胃がんの種類を知るための基礎知識
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「胃がん」と一口に言っても、病理(組織の性質)や形の見え方によって複数の種類に分けられます。「4型胃癌」「スキルスがん」「分化型」「未分化型」など、検査結果や説明の中で聞きなれない言葉が出てきて戸惑う方も多いでしょう。胃がんの種類を大まかに把握しておくと、医師から受ける説明の意味がわかりやすくなり、治療の選択肢についての理解にもつながります。本記事では、胃がんの分類の考え方を公的情報に基づいて整理します。
胃がんの種類を知る前に押さえたい基本
胃がんは「1つの病気」ではなく、見え方や性質が異なる
胃がんは、胃の内壁(粘膜)にある細胞が異常な増殖を起こすことで生じますが、どの細胞ががん化するか、どのように広がるかによって性質が大きく異なります。同じ「胃がん」という診断名でも、内視鏡で見えやすいものと見えにくいもの、進行が比較的緩やかなものとそうでないもの、薬物療法が効きやすいものとそうでないものがあります。
種類を知ると、治療方針や見通しの理解に役立つ
胃がんの分類は、治療方針(手術・内視鏡・薬物療法)を選ぶ際の重要な根拠になります。また、主治医から受ける説明を正確に理解するためにも、基本的な分類の枠組みを知っておくことが助けになります。胃がんとは何か・症状や治療の基本も合わせてご参照ください。
胃がんの種類はどう分けるのか
肉眼的な分類:早期胃がんと進行胃がん
がんが胃壁のどこまで到達しているかによって「早期胃がん(粘膜・粘膜下層まで)」と「進行胃がん(筋層以深)」に大別されます。さらに、進行胃がんは内視鏡や手術で摘出した胃を肉眼で観察した形状によって、以下のように分類されます(日本胃癌学会 胃癌取扱い規約)。
| 肉眼型 | 名称 | 特徴 |
|---|---|---|
| 1型 | 腫瘤型 | 胃の内側に盛り上がるように育つ |
| 2型 | 潰瘍限局型 | 中心がくぼみ、周囲の縁がはっきりしている |
| 3型 | 潰瘍浸潤型 | くぼみがあり、縁が不明瞭で周囲への広がりがある |
| 4型 | びまん浸潤型 | 胃壁全体に広がり盛り上がりに乏しい(スキルスがん) |
| 5型 | 分類不能型 | 上記に当てはまらないもの |
組織型による分類:分化型と未分化型
胃がんの組織(細胞の集まり)を顕微鏡で見ると、元の胃の腺細胞に似た形をしている「分化型」と、そうでない「未分化型」に分けられます。
- 分化型(腺癌の中の高分化型・中分化型):比較的ゆっくりと進行するとされ、中高年に多い傾向があります。
- 未分化型(低分化腺癌・印環細胞癌など):細胞の形が正常な胃の細胞から大きく外れており、リンパ管や血管への侵入(浸潤)が起きやすい傾向があります。
代表的な分類の考え方は病理診断で決まる
胃がんの種類は、内視鏡検査で採取した組織や手術で摘出した標本を病理医が顕微鏡で調べる「病理診断」によって確定されます。検査結果の「病理レポート」に記載される分類の言葉が何を意味するかは、主治医または担当医に直接確認することをお勧めします。
胃がんでよく聞く「4型胃癌」とは
4型胃癌の特徴と、スキルスがんと呼ばれることがある理由
4型胃癌は「びまん浸潤型胃がん」とも呼ばれ、がん細胞が胃壁の中(粘膜下層〜筋層)を広く這うように広がっていくタイプです。がんに伴って線維組織が増生し、胃壁が硬くなることから「スキルス(scirrhous=硬い)胃癌」と呼ばれることがあります。詳しくはスキルス胃癌とは・特徴と受診の目安もご参照ください。
見つかりにくいとされる背景
通常の胃がんは粘膜の表面に「かたまり」や「くぼみ」を作るため、内視鏡検査で比較的気づきやすい面があります。一方、4型胃癌は胃壁の中を広がり、表面の変化が目立たないことが多いため、内視鏡だけでは発見が難しい場合があります。CT検査や超音波内視鏡(EUS)などを組み合わせた評価が重要とされています。
進行のしかたには個人差がある
「スキルスがんは進行が速い」と言われることがありますが、進行の速さは患者さんごとに異なり、一概に断定することはできません。がん細胞の性質(組織型・分子プロファイル)、発見時のステージ、患者さん自身の体の状態など、複数の要素が関わります。
スキルスがんとその他の胃がんの違い
胃壁の広がり方や見た目の違い
| 比較項目 | スキルス(4型)胃がん | その他の進行胃がん(1〜3型) |
|---|---|---|
| 広がり方 | 胃壁の中を面状に広がる | 胃内腔に腫瘤・潰瘍を形成 |
| 内視鏡での見え方 | 表面変化が乏しく気づきにくい | 腫瘤や潰瘍として比較的観察しやすい |
