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胃酸とは?原因・症状・対処を内科医が解説

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胃酸とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】

胃酸は消化に不可欠な物質ですが、分泌のバランスが崩れると胸やけや呑酸(どんさん)など、日常生活に支障をきたす症状を引き起こすことがあります。本記事では、胃酸の役割から症状・セルフケア・受診の目安まで、消化器内科の視点でわかりやすく解説します。症状が続く場合は自己判断に頼らず、医師の診察を受けることをお勧めします。

胃酸とは?胃で作られる酸の役割

胃酸の主な働き

胃酸(主成分:塩酸)は、胃の壁細胞から分泌される強い酸性の消化液です。主な働きは以下の3つです。

  • タンパク質の消化を助ける:ペプシノゲンを活性化し、タンパク質を分解しやすくします。
  • 殺菌作用:食べ物とともに口から入った細菌やウイルスの多くを不活化します。
  • 消化吸収のサポート:鉄やカルシウムなどのミネラル吸収を促します。

胃酸の強さと胃粘膜が守られる仕組み

胃酸のpHは約1.5〜2.0と非常に強い酸性です。それでも胃が自分自身を溶かさないのは、胃粘膜を覆う粘液(ムチン)や重炭酸塩が防御バリアを形成しているためです。このバリアが何らかの原因で弱まると、胃炎や胃潰瘍のリスクが高まります。

胃酸が増えたように感じるのはなぜ?主な原因

食生活や生活習慣の影響

脂肪分の多い食事・過食・アルコール・コーヒー・喫煙は胃酸の分泌を促したり、下部食道括約筋(胃と食道の境界を閉じる筋肉)をゆるめたりします。食べ過ぎや早食いは胃の内圧を上げ、胃酸が食道へ逆流しやすい状態をつくります。

ストレスや自律神経の乱れ

精神的・肉体的ストレスは自律神経を乱し、胃酸の分泌量や胃の運動に影響を与えます。また、ストレス下では胃粘膜の防御機能が低下しやすいとされています。

加齢や体質、関連する病気の可能性

加齢にともない下部食道括約筋の締まりが弱くなる場合があります。また、ピロリ菌(Helicobacter pylori)感染、消化性潰瘍、機能性ディスペプシアなど、特定の疾患が背景にあることもあります。症状が続く場合は消化器内科での検査が勧められます。

胃酸が関係する代表的な症状

胸やけ

胸の中央〜みぞおちにかけてのジリジリ・ムカムカした灼熱感。食後や就寝時に悪化しやすい特徴があります。

呑酸(酸っぱいものが上がる感じ)

胃酸や胃の内容物が食道・のどまで逆流し、口の中が酸っぱくなる感覚です。

みぞおちの痛み・胃もたれ

胃酸が胃粘膜を刺激することで、みぞおちの痛みや不快感、食後の胃もたれが生じることがあります。

のどの違和感や咳が続く場合

胃酸が食道上部やのどまで到達すると、慢性的な咳・のどの違和感・声がれを引き起こすことがあります。これを「咽喉頭逆流症(LPR)」と呼ぶ場合もあり、消化器内科か耳鼻咽喉科での評価が必要です。

胃酸の逆流と逆流性食道炎の関係

胃酸が食道へ逆流する仕組み

通常、下部食道括約筋は食後に閉じて胃酸の逆流を防ぎます。この機能が低下したり、腹圧が上がったりすると胃酸が食道に逆流します。

逆流性食道炎で起こりやすい症状

逆流性食道炎では、胸やけ・呑酸に加え、食道粘膜のただれ(びらん)が生じます。重症化すると食道潰瘍・食道狭窄・バレット食道などに進行することがあるため、早めの受診が大切です。詳しくは逆流性食道炎とは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】をご参照ください。

胃酸過多との違い

「胃酸過多」は胃酸の分泌量が多い状態を指し、必ずしも逆流を伴うわけではありません。一方、逆流性食道炎は胃酸の「量」より「逆流」そのものが問題です。胃酸の分泌量が正常でも逆流性食道炎を発症することがあります。

胃酸が気になるときのセルフケア

食べ過ぎ・早食いを避ける

腹八分目を心がけ、ゆっくりよく噛んで食べることで胃への負担が軽減されます。

脂っこい食事、アルコール、喫煙への注意

これらは胃酸分泌を促進し、下部食道括約筋をゆるめる要因となります。摂取頻度や量を見直すことが症状改善につながる場合があります。

食後すぐ横にならない

食後少なくとも2〜3時間は横になることを避けましょう。食後すぐに臥位(横になった姿勢)をとると胃酸が食道に逆流しやすくなります。

睡眠時の姿勢や就寝前の工夫

就寝時は上半身を少し高くする(頭側を10〜15cm程度挙上する)ことで夜間の逆流を軽減できる場合があります。枕を高くするだけでなく、上半身全体を傾けることがポイントです。

