右下腹部の痛みとは?原因・症状・対処を医学博士が解説【たまプラーザ】
右下腹部痛みの主な原因と対処法を医学的根拠に基づいて解説します。
右下腹部の痛みは、虫垂炎をはじめとする消化器疾患から、尿路結石、婦人科疾患まで幅広い原因が考えられます。痛みの性質・持続時間・随伴症状によって緊急性は大きく異なるため、まずは「どのような痛みか」を把握することが重要です。本記事では、お腹痛いとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】の関連情報として、右下腹部痛みの主な原因と対処法を医学的根拠に基づいて解説します。
右下腹部痛みとは?まず知っておきたいポイント
右下腹部の範囲はどこ?
腹部を大きく4つに分けたとき(四象限分類)、右下腹部は「おへその右下から鼠径部(そけいぶ)にかけての領域」を指します。この範囲には虫垂・上行結腸・回腸・右尿管・右卵巣(女性)・鼠径管などが位置しており、複数の臓器が集中しています。
痛みの出方で考え方は変わる
- 突然始まる激痛:虫垂炎の穿孔(せんこう)、卵巣茎捻転、尿路結石など緊急性が高い状態を考える必要があります。
- じわじわ続く鈍痛:便秘・ガス貯留・慢性大腸炎などが多い傾向があります。
- チクチク・断続的な痛み:腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)や筋肉・神経の問題のこともあります。
- 動くと悪化する:腹膜刺激症状(ふくまくしげきしょうじょう)を伴う炎症性疾患に注意が必要です。
右下腹部が痛む主な原因
消化器の病気で起こるもの
虫垂炎・大腸憩室炎(だいちょうけいしつえん)・腸炎・過敏性腸症候群・便秘・クローン病などが代表的です。
泌尿器の病気で起こるもの
尿路結石(右尿管結石)・腎盂腎炎(じんうじんえん)・膀胱炎などが右下腹部に痛みを起こすことがあります。
婦人科の病気で起こるもの
右卵巣嚢胞(のうほう)・卵巣茎捻転・子宮外妊娠・骨盤内炎症性疾患(PID)などは女性特有の原因として重要です。
筋肉・骨・神経の影響で起こるもの
腹壁の筋肉痛・鼠径ヘルニア・帯状疱疹(たいじょうほうしん)の前駆痛なども右下腹部痛の原因となります。
右下腹部痛みで考えられる代表的な病気
虫垂炎
虫垂(ちゅうすい)の炎症で、初期はみぞおちやへそ周囲が痛み、数時間以内に右下腹部へ移動するのが典型的です。発熱・吐き気・食欲不振を伴うことが多く、放置すると穿孔(せんこう・腸に穴が開くこと)を起こす危険があります。
大腸憩室炎
大腸壁にできたくぼみ(憩室)に炎症が起きた状態です。右側の憩室炎は虫垂炎と症状が似るため、画像検査による鑑別が重要です。
腸炎・便秘・ガスのたまり
感染性腸炎や機能的な便秘・ガス貯留は、痙攣性(けいれんせい)の腹痛を引き起こすことがあります。下痢や軟便を伴うことが多いのが特徴です。
尿路結石・尿路感染症
右尿管に結石が詰まると、腰背部から右下腹部にかけて波のように強まる痛み(疝痛・せんつう)が現れます。血尿を伴うこともあります。腎盂腎炎では高熱・腰痛・排尿痛が加わります。
卵巣嚢胞・卵巣茎捻転・骨盤内炎症性疾患
卵巣嚢胞はふだん無症状でも、茎捻転を起こすと急激な強い痛みが生じ、緊急処置が必要です。骨盤内炎症性疾患(PID)は発熱・下腹部痛・帯下(おりもの)の変化が見られます。
鼠径ヘルニア
腸などが鼠径部(内もも付け根)から飛び出す状態で、立位や力んだときに痛みや膨らみが出ます。内容物が戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」は緊急手術が必要です。
筋肉痛・腹壁の痛み
激しい運動後の筋肉痛や、帯状疱疹の前駆症状として体表の痛みが出ることがあります。患部を直接押すと痛みが増すのが特徴です。
痛み以外に一緒に出やすい症状
発熱・吐き気・嘔吐がある場合
虫垂炎・腸炎・骨盤内炎症性疾患など炎症性疾患を強く疑います。38℃以上の発熱を伴う場合は早めの受診が望ましいです。
下痢・便秘・血便がある場合
感染性腸炎・過敏性腸症候群・大腸憩室炎・炎症性腸疾患(IBD)などを考えます。血便がある場合は消化器内科への受診をお勧めします。
排尿痛・頻尿・血尿がある場合
尿路結石・膀胱炎・腎盂腎炎が疑われます。血尿は肉眼でわからない場合(顕微鏡的血尿)もあるため、尿検査が有用です。
月経異常・不正出血がある場合
子宮外妊娠・卵巣嚢胞・子宮内膜症などを考えます。妊娠の可能性がある場合は特に注意が必要です。
すぐに受診すべき危険なサイン
痛みが急に強くなった
これまでなかった激しい痛みが突然現れた場合は、穿孔・捻転・出血などの緊急事態を疑います。
歩くと響く・押すと強く痛む
腹膜炎の可能性があります。右下腹部を押して離したときに痛みが増す「反跳痛(はんちょうつう)」は要注意のサインです。
発熱や嘔吐を伴う
炎症が強い状態を示している可能性があります。
お腹が張る、便やガスが出ない
腸閉塞(ちょうへいそく)の可能性があります。腹部膨満と痛みが同時に起きているときは急いで受診してください。
妊娠の可能性がある、または強い下腹部痛がある
子宮外妊娠(異所性妊娠)は生命に関わる緊急疾患です。月経遅延と強い腹痛がある場合は、ためらわずに受診してください。
受診するなら何科?診療科の目安
まず内科・消化器内科を考えるケース
発熱・吐き気・下痢・便秘・血便を伴う場合や、消化器症状が中心のときはまず内科・消化器内科が窓口になります。
泌尿器科が適しているケース
排尿痛・血尿・腰背部痛を伴う場合は泌尿器科が専門です。
婦人科が適しているケース
月経異常・不正出血・おりものの変化などがある女性は婦人科への受診をご検討ください。
救急受診を考えるケース
激しい痛み・高熱・嘔吐・腹部膨満・意識の変化を伴う場合は、夜間・休日でも救急を受診してください。
医療機関ではどんな検査をする?
