胃癌の種類と病期の基本的な考え方
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「胃がんと言われたけれど、自分の場合はどんな種類なのか」「ステージというのは、具体的に何で決まるのか」——検査結果を手に、そのような疑問を抱えている方は少なくありません。胃がんは一種類ではなく、組織の性質や広がり方によって複数に分類されます。種類と病期(ステージ)の基本を理解することは、主治医との話し合いをより具体的に進めるための助けになります。本記事では、公的機関のデータと診療ガイドラインをもとに、胃がんの種類と病期の考え方をわかりやすく整理します。
胃がんとは?「種類」を理解する前に知っておきたい基本
胃がんはどこにできるがんか
胃がんは、胃の内側を覆う粘膜の細胞ががん化することで生じます。胃は食道と十二指腸をつなぐ袋状の臓器で、がんは粘膜から発生し、進行するにつれて粘膜下層・筋層・漿膜(しょうまく)へと深く広がっていきます。国立がん研究センター「がん情報サービス」によれば、胃がんは日本人に多いがんの一つであり、早期発見と適切な治療が重要とされています。
胃がんの主な症状と、症状が出にくい理由
早期の胃がんは自覚症状がほとんどない場合が多く、胃カメラや健診で偶然発見されることも少なくありません。症状が現れやすいのは進行してからで、みぞおちの痛み・胃もたれ・食欲低下・体重減少・黒色便(タール便)などが挙げられます。胃は容積が大きいため、小さな病変が症状を引き起こしにくいことが、早期発見を難しくする一因です。
「胃がん とは」と「胃癌の種類」が検索される背景
診断後に「自分のがんがどの種類にあたるのか」を知りたいと感じる患者さんやご家族が多いことが、検索動向から伺えます。種類によって治療の選び方や進行の傾向が異なるため、正確に理解することが治療の話し合いにつながります。
胃癌の種類はどう分ける?基本は「組織型」と「進行の深さ」
組織型による分類:腺がんが多いとされる理由
胃がんの約95%以上は「腺がん(せんがん)」と呼ばれる種類です。腺がんとは、粘膜の分泌腺(胃液や粘液を作る組織)から発生するがんのことで、胃の内壁の構造的な特徴が関係しています。残りの数%に、リンパ腫・消化管間質腫瘍(GIST)・神経内分泌腫瘍などが含まれます。
進行の深さによる分類:早期胃がんと進行胃がん
| 分類 | 定義 |
|---|---|
| 早期胃がん | がんが粘膜・粘膜下層にとどまっている状態(リンパ節転移の有無は問わない) |
| 進行胃がん | がんが固有筋層より深く浸潤している状態 |
この「深達度(しんたつど)」は、手術や内視鏡治療の適応を判断する重要な指標です。
「胃癌 進行癌」とは何を指すのか
進行胃がんは、固有筋層・漿膜下層・漿膜・隣接臓器へと浸潤した状態を指します。進行がんであっても、リンパ節転移や遠隔転移の状況によって治療方針は異なり、一律に手術ができないというわけではありません。胃がんの進行速度についての詳細はこちらもご参考ください。
胃がんの代表的な種類・分類を整理する
分化型胃がんと未分化型胃がん
腺がんはさらに「分化型」と「未分化型」に分けられます。
| 分類 | 特徴 |
|---|---|
| 分化型(管状腺がん・乳頭腺がんなど) | 比較的ゆっくり進行する傾向。ピロリ菌感染との関連が深い。血行性転移をきたしやすい。 |
| 未分化型(印環細胞がん・低分化腺がんなど) | 粘膜内を広がりやすい傾向があり、若い世代にも見られる。リンパ行性転移をきたしやすい。 |
印環細胞がん・低分化腺がんとは
印環細胞がん(いんかんさいぼうがん)は、細胞内に粘液がたまり核が端に寄った特徴的な形をもつがんです。未分化型に属し、粘膜内での広がりが早い場合があります。低分化腺がんも未分化型に含まれ、通常の腺がん構造が乏しいことが特徴です。
スキルス胃がんとは何か
スキルス胃がんは、がん細胞が胃壁の深部に広がりながら硬い線維組織(間質)を増やすタイプです。胃壁全体が硬くなり、内視鏡で粘膜面の変化が捉えにくい場合があります。進行が速い傾向があるとされており、腹膜播種(ふくまくはしゅ)を起こしやすいことが知られています。詳しくはスキルス胃癌の特徴と受診の目安をご覧ください。
そのほかのまれな胃がんの種類
胃原発のリンパ腫、消化管間質腫瘍(GIST)、神経内分泌腫瘍(NET)なども胃に発生することがあります。胃粘膜下腫瘍と胃がんの違いについては別記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
