女性の大腸がんの原因と注意したいリスク要因
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大腸がんは、女性のがん罹患数(2019年)において第1位を占めており(国立がん研究センター がん統計より)、決して男性だけの病気ではありません。しかし「大腸がんは男性に多い」というイメージが根強く、女性ご自身が自分のリスクとして意識しにくい傾向があります。
本記事では、女性の大腸がんの原因として意識したいリスク要因を、公的データや診療ガイドラインに基づいて整理します。便通異常・血便・お腹の違和感が続くときは、一人で抱え込まず、早めに医療機関へご相談ください。
女性の大腸がんで「原因」と言われるものは何か
大腸がんは1つの原因で起こるわけではない
大腸がんは、大腸の粘膜細胞のDNAに異常が積み重なることで発生します。単一の「これが原因」という要因があるわけではなく、遺伝的な体質・食事や運動などの生活習慣・炎症性疾患の有無・年齢・ホルモン環境など、複数の要因が組み合わさることで発症リスクが上がると考えられています。
女性で注意したい「リスク要因」と「きっかけ」
リスク要因(危険因子)とは、がんの発症確率を高めることが統計的に示されている条件のことです。リスク要因をもつからといって必ずがんになるわけではありませんが、自分に当てはまるリスク要因を把握しておくことが、検診受診や生活改善のきっかけになります。
大腸がんのリスク要因全般については、大腸がんの原因と予防のために知りたいポイントでも詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
女性に多いと感じやすい背景
年齢とともに大腸がんのリスクは上がる
国立がん研究センターのがん統計(2019年データ)によると、大腸がんの罹患数は女性でも50歳代から増加し、60〜70歳代でピークを迎えます。加齢にともないDNAの修復能力が低下することや、発がんを抑えていた免疫機能が変化することが背景にあると考えられています。
閉経後の体の変化と大腸がんの関係
閉経後はエストロゲン(女性ホルモン)の分泌が急激に低下します。エストロゲンには大腸の炎症を抑える作用があるとされており、閉経後にその保護効果が弱まることで、相対的に大腸がんリスクが高まる可能性が指摘されています。閉経後の体重増加・インスリン抵抗性の変化も、リスク上昇に関与すると考えられています。
女性特有の病気や治療歴で確認したいこと
婦人科系のがん(子宮がん・卵巣がんなど)の治療で放射線照射を受けた経験がある場合、照射領域に含まれる大腸・直腸に二次的な変化が生じることがあります。また、リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん:HNPCC)では子宮体がんとの合併リスクも高く、婦人科がん既往がある方は消化器分野での定期的なフォローが重要です。
女性の大腸がんの主なリスク要因
| リスク要因 | 内容のポイント |
|---|---|
| 家族歴・遺伝 | 一等親(親・きょうだい・子)に大腸がんがいると相対リスクが上昇 |
| 肥満・運動不足 | BMI高値・身体活動の低さはリスク要因として報告あり |
| 飲酒 | アルコール摂取量に応じてリスク上昇が報告されている |
| 喫煙 | 長期喫煙はリスク要因のひとつとされている |
| 炎症性腸疾患 | 潰瘍性大腸炎・クローン病では罹患年数・病変範囲によりリスク上昇 |
| 大腸ポリープ歴 | 腺腫性ポリープ(腺腫)はがんへ移行する可能性がある |
家族歴・遺伝の影響
一等親(親・兄弟姉妹・子)に大腸がんの方がいる場合、そうでない方と比べてリスクが高まるとされています。家族性大腸腺腫症(FAP)やリンチ症候群などの遺伝性疾患では、より若い年齢での発症リスクがあり、専門的な遺伝カウンセリングや早期からの内視鏡検査が推奨される場合があります。
体重増加・運動不足・食生活の乱れ
閉経後の体重増加(特に腹部肥満)は、インスリン様成長因子(IGF)の増加を通じて大腸粘膜細胞の増殖を促すと考えられています。身体活動量が少ないこと自体もリスク要因として報告されており、週150分以上の中強度の有酸素運動が推奨されています(厚生労働省「健康づくりのための身体活動基準2013」参照)。
