急変時の対応を看護師として落ち着いて進めるには
高齢の方の急変は、看護師でも「何を優先するか」を整理して動くことが大切です。まずは呼吸・意識・痛み・出血・嚥下の5点を見て、危険サインがあれば迷わず救急要請や主治医連絡につなげます。家族が在宅で対応する場面でも、同じ順番で考えると慌てにくくなります。なお、急変時に家族が迷わないための基本もあわせて確認しておくと安心です。
家族が現場で戸惑いやすいのはどんな場面か
急変時に混乱しやすいのは、症状そのものより「いつ、誰に、何を伝えるか」が曖昧なときです。たとえば、急に息が苦しそう、食事中にむせる、返事が遅い、片側の手足が動きにくい、発熱とぐったりが重なるといった場面です。
家族はまず、本人を一人にしないこと、姿勢を整えること、記録を残すことを意識します。状況の全体像は高齢者に多い病気と急変のサインの総合ガイドも参考になります。
在宅で今日からできる対応の基本
看護の初期対応は、特別な器具がなくても「観察・安全確保・連絡」の順で進めます。
| 観察すること | みるポイント | 家族ができること |
|---|---|---|
| 意識 | 呼びかけへの反応、会話のつじつま | 返事の様子をメモする |
| 呼吸 | 息切れ、ゼーゼー、唇の色 | 楽な姿勢にする |
| 体温・痛み | 発熱、胸痛、腹痛 | 体温を測る |
| 食事・水分 | むせ、飲み込みにくさ | いったん中止する |
| 皮膚・出血 | 青あざ、血尿、出血 | 出血部位を確認する |
誤嚥(ごえん:食べ物や唾液が気管に入ること)が疑われるときは、食事を止めて、上体を少し起こし、口の中に残っているものを無理に飲み込ませないことが大切です。フレイル予防の食事や誤嚥予防の基本は、日頃から整えておくと急変時のリスクを下げやすくなります。
在宅療養の相談は、訪問診療・在宅医療を知るためのまとめから始めると、家族だけで抱え込まずに済みます。
やってはいけないこと・注意したいこと
急変時ほど、自己判断での対応が重なりやすくなります。
- 意識がはっきりしないのに、水や薬を口に入れる
- 息苦しさがあるのに、寝かせたままにする
- 受診のために長時間様子見を続ける
- いつもの薬を「念のため」と追加する
- 食事中のむせを軽く見て、すぐ再開する
特に、持病のある高齢者では、急な変化の背景に肺炎、脱水、薬の副作用、心不全などが隠れることがあります。判断は診察が前提です。
専門職に任せた方がよい範囲
家族の役割は大切ですが、医学的な見立てや継続対応は専門職に任せた方が安全です。たとえば、再発しやすいむせ込み、在宅酸素の使い方、胃ろうの管理、内服調整、点滴の要否などは、看護師と医師の連携が必要です。
高齢者医療では、日本在宅医療連合学会や厚生労働省の在宅医療の考え方でも、地域の医療・介護連携が重要とされています。
訪問診療・訪問看護で負担が軽くなる部分
「まだ早いのでは」と迷うご家族は多いのですが、状態が悪くなってからでは選べる手段が限られやすくなります。訪問診療は、かかりつけ医を変えることではなく、併診や引き継ぎとして入る形もあります。
| 相談しやすい場面 | 訪問診療・訪問看護で支えやすいこと |
|---|---|
| 退院後の療養先が未定 | 退院前カンファレンスへの参加 |
| 通院が負担 | 自宅での診察・処方の調整 |
| 夜間の急変が不安 | 24時間の連絡体制の検討 |
| 食べにくい・むせる | 嚥下評価や栄養の相談 |
| 在宅酸素や胃ろうがある | 管理と観察の継続 |
在宅医療の制度や考え方は、厚生労働省の在宅医療の推進でも案内されています。全体像は訪問診療・在宅医療とは何かをまとめたページもご覧ください。
家族の負担を減らす工夫
急変対応を家族だけで回そうとすると、睡眠不足や判断疲れがたまりやすくなります。
- 緊急連絡先を1枚にまとめる
- 服薬、既往歴、アレルギーを見える場所に置く
- 受診の判断基準を家族で共有する
- 退院前カンファレンスに在宅医・訪問看護を加える
- 地域包括ケア病棟では入院期間に上限があるため、早めに退院後を逆算する
退院支援は訪問診療の大きな導入経路です。病院で「自宅か施設か」の二択に見えても、在宅医療を入れると自宅療養の難易度が下がることがあります。判断に迷うときは、家族のみの相談も含めて情報収集を進めるとよいでしょう。
受診・相談の目安
次のような場合は、早めに相談してください。
- 週に1回以上の通院が負担になっている
- 退院日が近いのに、療養先がまだ決まっていない
- むせ込みや食欲低下が続いている
- 夜間や休日の急変に家族だけで対応しづらい
- 本人が来院しにくく、家族だけで説明を受けたい
在宅でのケアは、家族だけで抱えると限界が早く来ます。医師・看護師が定期的に自宅へ入ることで、対処の負担そのものを減らせます。ご相談はご予約・お問い合わせからどうぞ。たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心とした地域でご相談を承っています。
よくある質問
Q. 急変時、看護師は何を最優先で見ますか?
まずは意識、呼吸、循環、痛み、誤嚥の有無です。命に関わる変化を先に拾い、救急要請か主治医連絡かを判断します。
Q. 家族だけで様子を見てよい時間の目安はありますか?
一律の時間はありません。息苦しさ、意識低下、強い痛み、出血がある場合は、様子見より相談を優先してください。
Q. 訪問診療はまだ早いと言われそうで不安です。
早すぎる導入というより、情報収集の段階で相談する方が選択肢を持ちやすいです。退院前や通院負担が増えた時点での相談も自然です。
Q. かかりつけ医がいても相談できますか?
はい。現在のかかりつけ医との関係を断つ必要はありません。併診や引き継ぎの形で進めることがあります。
Q. 本人が受診できない場合はどうしたらよいですか?
ご家族だけでの相談が可能です。病状、服薬、介護状況、退院予定を整理して持参すると話が進みやすくなります。
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当院の在宅診療の現場から
病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーからご紹介をいただき、退院前カンファレンスに参加して在宅への引き継ぎを受けています。退院当日から訪問診療を開始した例もあり、24時間の連絡体制で退院直後の不安定な時期の急変にも夜間・休日対応を行っています。消化器内視鏡・エコーの経験を生かし、栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素にも対応しています。たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じています。
参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
ご家族の通院が難しくなってきた、退院後の療養先に迷っている、自宅でどこまで医療が受けられるか知りたい——そうしたご相談を、たまプラーザで承っています。
ご予約・お問い合わせ|TEL 045-909-0117(横浜市青葉区)
ご相談の際は、お薬手帳または薬剤情報提供書/医療保険証・各種受給者証/介護保険証・介護保険負担割合証/(お持ちであれば)診療情報提供書(紹介状)や退院時サマリーをご用意いただくとスムーズです。ご本人が来院できない場合のご相談も承ります。