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痛み止めの種類と選び方|症状別の使い分けと副作用・注意点を医師が解説

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消化器外科専門医監修

痛み止めの種類と選び方|症状別の使い分けと副作用・注意点を医師が解説

頭痛、歯の痛み、生理痛、腰痛——日常生活のなかで「痛み止めを飲もうか」と考える場面は少なくありません。ドラッグストアには多くの市販薬が並び、処方薬も含めると種類は多岐にわたります。しかし、痛み止めはすべての痛みに同じように効くわけではなく、症状の性質や原因によって向き不向きがあります。また、副作用や飲み合わせの問題も無視できません。

本記事では、消化器外科専門医の立場から、痛み止めの基本的な考え方・種類・選び方・注意点を、公的情報(厚生労働省、各種学会ガイドライン等)を踏まえながらわかりやすく整理します。なお、本記事はあくまで一般的な医学情報の提供を目的としており、個々の症状に対する診断・治療は、必ず医師の診察のもとで行われる必要があります。

痛み止めを使う前に知っておきたいこと

痛みの種類によって薬の向き不向きがある

痛みは、からだが「何か異常がある」と知らせるサインです。痛み止めは、その「シグナル」を一時的に和らげる手段にすぎず、痛みの原因そのものを取り除くものではありません。自己判断で服用を続けることで、背景にある病気の発見が遅れる場合もあります。

痛みはその性質によって大きく分類されます。

  • 侵害受容性疼痛:炎症や組織の損傷による痛み(打ち身、関節炎、術後痛など)
  • 神経障害性疼痛:神経の損傷や圧迫による痛み(帯状疱疹後神経痛、坐骨神経痛など)
  • 心因性疼痛:心理的ストレスや精神的な要因が関与する痛み

一般的な市販の痛み止めは侵害受容性疼痛への対応が主体であり、神経障害性疼痛には別の治療薬が用いられることが多いです。「市販薬を飲んでも効かない」という場合、痛みの種類が異なる可能性があります。

まず確認したい市販薬か処方薬か

比較的軽度の頭痛、生理痛、歯痛などは、市販薬で一時的に対処できる場合があります。一方、以下のような場合は医療機関での診察・処方薬が必要です。

  • 痛みが強く、市販薬では効果が不十分
  • 痛みが数日以上続く、または繰り返す
  • 発熱、しびれ、麻痺などほかの症状を伴う
  • 持病や服用中の薬がある

痛み止めの主な種類

アセトアミノフェン

アセトアミノフェンは、解熱・鎮痛の両方に使われる薬です。胃腸への刺激が比較的少なく、小児から高齢者まで幅広い場面で使われています。市販薬にも多く含まれており、感冒薬との重複に注意が必要です。ただし、過量服用は肝機能障害を引き起こすリスクがあり、定められた用量・用法を厳守することが重要です。飲酒習慣のある方、肝疾患のある方は使用前に医師・薬剤師に相談してください。

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)は、炎症を抑えることで痛みや発熱を和らげる薬です。イブプロフェン、ロキソプロフェン、ジクロフェナクなどが代表例で、市販薬・処方薬のどちらにも存在します。炎症を伴う痛み(関節炎、筋肉痛など)に対して使われることがあります。胃腸障害や腎機能低下のリスクがあるため、空腹時の服用に注意が必要な製品もあります。

オピオイド系鎮痛薬

モルヒネやオキシコドンに代表されるオピオイド系薬は、主にがん性疼痛や術後の強い痛みに対して医療機関で使用されます。市販薬としては販売されておらず、医師の処方のもとで使用されるものです。便秘、眠気、悪心・嘔吐などの副作用があり、依存リスクも考慮した管理が必要です。自己判断での使用はできません。

外用薬(貼付剤・塗り薬)

湿布(貼付剤)やゲル・クリーム剤は、患部に直接作用する鎮痛薬です。内服薬に比べて全身への影響が少ない特徴がありますが、皮膚かぶれや光線過敏症(貼付後に日光に当たることでの皮膚トラブル)に注意が必要です。腰痛・肩こり・関節痛などに使われることが多く、NSAIDs成分を含む製品では内服薬との重複使用に注意が必要です。