赤肉(牛・豚・羊など)や加工肉(ハム・ソーセージなど)の過剰摂取はリスク上昇と関連するとされており、食物繊維・野菜・乳製品の十分な摂取が予防の観点で推奨されます。
飲酒・喫煙の影響
アルコールは体内でアセトアルデヒドに代謝され、大腸粘膜のDNA損傷に関与するとされています。喫煙も同様に大腸がんのリスク要因として位置づけられており、禁煙・節酒は予防的観点から意味があります。
炎症性腸疾患などの持病がある場合
潰瘍性大腸炎は、罹患期間が8〜10年を超え、病変が大腸全体に及ぶ「全大腸炎型」の場合に大腸がんリスクが高まるとされています。定期的な内視鏡検査によるサーベイランス(監視)が日本消化器病学会の診療ガイドラインでも推奨されています。
過去に大腸ポリープを指摘された場合
大腸ポリープの中でも「腺腫」と呼ばれる種類は、放置するとがんへ移行する可能性があります。内視鏡的に切除した後も、再発・新たな腺腫の出現がないかを確認するための定期的な大腸内視鏡検査が重要です。ポリープを指摘されたことがある方は、主治医と次回検査のタイミングをご相談ください。
直腸がんの原因として確認したい点
直腸がんと大腸がんの違い
大腸は、盲腸・結腸・直腸・肛門管から構成されています。「大腸がん」はこれら全体を指す総称であり、「直腸がん(直腸癌)」はそのうち直腸に発生したがんを指します。直腸は肛門に近いため、排便困難・便が細くなる・血便・残便感などの症状が比較的早期から現れやすい部位です。
直腸がんで意識したいリスク要因
直腸がん(直腸癌)の原因やリスク要因は、大腸がん全体と基本的に共通しています。加えて、直腸は放射線照射の影響を受けやすい部位であり、婦人科系がんの放射線治療後は直腸への影響も確認することが大切です。直腸がんの原因についてさらに詳しく知りたい方は、大腸がんの原因は?なりやすい人の特徴も解説もご覧ください。
公的データからみる女性の大腸がん
国立がん研究センターの統計で確認できること
国立がん研究センター がん情報サービスの最新統計(2019年)によると、大腸がんの女性の年齢調整罹患率は全がん中で高い位置にあり、女性のがん死亡数でも大腸がんは上位に入ります。こうしたデータは、女性が大腸がんを「自分ごと」として意識する根拠になります。
「多い・増えている」ときの見方に注意する点
統計データはあくまで集団全体の傾向を示すものです。「女性に多い」という事実は、検診を受けて早期発見につなげることの重要性を示すものであり、「自分はがんだ」と過度に不安になる必要はありません。統計上の数値は個々の患者さんの予後を確定するものではないことをご理解ください。
大腸がんを早く見つけるためにできること
大腸がん検診の対象と受け方
市区町村が実施する大腸がん検診(大腸癌検診)は、40歳以上を対象に毎年の便潜血検査(2日法)が推奨されています(厚生労働省 がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針)。職場健診や自治体検診の案内が届いた際は、必ず受診するようにしてください。
便潜血検査で要精密検査と言われたら
便潜血検査が陽性(便に血液反応あり)だった場合、痔など良性の疾患が原因であることも少なくありませんが、必ず大腸内視鏡検査(精密検査)を受けることが大切です。陽性者のうち大腸がんが見つかる割合は約1〜2%程度とされますが、放置せず確認することが早期発見につながります。
検診で見つかる病変と検査の限界
便潜血検査はあくまでスクリーニング(ふるいわけ)です。血便を伴わない早期の病変は検出できない場合もあるため、症状がある方や家族歴のある方は検診の結果にかかわらず内視鏡検査を検討することが勧められます。
生活習慣でできる予防の考え方
食事・運動・体重管理で意識したいこと
完全に防ぐ方法はあるのか
生活習慣の改善はリスクを下げる効果が期待できますが、大腸がんを100%防ぐ方法は現時点では存在しません。遺伝的要因など変えられないリスクもあるため、「予防」とともに「早期発見」を目的とした定期的な検診・内視鏡検査が重要です。
当院での診療から
女性に多い相談内容と診察で確認するポイント
当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)には、「血便が続いているが痔だと思って様子を見ていた」「便秘と下痢を繰り返すが大腸がんか不安」「大腸がん検診で要精密検査と言われた」といった理由でご相談にいらっしゃる女性の方が多くいらっしゃいます。診察では、便通の変化・血便の性状・腹痛の有無・体重減少・家族歴・婦人科系の既往歴・過去の内視鏡検査歴などを丁寧に確認し、必要な検査の優先順位を一緒に考えます。
