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ウイルス性胃腸炎うつるとは?原因・症状・対処を内科医が解説

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ウイルス性胃腸炎うつるとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】

ウイルス性胃腸炎は、ノロウイルスやロタウイルスなどが原因で起こる感染性の胃腸炎であり、人から人へ、あるいは汚染された食品・環境を介して広がる感染症です。感染力が強く、家庭内や保育園・学校・職場など集団生活の場で二次感染が起きやすいという特徴があります。この記事では、感染経路・症状・家庭でできる対策・受診の目安まで、消化器内科の観点からわかりやすく解説します。

急性胃腸炎全般については、急性胃腸炎とは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご覧ください。

ウイルス性胃腸炎はうつる?まず知っておきたい結論

ウイルス性胃腸炎はうつります。特にノロウイルスは少量(10〜100個程度)のウイルスで感染が成立するとされており、非常に感染力が強いウイルスの一つです(厚生労働省)。

人から人へうつる主な感染経路

  • 接触感染:感染者の嘔吐物・便に含まれるウイルスが手に付き、口から体内に入る経路
  • 飛沫感染:嘔吐の際に飛散したウイルスを吸い込む経路
  • 糞口感染:トイレ後の手洗い不足などにより、ウイルスが口に入る経路

食べ物や手指、環境を介して広がることがある

ノロウイルスに汚染された二枚貝(カキなど)の生食、ウイルスが付着した手指で調理した食品の摂取なども感染の原因になります。また、乾燥した嘔吐物がほこりとなって舞い上がり、空気中を漂う「空気感染様の経路」が起こり得るとも指摘されており、処理後の換気と消毒が重要です。

ウイルス性胃腸炎の主な原因

ノロウイルス

秋〜冬(11月〜3月ごろ)に多く流行します。感染力が特に強く、微量のウイルスで発症し得ます。アルコール消毒が効きにくく、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)による消毒が有効です。

ロタウイルス

乳幼児(特に生後6か月〜2歳ごろ)に多く、冬〜春に流行します。「白色便性下痢症」とも呼ばれ、白っぽい下痢が特徴です。国内ではロタウイルスワクチンの定期接種が行われています(2020年10月〜)。

その他のウイルスによる胃腸炎

アデノウイルス、アストロウイルス、サポウイルスなども胃腸炎の原因となります。これらも感染者との接触や汚染された食品・水を介してうつることがあります。

どんな症状が出る?

吐き気・嘔吐

突然の吐き気と激しい嘔吐から始まることが多く、特にノロウイルスでは嘔吐が目立ちます。

下痢・腹痛

水様性の下痢を繰り返すことが多く、腹痛を伴う場合があります。血便はまれですが、見られる場合は他の原因も考慮する必要があります。

発熱・だるさ

微熱(37〜38℃前後)を伴うことがありますが、高熱が続く場合は別の疾患も念頭に置く必要があります。全身のだるさや食欲不振も一般的な症状です。

子どもや高齢者で注意したい症状

乳幼児や高齢者は嘔吐・下痢による脱水が急速に進みやすいため注意が必要です。口の中が乾いている、泣いても涙が出ない、尿量が極端に減るなどのサインに気を付けてください。

どのくらいの期間うつりやすい?

発症前後の感染しやすい時期

ウイルスは症状が出ている間が最も排出量が多く、感染させやすい時期です。発症直前(潜伏期間の後半)にもウイルスを排出している場合があります。

症状が治まった後も注意が必要な期間

症状が消えた後も、便中にウイルスが排出され続けることがあります。ノロウイルスでは回復後2〜3週間程度ウイルスが検出されることも報告されており、しばらくの間は手洗いを徹底することが大切です。

どんな場面でうつりやすい?

家族内での感染

嘔吐物や排泄物の処理、トイレ・洗面台の共用などを通じて家族内に広がりやすいです。

同じ部屋・寝室で過ごす場合

嘔吐の際に飛散したウイルスが寝具や周囲の環境に付着するため、同じ部屋で過ごすことによる感染リスクがあります。感染者の寝具を分け、部屋の換気を行うことが望まれます。

学校・保育園・職場での接触

集団生活の場では、トイレの共用・食事の共有・手すりなどの接触を通じて感染が広がりやすいです。

家庭内での感染対策

手洗いのポイント

石けんと流水で30秒以上丁寧に手洗いすることが基本です。トイレ後・食事前・嘔吐物処理後は特に念入りに行います。アルコール手指消毒はノロウイルスに対しては効果が限定的であり、手洗いが優先されます。

吐物・便の処理方法

使い捨て手袋・マスク・エプロンを着用し、ペーパータオルなどで外側から内側に向けてふき取ります。その後、次亜塩素酸ナトリウム(濃度0.1%)で消毒し、使用した道具はビニール袋に密閉して廃棄します。

タオル・食器・寝具の扱い方

感染者とタオルや食器を共用しないようにします。寝具は洗濯後に乾燥させ、可能であれば熱乾燥や日光消毒を行います。

共有スペースの消毒と換気

トイレ・洗面台・ドアノブ・スイッチなど頻繁に触れる場所を塩素系漂白剤(希釈液)で消毒します。窓を開けるなど換気を定期的に行い、ウイルスを室内にこもらせないよう心がけます。

