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下痢のときの食事|何を食べる?何を避ける?消化器専門医が解説

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下痢のときの食事|何を食べる?何を避ける?消化器専門医が解説

下痢が続くとき、「何を食べればよいのか」「食べないほうがよいのか」と悩む方は少なくありません。食事の選び方によって、症状が落ち着きやすくなる場合もあれば、かえって腸への負担が増してしまう場合もあります。本記事では、消化器症状の基本をふまえながら、下痢のときの食事について医学的根拠に基づいてわかりやすく整理します。なお、症状の診断や治療方針については、必ず医師の診察を受けたうえでご判断ください。


下痢とは?食事を考える前に知っておきたいこと

下痢は一般に、水分量の多い軟便や水様便が繰り返される状態を指します。医学的には「1日3回以上の軟便・水様便」を目安とすることが多く、急性(数日以内に改善するもの)と慢性(4週間以上続くもの)に大別されます。

原因としては、ウイルスや細菌による感染性胃腸炎、食あたり、薬の副作用、ストレス、過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患など多岐にわたります。原因によって対応が異なるため、症状が強い場合や長引く場合は自己判断せず、医療機関への受診をご検討ください。

詳しい下痢の種類・原因については、下痢の解説記事もあわせてご参照ください。


下痢のときにおすすめの食事

下痢のときに食事で気をつける基本

下痢の際の食事管理において最優先されるのは脱水の予防です。下痢によって水分と電解質(ナトリウム・カリウムなど)が失われるため、こまめな水分補給が基本となります。食事については胃腸への負担を最小限にしながら、食べられる範囲で少量ずつ摂取することが望ましいとされています。

水分補給で優先したいもの

  • 経口補水液:水分と電解質をバランスよく補給できるため、脱水予防に適しています。日本消化器病学会のガイドラインでも、感染性胃腸炎における水分・電解質補給が重視されています。
  • 白湯・水:常温または少し温めた状態で、少量ずつゆっくり飲むのが基本です。
  • 薄めたスポーツドリンク:糖分が高いものは浸透圧の影響で症状を悪化させることがあるため、水で薄めて使用するか、経口補水液を優先しましょう。

冷たい飲み物は腸への刺激になることがあるため、できるだけ常温か温かいものを選んでください。

主食で選びやすいもの

消化のよい主食として以下が挙げられます。

  • おかゆ:水分が多く、消化に優しい代表的な食品です。
  • 柔らかく炊いたご飯(軟飯):症状が少し落ち着いてきた回復期に適しています。
  • うどん(柔らかく煮たもの):消化しやすく、胃腸への負担が少ないとされます。
  • 食パン(トーストせずやわらかい状態):少量から試しやすい選択肢です。

たんぱく質で選びやすいもの

脂肪分が少なく消化しやすいたんぱく質を選ぶことがポイントです。

  • 豆腐(加熱したもの)
  • 卵(半熟・茶碗蒸しなど)
  • 白身魚(煮魚や蒸し魚)
  • 鶏むね肉やささみ(茹でるか蒸す)

揚げ物や脂肪の多い肉類は消化に時間がかかるため、症状がある時期には控えることが望ましいです。

野菜・果物で取り入れやすいもの

生野菜は食物繊維が多く、腸への刺激になることがあります。症状のある時期は加熱した野菜(にんじん、じゃがいも、かぼちゃなど)を柔らかく煮たものが適しています。果物は、バナナが比較的消化しやすいとされますが、体質や症状によって合わない場合もあるため少量から様子を見てください。

体調に応じた食べ方の工夫

  • 1回の量を少なめにして、数回に分けて摂取する
  • よく噛んでゆっくり食べる
  • 冷たすぎるものや熱すぎるものは避ける
  • 症状が強い時期は無理に食べようとしない

下痢のときに避けたい食事

脂っこいもの・消化に時間がかかるもの

揚げ物、バター・生クリームを多く使った料理、脂肪の多い肉(豚バラ・霜降り肉など)は、消化器官への負担が大きく、症状を長引かせる可能性があります。

刺激物・香辛料の強いもの

唐辛子、こしょう、カレースパイス、にんにくなどの香辛料、アルコール、濃いコーヒーや紅茶は腸粘膜への刺激になることがあります。症状がある間は控えることが望ましいとされています。

乳製品や糖分の多い食品

乳糖不耐症の方に限らず、下痢の状態では乳糖の分解能が一時的に低下することがあります。牛乳、アイスクリームなどの乳製品は様子を見ながら摂取してください。また、糖分の多いジュースや清涼飲料水は浸透圧が高く、腸内の水分バランスに影響することがあります。

食物繊維が多すぎるもの

生野菜、豆類、きのこ、海藻、ごぼうなどの不溶性食物繊維が多い食品は、腸への刺激が強くなる場合があります。症状が落ち着いてから少しずつ再開するのが一般的な考え方です。