必要に応じて行う検査の考え方
当院は消化器内視鏡センターを備えており、鎮静下(うとうとした状態)での大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。苦痛を軽減した状態で検査を受けていただけるよう配慮しており、女性スタッフも在籍しています。早期がんや高度異形成を疑う所見が見つかった場合は、速やかに基幹病院へご紹介し、地域連携クリティカルパスを用いて術後のフォローを当院が担当します。在宅療養支援診療所として、在宅緩和ケア・看取りへの対応体制も整えています。
検診異常や症状があるときの受診の流れ
受診後、問診・身体診察を行い、必要に応じて大腸内視鏡検査を予約します。前処置(下剤による腸管洗浄)については、丁寧にご説明しますのでご不明点はお気軽にお申し出ください。
受診・相談の目安
早めに消化器内科や肛門科へ相談したい症状
以下の症状が2〜3週間以上続く場合は、自己判断せず早めに受診することをお勧めします。
便潜血陽性や血便があるときの対応
「痔があるから」「生理血だろう」と自己判断して放置することは避けてください。便潜血陽性が出た場合は、必ず大腸内視鏡による精密検査を受けることが重要です。
家族歴がある場合に相談したいタイミング
一等親に大腸がんの方がいる場合は、40歳より前(目安として35〜40歳頃)から内視鏡検査を検討することが推奨される場合があります。リンチ症候群などの遺伝性疾患が疑われる場合は、遺伝カウンセリングの受診もご検討ください。まずはお気軽にご予約・お問い合わせよりご連絡ください。
よくある質問(FAQ)
女性だと大腸がんになりやすいのは本当ですか
大腸がんは女性のがん罹患数第1位(国立がん研究センター 2019年統計)であり、「女性だからなりにくい」わけではありません。50歳以降に急増するため、中高年女性は特に検診を意識することが大切です。
症状がなくても検診は必要ですか
はい。大腸がんは早期段階では症状が出にくいことが多く、症状を待っていると進行した状態で発見されることがあります。40歳以上であれば、自覚症状がなくても毎年の便潜血検査(大腸癌検診)を受けることが推奨されています。
便秘や下痢が続くのは大腸がんのサインですか
便秘・下痢・便通の変化は過敏性腸症候群や食事内容の変化など多くの原因で起こるため、それだけで大腸がんとは言えません。しかし、これまでとは異なる便通の変化が2〜3週間以上続く場合は、一度消化器内科で相談されることをお勧めします。
直腸がんと大腸がんの原因は違いますか
直腸がん(直腸癌)と結腸がん(結腸癌)はどちらも大腸がんの一種であり、主なリスク要因は共通しています。ただし、直腸は肛門に近い部位であるため症状の出方や手術後の排便機能への影響など、診療上で異なる点もあります。結腸がんのリスク要因については結腸癌の原因と気をつけたい生活習慣を解説もご参照ください。
生活習慣を変えれば大腸がんは防げますか
生活習慣の改善(食事・運動・節酒・禁煙・体重管理)は、大腸がんのリスクを下げることが期待されますが、リスクを「ゼロにする」ことはできません。遺伝的要因のように変えられないリスクもあるため、定期的な検診・内視鏡検査による早期発見と組み合わせることが大切です。
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参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
たまプラーザで、血便・便通の変化・腹部の違和感など消化器に関わる気になる症状がある方、大腸がん検診の結果について相談されたい方は、お気軽にご相談ください。鎮静下での大腸内視鏡検査を実施しており、女性スタッフも在籍しています。
TEL:045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)
ご予約はWebまたはお電話で承ります。
初診の際は、保険証・お薬手帳・(お持ちであれば)健診結果や紹介状をご用意いただくとスムーズです。
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。