嘔吐が黄色いのはなぜ?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】
嘔吐物が黄色い場合、多くは胆汁(たんじゅう)が混じっていることが原因です。空腹時や繰り返し吐いた後に起こりやすく、必ずしも重篤な病気を示すわけではありません。ただし、強い腹痛・血の混入・意識の変化などを伴う場合は、速やかな受診が必要です。本記事では、黄色い嘔吐物の原因・考えられる病気・家でできる対処法・受診の目安を、消化器専門医の監修のもとわかりやすく解説します。
本記事は医療情報の提供を目的としており、個々の診断・治療は医師の診察が前提となります。症状が心配な方は医療機関へご相談ください。
吐き気・嘔吐全般については、親ページ「吐き気とは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】」もあわせてご覧ください。
嘔吐が黄色いのはなぜ?まず知っておきたいこと
黄色い吐しゃ物の正体は何か
嘔吐物が黄色や黄緑色を帯びている場合、多くは胆汁(胆のうから分泌される消化液)が混じっていることが原因です。胆汁はもともと黄褐色〜緑色の液体で、十二指腸(小腸の始まり部分)に分泌されます。胃の内容物がなくなった状態でさらに吐き続けると、十二指腸の内容物が逆流して胆汁が嘔吐物に混じることがあります。また、黄色い着色料を含む食べ物や飲み物が原因になることもあります。
すぐに重い病気とは限らないが、受診が必要なこともある
黄色い嘔吐は、胃腸炎で繰り返し吐いた後などに比較的よく見られます。一方で、腸閉塞や胆道系の病気など、早期対応が必要な疾患が背景にある場合もあります。「1回だけで他に症状がない」「食べた物の色が原因」などの場合は過度に心配する必要はありませんが、嘔吐が続く・腹痛が強い・発熱があるなどの場合は医療機関への相談をお勧めします。
嘔吐物が黄色くなる主な原因
胆汁が混じっている場合
胃の中に食物がない状態で嘔吐すると、十二指腸から胆汁が逆流しやすくなります。これが最も多い原因です。胆汁の色は黄色〜黄緑色で、嘔吐物に混じると鮮やかな黄色や緑がかった色になります。
空腹時に胃液や胆汁を吐いている場合
朝起きてすぐや長時間食事をとっていない状態では、胃の中に食べ物がなく、胃液・胆汁だけが出ることがあります。これ自体は生理的な現象の一つですが、繰り返す場合や量が多い場合は消化器疾患が背景にないか確認が必要です。
胃腸炎などで繰り返し吐いている場合
感染性胃腸炎などで何度も嘔吐すると、胃の内容物が空になった後も吐き気が続き、胃液・胆汁が混じった黄色い液体を吐くことがあります。この場合は嘔吐の回数が重なるにつれて嘔吐物が黄色に変わっていく経過をたどります。
食べ物・飲み物・薬の色が影響する場合
カレー・栄養ドリンク・黄色い着色料を含む食品・一部のサプリメントなどを摂取した後、嘔吐物が黄色く見えることがあります。この場合は他に症状がなければ多くは心配ありません。
黄色い嘔吐で考えられる病気
胃腸炎
ウイルス性(ノロウイルス・ロタウイルスなど)や細菌性の胃腸炎では、吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・発熱が主な症状です。繰り返し吐くことで嘔吐物が黄色くなります。
胃炎・逆流性食道炎
胃粘膜の炎症(急性・慢性胃炎)や逆流性食道炎でも嘔吐が起こることがあります。空腹時に胆汁が逆流しやすい状態になっている場合、黄色い液体が混じることがあります。
腸閉塞などの消化管の通過障害
腸が何らかの原因でふさがれると(腸閉塞)、腸の内容物が逆行して嘔吐物に胆汁・腸液が混じり、黄色〜緑色の嘔吐物が出ることがあります。強い腹痛・お腹の張り・排便・排ガスの停止を伴う場合は緊急受診が必要です。
胆のう・胆管・肝臓の病気
胆のう炎・胆石症・胆管炎などでも吐き気・嘔吐・腹痛・発熱・黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)が現れることがあります。右上腹部の強い痛みを伴う場合は速やかな受診が求められます。
そのほか注意が必要な病気
片頭痛・急性膵炎・妊娠悪阻(つわり)・糖尿病性ケトアシドーシスなどでも嘔吐が起こります。これらは消化管以外の原因であることもあるため、全身状態や他の症状と合わせた総合的な判断が大切です。
こんな症状があれば早めに受診を
強い腹痛やお腹の張りがある
腸閉塞・急性膵炎・胆のう炎などの可能性があります。我慢せず早めに受診してください。
発熱、下痢、脱水症状を伴う
感染性胃腸炎などで脱水が進行する恐れがあります。口から水分がとれない場合は点滴による補液が必要になることがあります。
吐き気・嘔吐が何度も続く
嘔吐が長時間続くと脱水・電解質異常が起こりやすくなります。受診の目安として、半日以上止まらない場合はご相談ください。
緑色に近い、茶色い、血が混じる
嘔吐物が濃い緑色・茶色・赤色(コーヒー残渣様)または血液が混じる場合は、消化管出血・腸閉塞など重篤な状態のサインである可能性があります。速やかに医療機関を受診してください。
子ども、高齢者、妊娠中、持病がある場合
脱水が進みやすく、基礎疾患によっては合併症リスクが高いため、症状が軽くても早めの受診をお勧めします。
家でできる対処法
水分補給のコツ
嘔吐後は少量ずつ(スプーン1杯〜数口程度)から始め、経口補水液・スポーツドリンク(薄めたもの)・白湯などを少しずつ補給します。いっきに飲むと再び嘔吐を誘発するため注意が必要です。