病期(ステージ)はどう決まる?種類との違い
ステージを決める3つの要素:深達度・リンパ節・遠隔転移
病期(ステージ)は、TNM分類と呼ばれる国際的な基準で評価されます。
- T(Tumor):腫瘍の深達度(粘膜〜隣接臓器への浸潤の深さ)
- N(Node):リンパ節転移の有無・個数
- M(Metastasis):肝臓・肺・腹膜などへの遠隔転移の有無
ステージI〜IVの考え方
| ステージ | おおまかな状態 |
|---|---|
| Ⅰ | 粘膜〜粘膜下層または筋層にとどまり、リンパ節転移が少ない |
| Ⅱ | 深達度とリンパ節転移の組み合わせが中程度 |
| Ⅲ | 深達度が深く、リンパ節転移が広範 |
| Ⅳ | 遠隔転移がある、または腹膜播種がある |
※日本胃癌学会「胃癌取扱い規約(第15版)」に基づく概略です。ステージの詳細な区分はガイドラインをご確認ください。
病期と「治りやすさ」ではなく、治療方針がどう変わるかを見る
ステージは統計的な情報であり、個々の患者さんの経過を予測するものではありません。重要なのは「このステージではどの治療が推奨されているか」という観点です。国立がん研究センターも、生存率は集団の統計値であり個人差があることを明示しています。
胃がんの種類によって治療はどう変わるか
手術が中心になる場合
リンパ節郭清(かくせい)を含む胃切除術は、切除可能な胃がんの根治を目指す標準治療です(日本癌治療学会 がん診療ガイドライン参照)。
内視鏡治療が選ばれる場合
早期胃がんで、がんの大きさ・組織型・潰瘍の有無などの条件を満たす場合は、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が選択されることがあります。分化型の早期がんで適応が広い傾向があります。
薬物療法・放射線治療が検討される場合
切除困難な進行・再発胃がんでは、化学療法(抗がん剤)や分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬が用いられます。HER2タンパクの過剰発現がある場合は、分子標的薬(トラスツズマブ)が選択肢になります。放射線治療は出血コントロールや転移巣の症状緩和目的で検討されます。
種類だけで治療は決まらない理由
治療方針は、がんの種類・ステージに加え、患者さんの年齢・全身状態・合併症・本人の意向など複数の要素を総合して決まります。担当医と十分に相談することが不可欠です。
公的データで見る胃がんの全体像
国立がん研究センターの統計でわかること
国立がん研究センターがん統計(2022年データ)によれば、胃がんは日本人の罹患数の多いがんの一つです。死亡者数は減少傾向にある一方、新規罹患数は依然として多い状況が続いています。
統計値と個人の予後は同じではないこと
5年生存率などの統計値は、多数の患者データの平均であり、個々の患者さんの予後を示すものではありません。同じステージでも、組織型・治療内容・個人差により経過は異なります。
データを見るときの注意点
インターネット上には古いデータや出典不明の数字が混在しています。信頼できる情報源として、国立がん研究センター「がん情報サービス」(https://ganjoho.jp)をご参照ください。
胃がんの種類や病期を知るために行う検査
胃カメラ(上部消化管内視鏡)
最も基本的な検査です。胃の粘膜を直接観察し、病変の部位・性状を確認します。必要に応じて組織を採取します。
生検と病理検査
内視鏡中に採取した組織を顕微鏡で調べ、がん細胞の有無・組織型・分化度を確定します。診断の根拠となる最も重要な検査です。
CT・超音波・必要に応じた追加検査
リンパ節転移や遠隔転移の評価にはCT検査が用いられます。腹部超音波・PET-CT・腹腔鏡検査が追加されることもあります。
検査結果をどう読み解くか
検査結果には複数の専門用語が含まれます。わからない点は主治医や看護師に確認し、必要に応じてセカンドオピニオンを活用することも選択肢の一つです。
胃がんで頭痛があるときに考えること
胃がんと頭痛の直接的な関係は一般的ではない
胃がんそのものが直接頭痛を引き起こすことは、一般的には多くありません。ただし、高度の貧血・低栄養・抗がん剤の副作用・精神的ストレスなどが頭痛に関与する場合があります。
頭痛が続くときに確認したい別の原因