セルフケアの詳細は逆流性食道炎を自力で治すには|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】も参考にしてください。

胃酸の分泌を抑える薬とは

胃酸分泌抑制薬の種類

胃酸分泌抑制薬には主に以下の種類があります。

分類 特徴
プロトンポンプ阻害薬(PPI) 壁細胞のポンプを直接阻害し、強力に胃酸を抑制する
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB) PPIより速やかに効果が出やすいとされる新しいタイプ
H₂受容体拮抗薬(H₂ブロッカー) ヒスタミン受容体をブロックして胃酸分泌を抑える

市販薬と処方薬の違い

市販のH₂ブロッカーは軽度の胸やけ・胃痛に短期的な使用を目的とします。一方、PPIやP-CABは医師の処方が必要な処方薬が基本で、逆流性食道炎などの診断のもとで使用されます。詳しくは胃酸を抑えるの薬|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】をご覧ください。

服用時に気をつけたいこと

胃酸分泌抑制薬は用法・用量を守って使用することが重要です。長期連用が必要な場合は医師の管理のもとで行い、症状が改善しても自己判断で急に中止しないようにしましょう。

胃酸が原因ではないこともある?受診が必要な症状

強い腹痛、吐血、黒色便がある場合

これらは消化管出血など緊急性の高い状態を示す場合があります。速やかに医療機関を受診してください。

症状が長引く・繰り返す場合

2週間以上続く胸やけや呑酸、セルフケアや市販薬で改善しない症状は、消化器内科での精査が勧められます。

体重減少や食べるとつかえる感じがある場合

意図しない体重減少、飲み込みにくさ(嚥下困難)は、食道がんや胃がんなど重篤な疾患のサインである場合があります。早めの受診が大切です。

どの診療科を受診すべき?内科・消化器内科の受診目安

受診のタイミング

  • 胸やけ・呑酸が2週間以上続く
  • 市販薬を使っても症状が改善しない
  • 夜間に症状で目が覚める
  • 体重減少・吐血・黒色便を伴う

医療機関で行う主な検査

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)は、食道・胃・十二指腸の状態を直接観察できる信頼性の高い検査です。必要に応じてピロリ菌検査や食道pH検査が行われることもあります。

診断は医師の診察が前提であること

胸やけ・胃痛は逆流性食道炎以外の疾患(狭心症・心筋梗塞・胆嚢疾患など)でも起こり得ます。自己診断は避け、症状が気になる場合は医師の診察を受けることを強くお勧めします。

胃酸に関するよくある誤解

胃酸は「悪いもの」ではない

胃酸は消化・殺菌に必要な物質です。「胃酸=悪者」ではなく、分泌量や逆流のバランスが崩れることが問題の本質です。

胃酸過多=必ず逆流性食道炎ではない

前述のとおり、胃酸分泌量が正常でも下部食道括約筋の機能低下があれば逆流性食道炎を発症します。逆に胃酸分泌が多くても逆流が起きなければ食道炎にはなりません。

自己判断で薬を続けすぎない

市販薬は短期使用を前提に設計されています。症状が続く場合は受診し、適切な診断・治療を受けることが重要です。

よくある質問(FAQ)

胃酸が多いとどんな症状が出ますか?

胸やけ、呑酸(口への酸の逆流感)、みぞおちの痛み・不快感、のどの違和感や慢性的な咳などが代表的です。ただし、これらの症状は胃酸過多以外の疾患でも起こるため、症状が続く場合は医師の診察を受けることをお勧めします。

胃酸を抑える食べ物はありますか?

特定の食べ物で胃酸の分泌量を大幅に抑えることは難しいとされています。一方、脂肪分・アルコール・コーヒー・チョコレート・柑橘類などは胃酸分泌や下部食道括約筋のゆるみに関与するとされており、これらを控えることが症状の軽減に役立つ場合があります。

胃酸の分泌を抑える薬は毎日飲んでもよいですか?

処方薬(PPIやP-CAB)は医師の指示に従って服用してください。市販のH₂ブロッカーは添付文書の用法・用量と使用期間を守ることが重要です。自己判断で長期連用することは避け、症状が改善しない場合や繰り返す場合は受診を検討してください。

胸やけが続くときは何科を受診すればよいですか?

内科または消化器内科が適しています。胸やけが強い場合や、息切れ・左腕のしびれを伴う場合は循環器疾患の可能性もあるため、かかりつけ医に相談するか、症状が強い場合は速やかに医療機関を受診してください。

胃酸がのどまで上がる感じがするのは病気ですか?

胃酸や胃の内容物がのどまで逆流する症状は、逆流性食道炎や咽喉頭逆流症の可能性があります。放置すると食道や咽頭への刺激が続くため、症状が繰り返す場合は消化器内科への受診をお勧めします。

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴:

1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割:

厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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