| 胃壁の硬さ | 胃壁が硬くなり、胃が小さくなることがある | 胃壁の硬化は比較的少ない |
症状の出方の違い
4型胃癌では胃全体が硬く縮まることがあり、食欲不振・早期満腹感・体重減少・みぞおちの不快感などが比較的出やすいとされます。ただし、初期には症状が乏しいことが多く、症状の有無だけで判断することは難しいです。
治療の考え方で重視される点
腹膜(腹腔内の膜)への転移(腹膜播種)が起きやすいとされており、治療計画を立てる際には腹膜播種の有無を慎重に評価することが重要とされます。
胃がんの種類と進行速度の考え方
「進行が早い」と一律には言えない理由
「未分化型は進行が速い」「4型は発見が遅くなりやすい」という傾向は医学的に認識されていますが、これは集団全体の傾向であり、個々の患者さんに必ずしも当てはまるわけではありません。進行速度は組織型のみで決まるものではなく、がん細胞の遺伝子・分子的特性、免疫応答、血流など多くの要素が関わります。
年齢や体の状態が治療選択に影響すること
胃がんの進行速度や治療方針を考えるうえでは、年齢・全身状態(PS:パフォーマンスステータス)・他の持病の有無も重要な判断材料になります。特に高齢の方では、治療の有益性と体への負担のバランスを慎重に検討する必要があります。胃がんの進行速度についての詳細もあわせてご覧ください。
進行速度は病理所見やステージとあわせて判断する
進行速度の見立ては、病理所見(組織型・脈管浸潤の有無など)、ステージ(がんの広がりの程度)、腫瘍マーカー、画像所見を総合して主治医が判断します。患者さんが「速い・遅い」を単独で判断することは難しいため、担当医への質問・確認が重要です。
胃がんの種類は治療にどう関係するか
手術・内視鏡治療・薬物療法の選び方
| 治療法 | 主な適応の目安 |
|---|---|
| 内視鏡的切除(ESD/EMR) | 早期がんで転移リスクが低い場合 |
| 手術(外科切除) | 局所進行がんや内視鏡適応外の早期がん |
| 薬物療法(抗がん剤・分子標的薬・免疫療法) | 切除困難な進行・再発がん、術前・術後補助療法 |
※薬物療法の種類・組み合わせは、HER2タンパクの発現やPD-L1の発現状況など分子プロファイルによって異なります。
種類だけでなく、深達度や転移の有無が重要
治療方針は「胃がんの種類(組織型・肉眼型)」だけでなく、がんが胃壁のどこまで及んでいるか(深達度)、リンパ節・他臓器への転移の有無、腹膜播種の有無なども含めて総合的に決まります。
治療は主治医が総合的に判断する
日本胃癌学会の「胃癌治療ガイドライン」をもとに、患者さんの全身状態・希望・価値観をふまえて治療方針が検討されます。治療の選択肢や根拠についてわからないことがあれば、遠慮なく主治医に質問してください。
公的データやガイドラインで確認したいポイント
国立がん研究センターの情報でわかること
国立がん研究センター がん情報サービスでは、胃がんの統計(罹患数・死亡数・生存率)や治療の基本方針について、患者さん向けにわかりやすく公開されています。信頼性の高い情報源として、まず参照することをお勧めします。
ガイドラインで重視される診断と治療の考え方
日本胃癌学会の胃癌治療ガイドラインは定期的に改訂されており、最新のエビデンス(科学的根拠)に基づいた治療の標準を示しています。Mindsガイドラインライブラリからも参照可能です。
統計は個人の予後を示すものではない
生存率などの統計データは、過去の多くの患者さんを集計した「集団の傾向」を示すものです。個々の患者さんの経過は体の状態・治療への反応・偶然の要素など多くの要因によって異なり、統計値がそのまま個人の予後に当てはまるわけではありません。
当院での診療から
胃がんの種類を整理するために行うこと
当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備え、鎮静下での胃内視鏡検査を日常的に実施しています。内視鏡検査では、粘膜の色調・表面構造・硬さの変化などを丁寧に観察し、疑わしい所見があれば組織を採取(生検)して病理診断につなげます。特に4型胃癌のように表面変化が乏しいタイプは見落としリスクがあるため、画像強調観察(NBI等)も活用しながら慎重に評価しています。
検査結果をどう読み解くかを一緒に確認する
病理レポートや画像所見は専門用語が多く、患者さんが一人で読み解くのは難しいものです。当院では、検査後の説明に十分な時間をとり、分類・ステージ・次のステップについてわかりやすく説明することを心がけています。
治療方針を考えるうえでの説明の進め方
早期がんが疑われる場合や精密検査が必要な場合は、速やかに基幹病院へご紹介し、地域連携クリティカルパスを通じて術後フォローを担当します。在宅療養支援診療所として在宅緩和ケアにも対応しており、治療後の生活の質を支える体制を整えています。
