下痢の時の食事|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】
下痢のときは「何を食べればよいか」「何を避けるべきか」と迷う方が多くいらっしゃいます。基本的には、水分補給を優先しながら胃腸への負担を最小限に抑える食事を心がけることが大切です。本記事では、下痢のときの食事の選び方・避けたいもの・受診の目安を、医学的根拠をもとに平易に解説します。
本記事は医学的な情報提供を目的としています。個々の症状への対処は、必ず医師の診察を受けたうえでご判断ください。
下痢のときの食事で大切な考え方
まずは「水分補給」と「胃腸を休める」ことが基本
下痢では腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:内容物を送り出す動き)が亢進しており、水分・電解質が大量に失われます。脱水を防ぐため、水分補給が最優先です。食事は一時的に控えめにして、腸を休ませることが回復を助けます。
食事は無理に食べず、症状に合わせて少量から
急性期(症状が激しいとき)は無理に食べる必要はありません。吐き気が落ち着いてきたら、消化に良いものから少量ずつ試すのが基本の考え方です。食欲に応じて段階的に内容を広げていきましょう。
下痢のときに食べやすいもの
おかゆ・やわらかめのご飯
おかゆは水分が多く消化されやすいため、腸への負担が少なくなります。塩分を微量加えると電解質の補充にもなります。
うどん・そうめん
やわらかく茹でたうどん・そうめんは脂質が少なく消化しやすい食品です。具材はシンプルにし、薬味や辛い調味料は避けましょう。温かいものを選ぶと、冷えによる腸への刺激を防ぎやすくなります。
具の少ないスープ
脂の少ない澄んだスープは水分と塩分を同時に補えます。ただし、コンソメや鶏ガラスープは塩分量に注意し、薄めに作るようにしましょう。
バナナ・りんごなどの消化しやすい果物
バナナは消化しやすく、カリウムを含むため電解質補充に向いています。りんごは加熱してすりおろすとペクチンが増え、腸の状態を整えるはたらきが期待されます(ただし効果には個人差があります)。
豆腐・卵・白身魚などのたんぱく質
体力の回復にはたんぱく質も必要です。豆腐・温泉卵・白身魚(タラ、カレイなど)は脂質が少なく、胃腸への負担が比較的小さいとされています。揚げる・炒めるなどの調理は避け、蒸す・煮るを選びましょう。
下痢のときに避けたい食べ物
脂っこい食事
揚げ物・脂の多い肉類は消化に時間がかかり、腸の蠕動運動をさらに刺激することがあります。
香辛料の多い食べ物
唐辛子・カレーなどの辛い食品は腸粘膜を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。
食物繊維の多すぎる食べ物
食物繊維には腸を動かす作用があります。ごぼう・玄米・生野菜などの不溶性食物繊維(腸のかさを増やす種類)は、下痢のときには控えめにしましょう。
牛乳・乳製品でお腹が悪化する場合
感染性胃腸炎などの後は、一時的に乳糖(ラクトース)を分解する酵素の活性が下がることがあります。牛乳を飲んでお腹が緩くなりやすい方は、急性期は控えることが無難です。
アルコール・カフェイン・炭酸飲料
アルコールは腸粘膜を刺激し、カフェインは腸の動きを活発にします。炭酸飲料はガスが腹部の不快感を招くことがあります。いずれも下痢のときは控えましょう。
下痢のときの飲み物の選び方
水分はこまめに少量ずつとる
一度に大量に飲むと胃腸の負担になります。常温の水・白湯・薄めた麦茶などをこまめに少量ずつとることを心がけてください。
経口補水液が向いている場合
経口補水液(ORS:Oral Rehydration Solution)は水分と電解質をバランスよく含んでおり、下痢や嘔吐による脱水の補正に適しています。WHO(世界保健機関)や日本消化器病学会のガイドラインでも、軽度〜中等度の脱水には経口補水液の活用が推奨されています。
スポーツドリンクを使うときの注意点
スポーツドリンクは糖分が多く電解質が少ないため、経口補水液の代わりとしては不十分な場合があります。入手できない場合の応急処置として活用する程度にとどめましょう。
脱水を疑うサイン
口の乾き、尿量の減少・尿の濃い黄色、めまい、ぐったり感などがみられる場合は脱水が進んでいる可能性があります。早めに医療機関を受診してください。
症状別に見る食事の工夫
急性の下痢で食欲がないとき
無理に食べる必要はありません。水分補給を最優先にし、吐き気が落ち着いてから少量のおかゆや薄いスープから試しましょう。
発熱や嘔吐を伴うとき
嘔吐がある場合は、飲み物も数口ずつにとどめ、吐き気が治まってから量を増やします。発熱があると水分消費が増えるため、こまめな補水を意識してください。
便に血が混じる・強い腹痛があるとき
これらの症状がある場合は食事の工夫より先に、速やかに医療機関を受診してください。 細菌性腸炎や炎症性腸疾患など、医師による診断と治療が必要な病態の可能性があります。
軟便が長引くとき
症状が数日以上続く場合は、下痢とは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご覧いただき、受診の検討をお勧めします。
受診を考えたほうがよい目安
水分がとれない、尿が少ない
