寝たきりで筋力低下が気になる…自宅でできるリハビリ方法
寝たきりになると、筋力低下は起こりやすくなります。ですが、無理に動かす必要はなく、安全に少しずつ動かすことが大切です。この記事では、自宅で今日からできるケアと、家族だけで抱え込まないための相談先を整理します。
家族が困りやすい場面と、まず見ておきたい変化
寝たきりの方では、次のような変化に家族が気づきやすいです。
- 起き上がる力が落ち、ベッド上で動くのもつらそう
- 足や腕がこわばり、関節が硬くなってきた
- 食事量が減り、体力がさらに落ちている
- 咳き込みやすい、声がかすれるなど飲み込みの心配がある
- 体位変換のたびに痛みや疲れが強い
こうしたときは、まず痛み・発熱・息苦しさ・脱水がないかを確認してください。急に悪化した場合は、リハビリより先に医療機関へ相談が必要です。なお、在宅医療の全体像は訪問診療・在宅医療とはも参考になります。
在宅で今日からできる対応
寝たきりの筋力低下に対しては、「運動」より「拘縮や廃用を防ぐケア」から始めると取り組みやすいです。廃用(はいよう)とは、動かないことで筋力や体力が落ちることです。
| できること | 目安 | ポイント |
|---|---|---|
| 体位変換 | 2時間ごとを目安に | 皮膚の圧迫を減らし、呼吸も楽になりやすい |
| 関節をゆっくり動かす | 1日1〜2回 | 痛みのない範囲で、曲げ伸ばしを少しずつ |
| 深呼吸・咳払いの補助 | 1回数回 | 胸や肺の動きを保つ助けになります |
| 口腔ケア | 毎食後・就寝前 | 誤嚥性肺炎(食べ物や唾液が気管に入ることで起こる肺炎)の予防に役立ちます |
| 座位練習 | 可能なら短時間 | まずはベッド上で上体を起こすところから |
関節を動かすときは、反動をつけず、呼吸を止めないことが基本です。痛みが出るほど行う必要はありません。口腔ケアが大切な理由は、寝たきりの方で肺炎予防に直結しやすいためです。
自宅でのリハビリ方法は、どこまでやればよいか
「どこまで動かしてよいのか」が分からず不安になる方は多いです。目標は、筋トレのように強くすることではなく、今ある動きを保つことです。
- 手足を10回ずつ、ゆっくり曲げ伸ばしする
- 足首を上下に動かす
- ベッド上で左右に体を少し向ける
- 可能なら座位を1〜3分から始める
家族だけで判断が難しいときは、在宅医療に早めに相談すると、無理のない範囲が分かりやすくなります。相談の入り口としては訪問診療・在宅医療を知るや通院が難しくなったときの相談先が参考になります。
やってはいけないこと・注意点
- 痛みを我慢して強く伸ばすこと
- 急に立たせる、歩かせること
- 食後すぐに無理な運動をすること
- マッサージで強く押し続けること
- 発熱や息苦しさがあるのに運動を続けること
「寝たきり マッサージ やり方」を探す方もいますが、むやみに強く揉む必要はありません。むしろ、皮膚が弱い方ではあざや痛みの原因になることがあります。
また、介護保険のサービスを使う場合は、ケアマネジャー(介護サービスを調整する専門職)に相談すると、訪問リハビリなどにつながりやすくなります。制度の基本は厚生労働省の介護保険制度で確認できます。
専門職に任せた方がよい範囲
寝たきりで筋力低下が進んでいる場合、家族だけで対応するより、専門職の介入が望ましい場面があります。
- 関節が硬くなってきた
- 体の向き替えで強い痛みがある
- 飲み込みが不安で食事量が落ちている
- 呼吸状態や酸素の管理が必要
- 退院後の療養先が決まっていない
特に退院前後は、病院から「自宅か施設か」の二択で急かされるように感じることがありますが、在宅医療を入れると自宅療養の難易度は下がる場合があります。状態が悪化する前の情報収集が役立ちます。
訪問診療・訪問看護で楽になる部分
訪問診療では、医師が自宅で全身状態を確認し、必要に応じて薬の調整や栄養、呼吸、褥瘡(じょくそう=床ずれ)の相談を行います。訪問看護では、体位変換や清潔ケア、口腔ケア、服薬確認などを支えます。
寝たきりで筋力低下がある方では、リハビリそのものよりも、継続できる環境づくりが重要です。厚生労働省も在宅医療の推進を示しており、地域で支える仕組みづくりが進められています。
退院日が急に決まるケースでは、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーが在宅側とつなぐことで、退院当日から訪問診療を始められることもあります。
当院の在宅診療の現場から
当院では、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーからの紹介で退院前カンファレンスに参加し、在宅への引き継ぎを受けています。退院当日から訪問診療を始めることもあり、退院直後の不安定な時期は24時間の連絡体制で急変に備えます。消化器内視鏡やエコーの経験を生かし、栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素にも対応しています。たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じています。
家族の負担を減らす工夫
- 体位変換や口腔ケアを時間で決めて分担する
- 一度に全部やろうとせず、1回5分でもよいと考える
- 介護タクシーの利用方法を確認し、通院が必要なときの移動手段を確保する
- 介護保険サービスの担当者を決め、情報を一元化する
- ご本人が来院できない場合は、家族だけで相談する
親御さんの状態が落ち着いて見えても、介護する側の負担は積み重なります。早めに相談先を持っておくことが、結果として家族の安心につながります。
受診・相談の目安
次のような場合は、在宅医療や訪問看護を含めて相談をおすすめします。
- 週1回以上の通院が難しくなってきた
- 退院後の療養先がまだ決まっていない
- 食事量や水分量が減り、筋力低下が進んでいる
- 体位変換や口腔ケアを家族だけで続けるのが難しい
- 痛み、息苦しさ、発熱、意識の変化がある
在宅でのケアは、家族だけで抱えると限界が早く来ます。医師・看護師が定期的に自宅へ入ることで、対処の負担そのものを減らせます。
ご相談はご予約・お問い合わせからどうぞ。
よくある質問
Q. 寝たきりの人に筋トレは必要ですか?
A. まずは強い筋トレより、関節をゆっくり動かす、体位を変える、座る時間を少し作るといった基本が大切です。体調や痛みで内容は変わるため、主治医に確認してください。
Q. 口腔ケアは本当に必要ですか?
A. はい。寝たきりの方では、口の中を清潔に保つことが誤嚥性肺炎の予防に役立つと考えられています。毎食後と就寝前を目安に行うと続けやすいです。
Q. 家族だけで続けるのが大変です。どうすればよいですか?
A. 訪問診療や訪問看護、介護保険サービスを組み合わせると負担を分けやすくなります。家族だけで抱え込まず、早めに相談するのが現実的です。
Q. まだ訪問診療は早い気がしますが、相談してよいですか?
A. もちろんです。状態が悪化してからでは選択肢が狭くなることがあります。情報収集だけでも問題ありませんし、かかりつけ医との併診や引き継ぎも可能です。
Q. 本人が来院できなくても家族だけで相談できますか?
A. はい、可能です。退院後の流れや在宅でできるケアを、家族の立場から整理するだけでも役立ちます。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医/専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全。略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。 公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。