オンライン予約はこちら

胃潰瘍とは?原因・症状・診断・治療まで消化器専門医がわかりやすく解説

健康ブログ

健康で楽しい生活を送る

胃潰瘍とは?原因・症状・診断・治療まで専門医がわかりやすく解説

胃の調子が悪い、みぞおちが痛む、食後に不快感が続く——そうした症状を放置していませんか。胃潰瘍は日常的によく見られる疾患ですが、適切な診断と治療を受けずにいると、深刻な合併症につながる場合もあります。本記事では、消化器外科専門医の視点から、胃潰瘍の基本から治療・日常生活の注意点まで、医学的根拠に基づいてわかりやすくご説明します。


胃潰瘍とは?まず知っておきたい基本

胃潰瘍(いかいよう)とは、胃の内側を覆う粘膜が、胃酸や消化酵素(ペプシン)などの攻撃的因子によって傷つき、粘膜の表面だけでなく粘膜下層以下まで深くえぐれた状態をいいます。日本消化器学会のガイドラインでは、粘膜の欠損が粘膜筋板を超えたものを「潰瘍」と定義しており、その手前の浅い傷を「びらん」と呼んで区別しています。

胃炎との違いは深さにあります。胃炎はおもに粘膜の表層が炎症を起こした状態で、びらん性胃炎とはでも詳しく解説していますが、びらんは粘膜筋板に達しないことが特徴です。一方、胃潰瘍は粘膜の深部まで達するため、治癒に時間がかかることがあり、出血などのリスクも高まります。


胃潰瘍の主な原因

胃潰瘍の原因については、胃潰瘍 原因の記事でより詳しく解説していますが、主なものを以下に整理します。

① ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)感染
胃潰瘍患者の約70〜80%にピロリ菌感染が認められるとされています(日本消化器学会ガイドライン参照)。ピロリ菌は胃の防御機能を低下させ、潰瘍形成を促進します。

② NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の服用
鎮痛薬や解熱薬として広く使われるNSAIDs(ロキソプロフェン、アスピリンなど)は、胃粘膜を保護するプロスタグランジンの合成を阻害するため、長期使用により胃潰瘍を引き起こすことがあります。

③ 喫煙・飲酒
喫煙は胃粘膜の血流を低下させ、潰瘍の治癒を妨げるとされています。過度の飲酒も胃粘膜への刺激を増大させます。

④ 精神的・身体的ストレス
強いストレスは自律神経のバランスを乱し、胃酸分泌の増加や胃粘膜防御機能の低下につながることが知られています。

⑤ その他
ステロイド薬の長期使用、基礎疾患(重篤な全身疾患)なども潰瘍のリスクを高める要因です。


胃潰瘍で起こりやすい症状

胃潰瘍の典型的な症状を以下に挙げます。ただし、症状の出方には個人差があり、無症状のことも少なくありません。

  • みぞおちの痛み・不快感:食後30分〜1時間ごろに現れやすく、鈍痛や灼熱感として感じられることがあります
  • 吐き気・嘔吐
  • 食欲低下・胃もたれ
  • 黒色便(タール便):潰瘍からの出血が腸内で変化したもので、消化管出血を示す重要なサインです
  • 貧血・倦怠感:慢性的な出血による場合があります

症状の詳細なチェックポイントについては、胃潰瘍 初期症状 チェックもあわせてご参照ください。


胃潰瘍と十二指腸潰瘍の違い

胃潰瘍と十二指腸潰瘍はまとめて「消化性潰瘍」と呼ばれ、混同されやすい疾患です。以下の点で違いがあります。

比較項目 胃潰瘍 十二指腸潰瘍
好発年齢 中高年に多い 若年〜中年に多い
痛みのタイミング 食後30分〜1時間ごろ 空腹時・夜間に多い
食事との関係 食後に痛みが増すことがある 食事で一時的に和らぐことがある
ピロリ菌との関連 約70〜80% 約90〜95%

どちらも症状だけで確定診断はできないため、胃カメラ(内視鏡)による確認が必要です。また、機能性ディスペプシア(機能性ディスペプシア)という、潰瘍がないにもかかわらず似た症状を呈する疾患もあるため、適切な鑑別が重要です。


胃潰瘍はどうやって診断する?

胃潰瘍の診断は、医師による診察と検査を組み合わせて行われます。自己判断での診断は難しく、適切な医療機関の受診が前提となります。

① 問診
症状の内容・期間・服用薬・生活習慣などを詳しく確認します。

② 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
最も確実な診断方法です。潰瘍の部位・大きさ・深さを直接観察でき、必要に応じて組織を採取して病理検査(生検)を行います。胃がんとの鑑別にも欠かせない検査です。

③ ピロリ菌検査
内視鏡時の組織を用いる迅速ウレアーゼ試験・培養法・組織鏡検法のほか、尿素呼気試験・便中抗原検査・血清抗体検査など複数の方法があります。

④ 血液検査・便潜血検査
貧血の程度確認や消化管出血のスクリーニングに用いられます。


胃潰瘍の治療方法

胃潰瘍の治療は、原因に応じて個別に検討されます。以下に一般的な治療の流れをご紹介しますが、治療方針は患者さんの状態によって異なりますので、必ず医師の指示に従ってください。

