オンライン予約はこちら

憩室炎の原因|内科医がわかりやすく解説

健康ブログ

健康で楽しい生活を送る

憩室炎の原因|内科医がわかりやすく解説

腹痛や発熱が続いていて「憩室炎かもしれない」と気になっている方へ。憩室炎は、大腸の壁にできた袋状の突起(憩室)に便や細菌がたまり、炎症を起こした状態です。加齢・食生活・便秘・腸内環境の乱れなど複数の要因が重なることで発症リスクが高まります。本記事では、消化器専門医の監修のもと、憩室炎が起こる仕組みから、なりやすい人の特徴・受診の目安まで、わかりやすく解説します。


憩室炎とは?まずは憩室との違いを整理

憩室とは何か

憩室(けいしつ)とは、腸管の壁の一部が外側に向かって袋状に飛び出した状態のことです。大腸(特に結腸)に生じることが多く、加齢とともに形成されやすくなります。詳しくは憩室とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご参照ください。

憩室炎はどんな状態か

憩室炎とは、形成された憩室に便・食べかす・細菌が停滞し、炎症が生じた状態です。軽症であれば外来治療で対応できる場合もありますが、膿瘍(膿のかたまり)や穿孔(腸に穴が開くこと)などを合併すると入院・手術が必要になることがあります。

憩室があってもすぐに憩室炎になるわけではない

大腸内視鏡検査などで憩室が見つかっても、炎症を起こすのは一部の方にとどまります。憩室があること自体は「憩室症」と呼ばれ、多くの場合は無症状です。憩室炎への移行には、後述するさまざまな要因が関係します。

憩室炎の主な原因

憩室内に便や食べかすがたまり炎症が起こる

憩室は袋状の構造であるため、腸管の蠕動(ぜんどう)運動だけでは内容物が排出されにくい場所です。便や食べかすが滞留すると細菌が増殖し、粘膜が傷ついて炎症が広がります。

憩室の入り口が詰まりやすくなる

憩室の開口部が狭くなったり食物残渣(ざんさ)で塞がれたりすると、袋内の圧力が上昇しやすくなります。この圧力上昇が炎症の引き金になると考えられています。

細菌の増殖や腸内環境の乱れが関与する

腸内フローラのバランスが乱れると、炎症を引き起こしやすい細菌が増殖しやすくなります。腸内環境の乱れは便秘・下痢・食生活の偏りなどさまざまな要因で生じます。

便秘や腸管内の圧力上昇との関係

便秘により硬くなった便をいきんで排出しようとすると、大腸内の圧力が高まります。この圧力の繰り返しが、腸壁の弱い部分を押し広げて憩室をつくり、すでに存在する憩室では炎症の誘因になりやすいとされています。

憩室炎になりやすい人の特徴

加齢とともにリスクが高まりやすい

加齢に伴い腸管壁の筋肉や結合組織の弾力が低下するため、憩室自体が形成されやすくなり、炎症を起こすリスクも高まります。一般的に50歳以降から発症例が増える傾向があります。

便秘がちの人

排便時のいきみが腸管内圧を繰り返し高めるため、憩室炎のリスクと関連があるとされています。

食物繊維が不足しやすい食生活の人

食物繊維が少ない食事は便が硬くなりやすく、腸管内の通過時間が延長して圧力上昇につながります。欧米型食生活の普及とともに大腸憩室の有病率が増加していることが複数の調査で示されています。

肥満や運動不足がある人

肥満は腸管への物理的な負荷を高めるほか、腸の蠕動運動の低下にも関連するとされます。適度な運動不足も腸機能に影響を与えると考えられています。

喫煙や飲酒習慣がある人

喫煙は消化管粘膜の血流を低下させ、飲酒は腸内環境を乱す要因になります。いずれも炎症リスクを高める可能性がある習慣として注意が必要です。

既往歴や家族歴が関係することもある

過去に憩室炎を起こしたことがある方は再発リスクが高まります。また、家族に憩室症・憩室炎が多い場合は遺伝的・体質的な要因が関与することも考えられています。

左側と右側で原因や特徴は違うのか

大腸の右側に起こりやすい場合

アジア人(日本人を含む)では、右側(上行結腸・盲腸周辺)に憩室が多い傾向があります。先天的な腸管壁の構造が関与していると考えられており、比較的若い年齢でも発症することがあります。

