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肝臓がんとは?種類や進行の考え方を整理






肝臓がんとは?種類や進行の考え方を整理|AIプラスクリニックたまプラーザ


肝臓がんとは?種類や進行の考え方を整理


肝臓がんは、日本人に比較的多く、2022年(令和4年)のデータでは年間約2万9千人以上が新たに診断されているがんです(国立がん研究センター がん情報サービス)。初期に症状が現れにくく、慢性肝炎や肝硬変を背景に発生することが多いため、「リスクがある方の定期的な検査」が早期発見のカギとなります。本記事では、肝臓がんの種類・原因・症状・進行の考え方・検査・治療選択肢について、公的情報をもとに整理します。個々の診断・治療方針は必ず主治医とご相談ください。


肝臓がんとは?まず知っておきたい基本

肝臓がん・胆道がんの基礎的な位置づけについては、肝臓がん・胆道がんの基礎知識・全体像|押さえておきたい要点を医師監修で解説もあわせてご参照ください。

肝臓がんと「肝がん」の違い

「肝臓がん」と「肝がん」はほぼ同義で使われます。医療現場では「肝がん」と略されることも多く、意味の違いはありません。ただし、厳密には「原発性肝がん(肝臓自体に発生)」と「転移性肝がん(他臓器から転移)」を区別することが重要です。

肝臓のどこから発生するがんか

肝臓には大きく2種類の細胞があります。①肝細胞(全体の約70〜80%を占める実質細胞)、②胆管上皮細胞(肝内で胆汁を運ぶ管の細胞)。それぞれから発生するがんの名称・特徴が異なります。


肝臓がんの種類

肝細胞がん

原発性肝がんの約90%を占める最も頻度の高いタイプです。慢性肝炎・肝硬変を背景に発生しやすく、AFP(アルファフェトプロテイン)・PIVKA-IIといった腫瘍マーカーが診断の参考になります。詳しくは肝細胞がんの症状と腹水との関係もご覧ください。

肝内胆管がん(胆管がん)との違い

原発性肝がんの約10%を占めます。肝臓の内部(肝内)の胆管から発生し、形態・治療法・予後が肝細胞がんと異なります。腫瘍マーカーはCA19-9・CEAが参考にされることが多いです。肝内胆管がんの詳細は肝内胆管癌の特徴と肝臓がんとの違いで整理しています。

転移性肝がんとの違い

大腸がん・胃がん・膵臓がんなど他臓器のがんが血流を通じて肝臓に転移したものです。原発性とは治療方針が根本的に異なるため、「どこから発生したがんか」の診断が最初のステップになります。

種類 発生源 主な腫瘍マーカー 頻度(原発性内)
肝細胞がん 肝細胞 AFP、PIVKA-II 約90%
肝内胆管がん 肝内胆管上皮 CA19-9、CEA 約10%
転移性肝がん 他臓器のがん 原発に準じる —

肝臓がんの主な原因とリスク因子

B型肝炎・C型肝炎との関係

日本の肝細胞がんの原因の約70〜80%にウイルス性肝炎(B型・C型)が関与しているとされます(国立がん研究センター がん情報サービス)。慢性炎症が続くことで肝細胞のDNAに傷が蓄積し、がん化リスクが高まります。

アルコール、脂肪肝、糖尿病などとの関係

近年、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)や肥満・糖尿病・多量飲酒に起因する肝がんの割合が増加しています。肝炎ウイルスが陰性でも、これらの因子がある場合は注意が必要です。

肝硬変がある場合に注意したいこと

肝硬変(肝臓が線維化し機能が低下した状態)は、それ自体が肝がんの最大のリスク因子です。肝硬変の方では年間5〜8%程度の割合で肝がんが発生するとされており、定期的な画像検査・腫瘍マーカー測定が推奨されます。


肝臓がんの症状

初期は症状が出にくいことがある

肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、がんが発生しても初期は自覚症状がほとんどありません。これが早期発見を難しくする要因の一つです。

進行するとみられる症状

  • 右上腹部の痛み・重感
  • 食欲不振・体重減少
  • 倦怠感・疲れやすさ
  • 腹部の膨満感・腹水(おなかに水がたまる状態)
  • 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)

