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胃潰瘍の市販薬|内科医がわかりやすく解説

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胃潰瘍の市販薬|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】

胃潰瘍が疑われるとき、市販薬で症状を和らげようとする方は少なくありません。しかし、市販薬は症状の一時的な緩和を目的としたものが多く、胃潰瘍そのものの治療にはなりません。胃潰瘍の根本的な治療には、医療機関での診断と処方薬が必要です。本記事では、市販薬との上手な付き合い方と、受診が必要なサインについて、消化器内科の観点からわかりやすく解説します。

なお、胃腸薬全般の選び方・使い方については胃腸薬とは?選び方・使い方を内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご参照ください。

胃潰瘍に市販薬はある?まず知っておきたい結論

胃潰瘍は「市販薬で治す」より、医療機関での診断が前提

胃潰瘍は胃の粘膜が深く傷つく疾患であり、放置すると出血や穿孔(胃に穴があく状態)といった重篤な合併症につながる可能性があります。症状が「胃潰瘍によるもの」なのか、それとも胃炎・機能性ディスペプシア・胃がんなど別の疾患によるものなのかは、胃カメラ(内視鏡検査)などを行わなければ区別できません。自己判断で市販薬のみを使い続けることは、診断の遅れにつながるリスクがあります。

痛みを一時的に和らげる市販薬と、胃潰瘍の治療薬は別

市販の胃薬には胃酸を中和したり、胃粘膜を保護したりする成分が含まれているものがあります。これらは症状を一時的に和らげる「補助的な役割」は果たせても、潰瘍の治癒を促したり、ピロリ菌を除菌したりする治療薬とは異なります。

胃潰瘍とは?胃炎や胃痛との違い

胃潰瘍で起こりやすい症状

胃潰瘍の典型的な症状には、みぞおちの痛み・灼熱感・食後の不快感・吐き気などがあります。空腹時や夜間に痛みが強くなることも多く、食事によって症状が変化するケースも見られます。

胃炎・機能性ディスペプシア・逆流性食道炎との違い

胃炎は胃粘膜の炎症であり、潰瘍(粘膜が深くえぐれた状態)とは組織レベルで異なります。機能性ディスペプシアは検査で明らかな異常がないにもかかわらず胃の不快感が続く状態、逆流性食道炎は胃酸が食道に逆流することで胸焼けなどを起こす疾患です。症状が似ていても原因と治療法が異なるため、自己判断は避けることが大切です。

胃潰瘍の主な原因

胃潰瘍の主な原因は、ヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)感染と、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の長期使用の2つが代表的です。そのほかにもストレス・喫煙・飲酒・過労なども関与するとされています。

胃潰瘍のときに市販薬は使えるのか

市販薬が「補助的」に使われる場面

受診前の短期間の症状緩和や、軽度の胃の不快感に対して市販薬を一時的に使用すること自体は、一概に否定されるものではありません。ただし、あくまでも「受診前の応急的な対処」として捉えることが重要です。

自己判断で市販薬だけに頼らないほうがよい理由

市販薬で症状が一時的に和らいだとしても、潰瘍が治癒しているわけではありません。症状が薬でマスクされることで受診が遅れ、出血や穿孔などの合併症が見落とされるリスクがあります。

服用前に確認したい注意点

  • 他の薬との飲み合わせ(特に抗凝固薬・ステロイド薬などを服用中の方)
  • 持病(腎臓病・肝臓病など)がある場合は成分によって注意が必要
  • 妊娠中・授乳中の方は服用前に必ず医師または薬剤師に相談

胃潰瘍の症状を一時的に和らげる市販薬の種類

制酸薬

炭酸水素ナトリウム(重曹)や水酸化アルミニウムゲルなど、胃酸を中和する成分を含む薬です。即効性があり、胸焼けやみぞおちの灼熱感を一時的に和らげます。

H2ブロッカー配合薬

ファモチジン・ロキサチジンなどが含まれる市販薬(H2受容体拮抗薬)は、胃酸の分泌を抑制する働きがあります。医療機関で処方されるものより低用量ですが、胃酸由来の不快感には一定の効果が期待できます。

