胃癌の種類によって、症状や治療の進め方が異なることがあります。診断後は、病状に合った説明を受けることが大切です。
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胃癌の種類と診断で見ておきたい点






胃癌の種類と診断で見ておきたい点|AIプラスクリニックたまプラーザ


胃癌の種類と診断で見ておきたい点

胃がんとは|症状・検査・治療・生活までを医師監修で解説する総合ガイド › 胃がんの基礎知識・全体像|押さえておきたい要点を医師監修で解説 › (本記事)


胃癌は、発生部位・病理型・広がり方によって「種類」が異なり、診断や治療の進め方にも違いが生じます。内視鏡検査や生検の結果を受け取った際、「分化型」「未分化型」「スキルス」といった言葉の意味を知っておくと、主治医の説明を理解しやすくなります。本記事では、胃癌の種類の基本的な考え方と、診断で見ておきたい観察項目を、公的情報をもとにわかりやすく整理します。診断・治療方針の決定はあくまで主治医・専門医との相談のもとで行ってください。


胃癌の「種類」とは?まず押さえたい基本

胃がんは「病理型」「発生部位」「進み方」で見え方が変わる

胃癌の「種類」を語るとき、少なくとも三つの視点が絡み合います。①病理型(顕微鏡でがん細胞がどう見えるか)、②発生部位(胃の入り口側・中部・出口側など)、③進み方(粘膜にとどまる早期がんか、胃壁を越えて広がる進行がんか)です。これらを組み合わせて初めて、その方の胃癌の全体像が見えてきます。

記事で扱う「種類」の範囲と、診断で大切な考え方

本記事では主に病理型(分化型・未分化型・スキルス胃がん・印環細胞がんなど)を中心に整理しつつ、診断で確認すべき観察項目も合わせて解説します。胃がんの全体的な情報は胃がんとは何か 症状や治療の基本もあわせてご覧ください。


胃癌の主な種類を整理する

胃腺がん(胃がん)の基本:分化型と未分化型

胃癌の約95%は腺がん(adenocarcinoma)で、胃の粘膜から発生します(国立がん研究センター がん情報サービス)。腺がんは大きく「分化型」と「未分化型」に分類されます。

分類 特徴 内視鏡所見の傾向
分化型(高分化・中分化) 正常な腺管構造に近い。中高年・男性に多い傾向 隆起型・陥凹型が多く比較的観察しやすい
未分化型(低分化・印環細胞がんなど) 腺管構造に乏しく浸潤しやすい。若い人・女性にも見られる 粘膜下に広がりやすく輪郭が捉えにくいことがある

分化型か未分化型かは、内視鏡治療(ESD)の適応判断や手術後の追加治療を考える際にも重要な情報となります。

スキルス胃がんとは何か

スキルス胃がん(linitis plastica)は、がん細胞が粘膜の表面にとどまらず、胃壁の深い層(漿膜下層・漿膜)に広く浸潤しながら線維組織を増殖させる特殊な形態です。胃壁が硬く厚くなり、胃全体が縮んだように見えることがあります。詳しくはスキルス胃癌とは 特徴と受診の目安をご参照ください。

胃癌の種類としてよく話題になる印環細胞がん

印環細胞がん(signet-ring cell carcinoma)は、粘液を細胞内に多く含み、核が押しやされて指輪(印環)のように見える未分化型の一種です。粘膜内にとどまる早期段階では内視鏡治療の対象となる場合もありますが、進行すると浸潤しやすい性質があります。若い女性に比較的多いとされます。

そのほかのまれな胃がんの種類

腺がん以外にも、以下のようなまれな腫瘍が胃に発生することがあります。

  • GIST(消化管間質腫瘍):粘膜の下から発生。胃粘膜下腫瘍と胃がんの違いで詳しく解説しています。
  • 悪性リンパ腫:胃のリンパ組織から発生。MALTリンパ腫はピロリ菌との関連が知られています。
  • 神経内分泌腫瘍(NET/NEC):比較的まれで、病理検査で確認されます。
  • カルチノイド腫瘍:胃体部に多く、多発することもあります。

胃癌の種類ごとに、診断で見ておきたい点

内視鏡で確認するポイント

胃内視鏡(上部消化管内視鏡)では、色調の変化・血管透見像・凹凸・境界の明瞭さを観察します。スキルス胃がんは粘膜面の変化が乏しいため、胃壁の伸展不良(胃全体がふくらみにくい)が一つの手がかりになります。

生検でわかること

内視鏡中に病変部から組織を採取する生検(biopsy)により、がん細胞の有無、分化度(分化型/未分化型)、特殊型(印環細胞がん等)を確認できます。ただし生検はあくまでサンプリングであり、採取部位によっては初回で確定診断に至らないこともあります。

