ストーマケアを看護の視点で在宅で進めたい家族の基本
ストーマケアは、袋を替える作業だけではなく、皮膚の状態、排泄物の量や性状、装具の密着、体調変化を見ながら進める「看護の視点」が大切です。家族が在宅で支える際は、できる範囲と専門職に任せる範囲を分けて考えると、負担を減らしやすくなります。
家族がストーマケアで困りやすい場面
ストーマは、人工肛門や人工膀胱などの総称です。つけている装具から便や尿が漏れないように管理し、皮膚トラブルを防ぐ必要があります。家族がつまずきやすいのは、次のような場面です。
- 皮膚が赤くなる、かぶれる
- 装具が浮く、漏れやすい
- 排泄物の量が急に増える、減る
- 本人が痛みや違和感を言葉にしにくい
- どこまで自分で行ってよいか分からない
在宅医療全体の考え方は、在宅で受けられる医療処置のまとめ でも整理しています。ストーマだけでなく、吸引や点滴管理が絡むときは、ケアの優先順位を決めることも大切です。
在宅で今日からできる対応
家族がまず行いやすいのは、「観察」と「記録」です。交換手技そのものよりも、いつもと違う変化を早く見つけることが役立ちます。
装具交換の手順や皮膚保護材の扱いは、訪問看護師が最初に一緒に確認すると安心です。必要に応じて、吸引のような「気道のケア」や、点滴のような「医療者中心の管理」とは違い、ストーマは家族が日常的に関わりやすい処置です。ただし、自己判断で無理をせず、困ったら訪問診療・在宅医療を知るための相談ページから早めに相談すると、負担を軽くしやすくなります。
やってはいけないこと・注意点
ストーマケアで避けたいのは、「何とかなるだろう」と我慢してしまうことです。次の点は注意が必要です。
- 皮膚の赤みや痛みを放置する
- 漏れを隠すために装具を強く押し付ける
- 交換頻度を自己流で極端に増減する
- 発熱、腹痛、吐き気を軽く考える
- においだけで判断して様子見を続ける
特に、腹痛やストーマの色の変化は、緊急性がある場合があります。平易にいうと、見た目だけで「いつも通り」と決めないことが大切です。
専門職に任せた方がよい範囲
装具の選定、皮膚障害の評価、出血や感染の判断は、看護師や医師の関与があると安全です。家族だけで抱え込まず、次のような場面は専門職に任せた方がよいでしょう。
ストーマに限らず、退院後の支え方は早めに決めるほど選択肢が広がります。これは厚生労働省の在宅医療の推進や介護保険制度でも示される、在宅支援の基本的な考え方に沿っています。
訪問診療・訪問看護で楽になる部分
訪問看護が入ると、ケアの「やり方」だけでなく、「続け方」も整えやすくなります。訪問診療では、皮膚の状態や便・尿の性状を診察し、必要なら薬の調整や追加の検査につなげます。訪問看護では、装具交換の確認、皮膚トラブルの早期発見、家族への再指導がしやすくなります。
当院では病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーからの紹介で退院前カンファレンスに参加し、在宅への引き継ぎを受けています。退院当日から訪問診療を始めることにも対応しており、24時間の連絡体制で退院直後の不安定な時期の急変にも夜間・休日対応を行っています。消化器内視鏡やエコーの経験を生かし、栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素にも対応します。たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じます。
家族の負担を減らす工夫
家族の負担は、技術よりも「毎回の迷い」で増えやすいです。次の工夫が役立ちます。
- 交換手順を写真つきでメモしておく
- 装具や消耗品の置き場所を固定する
- 皮膚の写真を定期的に記録する
- 夜間に困ったときの連絡先を1枚にまとめる
- 仕事をしている家族は、担当を分担する
また、ACP(人生会議)は、将来の治療や療養の希望を家族と共有する取り組みです。厚生労働省も情報提供を行っており、ストーマだけでなく、今後の入院・在宅療養の見通しを早めに話し合う際の土台になります。かかりつけ医を続けながら、在宅医を併診する形も可能です。
受診・相談の目安
次のようなときは、訪問診療や訪問看護の相談を考えてよいタイミングです。
- 皮膚の赤みやただれが数日以上続く
- 装具の漏れが繰り返し起こる
- 交換に毎回強い負担がかかっている
- 退院後の療養先がまだ決まっていない
- 家族の付き添いや介護が限界に近い
在宅でのケアは、家族だけで抱えると限界が早く来ます。医師・看護師が定期的に自宅へ入ることで、対処の負担そのものを減らせます。ご相談はご予約・お問い合わせから承っています。
よくある質問
Q. ストーマケアは家族が毎日行う必要がありますか?
毎日必ず家族だけで行う必要はありません。本人の状態や装具の種類によって、訪問看護の回数や家族の関わり方は変わります。
Q. 皮膚が少し赤いだけなら様子を見てもよいですか?
軽い赤みでも、繰り返す場合は装具の不適合が隠れていることがあります。早めに看護師へ相談した方が安心です。
Q. 吸引や点滴管理と比べて難しいですか?
一概には言えませんが、ストーマは日常生活に近い形で家族が関わりやすい処置です。ただし、皮膚トラブルや漏れが続くと難しく感じやすいため、専門職の支援が役立ちます。
Q. 退院前から相談してもよいのでしょうか?
はい、むしろ退院前の相談が役立つことがあります。退院日が急に決まることもあるため、早めに情報を集めると選択肢を整理しやすくなります。
Q. 家族だけで決められないときはどうすればよいですか?
主治医、病棟看護師、地域連携室、訪問看護に相談してください。必要なら在宅医が退院前カンファレンスに参加し、引き継ぎを円滑にできます。
当院の在宅診療の現場から
当院では、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーから紹介を受け、退院前カンファレンスに参加して在宅への引き継ぎを行っています。退院当日から訪問診療を開始したり、夜間・休日の急変に備えた連絡体制を整えたりすることもあります。ストーマ管理に加え、栄養状態や嚥下、在宅酸素なども合わせて見ながら、地域の訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所と連携して支えます。
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参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医/専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全。略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。 公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。
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