胃粘膜を守る成分を含む薬

スクラルファートやアズレンスルホン酸ナトリウムなど、胃粘膜を保護・修復する成分を含む市販薬があります。医療機関で処方されるレバミピドとの違いや特徴についてはレバミピドとは?特徴と使い方を内科医が解説【たまプラーザ】をご覧ください。

胃の不快感向けの健胃薬・消化薬

消化酵素(ジアスターゼなど)や生薬成分(ゲンチアナ・ケイヒなど)を含む健胃薬・消化薬は、食べ過ぎ・飲み過ぎ・消化不良の不快感に使われます。胃潰瘍への直接的な効果を目的としたものではありません。

鎮痛薬に注意が必要な理由

胃の痛みを和らげようとして市販の鎮痛薬を使用することは、胃潰瘍を悪化させる可能性があります。特に注意が必要な薬については次の章で詳述します。

胃潰瘍が疑われるときに避けたい市販薬

NSAIDs(ロキソプロフェン、イブプロフェンなど)

ロキソプロフェン・イブプロフェン・アスピリンなどのNSAIDsは、胃粘膜を保護するプロスタグランジンの産生を抑制することで、胃粘膜へのダメージを増大させる可能性があります。胃潰瘍が疑われる場合、または既に胃潰瘍の診断を受けている場合には、これらの使用は原則として避けることが勧められています。痛み止めの使い分けについては痛み止めとは?特徴と使い方を内科医が解説【たまプラーザ】もご参照ください。

胃を荒らしやすい可能性がある成分

高用量のアスピリン、ステロイド成分を含む薬(一部の漢方系製剤も含む)などは、胃粘膜への影響が懸念されることがあります。

併用に注意が必要な薬

抗凝固薬・抗血小板薬を服用中の方が市販の胃薬を併用する場合は、薬の効果に影響が出ることがあります。必ず医師・薬剤師に相談してください。

市販薬を選ぶ前に確認したい症状

みぞおちの痛みが強い

強い痛みは潰瘍の深部への進行や合併症のサインである可能性があります。市販薬で様子を見るのではなく、まずは医療機関への受診をご検討ください。

黒い便・吐血がある

タール便(黒くてネバネバした便)や吐血は、消化管出血を示す可能性がある危険なサインです。速やかに医療機関を受診してください。

体重減少、食欲低下、貧血がある

これらの症状が胃の不快感と並存する場合、胃がんなど重篤な疾患の除外が必要です。

長引く胃痛や繰り返す症状がある

2週間以上症状が続く、または一度改善しても繰り返す場合は、内科・消化器内科への受診をお勧めします。

受診が必要なケースと受診の目安

早めに内科・消化器内科を受診したい症状

  • みぞおちの痛みが数日以上続く
  • 食欲低下・体重減少が続く
  • 市販薬を使っても改善しない、または繰り返す

救急受診を考えるべき危険なサイン

  • 吐血・大量の黒色便
  • 突然の激しい腹痛(穿孔が疑われる場合)
  • 意識の混濁・顔面蒼白・冷や汗を伴う場合

胃カメラ検査が必要になることがある理由

胃潰瘍の確定診断には胃カメラ(内視鏡検査)が必要です。視覚的に潰瘍の部位・大きさ・状態を確認できるほか、悪性腫瘍との鑑別や、ピロリ菌感染の確認にも使われます。

胃潰瘍の治療で医療機関で使われる主な薬

胃酸を抑える薬

プロトンポンプ阻害薬(PPI:オメプラゾール、ランソプラゾールなど)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB:ボノプラザンなど)が処方されます。胃酸の分泌を強力に抑え、潰瘍の治癒を促します。

胃粘膜を保護する薬

レバミピド・テプレノン・スクラルファートなどが処方され、粘膜の防御機能を高めます。

ピロリ菌が関与する場合の治療

ピロリ菌が検出された場合は、PPIまたはP-CABと2種類の抗菌薬を組み合わせた除菌療法が行われます。除菌に成功することで潰瘍の再発率が大幅に低下することが知られています(日本消化器学会ガイドライン参照)。

