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S字結腸癌の症状と受診の目安をわかりやすく解説

S字結腸癌の症状と受診の目安をわかりやすく解説

最終更新日: 2025-07-11

大腸がんとは|症状・検査・治療・生活までを医師監修で解説する総合ガイド大腸がんの症状・初期サイン|押さえておきたい要点を医師監修で解説 › (本記事)


S字結腸癌(シグモイドコロンがん)は、大腸がんの中でも比較的症状が出やすい部位に発生する腫瘍です。便通の変化や血便が続くとき、「痔かもしれない」「疲れているだけかもしれない」と受診をためらう方も少なくありません。しかし、こうした症状の中に、S字結腸癌のサインが隠れていることがあります。本記事では、S字結腸癌でみられやすい症状や受診の目安を整理します。症状だけで診断を確定することはできませんので、気になる変化が続く場合は必ず医療機関を受診してください。

大腸がんの症状全般については、大腸がんの症状・初期サイン|押さえておきたい要点を医師監修で解説もあわせてご参照ください。


S字結腸癌とは?まずは場所と特徴を確認

S字結腸は大腸のどの位置にある?

大腸は盲腸・上行結腸・横行結腸・下行結腸・S字結腸・直腸の順に続く約1.5〜2mの管状の臓器です。S字結腸(S状結腸)はその名の通りアルファベットの「S」字形に曲がっており、左下腹部から骨盤内へ向かい、直腸へとつながります。大腸がんの中でもS字結腸と直腸に発生するケースが多いことが、国立がん研究センター「がん情報サービス」でも示されています。

なぜ症状が出やすいのか

S字結腸は大腸の出口に近い部分にあたります。大腸の働きにより、この部位を通過する便はすでにある程度水分が吸収されて固まった状態になっています。そのため、腫瘍が内腔(管の内側)を狭めると、便の通過が妨げられやすく、便通の変化として比較的早い段階から症状が現れやすい傾向があります。また、腫瘍が出血すると肛門に近いため、鮮やかな赤い血として気づかれることもあります。


S字結腸癌でみられやすい症状

便通の変化(便秘・下痢を繰り返す、便が細くなる)

以前と比べて便秘と軟便・下痢を繰り返す、排便のリズムが大きく変わったというケースはS字結腸癌の初期から中期にかけてよくみられる変化です。また、腫瘍が管を狭めることで便が細くなる(細便)、排便に時間がかかるといった症状も報告されています。「便秘体質だから」と見過ごされやすいため注意が必要です。

血便・黒っぽい便・便に血が混じる

S字結腸や直腸など出口に近い部位でがんが出血した場合、鮮血(明るい赤色)や暗赤色の血液が便に混じることがあります。大腸の上部や胃から出血した場合は黒っぽいタール状の便になりますが、S字結腸では比較的赤みが残りやすい傾向があります。便器が赤くなる、便に血が付着する、といった変化を繰り返す場合はとくに注意してください。

お腹の張り、腹痛、残便感

腫瘍による腸管の狭窄(きょうさく・管が狭くなること)が進むと、便やガスが通りにくくなり、腹部の張り感・鈍い腹痛・便意があるのに出きらない残便感が現れることがあります。ときに痙攣(けいれん)性の腹痛が生じることもあります。

進行したときにみられることがある症状

がんが周囲の組織や他臓器に広がった場合、体重の減少・食欲不振・全身の倦怠感・貧血(顔色が悪い、動悸など)が現れることがあります。腸閉塞(腸が完全に詰まった状態)になると、強い腹痛・嘔吐・腹部膨満が急激に起こることがあり、この場合は緊急の医療対応が必要です。


風邪や胃腸炎、痔との違いは?

痔でも血便は起こる

血便の原因として最も頻度が高いのは痔(痔核・裂肛)です。痔による出血は排便時に鮮血が出ることが多く、便に混じるよりも便の表面や拭いた紙に付く形が典型的とされます。一方、S字結腸癌による出血は便の内部に混じる・暗赤色になるケースも多いですが、見た目だけで区別することは専門家でも難しいため、自己判断は禁物です。

受診を考えたい症状の組み合わせ

下記のような症状の組み合わせが続く場合は、早めに医療機関へ相談することが勧められます。

症状の組み合わせ 受診の目安
血便+便通の変化 できるだけ早めに受診
便が細い+残便感が続く 数日以内に受診を検討
腹痛+体重減少 早めに受診
健診で便潜血陽性 指摘後、速やかに精密検査
突然の強い腹痛+嘔吐 救急受診

早期発見につながる検査

便潜血検査でわかること・わからないこと

便潜血検査(便に微量の血液が混じっていないかを調べる検査)は、市区町村が実施する大腸がん検診の標準的な一次検査です。自宅で採便でき、痛みもありません。陽性反応が出た場合は精密検査が必要になりますが、陰性であってもがんを完全には否定できません。また、がんが小さい段階では出血しないこともあります。

大腸内視鏡検査が必要になるケース

便潜血陽性・症状が続く場合・家族に大腸がんの既往がある場合などは、大腸内視鏡検査(カメラを肛門から入れて大腸の内側を直接観察する検査)が勧められます。内視鏡検査ではポリープや腫瘍を直接確認でき、必要に応じてその場で組織を採取(生検)して確定診断に進めます。


どんなときに受診すべき?症状からみた目安

すぐに医療機関へ相談したい症状

  • 激しい腹痛と嘔吐が急に起きた(腸閉塞の可能性)
  • 大量の血便が出た
  • 顔が青白く、動悸・立ちくらみがある(重度の貧血の可能性)

