大腸癌の症状とは?気づきやすい変化を解説
大腸がんとは|症状・検査・治療・生活までを医師監修で解説する総合ガイド › 大腸がんの症状・初期サイン|押さえておきたい要点を医師監修で解説 › (本記事)
「血便が続いているけれど、痔だろう」「便秘や下痢はいつものこと」——そう感じて受診をためらう方は少なくありません。しかし、大腸癌の症状はこうした日常的な腸の不調と重なることが多く、自己判断で見過ごされやすい側面があります。本記事では、大腸癌で起こりやすい症状をわかりやすく整理し、受診を検討する目安を解説します。症状の有無や程度だけで診断することはできないため、気になる変化があれば早めに専門医へご相談ください。
大腸癌の症状とは?まず知っておきたい基本
大腸がんの症状は「早い段階では目立ちにくい」ことがある
国立がん研究センター「がん情報サービス」によると、大腸がんは早期の段階では自覚症状をほとんど伴わないことが多いとされています。症状に気づいてから受診につながるケースでは、すでに一定程度進行している場合もあります。定期的な検診が推奨される理由の一つはここにあります。
大腸がん全体の基礎情報については、大腸がんとは|症状・検査・治療・生活までを医師監修で解説する総合ガイドもあわせてご参照ください。
症状の出方はがんの場所や進み方で異なる
大腸は盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S状結腸・直腸と続く約1.5〜2mの管です。がんが発生する部位によって内腔の太さや便の硬さが異なるため、症状の現れ方にも違いがあります。右側(上行結腸など)では症状が出にくく、左側(S状結腸・直腸)では便通異常や血便が比較的気づきやすいとされています。
大腸癌で気づきやすい主な症状
血便・便に血が混じる
便に赤い血が混じる、便器が赤く染まる、拭いたときにつくといった変化が代表的なサインです。がんの部位によって血液の色が異なり、右側(上行結腸など)では消化されて黒ずんだ血が便に混じることもあります(タール便)。
便が細くなる、残便感がある
直腸やS状結腸にがんができると腸管が狭くなるため、便が細くなったり、排便しても「まだ残っている感じ(残便感)」が続いたりすることがあります。
下痢と便秘を繰り返す、便通が変わる
以前と比べて便通のリズムが変わった、下痢と便秘が交互に繰り返されるといった変化も確認が必要な症状です。腸の通過障害が原因となることがあります。
腹痛・お腹の張り・不快感
腸管が狭まることでガスや便が通過しにくくなり、腹部の張りや痛み、不快感として現れることがあります。進行すると腸閉塞(イレウス)を起こす場合もあります。
貧血、だるさ、息切れ
右側の大腸(上行結腸など)では便が水分を多く含むため、腫瘍からの出血が目に見えにくい場合があります。少量の出血が長期間続くことで鉄欠乏性貧血(体内の鉄が不足して生じる貧血)が起こり、顔色の悪さ・だるさ・動悸・息切れとして自覚されることがあります。
体重減少、食欲低下
食欲が落ちた、特に食事量を変えていないのに体重が減ったという変化は、消化管のがんで共通してみられるサインの一つです。
上行結腸癌・結腸癌でみられやすい症状の違い
上行結腸癌では貧血やだるさが先に目立つことがある
上行結腸は腸管が太く内容物が液状のため、腫瘍が大きくなっても閉塞しにくく、血便も黒ずんで目立ちにくいことがあります。そのため、貧血・だるさ・息切れが初めての受診のきっかけになることがあります。
左側の大腸では便通異常や血便が気づきやすいことがある
S状結腸や直腸では便が固形に近くなっており、腫瘍によって腸管が狭まると便が細くなったり、鮮やかな血が混じりやすくなります。S字結腸癌の症状と受診の目安をわかりやすく解説もご参照ください。
症状だけで部位や良性かどうかは判断できない
症状の出方はあくまで傾向であり、症状だけでがんの部位・ステージ・良性か悪性かを判断することはできません。確定診断には大腸内視鏡検査などの専門的な検査が必要です。
大腸癌と間違えやすい症状・ほかの病気との違い
痔による出血との違い
血便の原因として頻度が高いのが痔(痔核・裂肛など)です。痔では排便時や排便後に鮮血が出ることが多く、痛みを伴うこともあります。しかし、大腸癌でも鮮血が出ることがあり、見た目だけでは区別できません。「痔だから大丈夫」と自己判断せず、血便が続く場合は専門医への確認をお勧めします。
過敏性腸症候群などの腸の不調との違い
過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスや食事を契機に下痢・便秘・腹痛を繰り返す機能性の疾患です。大腸癌との症状の重なりが多く、自己判断での区別は困難です。
便秘や下痢が続くときに確認したいポイント
| 確認ポイント | 詳細 |
|---|---|
| 期間 | 2週間以上続いている |
| 変化の有無 | 以前と便通のパターンが変わった |
| 出血 | 血便・黒色便がある |
| 全身症状 | 体重減少・だるさ・貧血を伴う |
| 年齢・家族歴 | 40代以上、大腸がんの家族歴がある |
上記に当てはまる点がある場合は、早めに消化器科を受診することをお勧めします。
症状がなくても注意したい人
家族歴がある人
親・兄弟姉妹に大腸がんや大腸ポリープ(腸内にできる良性のできもの)の方がいる場合、リスクが高まることが知られています。
便潜血検査で陽性だった人
健診での便潜血検査(便に血液が混じっていないか調べる検査)が陽性だった場合、大腸内視鏡検査による精密検査が必要です。陽性の方のうち精密検査を受けていない方が一定数いることが課題とされています(厚生労働省 がん対策推進基本計画関連データより)。
