終末期に家族ができることを知りたい私へ、支え方の基本
在宅での看取り・終末期ケア完全ガイド|家族が知っておきたい流れと備え › 在宅での看取り・終末期を考える|困りごとに対処するためのまとめ › (本記事)
終末期に家族ができることは、特別な医療行為ではなく、本人のつらさを見つけ、伝え、整えることです。声かけ、見守り、受診や相談の橋渡しが中心になります。無理に一人で背負わず、医師や看護師と役割を分けることが大切です。
在宅での看取り・終末期を考える|困りごとに対処するためのまとめ
家族が困りやすい場面を、まず整理しておきましょう
終末期では、食事量が減る、眠っている時間が増える、会話が少なくなる、息苦しさや痛みを訴えるなど、これまでと違う変化が重なりやすくなります。家族は「何かしてあげなければ」と焦りますが、まずは変化を観察して医療者へ正確に伝えることが役割です。
こうした変化は、年齢や病気の種類で違います。全体像はこちらの在宅での看取り・終末期ケア完全ガイドも参考になります。
在宅で今日からできる対応は、声かけと環境づくりが中心です
家族ができることは、本人を励ましすぎることではなく、安心して過ごせる環境を整えることです。たとえば、話しかけるときは「食べて」「起きて」よりも、「苦しくないですか」「水分は少し飲めそうですか」と、今の状態を確かめる言い方が向いています。
今日から意識したいこと
- 体位を少し変えて呼吸を楽にする
- 口の乾燥があれば、口腔ケアや保湿を行う
- 室温、照明、騒音を整える
- 服薬や水分の量を記録する
- 変化があればメモして伝える
「まだ訪問診療は早いのでは」と感じる方もいますが、状態が悪くなってからでは選択肢が狭まることがあります。早めに情報収集する意味はあります。相談の入り口としては、訪問診療の相談・依頼の流れも役立ちます。
やってはいけないこと・注意点を知って、無理を減らしましょう
家族の善意があっても、自己判断で進めると負担が増えることがあります。特に、薬の増減や食事・水分の無理強いは注意が必要です。
なお、意思決定の基本は厚生労働省の人生会議(ACP)の考え方に沿って、本人の希望を早めに共有することです。終末期ケア専門士や緩和ケア認定看護師のような専門職も、こうした場面の整理を支えます。
専門職に任せた方がよい範囲を切り分けることが大切です
痛み、息苦しさ、吐き気、せん妄、褥瘡(床ずれ)などは、家族が様子を見ることはできても、調整は専門職の役割です。看護師は日常の観察とケア、医師は症状の評価と治療調整を担います。
終末期に家族ができることは「治すこと」ではなく、本人の苦痛を減らすために、専門職へつなぐことです。
訪問診療・訪問看護で楽になる部分は、在宅での不安を減らすことです
訪問診療では、医師が自宅や施設へ定期的に伺い、必要に応じて症状調整や療養方針の確認を行います。訪問看護は、体調観察、清潔ケア、医療処置の補助などを担います。在宅でのケアは、家族だけで抱えると限界が早く来ます。医師・看護師が定期的に自宅へ入ることで、対処の負担そのものを減らせます。
当院の現場では、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーから紹介を受け、退院前カンファレンスに参加して引き継ぎを受けています。退院当日からの訪問診療にも対応し、24時間の連絡体制で夜間・休日の急変相談にも備えています。栄養管理、嚥下評価、胃ろう、在宅酸素なども含めて、地域の訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所と連携しています。
家族の負担を減らす工夫は、早めの分担です
家族介護は、続け方を決めることが重要です。1人で通院、買い物、連絡、見守りを担うと、仕事との両立が難しくなります。家族会議で「誰が何をするか」を最初に決めておくと、後から楽になります。
分担しやすい項目
- 医療機関への連絡係
- 服薬管理
- 買い物や生活物品の手配
- 付き添い
- 記録係
退院支援では、病院から「自宅か施設か」の二択で示されがちですが、在宅医療を入れると自宅療養の難易度は下がります。地域包括ケア病棟は原則60日が上限のため、退院前から逆算して準備することが大切です。退院前カンファレンスに在宅医が加わると、引き継ぎが円滑になりやすくなります。
受診・相談の目安は、迷った時点で一度で構いません
次のようなときは、訪問診療や在宅医療の相談を考えてよいタイミングです。
- 週に1回以上の通院が難しくなってきた
- 退院後の療養先がまだ決まっていない
- 家族の付き添いが限界に近い
- 食事や水分が取れず心配が続いている
- 夜間や休日の急変対応に不安がある
ご予約・お問い合わせから、まずは相談をご利用いただけます。
たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心とした地域で、在宅医療の相談を承っています。
当院の在宅診療の現場から
当院では、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーからの紹介で、退院前カンファレンスに参加することが少なくありません。退院当日から訪問診療を始めるケースもあり、24時間の連絡体制で退院直後の不安定な時期の急変に備えています。消化器内視鏡・エコーの経験を活かし、栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素にも対応しています。訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所と連携し、横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区のご相談にも応じています。
よくある質問
Q. 家族は何を一番優先すればよいですか?
まずは、本人の苦痛を見つけて伝えることです。食事量、呼吸、痛み、眠気の変化を記録すると相談がしやすくなります。
Q. 本人が通院できない場合でも相談できますか?
はい、家族のみの相談でも可能です。退院前や療養先を考える段階で、早めに相談すると選択肢を整理しやすくなります。
Q. かかりつけ医がいても訪問診療を使えますか?
使える場合があります。現在の主治医との関係を断つ必要はなく、併診や引き継ぎという形で調整できることがあります。
Q. 施設入居や転院を考えるのはよくないのでしょうか?
いいえ、そのように考える必要はありません。本人の状態や家族の状況によっては、施設や病院のほうが適していることもあります。
参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医/専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全。略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。 公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。
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