これらは救急対応が必要な場合があります。

数日〜数週間で受診を検討したい症状

  • 2〜3週間以上、便通の変化(便秘・下痢の繰り返し)が続く
  • 便が細くなった状態が続く
  • 血便・血が混じった便が繰り返しみられる
  • 腹部の張り・残便感が続く
  • 原因不明の体重減少・疲労感

大腸がんの症状との比較は大腸がんの症状と初期サインを見分けるポイントもご参考ください。

健康診断で異常を指摘されたとき

便潜血検査で「要精密検査」と指摘されたにもかかわらず、自覚症状がないからと精密検査を受けていない方が一定数いらっしゃいます。陽性の指摘があった場合は、必ず医療機関で大腸内視鏡などの精密検査を受けてください。


当院での診療から

診察で確認すること

初診では、いつ頃から・どのような症状が・どのくらいの頻度で続いているかをていねいにお聞きします。便の性状・色・血液の混じり方、体重の変化、家族歴(身内に大腸がんの方がいるかどうか)などは診察の重要な手がかりになります。腹部の触診・肛門診も必要に応じて行います。

必要に応じて行う検査

当院は消化器内視鏡センターを備えており、鎮静下(うとうとした状態)での大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。苦痛をできる限り軽減した状態で検査を受けていただけます。便潜血検査・血液検査(貧血・腫瘍マーカーなど)から始め、必要と判断した場合には速やかに内視鏡検査を行います。

主治医・専門医に早めに相談してほしいケース

内視鏡検査で早期がんや進行がんを疑う所見が確認された場合は、速やかに基幹病院(連携病院)へご紹介します。地域連携クリティカルパス(各医療機関が役割を分担して患者さんを継続してサポートする仕組み)を活用し、術後のフォローアップも当院で継続して担当します。在宅療養が必要な段階では、在宅療養支援診療所として緩和ケア・訪問診療にも対応しています。気になる症状がある方は、まずご予約・お問い合わせからお気軽にご相談ください。


大腸がんの初期症状として知っておきたいこと

初期は症状が出ないこともある

S字結腸癌をはじめ、大腸がんは早期の段階では自覚症状がほとんどない場合があります。症状がないからといって安心はできず、定期的な検診や、家族歴がある方は早めの内視鏡検査が重要です。

症状だけでS字結腸癌かどうかは判断できない

便通の変化・血便・腹痛は、過敏性腸症候群・痔・腸炎など他の疾患でも起こります。症状からS字結腸癌かどうかを自己判断することはできません。確定診断には内視鏡検査や病理検査(組織を顕微鏡で確認する検査)が必要です。直腸がんとの症状の比較については直腸癌の症状と初期にみられる変化を解説もご参考ください。


公的データからみる大腸がんとS字結腸癌

大腸がんは比較的よくみられるがんの一つ

国立がん研究センターがん統計(2023年公表データ)によると、大腸がんは男女ともに罹患数(新たにかかる人の数)が多いがんの一つです。S字結腸は大腸がんの発生部位として直腸とともに頻度が高い部位とされています。定期検診の受診や、症状が続く場合の早期受診が重要です。

統計は個人の状態をそのまま示すものではない

生存率や罹患率などの統計データは、多くの患者さんの集団から算出されたものです。これらの数値は個々の患者さんの状態・がんの進行度・治療経過を直接示すものではありません。統計を参考にしつつも、ご自身の状態については必ず主治医・専門医にご確認ください。


よくある質問(FAQ)

S字結腸癌の症状は何から始まることが多いですか?

多くの場合、便通の変化(便秘と下痢の繰り返し、便が細くなるなど)や、便に血が混じる変化から気づかれることがあります。ただし早期では症状がないこともあるため、症状がなくても定期検診を受けることが勧められます。

血便があれば必ずS字結腸癌ですか?

いいえ、血便の原因は痔(痔核・裂肛)・大腸炎・ポリープなど多岐にわたります。しかし、血便が繰り返す場合や便通の変化を伴う場合は、大腸がんを含む精密検査が必要です。自己判断せず、医療機関を受診してください。

痛みがない場合でも受診したほうがよいですか?

はい。大腸がんは早期段階では痛みがほとんどない場合があります。「痛くないから大丈夫」と考えるのは危険なことがあります。血便や便通の変化が続く場合は、痛みの有無にかかわらず早めに受診することをお勧めします。

大腸がんの皮膚のかゆみは症状ですか?

大腸がんが肝臓に転移(肝転移)し、肝機能に影響が出た場合や、まれな皮膚症状として体のかゆみが現れることが報告されています。ただし、皮膚のかゆみ(瘙痒感)は皮膚疾患やアレルギーなど多くの原因があり、大腸がんに特有のものではありません。かゆみが続く場合は皮膚科や内科を受診し、必要に応じて精査を受けてください。

大腸がんの術後に痛みが続くのは普通ですか?

術後一定期間の痛みや違和感は、手術による組織の回復過程で生じることがあります。しかし、痛みが強い・長期間続く・新たな症状が出てきたという場合は、担当医に早めに相談してください。術後の経過は個々に異なるため、「普通かどうか」は統計ではなく主治医の診察で判断することが重要です。術後の痛みについてはさらに直腸がんの症状と痛みの特徴をわかりやすく解説もご参照ください。


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参考文献・出典


本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)医師・医学博士 / AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業・医師免許取得。1997年 同大学大学院修了・博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター 外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。


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免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。

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