脱水が進んでいる可能性があります。特に高齢者や乳幼児は進行が早いため注意が必要です。
強い腹痛や高熱がある
38.5℃以上の発熱や、動けないほどの腹痛を伴う場合は早期受診をご検討ください。
血便、黒い便がある
血便(赤い便)や黒いタール状の便は消化管での出血を示すことがあります。自己判断せず受診をお勧めします。
下痢が数日以上続く
急性下痢は多くの場合数日で改善しますが、1週間以上続く場合は感染症以外の原因も考えられます。
体重減少や慢性的な症状がある
意図しない体重減少・慢性的な下痢は、炎症性腸疾患や吸収不良症候群などが背景にある場合があります。
食事以外で気をつけたいこと
体を冷やしすぎない
腹部を冷やすと腸の動きがさらに活発になることがあります。腹巻きなどで保温を心がけましょう。
市販薬を自己判断で使いすぎない
市販の下痢止め薬(ロペラミドなど)は症状を和らげますが、感染症が原因の場合、原因菌や毒素の排出を抑えることで症状が長引く可能性があります。使用前に薬剤師や医師に相談することをお勧めします。詳しくは下痢止めとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もご参照ください。
食事日記をつけると原因の手がかりになることがある
いつ・何を食べたか・症状の変化を記録しておくと、受診時に医師への情報提供がスムーズになります。
医師が見る「下痢の原因」と食事の関係
感染性胃腸炎が疑われる場合
ノロウイルスや細菌(カンピロバクター、サルモネラなど)による感染性胃腸炎では、食事の工夫と水分補給が基本対応です。細菌性の場合は抗菌薬が必要になることもあります。
食べ物が原因のこともある
食中毒・食物不耐症(乳糖不耐症など)・アレルギーが下痢の原因になることがあります。特定の食品を食べた後に毎回症状が出る場合は、医師への相談をお勧めします。
便秘が隠れていることもある
硬い便が腸に詰まり、その隙間から液体のみが漏れ出す「溢流性下痢(いつりゅうせいげり)」は、見た目が下痢であっても本質的には便秘です。安易に下痢止めを使うと悪化する場合があります。
過敏性腸症候群など慢性の病気の可能性
繰り返す下痢・腹痛・便秘が交互に起こる場合は、過敏性腸症候群(IBS)の可能性があります。食事内容やストレス管理が症状に影響するため、専門医への相談をご検討ください。
下痢のときの食事に関するよくある誤解
「食べないほうが早く治る」とは限らない
完全な絶食は腸粘膜の回復を遅らせる可能性があります。症状が落ち着いてきたら消化の良いものを少量から始めましょう。
「お腹にやさしい=何でも少量ならOK」ではない
少量でも脂質や刺激物が多い食品は腸に負担をかけます。量だけでなく食品の種類にも気をつけてください。
ヨーグルトは必ずしも合うとは限らない
プロバイオティクスを含むヨーグルトは腸内環境の改善に役立つ場合がありますが、急性期には乳糖が下痢を悪化させることもあります。回復期以降に試すほうが無難です。
たまプラーザ周辺で受診を検討している方へ
内科・消化器内科で相談できること
下痢が続く場合や、血便・発熱を伴う場合は内科・消化器内科で診察を受けることをお勧めします。必要に応じて血液検査・便検査・内視鏡検査などを行い、原因を特定したうえで適切な治療を提案いたします。
受診時に伝えるとよい内容
- 下痢が始まった時期と頻度
- 便の性状(水様・泥状・血液混入など)
- 発熱・嘔吐・腹痛の有無
- 直近の食事内容・海外渡航歴
- 現在服用中の薬
よくある質問(FAQ)
下痢のときは何も食べないほうがいいですか?
急性期は無理に食べる必要はありませんが、完全な絶食は腸粘膜の回復を遅らせることがあります。吐き気が治まったら、おかゆや薄いスープなど消化の良いものから少量ずつ試しましょう。
コンビニで買える食事でおすすめはありますか?
おかゆ(レトルト)・温かいうどん・豆腐・バナナ・経口補水液などはコンビニでも入手しやすく、下痢のときに比較的向いています。揚げ物・スパイスの強い食品・乳製品の多いものは当面控えましょう。
うどんは温かいものと冷たいもの、どちらがよいですか?
冷たいものは腸を刺激する場合があるため、温かいうどんのほうが無難です。薬味(ねぎ・七味など)は控えめにし、シンプルな味付けで召し上がることをお勧めします。
下痢のときにヨーグルトを食べてもよいですか?
急性期には乳糖が症状を悪化させることがあるため、症状がある程度落ち着いた回復期以降に少量から試すのが望ましいです。乳糖不耐症が疑われる方は医師にご相談ください。
子どもや高齢者の下痢でも同じ食事でよいですか?
基本的な方針(水分補給・消化の良いものから)は共通ですが、乳幼児や高齢者は脱水が進みやすく、重症化するリスクが高い傾向があります。症状が強い場合や改善しない場合は、早めに医療機関を受診することをお勧めします。
何日くらい下痢が続いたら受診すべきですか?
急性の下痢の多くは2〜3日で改善します。1週間以上続く場合、血便・高熱・激しい腹痛を伴う場合、水分がとれない場合は早めに受診してください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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