食事を再開するタイミングと内容
吐き気が落ち着いてから、おかゆ・うどん・白パンなど消化の良い食事を少量から始めます。無理に食べようとせず、食欲が出てきてから少しずつ増やしましょう。
無理に食べないほうがよい場合
吐き気や嘔吐が続いている間は無理に食事をとる必要はありません。水分補給を優先し、胃腸を休めることが大切です。
安静の取り方と様子の見方
横になる場合は仰向けよりも横向き(回復体位)が誤嚥予防になります。嘔吐の回数・嘔吐物の色・腹痛の有無・発熱・尿量などをメモしておくと、受診時の説明に役立ちます。
やってはいけないこと
一度に大量の水を飲む
胃に大きな負担がかかり、再嘔吐を引き起こしやすくなります。必ず少量ずつ補給してください。
アルコールや刺激物をとる
アルコール・香辛料・脂っこい食事・炭酸飲料は胃粘膜を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。
市販薬を自己判断で使い続ける
市販の胃腸薬・吐き気止めは症状を一時的に和らげることがありますが、原因によっては使用が適切でない場合もあります。症状が改善しない場合や繰り返す場合は、自己判断で服用を続けず医療機関にご相談ください。
吐き気の原因については「吐き気の原因|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】」で詳しく解説しています。
医療機関では何を調べるのか
問診で確認すること
嘔吐の回数・色・性状、腹痛・発熱・下痢の有無、直近の食事内容、渡航歴、服用中の薬・サプリメント、既往歴などを確認します。正確に伝えると診断の助けになります。
必要に応じて行う検査
血液検査(炎症・肝機能・膵酵素・電解質など)、腹部超音波検査、腹部X線・CT検査などを行うことがあります。感染症が疑われる場合は便検査が行われることもあります。
受診先の目安は内科・消化器内科
まずは内科または消化器内科への受診が基本です。緊急性の高い症状(激しい腹痛・血を吐いた・意識障害など)がある場合は、救急外来を受診してください。
受診を急いだほうがよいケース
意識がもうろうとしている
意識障害を伴う嘔吐は、脱水・電解質異常・頭蓋内疾患などの可能性があり、緊急対応が必要です。
水分がとれない、尿が少ない
口から水分をまったく受け付けない状態や、数時間以上尿が出ない場合は脱水が進行しているサインです。点滴による補液が必要になることがあります。
激しい腹痛や血を吐いた
消化管出血・腸閉塞・急性膵炎などが疑われます。ためらわず救急外来を受診してください。
腸閉塞や脱水が疑われるとき
お腹の張り・排便停止・持続する嘔吐・尿量減少がある場合は、早急な医療的介入が必要です。
黄色い嘔吐を繰り返さないために
食事のとり方を整える
長時間の空腹は胆汁逆流を起こしやすくします。1日3食を規則正しくとり、長時間の絶食を避けることが基本です。過食・早食いも胃腸への負担になるため、腹八分目を意識しましょう。
胃腸に負担をかけにくい生活
脂肪分の多い食事・アルコール・喫煙・強いストレスは胃腸の働きを乱す要因になります。十分な睡眠・適度な運動・ストレス管理も消化器の健康に関わります。
再発予防のために気をつけたいこと
胃炎・逆流性食道炎・胆石症など基礎疾患がある場合は、医師の指示のもとで治療・管理を続けることが大切です。「吐き気が続くけれど吐かない」状態については「吐き気続く吐かないとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】」もご参照ください。
よくある質問(FAQ)
黄色い吐しゃ物は胆汁ですか?
多くの場合は胆汁が混じっていることが原因です。胆汁は黄色〜黄緑色の消化液で、胃が空になった状態で嘔吐すると十二指腸から逆流して混じることがあります。ただし、食べ物・飲み物の着色による場合もあります。
空腹で黄色い胃液を吐くのは危険ですか?
1〜2回の嘔吐で他に症状がなければ、直ちに危険とはいえません。しかし繰り返す場合や強い腹痛・発熱を伴う場合は、胃腸炎や消化管の疾患が背景にある可能性があるため、受診をお勧めします。
黄色い嘔吐が1回だけなら様子見でよいですか?
発熱・強い腹痛・血の混入・意識の変化がなく、その後水分を補給できて状態が改善しているようであれば、しばらく経過を見ることが可能な場合もあります。ただし、お子さん・高齢の方・持病のある方は状態の変化に注意し、不安な場合は早めにご相談ください。
子どもが黄色いものを吐いたときはどうすればよいですか?
小児では脱水が進行しやすいため、嘔吐が続く・水分がとれない・ぐったりしている・顔色が悪いなどの場合は早めに小児科・救急外来を受診してください。繰り返し黄色いものを吐く場合も受診が必要です。
何科を受診すればよいですか?
まずは内科または消化器内科が窓口になります。症状が急激に悪化している場合や緊急性が高い場合は、救急外来を受診してください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター 外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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