大腸の左側に起こりやすい場合

欧米人では左側(S状結腸)に憩室が多く、腸管内圧の上昇や食物繊維不足との関連が指摘されています。日本でも高齢化・食生活の欧米化に伴い左側の憩室が増加しているとされます。

年齢や体質との関連

右側は比較的若年でも発症しやすく、左側は高齢者や生活習慣との関連が強い傾向があります。ただし個人差があるため、腹痛の部位だけで自己判断することは避け、医師の診察を受けることが大切です。

憩室炎を悪化させやすい要因

便秘や強いいきみ

排便時の強いいきみは腸管内圧をさらに高め、炎症を悪化させる恐れがあります。

鎮痛薬などの薬剤との関係

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は消化管粘膜を保護する働きを低下させ、憩室炎の発症・悪化に関連するとの報告があります。自己判断で市販の痛み止めを使用する場合は注意が必要です。

受診を先延ばしにすることのリスク

軽症に見えても膿瘍や穿孔、腸閉塞などの合併症に進展する場合があります。腸閉塞との関連については腸閉塞とは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】もご参照ください。症状が続く場合は早めに受診されることをおすすめします。

憩室炎の原因と間違えやすい病気

虫垂炎

右下腹部痛・発熱など症状が似ており、画像検査での鑑別が重要です。

大腸がん

大腸がんが狭窄や炎症を引き起こし、憩室炎に似た症状を呈することがあります。

虚血性腸炎

大腸の血流が一時的に低下して起こる炎症で、左下腹部痛や血便を伴うことがあります。

過敏性腸症候群との違い

過敏性腸症候群(IBS)は炎症を伴わない機能性疾患で、発熱や血液検査の異常は通常みられません。腹痛・下痢・便秘が繰り返す場合でも、発熱がある場合は器質的疾患(憩室炎など)の除外が必要です。