冷たいもの・炭酸飲料

冷たい飲食物は腸の動きを活発にしやすく、腹部不快感につながることがあります。炭酸飲料も腸内ガスの増加や腹部膨満感の原因になることがあるため、症状がある時期は避けることをおすすめします。


下痢のときの食べ方・過ごし方

少量頻回が基本

一度にまとめて食べると消化器官への負担が増します。1回量を少なめにして、1日5〜6回程度に分けて摂取する「少量頻回」の考え方が基本です。

食欲がないときの対応

食欲がない場合は、無理に食事をとる必要はありません。その場合でも水分補給だけは継続することが大切です。症状が少し落ち着いてきたら、おかゆや経口補水液のゼリーなど、食べやすいものから少量ずつ再開してください。

服薬中・持病がある場合の注意

糖尿病、腎臓病、心疾患などの持病がある方は、水分量や電解質の管理が通常とは異なる場合があります。自己判断での対応は避け、かかりつけ医にご相談ください。


子ども・高齢者・妊娠中の下痢と食事の注意点

子どもの場合

小児は体重に対する水分量の割合が大きく、脱水に陥りやすいとされています。「元気がない」「泣いても涙が出ない」「おむつが長時間濡れない」「口の中が乾いている」などは脱水のサインです。食事を無理に制限するのではなく、水分補給を優先しつつ食べられるものを少しずつ与えることが基本です。症状が強い場合は早めに小児科を受診してください。

高齢者の場合

高齢者は口渇感が低下していることがあり、気づかないうちに脱水が進む場合があります。また、嚥下機能(飲み込む力)が低下している場合は、水分でもむせやすいため、とろみをつけるなどの工夫が必要なことがあります。食事量が大幅に低下している場合は、早めに医療機関にご相談ください。

妊娠中の場合

妊娠中は体調変化が大きく、下痢が続く場合には胎児への影響も考慮する必要があります。市販薬の使用も含め、自己判断は避け、産婦人科または内科・消化器科への受診をご検討ください。


下痢の原因別にみる食事の考え方

感染性が疑われるとき

ウイルス性胃腸炎(ノロウイルス・ロタウイルスなど)や細菌性食中毒が疑われる場合は、まず水分補給を優先し、固形食は症状が落ち着いてから再開するのが基本です。周囲への感染予防(手洗いの徹底、汚染物の適切な処理)にも注意が必要です。

食あたり・暴飲暴食のあと

胃腸を休ませることを優先し、脂肪分や刺激物を避けながら水分補給を行います。症状が軽快してきたら、おかゆや柔らかいうどんなど消化のよいものから少量ずつ再開するのが一般的な考え方です。

下痢の時期ごとの食事の考え方については、下痢の時の食事下痢の時 食べ物の記事もあわせてご参照ください。


受診の目安

早めの受診が必要な症状

次のような症状は脱水や重篤な状態のサインである可能性があります。早めに医療機関を受診してください。

  • ぐったりして元気がない
  • 尿量が著しく少ない、または8時間以上出ていない
  • 口や唇が乾いている
  • 意識がぼんやりしている
  • 皮膚をつまんでもすぐに戻らない

すぐに受診を検討するケース

  • 血便・黒色便が出ている
  • 激しい腹痛が続く
  • 38℃以上の発熱を伴う
  • 嘔吐が続いて水分が取れない
  • 下痢が2週間以上続いている
  • 乳幼児・高齢者・妊娠中の方で症状が強い

よくある質問

下痢のときは何も食べないほうがいい?

「絶食が最善」というわけではありません。水分補給を最優先にしながら、食べられる範囲で消化のよい食品を少量ずつ摂取することが推奨されています。長時間の絶食は体力低下につながる場合もあるため、症状の状態に応じて柔軟に対応することが大切です。

おかゆやうどんはいつから食べてよい?

嘔吐が落ち着き、水分を少量ずつ摂取できるようになったタイミングを目安に、少量から始めてみてください。症状が強い時期は無理に固形食を摂らず、まず水分補給を確立することが優先されます。

ヨーグルトは下痢のときに食べてもよい?

プロバイオティクスを含む乳製品は腸内環境に関与するとされていますが、下痢の状態では乳糖への感受性が高まっていることがあります。少量で様子を見ながら、体質や症状に合わせて判断することをおすすめします。合わないと感じた場合は無理に続ける必要はありません。

下痢のときにコーヒーやお酒は飲んでもよい?

コーヒーに含まれるカフェインは腸の蠕動運動を促進する作用があるとされ、症状を悪化させる可能性があります。アルコールも腸粘膜への刺激や脱水の原因になることがあるため、症状が落ち着くまでは控えることが望ましいとされています。


まとめ

下痢のときの食事管理において基本となるのは、①水分補給を最優先にする、②消化のよい食品を少量ずつ摂取する、③刺激物・脂肪分の多いものを避けるの3点です。症状の強さや原因によって対応が異なるため、症状が強い・長引く・血便や高熱を伴う場合は、自己判断せず医療機関を受診してください。

下痢の時 食事についてのより詳しい情報も、あわせてご確認いただけます。


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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科

福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。


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