原因として、緊張性頭痛・偏頭痛・高血圧・薬剤の影響なども考えられます。脳転移は胃がんで生じることはありますが、頻度は高くありません(確認が必要な場合はMRI等が行われます)。
すぐ受診したほうがよい症状
突然の激しい頭痛・意識の変容・手足のしびれや麻痺・言語障害がある場合は、速やかに救急受診してください。
当院での診療から
当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)は消化器内視鏡センターを備え、鎮静下での胃内視鏡検査を日常的に実施しています。内視鏡中に早期がんを疑う所見が見つかった場合は、地域の基幹病院へ速やかにご紹介するとともに、地域連携クリティカルパスを活用して術後フォローを担当します。
検査後の病理結果や各種レポートを患者さんとともに確認し、「どの種類か」「次に何をするか」を丁寧にご説明することを大切にしています。また、在宅療養支援診療所として緩和ケア・在宅看取りにも対応しており、治療のどの段階においても継続的にサポートできる体制を整えています。胃の症状が気になる方、他院での検査結果について確認したい方は、まずお気軽にご相談ください。
受診・相談の目安
体重減少、黒色便、貧血、食欲低下があるとき
意図しない体重減少(1〜2か月で数kg以上)、タール状の黒い便、貧血の症状(倦怠感・動悸・めまい)、食欲の著しい低下が続く場合は、消化器内科への受診をご検討ください。
胃もたれやみぞおちの痛みが続くとき
胃もたれ・みぞおちの鈍痛・つかえ感が2週間以上続く場合は、胃カメラによる確認が推奨されます。ピロリ菌の除菌歴・健診歴も合わせてお伝えください。
緊急受診を考える症状
大量の吐血・突然の激しい腹痛・意識の変化がある場合は、ただちに救急受診してください。
ご予約・お問い合わせはこちらからご確認いただけます。
よくある質問(FAQ)
胃癌の種類が多いのはなぜですか?
胃の粘膜には複数の細胞が存在するため、どの細胞ががん化するか、またがん細胞がどの程度「胃の正常組織に似ているか(分化度)」によって種類が分かれます。同じ胃がんでも組織型・深達度・転移状況によって治療方針が異なるため、詳しく分類することが診療上重要です。
胃がんは種類によって進行の速さが違いますか?
一般的に、未分化型(印環細胞がん・低分化腺がんなど)は粘膜内を広がりやすい傾向があるとされています。一方、分化型はゆっくり進行する傾向があると言われますが、個人差があり、種類だけで一律に進行速度を断定することはできません。
早期胃がんでも手術が必要になることはありますか?
はい。内視鏡治療(ESD)の適応は、がんの大きさ・組織型・潰瘍の有無・深達度などの条件を総合的に判断します。条件を満たさない場合は、早期胃がんでも外科手術が選択されます。
胃がんのステージは検査だけで確定しますか?
CT等の画像検査や内視鏡検査によって術前ステージを推定しますが、リンパ節転移の詳細な評価は手術で切除した検体の病理検査(術後病期)で確定します。術前と術後でステージが変わる場合があります。
胃がんと診断されたら、まず何を確認すればよいですか?
①組織型(分化型か未分化型か)、②深達度(早期か進行か)、③リンパ節転移・遠隔転移の状況、④HER2検査の結果(陽性か陰性か)、⑤推奨される治療方針とその理由——これらを主治医に確認することが出発点です。不明な点はメモして診察時に質問するか、セカンドオピニオンを活用することも選択肢です。
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参考文献・出典
- 国立がん研究センター がん情報サービス「胃がん」
- 国立がん研究センター がん統計
- 厚生労働省 がん対策
- 日本癌治療学会 がん診療ガイドライン
- Minds ガイドラインライブラリ(日本医療機能評価機構)
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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TEL:045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)
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免責事項
本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。