病理結果で確認する項目

病理報告書では以下の項目を確認します。

  • 組織型(腺がん、印環細胞がん、など)
  • 分化度(高分化・中分化・低分化)
  • 脈管侵襲(リンパ管・血管への侵入の有無)
  • 切除断端(内視鏡治療後の場合)

画像検査で補う情報

CTや超音波内視鏡(EUS)、PETは、リンパ節転移・遠隔転移・深達度の評価に用います。これらを組み合わせて病期(ステージ)が決まり、治療方針の検討に入ります。


スキルス胃がんの「確率」はどう考えるべきか

スキルス胃がんの頻度と、数字を見るときの注意点

スキルス胃がんは胃がん全体の約10〜20%程度と報告されていますが、研究や診断基準により数値は異なります。「スキルス胃がんになる確率」を個人レベルで語ることは統計的に難しく、集団の割合と個人のリスクは同じではありません。

若い人や女性に多いとされる理由と、個人差

未分化型・スキルス型は40歳代以下や女性に相対的に多いとされますが、これは傾向であり、年齢・性別だけで発症リスクを断定できるものではありません。ピロリ菌感染歴や家族歴も関連する因子として知られています。

統計と実際の診断は同じではない

統計の生存率・頻度はあくまで集団の平均値です。個々の患者さんの病状・治療反応・体力は異なります。数字だけで一喜一憂せず、主治医と個別の状況を確認することが大切です。


胃がんの観察項目として大切なこと

症状だけでなく、食事量の変化や体重減少も確認する

胃癌は早期には自覚症状が乏しいことが多く、「食欲がない」「以前より食べられなくなった」「体重が半年で数kg減少した」などの変化が続く場合は受診のきっかけにしてください。

貧血、黒色便、腹部膨満感などの見逃したくないサイン

  • 黒色便(タール便):消化管出血のサインで、早急な受診が必要です。
  • 貧血(顔色が悪い・息切れ):慢性出血により生じることがあります。
  • 腹部膨満感・上腹部の圧迫感:進行例や腹水貯留で現れることがあります。

健診異常やピロリ菌感染歴も手がかりになる

バリウム検査や内視鏡健診での要精密検査の指摘、ピロリ菌(Helicobacter pylori)の感染歴や除菌歴も、胃がんリスクを評価する上で重要な情報です。除菌後も定期的な内視鏡検査が推奨されています(日本ヘリコバクター学会ガイドライン)。


胃癌の種類によって治療方針はどう変わるか

病期と病理型の両方で考える必要がある

治療方針は「どの種類か」だけでなく、「何期か」「どこまで広がっているか」「体の状態はどうか」を総合して決まります。日本胃癌学会の『胃癌治療ガイドライン』では、ステージや組織型、患者さんの体力(PS:パフォーマンスステータス)を組み合わせた判断基準が定められています。

手術、内視鏡治療、薬物療法の位置づけ

治療法 主な対象 補足
内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD) 早期がん(粘膜内・浸潤が浅い) 分化型で一定条件を満たす場合に適応
外科手術 切除可能な進行がん〜早期がん 腹腔鏡・ロボット支援手術も行われる
薬物療法(化学療法・分子標的薬) 切除困難例・再発例・術後補助療法 HER2陽性例には抗HER2療法が選択肢に

種類だけで治療は決まらない理由

スキルス型だから必ず手術できない、分化型だから必ず内視鏡治療ができる、というものではありません。種類はあくまで治療を考える「一つの材料」です。


診断後に確認しておきたい検査結果の読み方

ステージ、深達度、リンパ節、遠隔転移

項目 意味 確認のポイント
深達度(T因子) がんが胃壁のどの層まで達しているか T1〜T4で表される
リンパ節転移(N因子) 近くのリンパ節への広がり N0〜N3で表される
遠隔転移(M因子) 肝臓・肺・腹膜など他臓器への転移 M0/M1で表される
ステージ(Stage) T・N・Mを組み合わせた総合評価 IA〜IVで分類

HER2などの追加検査が必要になることがある

切除困難・進行・再発の胃がんでは、HER2タンパク質の発現を調べる検査(免疫組織化学染色またはFISH法)が行われます。HER2陽性の場合、トラスツズマブ(抗HER2薬)を含む化学療法が選択肢になります。また、PD-L1などの免疫チェックポイント関連検査も状況により実施されます。

主治医に確認したい質問の例

  • 組織型は何ですか?分化型・未分化型どちらですか?
  • 現在の深達度とリンパ節評価はどうですか?
  • HER2検査は必要ですか?
  • 次に行う検査(CT・PET・EUSなど)の目的は何ですか?