問診・腹部診察
痛みの場所・始まり方・持続時間・随伴症状を確認します。腹部を手で触れる診察(触診)で圧痛点や反跳痛を調べます。
血液検査・尿検査
白血球数・CRP(炎症マーカー)・腎機能・尿中白血球・血尿などを調べ、炎症・感染・尿路疾患を評価します。
超音波検査・CT検査
超音波(エコー)で虫垂・卵巣・胆嚢などを確認します。CTは広い範囲を短時間で評価できるため、緊急時に特に有用です。
必要に応じた婦人科的検査
経腟超音波・hCG(妊娠ホルモン)測定などで子宮外妊娠・卵巣嚢胞を調べることがあります。
自宅でできる対処と注意点
安静にして様子を見るときのポイント
軽度の鈍痛で発熱・嘔吐・血便がない場合は、横になって安静にし、30分〜1時間様子を見ることができます。痛みが増強する・新たな症状が加わる場合は受診を検討してください。
食事・水分で気をつけたいこと
吐き気がある場合は無理に食べず、少量の水や経口補水液で水分補給をします。脂っこいものや刺激物は控えましょう。
市販薬を使う前に注意したいこと
鎮痛薬(NSAIDs)は炎症を一時的に抑えますが、虫垂炎などの緊急疾患の症状を隠してしまう可能性があります。自己判断での使用は慎重にしてください。
やってはいけない対応
- 腹部を強く温める(炎症を悪化させる可能性)
- 下剤を自己判断で使用する(腸閉塞・虫垂炎では危険)
- 激しい痛みを我慢して受診を先延ばしにする
右下腹部痛みの予防・再発予防で意識したいこと
便秘対策と生活習慣
食物繊維の摂取・適度な運動・規則的な食事は便秘の改善と大腸憩室炎の予防に有用です。
水分摂取と排尿を我慢しない習慣
1日1.5〜2Lを目安に水分をこまめに摂り、尿意を我慢しないことが尿路結石・膀胱炎の予防につながります。
症状の記録を残すメリット
痛みが起きた日時・場所・強さ・随伴症状をメモしておくと、受診時の問診が正確になり、診断に役立ちます。月経周期との関係も記録しておくと婦人科疾患の鑑別に有用です。
たまプラーザ周辺で受診を考える方へ
こんな症状なら早めの相談を
- 右下腹部の痛みが2〜3日以上続く
- 発熱・吐き気・下痢・血便を伴う
- 繰り返し同じ場所が痛む
といった症状がある場合は、早めに医療機関へご相談ください。
内科で相談するメリット
内科・消化器内科では問診・血液検査・腹部超音波などをまとめて行い、緊急性の高い疾患と経過観察でよい状態を切り分けることができます。必要に応じて専門科への紹介も対応しています。詳しくはご予約・お問い合わせからご確認ください。
よくある質問(FAQ)
右下腹部がチクチク痛むだけでも受診したほうがいい?
チクチクとした軽い痛みだけで発熱・嘔吐・血便がなければ、まず安静にして1〜2日様子をみることができます。ただし、痛みが増す・3日以上続く・新たな症状が現れる場合は受診をお勧めします。
右下腹部痛みが数日続く場合は何が考えられる?
慢性的な便秘・過敏性腸症候群・大腸憩室炎・腸炎・尿路感染症・婦人科疾患などが考えられます。数日以上続く場合は自己判断せず、医療機関で検査を受けることが重要です。
便秘でも右下腹部が痛くなる?
便が上行結腸・回腸付近に溜まるとガスや圧迫感とともに右下腹部に痛みが生じることがあります。排便後に痛みが軽減する場合は便秘関連の可能性があります。ただし、同じ場所の痛みが繰り返す場合は他の疾患との鑑別が必要です。
生理前や生理中の右下腹部痛みは様子を見てもいい?
排卵痛・月経痛の一部として右下腹部に痛みが出ることがあります。毎月ほぼ同じ時期に同程度の痛みなら様子を見ることもできますが、痛みが強くなっている・月経以外の時期にも痛む・不正出血がある場合は婦人科への受診が望まれます。子宮内膜症や卵巣嚢胞の可能性もあります。
右下腹部痛みがあるとき、食事は控えたほうがいい?
吐き気・嘔吐がある場合や痛みが強い場合は、消化に良い食事を少量から始めるか、一時的に食事を控えて水分補給のみにするのが無難です。痛みが軽度で食欲がある場合は、脂っこいものや刺激物を避けた消化の良い食事が勧められます。なお、虫垂炎など手術が必要になる可能性がある場合は絶食が求められることがありますので、強い痛みがあるときは受診を優先してください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
AIプラスクリニックたまプラーザのご案内
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TEL:045-909-0117(横浜市青葉区・たまプラーザ)
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