胆管がんでみられやすい症状との違い

胆管がん(肝内・肝外を含む)では、胆汁の流れが妨げられることによる閉塞性黄疸(かゆみを伴うことがある)や灰白色便が初期からみられやすい特徴があります。


肝臓がんの進行の考え方

「進行スピード」は何で変わるのか

肝臓がんの進行スピードは一定ではなく、以下の要因によって大きく異なります。

  • 腫瘍の種類:肝細胞がんは比較的ゆっくりのものから急速に進行するものまで幅があります。胆管がん(肝内胆管がん)は発見時にすでに進行していることが多く、進行が早い傾向が指摘されています。
  • 背景肝機能:肝硬変があると治療の選択肢が制限されるため、結果として病状が進みやすくなります。
  • 腫瘍の数・サイズ・脈管侵襲(血管への広がり)の有無

進行度の見方とステージの基本

肝細胞がんのステージ(病期)は、腫瘍の数・大きさ・脈管侵襲・リンパ節転移・遠隔転移などを組み合わせて判断されます。日本では「肝癌取扱い規約」に基づく分類や、ミラノ基準・バルセロナ分類(BCLC)など複数の指標が治療方針の決定に使われます。

ステージ(概略) 主な特徴
I期 単発・小腫瘍、脈管侵襲なし
II期 複数または脈管侵襲あり
III期 肝外への広がり(リンパ節等)
IV期 遠隔転移あり

※上記は概略であり、実際の判断は担当医が総合的に行います。

進行が早いと感じやすいケース

腫瘍マーカーが急激に上昇している場合、脈管侵襲(門脈などへの浸潤)がある場合、肝外転移が出現した場合などは、病状の変化が速いことがあります。


肝臓がんで行う検査

血液検査

AFP・PIVKA-II(肝細胞がんの腫瘍マーカー)、AST・ALT・γ-GTP・ビリルビン・アルブミン・プロトロンビン時間などの肝機能指標を評価します。

画像検査

超音波(エコー)検査が初期スクリーニングに使われます。異常があればCT・MRIで精密に評価し、造影パターン(動脈相での濃染、後期相での洗い出し)で診断の精度を高めます。

必要に応じて行う追加検査

診断が困難な場合、肝生検(組織を採取して病理診断)が行われることがあります。また、血管造影検査(アンギオグラフィー)が治療前に行われることもあります。


肝臓がんの診断後に考える治療の選択肢

手術・局所治療・薬物療法の基本

治療法 概要
外科的切除 腫瘍を含む肝組織を切除。根治性が高い
ラジオ波焼灼療法(RFA) 電極針で腫瘍を熱凝固。小さな腫瘍に適応
肝動脈化学塞栓療法(TACE) 腫瘍へ栄養を送る血管を塞ぎ、抗がん剤を注入
肝移植 一定基準(ミラノ基準等)を満たす場合に適応
薬物療法(分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬) 切除困難例などに使用

肝機能や病期で治療が変わる理由

肝臓がんは「腫瘍の状態」と「残された肝機能」の両方を考慮して治療方針を決めます。たとえ腫瘍が小さくても肝硬変が進行していれば切除が難しいことがあり、逆に腫瘍が大きくても肝機能が保たれていれば手術が選択肢になります。

標準治療を確認する重要性

治療方針は、日本肝臓学会・日本癌治療学会のガイドラインに基づく標準治療が基本です。Minds(日本医療機能評価機構)のガイドラインライブラリでも確認できます。


肝臓がんの予後と公的データの見方

生存率は個人差が大きいこと

公表されている生存率(5年生存率など)はあくまで統計値であり、個々の患者さんに直接当てはまるものではありません。ステージ・肝機能・治療への反応・全身状態など多くの要素が予後に影響します。