痛みのタイプ別にみる痛み止めの選び方

頭痛

緊張型頭痛にはアセトアミノフェンやNSAIDsが使われることがあります。片頭痛では、市販薬よりも専用の処方薬(トリプタン系薬など)が有効な場合があります。また、鎮痛薬を週に2〜3回以上、10〜15日/月を超えて使い続けると「薬物乱用頭痛」を引き起こすリスクがあり、頭痛が慢性化する可能性があります(日本頭痛学会ガイドライン参照)。

歯の痛み

アセトアミノフェンやNSAIDsで一時的な緩和が期待されますが、歯の痛みは虫歯や歯周病など歯科的処置が必要な状態であることが多く、痛み止めはあくまで受診前の一時的な対処です。痛みが続く場合は歯科受診が必要です。

生理痛

月経痛にはNSAIDsが使われることが一般的です。月経前から飲み始めることで効果的な場合もあります。ただし、痛みが非常に強い、日常生活に支障がある、年々痛みが増している場合は、子宮内膜症などの疾患が背景にある可能性もあるため、婦人科への相談をお勧めします。

腰痛・関節痛

急性の炎症性疼痛にはNSAIDsや外用薬が使われることがあります。慢性腰痛では薬物療法だけでなく、運動療法やリハビリなども組み合わせた総合的なアプローチが重要です(「慢性疼痛診療ガイドライン」参照)。痛みの性質が変わった、下肢のしびれを伴う場合は受診が必要です。

発熱を伴う痛み

発熱を伴う場合、感染症など背景疾患の可能性があります。アセトアミノフェンが解熱・鎮痛に使われますが、高熱が続く場合、他の症状を伴う場合は自己判断で様子をみることは避け、医療機関を受診してください。

痛み止めの副作用と注意点

痛み止め 副作用の記事でより詳しく解説しています。ここでは主要なポイントを整理します。

胃腸障害

NSAIDsは胃の粘膜を保護するプロスタグランジンの産生を抑えるため、胃痛、胃もたれ、胃潰瘍のリスクがあります。食後に服用する、胃薬を併用するなどの対策が取られることがあります。胃腸疾患がある方は使用前に医師に相談してください。

腎機能・肝機能への注意

NSAIDsは腎血流にも影響するため、慢性腎臓病のある方や脱水状態では注意が必要です。アセトアミノフェンは過量で肝障害を引き起こすリスクがあります。持病のある方は必ず医師・薬剤師に確認してください。

眠気・便秘・吐き気など

オピオイド系薬は眠気、便秘、悪心・嘔吐を起こしやすいです。便秘への対処については下剤酸化マグネシウムに関する記事も参考にしてください。

アレルギー・喘息との関連

NSAIDsによって喘息発作が誘発される「アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)」が知られています。発疹、じんましん、息苦しさなど異常を感じた場合は、服用を中止し速やかに受診してください。

飲み合わせと重複服用で注意したいこと

かぜ薬・胃薬・総合感冒薬との重複

市販の総合感冒薬にはアセトアミノフェンやNSAIDsが含まれている場合があります。別途痛み止めを追加すると成分が重なり、過剰摂取につながるリスクがあります。必ず成分表示を確認し、不明な場合は薬剤師に相談してください。

処方薬との相互作用

ワルファリンなどの抗凝固薬、一部の降圧薬、ステロイドなどと鎮痛薬を併用する場合は相互作用のリスクがあります。処方薬を服用中の方は、市販薬の購入前に医師・薬剤師に必ず確認してください。

痛み止めが効きにくい・使い続けるときの考え方

何日も改善しない痛み

市販薬の添付文書には多くの場合「5〜7日を超えて服用しない」旨が記載されています。一定期間使用しても改善が乏しい場合は、痛みの原因を精査するために医療機関の受診が必要です。