40代以降や検診未受診が続いている人
大腸がんは40代から罹患率が上昇します。市区町村の大腸がん検診(便潜血検査)は40歳以上を対象に実施されており、未受診が続いている方はかかりつけ医にご相談ください。
受診・相談の目安
血便が続く、または繰り返すとき
1度だけでなく、繰り返す・続くという場合は特に確認が必要です。痔か大腸癌かの判断は専門的な診察が必要です。
便通異常や腹痛が2週間以上続くとき
それまでの排便パターンと明らかに異なる変化が2週間以上続く場合は、一度受診してください。
貧血を指摘された、急な体重減少があるとき
健診や他の受診で貧血を指摘された方、意図しない体重減少が続いている方は、大腸を含む消化管の評価をお勧めします。
すぐ受診したい症状の組み合わせ
| 症状の組み合わせ | 対応の目安 |
|---|---|
| 血便+腹痛+体重減少 | できるだけ早く受診 |
| 黒色便(タール便)+だるさ | 早期に受診 |
| 便通の著しい変化+残便感 | 2週間以内に受診 |
| 血便のみ(繰り返す) | なるべく早く受診 |
症状に不安を感じたら、オンラインまたはお電話でご予約のうえ、お気軽にご相談ください。
当院での診療から
症状の聞き取りで確認すること
当院では、問診で便の性状・色・頻度の変化、血便の有無・持続期間、体重変化、家族歴、過去の大腸内視鏡検査の受診歴などを丁寧に伺います。患者さんが「どんな小さな変化でも」話しやすいよう心がけています。
必要に応じて行う検査の流れ
当院は消化器内視鏡センターを備えており、鎮静剤を使用した苦痛の少ない大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。検査中に早期がんや要精査のポリープが確認された場合は、速やかに基幹病院へ紹介し、手術・治療後のフォローアップは地域連携クリティカルパス(地域の医療機関が連携して治療の経過を管理する仕組み)を活用して当院が継続して担当します。また、在宅療養支援診療所として、在宅での緩和ケアや療養支援にも対応しており、治療のどの段階にある患者さんも安心してご相談いただける体制を整えています。
診断は主治医・専門医の診察が前提であること
本記事の情報はあくまで一般的な医学情報の提供を目的としており、症状の有無だけで診断を確定することはできません。気になる症状がある方は、必ず専門医の診察を受けてください。
公的データでみる大腸がんと症状の考え方
国立がん研究センターが示す「早期は無症状が多い」という基本
国立がん研究センター「がん情報サービス」は、大腸がんの早期には自覚症状がないことが多いと明示しています。症状が出てから受診するのではなく、定期的な検診によって無症状の段階で発見することが、予後の改善につながるとされています(ただし、統計的な傾向であり、個々の方の経過は異なります)。
症状の有無だけで早期・進行を断定できない理由
症状があるからといって必ずしも進行しているわけではなく、症状がないからといって安全とも言えません。症状・無症状にかかわらず、専門的な検査(大腸内視鏡検査など)がなければステージを判断することはできません。なお、大腸がんのステージ(病期)は腫瘍の深さとリンパ節・遠隔転移の有無で分類され(日本癌治療学会 がん診療ガイドライン参照)、治療方針の選択に用いられます。
よくある質問(FAQ)
血便が1回だけでも受診したほうがよいですか?
はい、1回だけであっても受診をお勧めします。1回の出血でも、その原因が痔なのか大腸のどこかに問題があるのかは、専門的な診察なしには判断できません。特に40代以上の方や家族に大腸がんの方がいる場合は、早めにご相談ください。
痛みがない血便でも大腸癌の可能性はありますか?
あります。大腸癌による出血は、必ずしも痛みを伴うわけではありません。「痛みがないから大丈夫」という判断は危険なことがあります。血便・黒色便が続く場合は、痛みの有無にかかわらず受診をご検討ください。
症状がないのに検査を受ける必要はありますか?
はい、必要です。大腸がんは早期では無症状のことが多く、症状が出たときには一定程度進行しているケースもあります。市区町村の大腸がん検診(40歳以上対象)や、リスクがある方には大腸内視鏡検査による精密検査が推奨されています。
若い人でも大腸癌になることはありますか?
あります。大腸がんは主に中高年に多い疾患ですが、20〜30代での発症例も存在します。家族性大腸腺腫症(FAP)やリンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)などの遺伝的背景がある場合は若年発症のリスクが高まることが知られています。年齢に関わらず、血便や便通の異常が続く場合は受診を検討してください。
健診の便潜血検査が陰性なら安心できますか?
便潜血検査(陰性)は「その時点でのがんや大きなポリープの可能性が低い」ことを示しますが、完全に否定するものではありません。出血しにくい小さなポリープや早期のがんは見逃されることもあります。陰性であっても症状がある場合や、リスクが高い方は主治医にご相談ください。
関連記事
- 大腸がんの症状・初期サイン|押さえておきたい要点を医師監修で解説(親サブハブ)
- 大腸がんとは|症状・検査・治療・生活までを医師監修で解説する総合ガイド(がん種ピラー)
- 大腸がんの症状と初期サインを見分けるポイント
- 直腸癌の症状と初期にみられる変化を解説
- S字結腸癌の症状と受診の目安をわかりやすく解説