お腹に優しい下痢におすすめの食べ物|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】
下痢のときは「何を食べればよいか」「何を避けるべきか」と迷う方が多くいらっしゃいます。基本的な考え方は、消化しやすく・刺激が少なく・水分補給しやすい食事を選ぶことです。本記事では消化器専門医の監修のもと、下痢のときに選びたい食べ物・飲み物と避けたいもの、食事の再開方法、受診の目安までわかりやすく解説します。下痢全般の原因・症状については、親ピラー記事「下痢とは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】」もあわせてご参照ください。
下痢のときに「お腹に優しい食べ物」が大切な理由
下痢で弱っている消化管に配慮する考え方
下痢の際、腸の粘膜は炎症や過剰な蠕動(ぜんどう)運動によって負担がかかった状態にあります。この状態で脂肪分が多い食品や強い刺激物を摂取すると、消化管への負荷がさらに高まり、症状が悪化することがあります。消化管を休ませながら必要な栄養・水分を補う食事の選択が、回復への近道と考えられています。
食事で意識したい基本は「消化しやすい・刺激が少ない・水分補給しやすい」
①消化しやすい(低脂肪・やわらかい)、②刺激が少ない(香辛料・アルコールを避ける)、③水分を補給しやすい——この3点が、下痢時の食事選びの基本です。脱水は下痢で最も注意すべきリスクのひとつであるため、固形食だけでなく水分の確保も意識してください。
下痢のときに食べやすいおすすめの食べ物
おかゆ・やわらかいご飯
白米を水分多めに炊いたおかゆは、消化に優れた主食の代表格です。消化管への負担が少なく、胃腸が弱っているときでも比較的摂りやすい食品です。梅干しや白ごまなど、強い刺激のないトッピングとあわせるとよいでしょう。
うどん・そうめんなどのやわらかい麺類
消化のしやすい白い麺類(うどん・そうめん・にゅうめんなど)も適しています。薄めの塩味のだし汁でやわらかく煮込むと、水分補給をかねて食べやすくなります。そば粉・全粒粉の麺は食物繊維が多いため、急性期は避けるほうが無難です。
バナナ・りんごのすりおろしなどの果物
バナナは消化されやすく、カリウムなど下痢で失われやすいミネラルを含む果物です。りんごのすりおろし(アップルソース)はペクチンを含み、腸の状態を整える働きが期待されています。ただし、個人差があるため少量から試してください。
豆腐・卵・白身魚などのたんぱく質
低脂肪で消化しやすいたんぱく質源として、絹ごし豆腐・半熟卵・白身魚(タラ・カレイなど)が挙げられます。茹でる・蒸す・煮るなど、油を使わない調理法を選びましょう。
野菜をやわらかく煮たスープやポタージュ
根菜類(にんじん・かぼちゃ・じゃがいもなど)をやわらかく煮たスープは、水分・ビタミン・ミネラルを補いやすい食事です。脂肪分が少ないコンソメベースや薄い塩味のスープが適しています。ポタージュにする場合は、生クリームを多く使うものは控えめにしてください。
下痢のときに飲みやすいもの
水分補給の基本
下痢では水分・電解質が失われやすいため、意識的な水分補給が必要です。常温〜ぬるめの水・麦茶・薄い番茶などが飲みやすいとされています。冷たい飲み物は腸を刺激することがあるため、体調にあわせて温度を調整してください。
経口補水液が向いている場面
脱水が疑われるとき(口の渇き・尿量の減少・めまいなど)には、水と電解質(ナトリウム・カリウムなど)をバランスよく含む経口補水液(ORS)が有用です。市販のスポーツドリンクは糖分が多いため、大量・長期の使用には注意が必要です。経口補水液の選択に迷う場合は医師や薬剤師にご相談ください。
こまめに少量ずつ摂る工夫
一度に大量の水分を摂ると腸が刺激されることがあります。1回につきコップ半杯程度を目安に、15〜20分おきにこまめに摂るようにすると負担を軽減しやすくなります。
逆に避けたい食べ物・飲み物
脂っこいもの・揚げ物
脂肪分は消化に時間がかかり、腸の運動を亢進させることがあります。揚げ物・バター・油脂の多い料理は、症状が落ち着くまで控えましょう。
香辛料の強い料理
唐辛子・わさび・カレーなどの辛みが強い食品は腸粘膜を直接刺激し、下痢を悪化させることがあります。回復後も段階的に戻すのが安全です。
食物繊維が多すぎる食品
食物繊維は健康に重要な栄養素ですが、急性期の下痢には腸への刺激が増す不溶性食物繊維(ごぼう・きのこ・玄米・海藻など)は控えめにしてください。やわらかく煮た根菜類に含まれる水溶性食物繊維であれば比較的摂りやすい場合があります。
乳製品でお腹が張る場合の注意
乳糖(ラクトース)を消化する酵素が不足している方(乳糖不耐症)は、牛乳摂取後に下痢や腹部膨満感が生じることがあります。下痢のときは乳製品の摂取に注意し、お腹の張りを感じる場合は一時的に控えるとよいでしょう。なお、すべての乳製品を一律に禁止する必要はなく、個人差があります。
アルコール・カフェイン・炭酸飲料
アルコールは腸粘膜への刺激、カフェイン(コーヒー・エナジードリンク等)は腸の運動亢進、炭酸飲料はガス産生の増加につながることがあります。いずれも症状が落ち着くまで避けることをお勧めします。
症状別に選びたい食べ方のポイント
食欲があるとき
おかゆや柔らかいうどんなど、消化しやすいものを少量から始めましょう。無理に食べる必要はありませんが、適度なエネルギー補給は回復の助けになります。
吐き気もあるとき
まず水分(常温の水・経口補水液)を少量ずつ補給することを優先してください。吐き気が落ち着いてから、おかゆなど固形食を試すとよいでしょう。
水っぽい下痢が続くとき