くり返し飲み続けている

慢性的な痛みに対して鎮痛薬を頻繁に使い続けることは、根本的な治療の機会を逃す可能性があり、また薬物乱用頭痛のように症状を悪化させるリスクもあります。慢性痛の背景疾患の有無を確認するためにも、専門家への相談をお勧めします。

痛み止めが効かないときの代替的な対応

冷やす・温めるの使い分け

急性の炎症や打ち身の直後(48時間以内が目安)は冷却が基本です。慢性的な筋肉のこわばりや血行不良による痛みには温めることが適する場合があります。ただし、炎症の有無によって異なるため、判断に迷う場合は医師に相談してください。

受診して原因を確認する

痛み止めで痛みをコントロールしている間に、重大な疾患が見過ごされる可能性があります。原因不明の痛みや繰り返す痛みは、自己判断で様子をみるよりも専門家に相談することが重要です。

すぐに受診を検討したい症状

激しい痛み、急に悪化する痛み

突然の激しい頭痛(「今まで経験したことのない頭痛」)、急激に悪化する腹痛、背部痛などは緊急の疾患のサインである場合があります。

発熱、しびれ、麻痺、息苦しさを伴う

痛みに加えて、高熱、手足のしびれや麻痺、呼吸困難などを伴う場合は早急な受診が必要です。

胸痛、腹痛、頭痛の危険なサイン

  • 胸痛:心筋梗塞、狭心症、大動脈解離などが疑われる場合は救急対応
  • 腹痛:急性腹症(腸閉塞、穿孔、虫垂炎など)が疑われる場合は速やかに受診
  • 頭痛:くも膜下出血などが疑われる突然の激しい頭痛は救急受診

よくある質問

痛み止めは空腹時に飲んでもいい?

薬の種類によって異なります。NSAIDsは胃腸への刺激があるため食後服用が推奨される製品が多いですが、アセトアミノフェンは空腹時でも服用可能な製品もあります。添付文書を必ず確認し、不明な点は医師・薬剤師に相談してください。

痛み止めを飲んでも運転してよい?

眠気を催す成分(一部の鎮痛補助薬など)を含む薬は運転等の機械操作に注意が必要です。市販薬・処方薬ともに添付文書の注意事項を確認してください。

市販薬は何回まで飲んでよい?

製品の添付文書に記載された用法・用量を厳守してください。一般的に数日を超えても改善がない場合は、使用を中止して受診することが勧められます。

妊娠中・授乳中でも使える?

妊娠中・授乳中の薬の使用は、胎児や乳児への影響を慎重に考慮する必要があります。自己判断は避け、必ず産婦人科医や薬剤師に相談してください。

子どもにも使える?

子どもへの痛み止めは年齢・体重によって用量が異なり、成人用製品をそのまま使用することは避けてください。子ども向けの製品を選び、使用前に小児科医や薬剤師に相談することをお勧めします。

受診の目安

状況 目安
軽度の頭痛・生理痛・歯痛 市販薬で一時的に対処し、数日以内に改善するか確認
3〜5日以上改善しない 医療機関への受診を検討
強い痛み・日常生活に支障 早めに受診
突然の激しい痛み・他症状を伴う 速やかに受診(場合によっては救急対応)

まとめ

痛み止めは、症状の性質・原因・体質に応じた適切な選択が大切です。市販薬で対応できる場面もありますが、原因不明の痛み、長引く痛み、他の症状を伴う痛みは、自己判断のみで対処することは避けていただく必要があります。薬の副作用や飲み合わせにも注意が必要であり、持病がある方や他の薬を服用中の方は、服用前に必ず医師・薬剤師にご相談ください。

痛みの適切な管理には、原因の精査と適切な治療が不可欠です。気になる症状がある場合はお気軽に医療機関にご相談ください。

本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 理事長
専門:消化器外科

福島県立医科大学大学院 外科学修了。NTT東日本関東病院や国立病院機構横浜医療センター等で外科医長・救命救急センター副部長を歴任。厚生労働省の地域連携クリティカルパスモデル開発の班研究員、神奈川県がん診療連携協議会相談役などを務める。

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