延命治療しないという選択を考える前に整理したいこと
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「延命治療しない」という考えが浮かんだとき、まず大切なのは“治療をやめるかどうか”だけでなく、本人の希望、今の病状、家族の支え方を分けて整理することです。迷いがある段階で情報を集めておくと、あとで慌てにくくなります。
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まず押さえたい基本として、延命治療しないとは何を指すのか
延命治療しないとは、一般に「病気を根本的に治す治療」ではなく、人工呼吸器、心肺蘇生、胃ろう、点滴、経管栄養などのうち、その時点の本人の価値観や病状に照らして行うかどうかを選ぶことです。
ただし、医療は一律ではありません。痛みや息苦しさを和らげる緩和ケアは、延命を目的としない場面でも重要です。
厚生労働省はACP(人生会議)として、元気なうちから「どんな医療やケアを望むか」を話し合うことを勧めています。参考: 厚生労働省 人生会議(ACP)
こう調べ始める方が多い、家族が迷い始めるきっかけ
「延命治療しない」と検索される背景には、次のような場面が多くあります。
| きっかけ | 家族が感じやすいこと | 先に確認したいこと |
|---|---|---|
| 認知症やがんが進んできた | これ以上つらい治療は避けたい | 本人の意思表示、代理決定の人 |
| 入退院を繰り返している | もう通院が大変 | 在宅医療で支えられるか |
| 食事や水分がとれなくなってきた | 何もしないのは不安 | 口から食べることの意味、誤嚥のリスク |
| 病院から退院を急かされた | 退院先が決められない | 自宅・施設・在宅医療の比較 |
こうした段階では、訪問診療の基礎をまとめたページを読んでおくと、選択肢が整理しやすくなります。
見分け方・判断の目安として、本人の希望をどう整理するか
判断の軸は「医学的にできるか」だけではありません。少なくとも次の3点を分けて考えると整理しやすくなります。
- 本人が望むか
以前に話していた内容、書面、家族への言葉を確認します。 - 今の体の状態に合うか
たとえば人工呼吸器が必要な重い呼吸不全では、在宅での対応には限界があります。 - 家族が続けられるか
介護者が疲弊しきると、在宅療養は保ちにくくなります。
“しない”という選択は、“何もしない”と同じではありません。苦痛を減らし、食事・排泄・清潔・眠りを整えるケアは続けられます。
混同しやすいものとの違いを、先に分けておきたい
延命治療しないことと、似ているようで違うものがあります。
| 用語 | 意味 | 混同しやすい点 |
|---|---|---|
| 延命治療をしない | 人工的な生命維持を行うかを選ぶ | 痛み止めや緩和ケアまで止めることではない |
| 治療をやめる | すでに始めた治療を中止する | 本人不在で決めてよいわけではない |
| 看取り介護 | 最期の時期を支える介護 | 医療と介護の役割が重なる |
| 看取り介護加算 | 施設で看取りを支えた際の介護報酬上の評価 | 家族負担がゼロになる制度ではない |
看取り介護加算は、介護施設で最期の支援を行う際の制度の一つです。制度の考え方は介護保険制度の枠組みの中にあります。参考: 厚生労働省 介護保険制度
家族が見落としがちなポイントは、気持ちと実務を分けること
「延命治療しないでよいのだろうか」と考えるとき、家族は“正解探し”に入りやすいものです。ですが実際には、気持ちの整理と実務の準備は別です。
- 本人の意思を、誰がどう確認するか
- 急変時に救急車を呼ぶかどうか
- 病院、施設、自宅のどれを優先するか
- 食べられなくなったときに何を目標にするか
このあたりは一度、終末期ケアの相談先をまとめた案内で相談の流れを見ておくと、家族だけで抱え込みにくくなります。
在宅医療とのつながりを、先に知っておくと選択肢が広がる
「延命治療しない」と決める前でも、在宅医療の情報収集は有益です。特に退院支援では、退院日が急に決まり、数日で療養先を決めることがあります。病院からは「自宅か施設か」の二択で示されがちですが、在宅医療を入れると自宅療養の難易度は下がることがあります。
| 在宅医療でできること | 具体例 |
|---|---|
| 症状の確認 | 痛み、息苦しさ、食欲低下の評価 |
| 医療処置の継続 | 胃ろう管理、在宅酸素、点滴の可否判断 |
| 連携 | 訪問看護、ケアマネジャーとの調整 |
| 退院後の支援 | 退院前カンファレンスへの参加 |
在宅医療は、病院の主治医と関係を断つものではありません。併診や引き継ぎが可能です。退院前から相談しておくと、急な変化に備えやすくなります。
当院の在宅診療の現場から
当院では、病院の地域連携室や医療ソーシャルワーカーからの紹介で、退院前カンファレンスに参加することが多くあります。退院当日からの訪問診療開始にも対応し、退院直後の不安定な時期には24時間の連絡体制で急変に備えます。消化器内視鏡やエコーの経験を活かし、栄養管理、嚥下評価、胃ろう管理、在宅酸素にも対応しています。地域の訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所と連携し、たまプラーザ・あざみ野・美しが丘・新石川など横浜市青葉区を中心に、隣接する都筑区・川崎市宮前区もご相談に応じています。
受診・相談の目安
次のようなときは、早めに相談を考えてよいタイミングです。
- 週に1回以上の通院が負担になってきた
- 退院後の療養先が決まらない
- 食事量や水分摂取が明らかに減ってきた
- 家族の付き添いや介護が限界に近い
- 急変時の対応を家族だけで決められない
この段階では「まだ相談するほどでは」と感じる方が多いのですが、在宅医療は状態が悪化してからでは選択肢が狭まります。情報だけ聞いてみる、という使い方で構いません。
ご相談はご予約・お問い合わせから承っています。
よくある質問
Q. 延命治療しないとは、食事や水分もあげないという意味ですか?
いいえ、同じではありません。食べる・飲むことをどう支えるかは別問題で、むせや誤嚥の危険、本人の苦痛を見ながら考えます。
Q. 本人が元気なうちに話していなくても決められますか?
家族だけで決めざるを得ない場面はありますが、できるだけ本人のこれまでの言葉や価値観を確認します。ACPの考え方が参考になります。
Q. 延命治療しないと決めたら、もう病院にはかかれませんか?
そのようなことはありません。治療の目的を変えながら、症状緩和や必要な診療は続けられます。
Q. 施設入居を選ぶのはよくないことですか?
いいえ。自宅、施設、病院にはそれぞれの利点と限界があります。ご家族の生活も含めて、無理のない形を選ぶことが大切です。
Q. 看取り介護加算とは何ですか?
介護施設で最期の支援を行ったときに、介護報酬上で評価される仕組みです。利用可否や対象は施設種別・制度改定で変わるため、最新情報の確認が必要です。
参考文献・出典
本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)/医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医/専門: 消化器外科・消化器内視鏡/一般内科/在宅医療・高齢者医療・がん緩和ケア・心不全・呼吸不全。略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。 公的役割: 厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の患者さんの診断・治療を代替するものではありません。症状や治療方針の判断は、必ず主治医にご相談ください。制度・費用は改定される場合があります。最新の情報は各自治体・保険者の窓口でご確認ください。