大腸癌の症状|内科医がわかりやすく解説
大腸癌は日本人に最も多いがんのひとつであり、早期発見・早期治療が予後を左右します。しかし初期には自覚症状が乏しいことが多く、血便や便通の変化といったサインを痔や過敏性腸症候群と見誤って受診が遅れるケースも少なくありません。本記事では、大腸癌で現れる主な症状・部位による違い・受診の目安について、消化器専門医の監修のもとわかりやすく解説します。気になる症状がある場合は、自己判断せず医師への相談をご検討ください。
大腸癌とは?まず知っておきたい基本
大腸癌とは、大腸(結腸・直腸)の粘膜から発生する悪性腫瘍です。国立がん研究センターの統計(がん統計2024)によると、大腸癌は男女ともに罹患数の上位を占める一般的ながんです。
大腸癌ができやすい部位
大腸癌は直腸(肛門に近い部分)と、S状結腸(左下腹部)に発生しやすいとされています。この2か所で全体の約60〜70%を占めます。
大腸癌と大腸ポリープの関係
大腸癌の多くは、大腸ポリープ(腺腫)ながん化したものと考えられています。大腸内視鏡検査でポリープを早期に切除することが、癌の予防や早期発見につながります。
大腸癌でみられる主な症状
血便・下血
便に鮮血が混じる、あるいは便器が赤くなるといった出血は、大腸癌の代表的なサインのひとつです。
便に血が混じる、黒っぽい便が出る
右側の結腸(上行結腸など)に癌がある場合、腸管内で血液が酸化し、タール状の黒っぽい便(タール便)として現れることがあります。
便通異常(下痢・便秘を繰り返す)
以前と比べて便通のリズムが変わった、下痢と便秘を繰り返すといった変化は注意が必要です。
便が細くなる
直腸付近に腫瘍が育つと腸管が狭くなり、便が細くなることがあります。
残便感がある
排便後も「出し切れていない感覚」が続く場合、直腸内の腫瘍が刺激になっていることが考えられます。
腹痛・腹部の張り
腫瘍が腸管を塞ぎかけると、腹痛や腹部膨満感(お腹の張り)が現れます。腸閉塞へと進行するリスクもあるため注意が必要です。腸閉塞についての詳細は 腸閉塞とは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】 もご参照ください。
貧血、だるさ、息切れ
腸管内での慢性的な出血が続くと、鉄欠乏性貧血を引き起こします。動悸・息切れ・全身のだるさとして現れることがあります。
体重減少や食欲低下
食欲の低下や原因不明の体重減少も、癌が進行する過程でみられることがある症状です。
症状は部位によって違う
結腸がんで起こりやすい症状
右側の結腸(上行結腸)では内腔が広いため腫瘍が大きくなりやすく、症状が出にくいのが特徴です。貧血や体重減少、腹部腫瘤として気づかれることがあります。左側の結腸(下行結腸・S状結腸)では腸管が細いため、便通異常・腹痛・便が細くなるといった症状が現れやすくなります。
直腸がんで起こりやすい症状
直腸は肛門に近いため、血便(鮮血)・残便感・肛門の違和感が比較的早い段階から現れやすいとされています。
大腸癌の初期症状は気づきにくい
無症状のこともある
早期の大腸癌は自覚症状がほとんどないことが多く、便潜血検査(検診)で偶然発見されるケースも多くあります。
症状が軽くても受診を考える理由
症状が軽度であっても、早い段階で発見するほど治療の選択肢が広がる可能性があります。「たかが血便」と見過ごさず、気になる変化があれば医師への相談が大切です。
大腸癌と間違えやすい病気
痔
痔による出血は鮮血で便の表面や便器につくことが多いですが、大腸癌でも同様の出血が見られます。自己判断で痔と決めつけず、症状が続く場合は受診を検討してください。
過敏性腸症候群
下痢・便秘・腹痛が繰り返される過敏性腸症候群は、大腸癌と症状が似ていることがあります。
大腸炎・感染性腸炎
感染や炎症による腸炎でも血便や腹痛が起こります。症状が1〜2週間以上続く場合は、内科への相談をお勧めします。
憩室炎
大腸の壁にできた袋状のくぼみ(憩室)が炎症を起こす憩室炎も、腹痛や血便をきたすことがあります。詳しくは 大腸憩室炎とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】 をご覧ください。
腸閉塞
大腸癌が進行すると腸管が詰まり、腸閉塞を引き起こすことがあります。強い腹痛・嘔吐・排便・排ガスの停止は緊急のサインです。腸閉塞の症状|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】 も合わせてご参照ください。
大腸癌の原因・リスク要因
加齢
大腸癌は50歳以上で罹患リスクが上昇し、40歳代からも注意が必要です。