痛み止めが原因の場合の対応

NSAIDsが原因の潰瘍では、可能な限りNSAIDsを中止または変更し、PPIを中心とした治療が行われます。

胃潰瘍が疑われるときの生活上の注意

飲酒・喫煙を控える

アルコールと喫煙はいずれも胃粘膜への刺激となり、潰瘍の悪化や治癒遅延に関与するとされています。

刺激の強い食事を避ける

香辛料の多い食事・炭酸飲料・濃いコーヒー・空腹時の過食などは症状を悪化させることがあります。規則正しい食事を心がけることが大切です。

自己判断で薬を中断しない

症状が和らいでも、医師に指示された期間は服薬を継続してください。途中で中断すると潰瘍が完全に治癒せず、再発リスクが高まることがあります。

ストレスとの付き合い方

過度なストレスは胃酸分泌を増やし、胃粘膜の防御機能を低下させることが知られています。休息・睡眠・リラクゼーションなど、日常的なストレス管理を心がけてください。

たまプラーザで胃痛・胃潰瘍が気になる方へ

内科・消化器内科で相談するメリット

症状の原因を正確に診断したうえで、適切な治療薬や生活指導を受けることができます。市販薬では対応できないピロリ菌の検査・除菌治療や、内視鏡検査も対応しています。

受診時に伝えるとよいこと

  • 症状が始まった時期・痛みの場所・タイミング(食前・食後など)
  • 現在服用中の薬(市販薬・サプリメントを含む)
  • 喫煙・飲酒習慣の有無
  • 過去に胃潰瘍・ピロリ菌感染と診断されたことがあるか

ご予約・お問い合わせからお気軽にご相談ください。

まとめ:胃潰瘍の市販薬は「応急的」に考え、早めの受診を

市販薬で様子を見る前に確認したいポイント

  • 症状は2週間以上続いていないか
  • 黒い便や吐血など危険なサインはないか
  • NSAIDsなど胃を傷める薬を使っていないか
  • ピロリ菌の検査を受けたことがあるか

市販薬は短期的な症状緩和に役立つ場合もありますが、胃潰瘍の根本治療にはなりません。気になる症状が続く場合は、早めに内科・消化器内科を受診することをお勧めします。

よくある質問(FAQ)

胃潰瘍に市販薬は効きますか?

市販のH2ブロッカーや制酸薬は、胃酸による症状を一時的に和らげる効果が期待できます。ただし、潰瘍の治癒を促したり、ピロリ菌を除菌したりする治療薬とは異なります。症状の改善を感じても、根本的な治療のために医療機関の受診をお勧めします。

胃が痛いとき、胃薬を飲んでも大丈夫ですか?

軽度の胃の不快感に対して、一時的に市販の胃薬を使用することは一般的に行われています。ただし、強い痛み・黒い便・吐血・発熱を伴う場合や、2週間以上症状が続く場合は市販薬での対処を続けず、医療機関を受診してください。

ロキソニンを飲んでもよいですか?

ロキソプロフェン(ロキソニン)などのNSAIDsは、胃粘膜を傷めるリスクがあるため、胃潰瘍が疑われる場合や胃潰瘍の診断を受けている場合には使用を避けることが勧められます。痛みが強い場合はアセトアミノフェン系の鎮痛薬を検討し、医師に相談してください。

胃潰瘍は市販薬で治せますか?

市販薬だけで胃潰瘍を完全に治すことは難しいと考えられています。胃潰瘍の治癒には十分な胃酸抑制(PPIやP-CABなど処方薬)と、必要に応じてピロリ菌の除菌治療が必要です。市販薬はあくまでも一時的な症状緩和にとどまります。

何日くらい続いたら受診すべきですか?

目安として、市販薬を使用しても2〜3日以上症状が改善しない場合、または2週間以上断続的に症状が続く場合は受診をお勧めします。黒い便・吐血・激しい腹痛・体重減少がある場合は、期間にかかわらず速やかに受診してください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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