受診の目安

早めに内科を受診したほうがよい症状

  • 嘔吐や下痢が激しく、水分が取れない
  • 発熱が38℃以上で続いている
  • 腹痛が強い、または持続している

子ども・高齢者・持病のある人で特に注意する症状

乳幼児・高齢者・免疫の低下した方・慢性疾患のある方は症状が重くなりやすいため、早めに医療機関に相談することをお勧めします。

救急受診を検討するサイン

  • 意識がもうろうとしている、呼びかけに反応が乏しい
  • 尿が半日以上出ない
  • 嘔吐・下痢が止まらず、ぐったりしている

上記の症状がある場合は、速やかに救急受診または救急車を呼ぶことをご検討ください。

仕事や学校はいつ休む?

登校・出勤を再開する目安

学校保健安全法では、ノロウイルス等による感染性胃腸炎について「嘔吐・下痢などの症状がなくなった後、医師が登校・登園を許可するまで」出席停止とすることが定められています。症状消失後も少なくとも1〜2日程度は様子を見ることが一般的です。職場への復帰も、所属先の規定と医師の指示に従って判断してください。

食品を扱う仕事で注意したい点

食品衛生法・食品安全の観点から、食品製造・飲食業などに従事する方は症状が消えた後も一定期間就業しないよう求められる場合があります。職場の衛生管理規定を確認してください。

治療と自宅での対処

基本は水分補給と休養

ウイルス性胃腸炎に対する特効薬はなく、水分補給と休養が基本です。嘔吐・下痢で失われた水分と電解質を補うため、経口補水液(ORS)をこまめに少量ずつ摂取することが勧められます。

食事はどうする?

嘔吐が落ち着いたら、おかゆ・うどん・野菜スープなど消化の良いものから少量ずつ始めます。脂質の多い食事・乳製品・アルコールは胃腸への負担になるため、回復するまで控えることが望ましいです。

市販薬を使う前に気をつけたいこと

下痢止め薬の一部はウイルスや毒素の排出を遅らせる可能性があるため、自己判断での使用は推奨されていません。症状がつらい場合は、医師に相談のうえ適切な薬を処方してもらうことが安全です。なお、アニサキスなどの寄生虫感染による腹痛が疑われる場合は対処法が異なりますので、アニサキスの症状|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】もご参照ください。

予防するには

日常生活でできる予防策

  • 外出後・食事前・トイレ後の手洗い徹底
  • タオル・コップなど個人用品の共用を避ける
  • 感染者の嘔吐物・排泄物に素手で触れない

食中毒対策としての加熱・保存の注意点

ノロウイルスは中心温度85〜90℃で90秒以上加熱することで感染性が失われるとされています(厚生労働省)。二枚貝は十分に加熱調理し、生食は避けることが予防につながります。

内科でできること

診察で確認するポイント

受診の際は、症状の始まり・嘔吐・下痢の回数・発熱の有無・食事内容・周囲の感染状況などを医師に伝えると、診察がスムーズです。脱水の程度の評価も行います。

必要に応じて行う検査

通常は問診と診察で診断できることが多いですが、必要に応じてノロウイルス・ロタウイルスの抗原検査(迅速検査)を行う場合があります。細菌性腸炎や他の疾患との鑑別が必要な際は、便培養や血液検査を実施することもあります。

ストレスや過敏性腸症候群との鑑別が必要な場合は、ストレス性胃腸炎とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】もご覧ください。

よくある質問(FAQ)

ウイルス性胃腸炎は接触しただけでうつりますか?

ウイルスが付着した手でその後口を触った場合(接触→口への経路)に感染することがあります。ウイルスが付着した物の表面に触れただけで直ちに感染するわけではありませんが、手洗いをせずに目・鼻・口を触ることでウイルスが体内に入るリスクがあります。

症状がないのにうつすことはありますか?

感染後、症状が出る前の潜伏期間(ノロウイルスでは通常1〜2日)にも少量のウイルスを排出している可能性があります。また、感染しても症状がほとんど出ない「不顕性感染」の状態でもウイルスを排出し、他者に感染させることがあるとされています。

同じ鍋や食器を使うとうつりますか?

感染者が使用した食器や調理器具に付着したウイルスが口に入ることで感染する可能性はあります。食器は洗剤でよく洗い、可能であれば熱湯消毒(80℃以上・1分以上)することが望ましいです。

何日くらいでよくなりますか?

多くの場合、1〜3日程度で症状が軽快します。ただし、脱水が進んでいる場合や免疫力が低下している場合は回復に時間がかかることがあります。症状が4〜5日以上続く場合や悪化する場合は医療機関への受診をご検討ください。

家族が発症したとき、何を優先して対策すべきですか?

まず、①感染者の嘔吐物・便を速やかかつ適切に処理すること、②感染者の手洗い・トイレ後の消毒を徹底すること、③家族全員がこまめに手洗いを行うこと、の3点が優先されます。感染者はできるだけ別の部屋で安静にし、タオル・食器は共用しないようにしてください。

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本記事の監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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