当院での診療から

当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備え、鎮静下での上部・下部消化管内視鏡検査を日常的に実施しています。内視鏡中に早期がんを疑う所見(色調変化・粘膜の形態異常・胃壁の伸展不良など)が認められた場合は、生検を採取した上で速やかに基幹病院へ紹介し、病理確定・治療方針の決定を依頼しています。術後は地域連携クリティカルパスを活用したフォローアップを担当し、患者さんが地域で安心して経過観察を続けられる体制を整えています。さらに、在宅療養支援診療所として在宅での緩和ケアや看取りにも対応しており、治療の各段階で患者さん・ご家族に寄り添った診療を心がけています。

内視鏡検査後の結果説明では、病理型・深達度・追加検査の必要性を丁寧にご説明し、疑問点があればその場で確認できる時間を設けています。


受診・相談の目安

すぐに消化器内科・胃腸科へ相談したい症状

  • 黒色便(タール便)や吐血
  • 急速な体重減少(半年で5kg以上など)
  • 食事がほとんど食べられない状態が続く
  • 上腹部の持続的な痛み・圧迫感
  • 貧血の指摘(健診など)と消化器症状の組み合わせ

健診の再検査や精密検査を先延ばしにしないために

バリウム検査や内視鏡健診で「要精密検査」の結果が出た場合は、症状がなくても早めに消化器内科を受診してください。胃がんは早期発見が治療成績に大きく影響します(国立がん研究センター がん情報サービスより)。

緊急受診を考える症状

吐血・多量の黒色便・急激な腹痛・意識の変容などがある場合は、救急受診をご検討ください。

ご心配な点は、こちらからご予約・お問い合わせいただくか、お電話でご相談ください。


よくある質問(FAQ)

胃癌の種類は内視鏡でどこまでわかりますか?

内視鏡では病変の形状・色調・血管パターンなどを観察し、がんを疑う所見の有無を確認します。ただし「分化型か未分化型か」「印環細胞がんかどうか」といった組織型の確定は、生検による病理検査が必要です。内視鏡の観察だけで組織型を断定することはできません。

スキルス胃がんは本当に見つかりにくいのですか?

スキルス胃がんは胃壁の深部に広がりながら粘膜面の変化が乏しいため、内視鏡やバリウム検査で見つかりにくい場合があることは事実です。胃壁の硬化・伸展不良の観察や、疑わしい場合の深部生検・CTによる評価が補助的に用いられます。早期発見が難しい種類の一つですが、全例で発見が困難なわけではありません。

胃がんの種類だけで予後は判断できますか?

できません。予後(今後の経過)は組織型だけでなく、ステージ(深達度・リンパ節・遠隔転移)、治療への反応、患者さんの体力・年齢・併存疾患など多くの要因が関係します。また、統計的な生存率はあくまで集団の平均値であり、個々の患者さんに当てはまるものではありません。

生検でがんが見つからなくても、否定できますか?

生検は組織の一部を採取するため、採取部位や本数によっては初回でがんが検出されない場合があります。内視鏡所見として疑いが強い場合は、再生検や別の検査(EUSなど)が検討されます。「生検陰性=がんではない」と単純に判断できない状況もありますので、主治医と結果の意味を確認してください。

若い人でも胃がんの種類は同じように考えてよいですか?

若い人(特に40歳未満)では、未分化型・印環細胞がん・スキルス型の割合が相対的に高いとされます。中高年に多い分化型腺がんとは病理的な傾向が異なる場合があるため、若い年齢での発症は慎重な評価が必要です。ただし、基本的な診断の枠組み(病理型・ステージ・治療の考え方)は同様に適用されます。


まとめ:胃癌の種類を知るときは「病理・部位・進み方」を一緒に見る

種類の理解は、診断と治療の見通しを立てる第一歩

胃癌の「種類」は一つの指標ではなく、病理型(分化型・未分化型など)・発生部位・胃壁への深達度・転移の有無を組み合わせて理解するものです。スキルス胃がんの確率や印環細胞がんの特徴は、個別の診断において主治医と一緒に確認することが重要です。胃がんの進行速度については胃がんの進行速度はどのくらいかでも詳しく解説しています。

種類を知ることは、主治医の説明を理解し、治療の選択肢について自分なりに考えるための第一歩です。気になることは遠慮なく主治医・専門医に確認してください。


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参考文献・出典


本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)

医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医

専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

【略歴】1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

【公的役割】厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。


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免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。


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