に、本人の拒否が強い、薬の管理が難しい、転倒が増えた、食事量が落ちたときは、医療職・介護職の力を借りた方が安全です。
| 相談先 | 役割 |
|---|---|
| かかりつけ医 | 既往歴や薬の整理、病状評価 |
| ケアマネジャー | 介護サービス調整、生活全体の見直し |
| 訪問看護 | 体調観察、服薬や処置の支援 |
| 在宅医療 | 定期的な診察、急変時の連絡体制 |
本人が来院できない場合でも、家族だけで相談を受けることは可能です。受診拒否が続くときの整理には、家族だけで抱え込まないための相談先も役立ちます。
訪問診療・訪問看護で楽になる部分
訪問診療は、「病院に行けないから最後の手段」というより、早い段階で選べる支援です。状態が悪くなってから探すと選択肢が狭くなるため、「まだ早いのでは」と感じる時期でも情報収集をしておく価値があります。
| 受診だけでは負担になりやすいこと | 訪問診療・訪問看護で補いやすいこと |
|---|---|
| 毎回の移動と待ち時間 | 自宅で診察を受けられる |
| 受診拒否で治療が中断する | 生活の場で状況を見ながら調整できる |
| 退院後の療養先が決まらない | 退院前カンファレンスで引き継ぎしやすい |
| 家族の説明負担が大きい | 服薬・食事・転倒予防を一緒に確認できる |
在宅医療は、病状を「完治」させるためのものではなく、生活を整えながら必要な医療を続ける仕組みです。退院支援では、病院側から「自宅か施設か」の二択で示されても、在宅医療を入れることで自宅療養の難易度が下がることがあります。状況に応じて、訪問診療・在宅医療を知る相談ページも確認してみてください。
家族の負担を減らす工夫
認知症で受診拒否があると、家族は「どう説得するか」に意識が向きがちです。ただ、実際には介護の段取りを整える方が、長く続けやすいこともあります。
- 連絡窓口を1つに決める
- 服薬、食事、排泄、睡眠の記録を簡単に残す
- ケアマネジャーに通院の困りごとも共有する
- 退院前カンファレンスに在宅医が入れるか確認する
退院日が急に決まり、数日で療養先を決める必要が出ることもあります。地域包括ケア病棟では入院期間に原則60日という上限があり、逆算して準備する意識が大切です。こうした退院支援の流れは、厚生労働省の介護保険制度や在宅医療の案内ともつながっています。
受診・相談の目安
次のような場合は、早めに相談を考えてください。
- 週1回以上の通院が家族の負担で続かない
- 本人の受診拒否で検査や治療が中断している
- 退院後の療養先がまだ決まっていない
- 食事量低下、脱水、転倒が増えてきた
- 家族の付き添いが限界に近い
在宅でのケアは、家族だけで抱えると限界が早く来ます。医師・看護師が定期的に自宅へ入ることで、対処の負担そのものを減らせます。ご相談は ご予約・お問い合わせ から受け付けています。AIプラスクリニックたまプラーザでは、たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心とした地域で、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じます。
よくある質問
Q. 受診を拒む本人を、家族だけで説得し続けてもよいですか?
短期間なら問題ないこともありますが、長引くと家族の疲弊が強くなります。本人の不安を減らす工夫と並行して、ケアマネジャーや在宅医療への相談を検討してください。
Q. 本人が病院に来られなくても相談できますか?
はい、家族のみでの相談が可能な場合があります。症状の経過、服薬状況、生活の困りごとを整理しておくと話が進みやすくなります。
Q. 訪問診療を始めるのは早すぎませんか?
早すぎるというより、選択肢を広く持てる時期に情報を集めておくことが大切です。必要になってから探すと、退院や急変に間に合わないことがあります。
Q. かかりつけ医との関係はどうなりますか?
かかりつけ医を続けながら、訪問診療を併診したり、引き継いだりすることがあります。状況に応じて役割分担を考えます。
Q. 認知症でも、症状が急に悪化したらどうすればよいですか?
発熱、食事が取れない、急なせん妄、転倒などがあれば、通常の通院だけでなく早めの医療相談が必要です。夜間や休日の対応体制も含めて確認しておくと安心です。
当院の在宅診療の現場から
当院では、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーからの紹介を受け、退院前カンファレンスに参加して在宅への引き継ぎを行っています。退院当日から訪問診療を開始したケースもあります。24時間の連絡体制を敷き、退院直後の不安定な時期の急変にも夜間・休日で対応します。消化器内視鏡やエコーの経験を生かし、在宅での栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素にも対応しています。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医/専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全。略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。 公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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ご家族の通院が難しくなってきた、退院後の療養先に迷っている、自宅でどこまで医療が受けられるか知りたい——そうしたご相談を、たまプラーザで承っています。 ご予約・お問い合わせ からご連絡ください。TEL 045-909-0117(横浜市青葉区)。ご相談の際は、お薬手帳または薬剤情報提供書/医療保険証・各種受給者証/介護保険証・介護保険負担割合証/(お持ちであれば)診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリーをご用意いただくとスムーズです。ご本人が来院できない場合のご相談も承ります。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。