水様便が頻繁に続く場合は脱水リスクが高まります。経口補水液を活用しながら、水下痢の対処法についての詳しい解説も参考にしてください。固形食は一時中断して水分補給を最優先にすることを検討してください。
発熱や腹痛を伴うとき
発熱・強い腹痛がある場合は、食事よりも水分補給を優先し、早めに医療機関を受診することをご検討ください。自己判断で市販の下痢止めを使用すると、感染性の下痢では病原体の排出が妨げられる場合があります。下痢止めの使い方と注意点も参考にしてください。
年齢や体調によって気をつけたいこと
子どもの下痢で注意する点
乳幼児・小児は成人に比べ脱水に陥りやすく、症状の悪化も早い場合があります。水分補給とあわせて、症状の経過を注意深く観察し、悪化する場合は早めに小児科・内科を受診してください。
高齢者で脱水を起こしやすい場合
高齢者は口渇感が低下しやすく、自覚のないまま脱水が進行することがあります。周囲の方が水分補給を促すなどのサポートが大切です。意識がぼんやりする・尿が出ないなどの症状があれば速やかに受診してください。
持病がある方・妊娠中の方の注意点
糖尿病・腎疾患・心疾患などの持病がある方や妊娠中の方は、水分補給の量・内容・薬の使用について自己判断を避け、主治医にご相談ください。
食事を再開するときの進め方
まずは少量から始める
下痢の急性期が落ち着いたら、おかゆや柔らかいうどんを少量から試します。一度に多量に食べず、体の反応をみながら量を増やしてください。
体調の回復に合わせて普通食へ戻す
症状が改善するにつれ、少しずつ普通食に移行します。一般的には2〜3日かけて段階的に戻すことが多いですが、個人の回復具合によって異なります。
再開後に症状がぶり返すときの考え方
食事を再開した後に下痢・腹痛が再発する場合は、特定の食品が原因となっている可能性や、基礎疾患が関係している可能性があります。自己判断で様子をみるより、早めに医師へ相談することをお勧めします。
下痢のときに受診を考える目安
受診したほうがよい症状
- 下痢が2〜3日以上続く
- 便に血が混じる(血便・粘血便)
- 発熱(38℃以上)が続く
- 強い腹痛がある
早めの受診が望ましいケース
- 乳幼児・高齢者・免疫が低下している方での下痢
- 水分が摂れず尿量が著しく減少している
- 複数の家族・集団での同時発症(食中毒が疑われる場合)
救急受診を検討すべきサイン
- 意識が朦朧とする・ぐったりしている
- 血圧の低下・立ちくらみが著しい
- 大量の血便
上記に当てはまる症状がある場合は、無理に様子をみず、速やかに医療機関を受診してください。
医師が見る「下痢が長引く」ときの原因
感染性胃腸炎が疑われる場合
細菌(カンピロバクター・サルモネラ・腸管出血性大腸菌など)やウイルス(ノロウイルスなど)による感染性胃腸炎は、下痢・腹痛・発熱・嘔吐を引き起こします。感染が疑われる場合は早期の受診と適切な対処が重要です。
薬の副作用や食事の影響
抗生物質など一部の薬は腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を乱し、下痢を引き起こすことがあります。服薬中に下痢が生じた場合は、自己判断で服薬を中止せず、処方した医師または薬剤師にご相談ください。
過敏性腸症候群などが隠れている場合
繰り返す下痢・腹痛がある場合、過敏性腸症候群(IBS)や炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病)など消化器疾患が背景にある可能性があります。長引く・繰り返す下痢は自己判断せず、消化器専門医を受診して原因を確認することが大切です。
よくある質問(FAQ)
下痢のときに食べてはいけないものはありますか?
揚げ物・脂っこい食品・香辛料の強い料理・アルコール・カフェインを含む飲料・炭酸飲料は、腸への刺激が強く症状を悪化させることがあるため、下痢の急性期は避けることをお勧めします。
おかゆだけを食べ続けても大丈夫ですか?
急性期の短期間であれば、おかゆ中心の食事は消化管の負担を軽減するうえで合理的な選択です。ただし、数日以上続く場合は栄養バランスへの配慮が必要です。体調の回復とともに、豆腐・白身魚・卵などのたんぱく質源を少しずつ加えることをお勧めします。
下痢のときにヨーグルトは食べてもよいですか?
乳糖不耐症がない方であれば、乳酸菌を含むプレーンヨーグルトを少量試すことは可能です。ただし、急性期の下痢では乳製品でお腹の張りや不快感が出る場合もあるため、体の反応をみながら判断してください。症状が強い急性期はまず控え、回復期から少量試すのが無難です。
下痢があるとき、何も食べないほうがよいですか?
「腸を完全に休ませる」ために絶食する考え方は現在は推奨されていません。水分補給を優先しながら、消化しやすい食品を少量から摂ることが回復を支えると考えられています。ただし、吐き気が強い場合は固形食を一時控え、水分補給から始めてください。
何日くらい下痢が続いたら受診すべきですか?
一般的に、下痢が2〜3日以上続く場合、血便・高熱・強い腹痛を伴う場合、脱水症状が疑われる場合は早めに医療機関を受診することをお勧めします。乳幼児・高齢者・免疫機能が低下している方は、より早期の受診をご検討ください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお) 医師(医学博士)
AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター 外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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