統計データを読むときの注意点

統計は過去の患者集団のデータであり、治療法の進歩により現在の予後は改善傾向にあります。数字を見て過度に不安を感じる必要はありません。

がん情報サービスで確認できること

国立がん研究センターの「がん情報サービス」では、部位別のがん統計・生存率データ・治療法の概説が公開されています。疑問点は担当医に相談しながら参照してください。


受診・相談の目安

受診を急いだほうがよい症状

以下の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

  • 右上腹部の急な痛み・膨満感
  • 急速に進む黄疸(皮膚・白目の黄変)
  • 著しい体重減少・強い倦怠感
  • 腹水による腹部膨満が急速に悪化している

肝炎や肝硬変がある人の定期受診の重要性

B型・C型肝炎キャリアの方、肝硬変と診断されている方は、症状がなくても定期的な超音波検査・腫瘍マーカー測定(通常3〜6か月ごと)が推奨されています。無症状のうちに発見できるかどうかが治療の選択肢に大きく影響します。

健診で異常を指摘されたときの対応

腹部超音波で「肝臓に要精査の所見あり」と指摘された場合、腫瘍マーカーが高値だった場合は、放置せず消化器内科・消化器外科を早めに受診してください。


当院での診療から

肝臓がんが疑われる場合の相談の流れ

当院(AIプラスクリニックたまプラーザ)では、消化器内視鏡センターを備え、鎮静下での胃・大腸内視鏡検査を日常的に実施しています。健診で肝臓の異常を指摘された方や、倦怠感・腹部不快感が続く方のご相談を受け付けており、問診・腹部診察・血液検査(肝機能・腫瘍マーカー)・腹部超音波検査を組み合わせて初期評価を行います。

主治医と連携して進める考え方

肝臓がんが疑われる所見が確認された場合や、精密検査(造影CT・MRI・肝生検など)が必要と判断した場合は、速やかに基幹病院(消化器外科・肝臓内科)へご紹介します。紹介後も地域連携クリティカルパスのもと、術後フォローや定期採血・画像評価を当院で担当し、専門病院と連携した継続的な診療をサポートします。

セカンドオピニオンを検討する場面

診断結果や治療方針に疑問や不安を感じる場合は、セカンドオピニオンの検討も大切な選択肢です。「どこに相談すればよいかわからない」という段階でも、当院でご相談を承ります。在宅療養・緩和ケアの段階においても、在宅療養支援診療所として寄り添った対応が可能です。

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よくある質問(FAQ)

肝臓がんは早期発見できますか

初期には症状が出にくいため、リスク因子(肝炎ウイルス感染・肝硬変・多量飲酒・脂肪肝など)がある方は定期的な超音波検査と腫瘍マーカー検査を受けることが早期発見につながります。症状が現れてからでは進行していることも少なくないため、定期検査の継続が重要です。

肝臓がんの進行スピードは一定ですか

肝臓がんの進行スピードは一定ではなく、腫瘍のタイプ・背景の肝機能・脈管侵襲の有無などによって大きく異なります。同じ肝細胞がんでも、数か月単位でゆっくり進行するものから急速に増大するものまで幅があります。定期的な経過観察が重要です。

胆管がんの進行スピードは肝細胞がんと違いますか

肝内胆管がん(胆管癌の一種)は、発見時にすでに進行した状態であることが多く、早期発見が難しいとされています。肝細胞がんと比べて治療の選択肢が限られることがあり、早い段階での専門医受診・精査が重要です。胆管がんの詳細は胆管癌の部位ごとの特徴もご参照ください。

肝臓がんは健診で見つかりますか

一般的な職域健診では腹部超音波が含まれないこともあります。人間ドックや自治体の肝炎ウイルス検査(無料で受けられる場合があります)を活用することが有効です。肝炎ウイルスの検査を一度も受けたことがない方は、まずウイルス検査から始めることをお勧めします。


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参考文献・出典


本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)

医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医

専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

【略歴】1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

【公的役割】厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。


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免責事項

本記事は一般的な医学情報の提供を目的としており、個別の診断・治療方針を示すものではありません。症状や治療についての判断は、必ず主治医・専門医にご相談ください。記載内容は公開時点の公的情報・診療ガイドラインに基づいており、最新情報は国立がん研究センター「がん情報サービス」等でご確認ください。

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