食生活や飲酒・喫煙
赤肉・加工肉の過剰摂取、食物繊維不足、飲酒、喫煙はリスク因子として報告されています(国立がん研究センターのがん予防ガイドラインより)。
肥満・運動不足
肥満や座位時間が長い生活習慣は、大腸癌のリスクを高めることが示されています。
家族歴・遺伝の影響
直系家族に大腸癌の方がいる場合、発症リスクが高まる可能性があります。家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)やリンチ症候群などの遺伝性疾患も知られています。
炎症性腸疾患との関連
潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患を長期にわたって患っている場合、大腸癌のリスクが高まることがあります。定期的な内視鏡検査が重要です。
こんな症状があれば早めに受診を
血便が続く
1〜2週間以上血便が続く場合は、早めに内科または消化器内科を受診することをお勧めします。
便通の変化が長引く
2〜3週間以上にわたる便通の異常変化は、検査を受ける目安になります。
貧血症状や体重減少がある
原因がはっきりしない貧血・倦怠感・体重減少は、消化器系の精査が必要なことがあります。
強い腹痛・嘔吐・便やガスが出ない
これらは腸閉塞の可能性があり、緊急受診が必要です。すみやかに医療機関を受診してください。
受診先と検査の流れ
まず何科を受診するか
血便・便通異常・腹痛などの症状がある場合は、まず内科または消化器内科を受診することが一般的です。
問診・便潜血検査
受診では症状の経過・家族歴などを問診します。大腸癌の一次スクリーニングとして、便に微量の血液が混じっていないかを調べる便潜血検査が行われます。
大腸内視鏡検査
便潜血検査が陽性の場合や症状が疑わしい場合には、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)で腸管内を直接観察します。必要に応じてポリープ切除や生検(組織採取)が行われます。
必要に応じた画像検査
CT・MRIなどの画像検査で、腫瘍の広がりやリンパ節・他臓器への転移を評価します。
大腸癌の症状を見逃さないためにできること
健診・便潜血検査を活用する
40歳以上を対象に、市区町村が実施する大腸がん検診(便潜血検査)を毎年受けることが推奨されています(厚生労働省のがん検診指針より)。
症状を記録して受診時に伝える
いつから・どのような症状が・どのくらいの頻度で続いているかをメモしておくと、医師への伝達がスムーズです。
家族歴がある人は早めに相談する
親や兄弟に大腸癌の方がいる場合は、40歳以前から定期的な内視鏡検査を検討することが勧められる場合があります。まずは医師に相談してみてください。
よくある質問(FAQ)
大腸癌は痛みがないこともありますか?
はい、特に早期の大腸癌は痛みをほとんど伴わないことがよくあります。無症状のまま進行することもあるため、定期的な検診が重要です。
血便があれば大腸癌を疑うべきですか?
血便の原因は痔・憩室出血・腸炎など多岐にわたります。ただし、自己判断は危険なこともあるため、血便が続く場合は医師の診察を受けることをお勧めします。
若い人でも大腸癌になりますか?
大腸癌は中高年に多いですが、20〜40代での発症例もあります。血便・便通異常・体重減少などの症状がある場合は年齢に関わらず受診を検討してください。
痔の出血と大腸癌の出血は見分けられますか?
出血の色・量・タイミングだけでは自己判断が難しいことがあります。「痔だから大丈夫」と決めつけず、症状が続く場合は内視鏡検査などで確認することが安全です。
大腸癌の症状はどのくらい続いたら受診すべきですか?
血便・便通異常・腹痛などが2週間以上続く場合は受診の目安となります。症状が短期間であっても鮮血が多い・激しい腹痛を伴う場合は早急に受診してください。
関連記事
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
たまプラーザで消化器・内科に関する気になる症状がある方へ。血便・便通の変化・腹痛・貧血など、「受診すべきか迷っている」という段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。
ご予約・お問い合わせは ご予約・お問い合わせ よりどうぞ。
TEL:045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)
初診の際は、保険証・お薬手帳、お持ちであれば健診結果や紹介状をご用意いただくとスムーズです。ご予約はWebまたはお電話で承ります。