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急変時の対応マニュアルを家族と施設で整えるには

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急変時の対応マニュアルを家族と施設で整えるには


急変時の対応マニュアルを家族と施設で整えるには

急変時の対応マニュアルは、難しい文書である必要はありません。大切なのは、誰が・何を見て・どこへ連絡するかを家族と施設でそろえておくことです。高齢の方は、肺炎・脱水・転倒・心不全などで状態が変わりやすく、平時のうちに準備しておくと、いざという時に落ち着いて動きやすくなります。

まずは、急変時に慌てないための全体像を高齢者の急変サインを整理した総合ガイドで確認しつつ、家族向け・施設向けの役割分担を小さく整えていきましょう。

家族と施設で、急変時に迷いやすい場面を整理する

家族が困りやすいのは、「様子見でよいのか」「救急車を呼ぶべきか」「施設へ連絡する順番はどうするか」が、その場で判断しづらいことです。施設でも、夜間や休日は連絡先が限られ、既往歴や内服薬の情報がそろっていないと対応が遅れやすくなります。

特に、認知症で普段の訴えが少ない方、パーキンソン病で飲み込みが弱い方、心不全や呼吸器疾患がある方は、急変の見え方が分かりにくいことがあります。「いつもの状態」と「違う状態」を共有しておくことが、最初の備えです。

在宅で今日からできる急変対応マニュアルの作り方

急変時の対応マニュアルは、1枚の紙で十分です。家族用と施設用で内容をそろえ、冷蔵庫・電話の近く・施設の申し送りファイルなど、すぐ見られる場所に置きます。

入れておきたい項目 具体例
基本情報 氏名、生年月日、主病名、かかりつけ医、施設名
連絡先 家族、施設、訪問看護、主治医、夜間窓口
ふだんの状態 歩行、食事、会話、排尿、酸素使用の有無
緊急サイン 息苦しさ、意識がぼんやり、片側の麻痺、強い胸痛など
対応の順番 施設へ連絡→主治医へ相談→必要時は119番
伝える情報 いつから、何が、どの程度変わったか

マニュアルづくりは、訪問診療や在宅医療の相談とも相性がよいです。退院後の療養先や在宅での支え方に迷うときは、訪問診療・在宅医療を知るための相談の入口を参考にすると、考えを整理しやすくなります。

やってはいけないことと、注意しておきたい点

急変時は、家族の善意でも対応が遅れることがあります。次の点には注意してください。

  • 「少し様子を見る」を長引かせすぎない
  • 水分や薬を無理に飲ませない
  • 意識がはっきりしないのに食事を勧めない
  • 受診先が決まっていないのに、情報なしで救急要請だけに頼りきらない
  • いつも通りを知るための記録を残さないままにしない

救急車が必要な場面はありますが、すべての急変が救急搬送だけで解決するわけではありません。状態によっては、訪問診療や訪問看護の方が適していることもあります。厚生労働省の在宅医療の推進人生会議(ACP)も、事前の話し合いを勧めています。

専門職に任せた方がよい範囲を知っておく

家族が全部を背負う必要はありません。次のような場面は、医師や看護師、介護職に任せた方が安全です。

状況 専門職に相談したい理由
発熱や呼吸状態の変化が続く 感染症や心不全などの見極めが必要
食事量が急に落ちた 脱水、誤嚥、薬の影響の確認が必要
転倒後に痛みや腫れがある 骨折や出血の確認が必要
服薬管理が不安定 飲み合わせや飲み忘れの調整が必要

看護の現場では、急変対応は「観察→報告→指示確認→再評価」の流れで進めます。家族も同じ発想で、独断で決めず、見えた変化を短く正確に伝えることが大切です。急変が続く方では、在宅医療の導入で連絡先と役割が整理され、家族の負担が軽くなることがあります。

訪問診療・訪問看護で楽になる部分を知る

訪問診療や訪問看護は、急変を「なくす」ものではありませんが、起きた時に迷いにくくする支えになります。たとえば、退院直後の不安定な時期は、夜間の息苦しさや食事低下が起こりやすく、定期訪問と連絡体制があると相談先が明確になります。

支援内容 家族が楽になる点
医師の定期訪問 受診のたびに移動しなくてよい
訪問看護 体温・血圧・呼吸・創部などを確認しやすい
連携記録 施設と家族で情報をそろえやすい
夜間・休日の連絡体制 緊急時の迷いを減らしやすい

退院前カンファレンスに在宅医が加わると、病院から在宅への引き継ぎが滑らかになります。退院日が急に決まることもあるため、在宅医療の相談の流れを早めに見ておくと、準備の順番が整理しやすいでしょう。

当院の在宅診療の現場から

当院では、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーからご紹介いただき、退院前カンファレンスに参加して在宅への引き継ぎを受けています。退院当日から訪問診療を開始することもあり、退院直後の不安定な時期は24時間の連絡体制で夜間・休日の急変相談に対応しています。消化器内視鏡やエコーの経験を活かし、栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素にも対応しています。地域の訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所と連携し、たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区のご相談にも応じています。

家族の負担を減らす工夫を先に決めておく

急変時は、情報を集めるだけでも大変です。日頃から次の工夫をしておくと、対応が少し楽になります。

  • お薬手帳と緊急連絡先を1か所にまとめる
  • 施設と家族で、受診基準を簡単に書き出す
  • 「本人が望むこと」「避けたいこと」を話し合う
  • 代わりに連絡する人を決めておく
  • 通院が難しくなったら、早めに在宅医療の相談を始める

訪問診療は、通院できなくなってから慌てて探すより、少し早めに情報収集しておく方が選択肢を持ちやすいです。かかりつけ医との関係を断つ必要はなく、併診や引き継ぎもできます。

受診・相談の目安

次のようなときは、訪問診療や医療機関への相談を考えてください。

  • 週に1回以上の通院が負担になってきた
  • 退院後の療養先がまだ決まっていない
  • 家族の付き添いが続き、仕事や生活に支障が出ている
  • 急変時の連絡先や対応順が施設とそろっていない
  • 食事・飲み込み・服薬管理に不安がある

在宅でのケアは、家族だけで抱えると限界が早く来ます。医師・看護師が定期的に自宅へ入ることで、対処の負担そのものを減らせます。相談を始める目安があれば、ご予約・お問い合わせからご連絡ください。

よくある質問

Q. 急変時の対応マニュアルは、家族だけで作れますか?

はい、まずは家族だけでも作れます。ただし、施設入居中の方や医療依存度が高い方は、施設職員や訪問看護師と一緒に確認した方が実用的です。

Q. 施設に入っていても、家族がマニュアルを持っておく意味はありますか?

あります。施設の対応と家族の希望をそろえやすくなりますし、救急時に既往歴や内服薬を伝える助けにもなります。

Q. どんな情報を入れておくと役立ちますか?

主病名、薬、アレルギー、普段の状態、緊急連絡先、かかりつけ医、延命や搬送に関する考え方などです。短くても、最新情報であることが大切です。

Q. 訪問診療を始めるのは早すぎませんか?

早すぎるということはありません。状態が悪化してから探すと選択肢が狭まることがあるため、情報収集だけ先にしておく方が安心です。


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参考文献・出典

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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免責事項 本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。
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