大腸がんの原因は?なりやすい人の特徴も解説
大腸がんとは|症状・検査・治療・生活までを医師監修で解説する総合ガイド › 大腸がんの検診・予防・リスク|押さえておきたい要点を医師監修で解説 › (本記事)
大腸がん(結腸がん・直腸がん)は、日本人に最も多いがんの一つです。国立がん研究センターの統計(2019年罹患データ)によれば、男女合計の罹患数で第1位となっています。「原因はひとつではなく、食生活・加齢・遺伝など複数の要因が絡み合って発症リスクが高まる」というのが現在の医学的見解です。本記事では、大腸がんの主な原因・リスク要因と、なりやすい人の特徴を整理したうえで、予防や検診のポイントをわかりやすく解説します。
本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別の診断・治療については必ず主治医・専門医にご相談ください。
大腸がんの原因は1つではない|「なりやすい人」を知るための基本
大腸がんの発生に関わる主な要因
大腸がんは、大腸の粘膜細胞に生じた遺伝子の異常が蓄積することで発生します。この遺伝子異常を引き起こす・促進するものとして、以下のような要因が知られています。
これらが複合的に絡み合うことで、発症リスクが上がると考えられています。
「原因」と「リスク要因」の違い
「原因」とは「それがなければ発症しない」という1対1の関係を指しますが、大腸がんにおいてはそれほど単純ではありません。医学的には「リスク要因(危険因子)」という概念を使い、「そのリスク要因をもつ人は、もたない人に比べて発症しやすい」と表現します。リスク要因があっても必ずしも発症するわけではなく、リスク要因がない人も発症することがあります。
大腸がんの原因として知られる要因
加齢と大腸がんのリスク
大腸がんは50歳前後から罹患率が上昇し、60〜70歳代でピークを迎える傾向があります(国立がん研究センター がん統計より)。加齢とともに細胞の修復機能が低下し、遺伝子異常が蓄積しやすくなることが背景にあります。
食生活の影響
国際がん研究機関(IARC)は、加工肉(ハム・ソーセージなど)をグループ1(ヒトに対して発がん性がある)、赤身肉をグループ2A(おそらく発がん性がある)に分類しています。一方で、食物繊維・野菜・果物の摂取は大腸がんリスクを低下させる可能性が示唆されています。ただし、特定の食品が「必ず発症させる」「必ず予防する」とは言い切れず、食事全体のバランスが重要です。
肥満・運動不足・飲酒・喫煙との関係
| リスク要因 | 主な関連 |
|---|---|
| 肥満(BMI高値) | インスリン抵抗性・慢性炎症を介してリスクが上昇するとされる |
| 運動不足 | 腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)の低下・肥満と関連 |
| 飲酒 | アルコール代謝産物のアセトアルデヒドが粘膜を刺激するとされる |
| 喫煙 | 発がん物質の直接的な影響と免疫機能の低下が関与するとされる |
これらは複数重なることでリスクがさらに高まる可能性があるとされています。
家族歴・遺伝の影響
一親等(親・兄弟姉妹・子)に大腸がん患者がいる場合、発症リスクが高まるとされています。また、遺伝性大腸がんとして家族性大腸腺腫症(FAP)やリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん:HNPCC)が知られており、これらは特定の遺伝子変異に起因します。遺伝性大腸がんは大腸がん全体の約5〜10%を占めるとされており、該当する可能性がある方は専門外来での相談が推奨されます。
大腸がんになりやすい人の特徴
40代以降で気にしたい人
罹患率が上昇し始める40代以降の方は、自覚症状がなくても定期的な大腸がん検診(便潜血検査)の受診を検討することが大切です。
大腸がんになった家族がいる人
一親等以内の家族に大腸がん患者がいる方は、発症リスクが高い可能性があります。かかりつけ医に相談し、検診の時期や内容を個別に検討してもらいましょう。
大腸ポリープを指摘されたことがある人
大腸ポリープ(特に腺腫)はがんの前駆病変となり得ます。過去に指摘を受けた方は、医師の指示に従って定期的な内視鏡検査を受けることが重要です。
便通異常や血便をくり返す人
下痢・便秘の繰り返し、便が細くなる、血便(鮮血・暗赤色の血液)などの症状は、大腸がんが関係している可能性があります。痔(じ)と自己判断せず、早めに医療機関を受診してください。
大腸がんを予防するためにできること
食事で意識したいポイント
体重管理・運動・禁煙・節酒
適正体重の維持(BMI 18.5〜24.9を目安)、週150〜300分程度の中強度有酸素運動(厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」参照)、禁煙、アルコール摂取量の節制が推奨されます。
定期的な検診を受ける重要性
生活習慣の改善と並行して、定期的な検診による早期発見が最も確実なアプローチの一つです。症状がない段階での発見が、その後の治療選択肢を広げることにつながります。
詳しくは大腸がんの原因と予防のために知りたいポイントもあわせてご参照ください。
大腸がん検診でわかること
検便(便潜血検査)の役割
便潜血検査は、便に微量の血液が混じっていないかを調べる検査です。大腸がん検診の標準的な1次スクリーニングとして、40歳以上を対象に年1回の受診が推奨されています(厚生労働省 がん検診指針)。
精密検査が必要になるケース