受診・相談の目安
胃もたれ、体重減少、黒い便、貧血があるとき
以下のような症状が続く場合は、消化器内科・内科への受診をご検討ください。
- 胃もたれ・食欲不振が2週間以上続く
- 意図しない体重減少(1か月で体重の5%以上など)
- 黒いタール状の便(消化管出血のサイン)
- 原因不明の貧血
健診や内視鏡で異常を指摘されたとき
健康診断・人間ドックで「胃の精密検査が必要」と指摘された場合、または以前の内視鏡検査で「萎縮性胃炎」「腸上皮化生」を指摘されている場合は、定期的な内視鏡フォローが推奨されます。
気になる症状が続く場合は早めに受診する
胃がんは早期に発見されるほど治療の選択肢が広がる可能性があります。「様子を見ればよいか」と迷う場合も、まずは受診してご相談ください。オンライン予約・お問い合わせはこちらからどうぞ。
よくある質問(FAQ)
胃がんの種類は検査だけでわかりますか?
内視鏡検査や画像検査から「肉眼型(1型〜4型など)」のおおよその見当をつけることは可能ですが、「組織型(分化型・未分化型など)」の確定には、生検(組織採取)による病理診断が必要です。検査だけで種類のすべてが確定するわけではありません。
スキルスがんは若い人にも起こりますか?
はい、起こることがあります。スキルスがん(4型胃癌)は、未分化型の細胞を多く含むことが多く、比較的若い世代(20〜40代)の女性にも見られることが知られています。ただし、年齢層による発生頻度の違いは統計的な傾向であり、若いから必ずしも発症するわけではありません。気になる症状がある場合は年齢に関わらず受診をご検討ください。
胃がんの種類で予後は大きく変わりますか?
組織型・肉眼型は予後と関連する因子の一つですが、予後はステージ(進行度)・治療への反応性・全身状態なども含めた総合的な評価で変わります。「種類だけで予後が決まる」とは言えず、また統計的な生存率データは個々の患者さんに直接当てはまるものではありません。詳しくは主治医にご確認ください。
「進行が速い」と言われたらどう考えればよいですか?
「進行が速い」という表現は、がんの組織型・現在のステージ・画像の変化速度などをもとに主治医が伝える情報です。まず「どのような根拠でそう判断しているか」「治療の選択肢は何か」「次のステップはいつまでに決める必要があるか」を確認することが大切です。不安や疑問は遠慮せず質問してください。セカンドオピニオンを活用することも選択肢の一つです。
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参考文献・出典
- 国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん」
- 国立がん研究センター がん統計
- 厚生労働省 がん対策
- Mindsガイドラインライブラリ(日本医療機能評価機構)
- 日本胃癌学会『胃癌取扱い規約 第15版』金原出版
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
【略歴】1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
【公的役割】厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員/全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー/神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役
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TEL:045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)
初診の際は、保険証・お薬手帳・(お持ちであれば)健診結果や紹介状をご用意いただくとスムーズです。ご予約はWebまたはお電話で承ります。
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住所:〒225-0002 神奈川県横浜市青葉区美しが丘1丁目(横浜市青葉区・たまプラーザ)
電話:045-909-0117(受付時間内にお電話ください)
初診時にご持参いただくもの:保険証・お薬手帳・(お持ちであれば)健診結果や紹介状・画像CD
ご予約はWebまたはお電話で承ります。検査結果の見方がわからない方、経過観察の指示に不安がある方も、まずはお気軽にご相談ください。
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。