① 胃酸を抑える薬(薬物療法)
プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)が主に使用されます。胃酸の分泌を抑えることで、潰瘍の治癒を助けます。H₂ブロッカーが使われることもあります。

② ピロリ菌除菌療法
ピロリ菌が陽性の場合は、抗菌薬と胃酸分泌抑制薬を組み合わせた「除菌療法」が行われます。除菌に成功すると潰瘍の再発率が大幅に低下するとされており、日本消化器学会も推奨しています。

③ NSAIDsの中止・変更
NSAIDsが原因の場合は、主治医と相談のうえ、服用の中止や別の薬剤への変更を検討します。

④ 手術(外科的治療)
出血が止まらない、穿孔(穴が開く)などの緊急状態では、内視鏡的処置や外科手術が必要になることがあります。


胃潰瘍の食事・生活で気をつけたいこと

治療中・治療後の生活習慣の見直しも、胃潰瘍の回復や再発予防において重要と考えられています。

  • 刺激物の摂取を控える:香辛料、酸味の強いもの、熱すぎる飲食物は胃粘膜への刺激になることがあります
  • 飲酒は控えめに:医師の指示に従い、治療中は特に注意が必要です
  • 禁煙を心がける:喫煙は潰瘍の治癒を妨げる要因の一つとされています
  • 規則正しい食生活:空腹時間が長くなると胃酸が胃粘膜を刺激しやすくなります
  • 服薬を継続する:症状が軽快しても、医師の指示なく服薬を中止しないことが大切です
  • ストレスを軽減する工夫を:休養や睡眠を十分にとることを意識しましょう

胃潰瘍で起こりうる合併症

胃潰瘍は適切に治療しないまま放置すると、以下のような合併症を招くことがあります。

① 出血(消化管出血)
潰瘍が深くなると血管を傷つけ、吐血や黒色便を引き起こすことがあります。大量出血の場合は内視鏡的止血術や輸血が必要となることがあり、緊急対応が求められます。

② 穿孔(せんこう)
潰瘍が胃壁を貫通する状態で、急激な激しい腹痛が特徴です。腹膜炎を引き起こすため、緊急手術が必要になることがあります。

③ 幽門狭窄(ゆうもんきょうさく)
繰り返す潰瘍や瘢痕(はんこん)によって、胃の出口(幽門部)が狭くなる状態です。食後の嘔吐や腹部膨満感が続く場合は注意が必要です。

いずれの合併症も早期発見・早期対応が重要です。


こんな症状があれば早めに受診を

以下のような症状がある場合は、放置せずに早めに医療機関を受診されることをお勧めします。

  • 突然の強い腹痛、または持続する腹痛
  • 吐血(血を吐く)や黒色便(タール便)
  • 立ちくらみ、ふらつき、顔色が悪い(出血が疑われるサイン)
  • 原因不明の体重減少
  • 胃の不調が数週間以上続く
  • 市販薬を使っても改善しない

これらは緊急性を要するサインを含む場合があります。特に吐血・大量の黒色便・強い腹痛は速やかな受診が必要です。


胃潰瘍に関するよくある質問

Q. 胃潰瘍は自然に治りますか?
軽度の場合、生活習慣の改善で症状が和らぐことはありますが、薬物治療なしに完全に治癒するとは言い切れません。また、原因が除去されなければ再発リスクが残ります。医師の診察を受けることをお勧めします。

Q. 再発しやすいですか?
ピロリ菌除菌に成功すると再発率は大幅に低下するとされています。ただし、NSAIDsの継続使用や生活習慣が改善されない場合は再発する可能性があります。

Q. 胃潰瘍と胃がんは違いますか?
胃潰瘍と胃がんは別の疾患ですが、症状が似ているため内視鏡検査での確認が重要です。内視鏡検査では肉眼的観察に加えて生検(組織採取)を行い、悪性かどうかを判断します。

Q. 胃カメラ(内視鏡)検査は苦しいですか?
鎮静剤(眠り薬)を使用した検査を行っている医療機関も増えており、以前と比べて楽に受けられるようになってきています。事前に医師や看護師にご相談ください。


まとめ:胃潰瘍が疑われたら自己判断せず医療機関へ

胃潰瘍は、ピロリ菌感染や鎮痛薬の服用、生活習慣などが複合的に絡み合う疾患です。「胃が痛い」「食後に不快」という症状は日常的に経験しやすいものですが、それが胃潰瘍によるものかどうかは、医師の診察と内視鏡検査なしには判断できません。

症状が続く場合や気になることがあれば、自己判断や市販薬だけで対処せず、消化器専門医への相談をご検討ください。早期に適切な診断・治療を受けることが、合併症を防ぎ、より早い回復につながると考えられます。


関連記事


本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)
AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科

福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。


AIプラスクリニックたまプラーザ 診療のご案内

胃の痛み・不快感・黒色便など、気になる症状やご不安があれば、消化器外科専門医にお気軽にご相談ください。「症状が軽いから」と放置せず、まずは受診して正確な診断を受けることが大切です。

診療案内・受診のご案内

AIプラスクリニックたまプラーザ
こんにちは!ご質問にお答えします。

・診療時間や予約方法
・アクセス方法
・診療科目について

サイト内の記事も参考に回答しますので、お気軽にお尋ねください。