便潜血検査で「陽性」となった場合、精密検査として大腸内視鏡検査(大腸カメラ)または注腸X線検査が行われます。陽性であっても必ずしもがんを意味するわけではありませんが、放置せず早めに精密検査を受けることが大切です。
検診で早期発見を目指す理由
大腸がんは早期(ステージI・II)で発見されると、比較的良好な経過をたどることが多いとされています(ただし統計値であり、個々の患者さんに当てはまるとは限りません)。症状が出てからでは進行しているケースもあるため、症状がない段階での検診受診が推奨されます。
公的データでみる大腸がんの傾向
日本で大腸がんが多いとされる背景
日本では戦後の食生活の欧米化(脂質・動物性タンパク質の摂取増加、食物繊維摂取の減少)が大腸がん増加の一因として指摘されています。国立がん研究センター「がん情報サービス」でも、この食習慣の変化との関連が紹介されています。
年齢別・性別の傾向をどう読むか
大腸がんは男女ともに50歳以降で罹患率が上昇します。男性のほうが女性より若干多い傾向がありますが、女性においても60〜70歳代以降は罹患率が高まります。女性特有のリスク要因については女性の大腸がんの原因と注意したいリスク要因も参考にしてください。
統計を見るときの注意点
統計上の罹患率・生存率はあくまで集団のデータです。個々の患者さんの状況(病期・腫瘍の性質・合併症など)によって経過は異なります。統計数値を「自分の予後」として直接当てはめることは医学的に適切ではありません。
当院での診療から
AIプラスクリニックたまプラーザは消化器内視鏡センターを備えており、鎮静(うとうとした状態)下での大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。「便潜血検査が陽性だったが、どこで精密検査を受ければよいかわからない」「家族に大腸がんがいるので自分も心配」といったご相談も、まず当院の外来でお話を伺い、症状・検診結果・家族歴などを確認したうえで、必要な検査や次のステップをご案内しています。
早期がんや手術が必要な所見が疑われる場合は、速やかに基幹病院へ紹介し、地域連携クリティカルパスを活用して術後の定期フォローを当院が担当します。また、在宅療養支援診療所として、在宅での緩和ケア・療養支援にも対応しています。「何から相談すればよいかわからない」という段階からお気軽にご相談ください。
受診・相談の目安
早めに医療機関へ相談したい症状
以下のような症状がある場合は、早めに消化器内科または外科を受診してください。
検診の再検査を放置しないために
便潜血検査が「陽性」だった場合、自覚症状がなくても必ず精密検査を受けましょう。「陽性=がん確定」ではありませんが、放置することで病変の発見が遅れるリスクがあります。
どの診療科に相談すべきか
まず消化器内科・内科に相談するのが一般的です。手術が必要な場合は消化器外科に紹介されます。かかりつけ医がいる場合はそちらにご相談いただくのもよいでしょう。
よくある質問(FAQ)
大腸がんは生活習慣だけで起こりますか?
食生活・運動不足・肥満・飲酒・喫煙といった生活習慣は重要なリスク要因ですが、加齢や遺伝的素因なども関与します。生活習慣に気をつけていてもゼロにはならないため、定期的な検診が推奨されます。
家族に大腸がんがあると、必ずなりやすいですか?
一親等以内に大腸がん患者がいる場合、発症リスクが高まるとされています。ただし「必ずなる」わけではありません。リスクが高いことを踏まえ、検診の開始時期や頻度を主治医と相談することが大切です。家族性大腸腺腫症・リンチ症候群が疑われる場合は遺伝専門外来の受診も選択肢となります。
若くても大腸がんになりますか?
発症は50歳以降に多いですが、30〜40代での発症例もあります。若年発症は遺伝性素因や炎症性腸疾患との関連が指摘されることがあります。年齢に関わらず、気になる症状があれば受診を検討してください。
便潜血検査が陰性なら安心してよいですか?
便潜血検査は出血していない病変を検出できない場合があります(偽陰性)。陰性でも症状がある場合や、リスク要因が複数ある場合は主治医に相談しましょう。年1回の定期受診を継続することが重要です。
大腸がんの予防にサプリは役立ちますか?
カルシウムやビタミンDのサプリメントと大腸がんリスク低下の関連を示す研究はありますが、現時点では特定のサプリメントの予防効果について確立した医学的コンセンサスはありません。バランスのよい食事・適度な運動・禁煙・節酒・定期検診が優先されます。サプリメントの使用については必ず主治医にご相談ください。
関連記事
参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師・医学博士/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業・医師免許取得。1997年 同大学大学院修了・博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
たまプラーザで内科・消化器の気になる症状がある方へ。大腸がん検診の結果や便通の変化、家族歴など、気になることはお気軽にご相談ください。
TEL: 045-909-0117(横浜市青葉区 たまプラーザ)
初診の際は、保険証・お薬手帳・(お持ちであれば)健診結果や紹介状をご用意いただくとスムーズです。ご予約はWebまたはお電話で承ります。
免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。