どんな症状があると憩室炎を疑うか

左下腹部または右下腹部の痛み

持続する腹痛(特に左下腹部または右下腹部)が最も典型的な症状です。

発熱

37〜38℃以上の発熱を伴うことが多く、炎症が進んでいるサインです。

吐き気・食欲低下

腹痛とともに吐き気や食欲の低下が現れることがあります。

便秘や下痢

排便習慣の変化(便秘・下痢・残便感)を伴うことがあります。

押すと痛い、歩くと響くなどの腹部症状

腹部を押したときや歩行時に響くような痛みがある場合は、炎症が腹膜近くまで及んでいる可能性があり、注意が必要です。

受診の目安と診療科の選び方

早めに内科・消化器内科を受診したい症状

発熱を伴う腹痛、数日続く腹部の違和感・圧痛がある場合は、内科または消化器内科への受診をご検討ください。

救急受診を考えるべき危険なサイン

急激に強くなる腹痛、腹部全体が板のように硬くなる腹膜刺激症状、高熱・ショック状態(冷や汗・意識の変容など)がある場合は、速やかに救急外来を受診してください。

診断には医師の診察と検査が必要

症状だけでは自己判断が難しい場合も多くあります。正確な診断と適切な治療のために、医師の診察を受けることが大前提です。

病院ではどのように原因や重症度を調べるか

問診と腹部診察

いつから・どの部位に・どんな痛みがあるかを詳しく確認し、腹部の触診で圧痛の部位や腹膜刺激症状を評価します。

血液検査

白血球数やCRP(C反応性タンパク)などの炎症マーカーを確認し、炎症の程度を客観的に評価します。

CT検査などの画像検査

腹部CTは憩室炎の診断・重症度評価に有用で、膿瘍・穿孔・周囲への波及などの合併症を確認するために用いられます。

必要に応じた他疾患との鑑別

虫垂炎・大腸がん・虚血性腸炎などとの鑑別が必要な場合は、追加の画像検査や後日の大腸内視鏡検査が検討されます。

日常生活でできる予防の考え方

便秘対策と食習慣の見直し

野菜・豆類・海藻・果物など食物繊維を含む食品を意識的に摂り、腸内環境を整えることが大切です。加工食品・脂肪分の多い食事の過剰摂取には注意が必要です。

水分摂取と適度な運動

1日1.5〜2L程度の水分摂取(個人の状態に応じて)と、ウォーキングなどの適度な有酸素運動が腸の蠕動運動を助けます。

無理のない体重管理

肥満は憩室炎のリスク因子の一つとされています。バランスの取れた食事と適度な運動による無理のない体重管理を心がけましょう。

再発予防のために意識したいこと

一度憩室炎を起こした方は再発リスクがあります。治療後も食習慣・排便習慣の改善を継続し、定期的に医師のフォローを受けることが望まれます。

憩室炎を疑ったときに自己判断で避けたいこと

痛み止めの自己判断

市販のNSAIDs(イブプロフェン・アスピリン等)は消化管粘膜への影響があるほか、痛みを和らげることで受診が遅れるリスクもあります。強い腹痛が続く場合は自己判断で対処せず、医師に相談してください。

断食や食事制限の自己流対応

「食べなければ楽になる」と考えて極端な断食をすることは栄養状態を悪化させる恐れがあります。食事の可否については医師の判断を仰いでください。

我慢して様子を見ること

腹痛・発熱が数日続いている場合に我慢して放置すると、穿孔・腹膜炎・敗血症などの重篤な合併症に進展するリスクがあります。症状が続く場合は早めの受診をおすすめします。

よくある質問(FAQ)

Q. 憩室炎の原因は食べ物で決まりますか?

食生活は重要な関与因子の一つですが、加齢・体質・便秘・腸内環境など複数の要因が重なって発症します。特定の食べ物だけが原因と断定することはできません。

Q. 憩室があると言われましたが、必ず憩室炎になりますか?

憩室があるすべての方が憩室炎を起こすわけではありません。多くの場合は無症状で経過します。ただし、便秘・食生活の乱れなどのリスク因子がある方は予防的な生活習慣の改善が勧められます。

Q. 便秘は憩室炎の原因になりますか?

便秘による腸管内圧の上昇や便の滞留は、憩室炎の発症・悪化に関連する要因とされています。規則的な排便習慣を維持することが予防の観点から重要です。

Q. 何科を受診すればよいですか?

内科または消化器内科が適切です。発熱・強い腹痛を伴う場合は速やかに受診してください。受診のご相談はご予約・お問い合わせからも承っています。

Q. 憩室炎は自然に治ることもありますか?

ごく軽症の場合、医師の管理のもとで食事制限と安静により改善することもあります。ただし、自己判断で「自然に治る」と判断することは危険です。症状が続く場合は必ず医師の診察を受けてください。

関連記事


本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお) 医師(医学博士)

AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

AIプラスクリニックたまプラーザのご案内

たまプラーザで腹痛・便通の異常・消化器の気になる症状がある方へ。憩室炎をはじめとする腸の病気は、早期の診察・検査が重要です。「受診すべきか迷っている」という段階でもお気軽にご相談ください。

ご予約・お問い合わせ

TEL 045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)

初診の際は、保険証・お薬手帳・(お持ちであれば)健診結果や紹介状をご用意いただくとスムーズです。ご予約はWebまたはお電話で承ります。

AIプラスクリニックたまプラーザ
こんにちは!ご質問にお答えします。

・診療時間や予約方法
・アクセス方法
・診療科目について

サイト内の記事も参考に回答しますので、お気軽にお尋ねください。