下痢の時におすすめの食べ物|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】
下痢のときは「消化にやさしく、水分と塩分を補いやすい食べ物」を選ぶことが回復への近道です。おかゆ・やわらかく煮たうどん・すりおろしりんごなどが代表例で、脂っこいものや香辛料の強い食品は症状を悪化させる可能性があるため控えめにすることが大切です。本記事では、消化器内科の観点から下痢のときの食べ物の選び方をわかりやすく解説します。
本記事は医療情報の提供を目的としており、特定の診断・治療を保証するものではありません。症状が続く場合や強い腹痛・発熱を伴う場合は、必ず医師の診察を受けてください。
下痢の時に食べ物はどう選ぶ?まず知っておきたい基本
下痢のときは「消化にやさしい・水分がとれる」食事が基本
下痢中の腸は粘膜が刺激を受けやすく、消化・吸収の機能が低下しています。そのため、胃腸への負担が少なく、失われやすい水分・電解質(塩分・カリウムなど)を補いやすい食事が適しています。一般的には「BRAT食(バナナ・白米・りんごソース・トースト)」が欧米でよく知られていますが、日本ではおかゆや雑炊を中心とした和食スタイルも同様の考え方に基づいています。
食事を無理にとらないほうがよい場面もある
嘔吐や強い吐き気が続いているときは、無理に食事をとると症状を悪化させることがあります。まず少量の水分補給から始め、吐き気が落ち着いてから少しずつ食事を再開するのが一般的なアプローチです。
下痢の時におすすめの食べ物
おかゆ・雑炊・やわらかく煮たうどん
水分を多く含み、消化しやすい主食の代表です。白米をやわらかく煮たおかゆや雑炊は胃腸への刺激が少なく、エネルギーも補給できます。うどんはよく煮込んでやわらかくすることがポイントです。
すりおろしりんご・バナナなどの果物
りんごに含まれるペクチン(水溶性食物繊維)は腸内で水分を吸収し、便の状態を整えるはたらきが期待されています。すりおろすことで消化への負担がさらに軽減されます。バナナはエネルギー源になりつつ、カリウムなどのミネラルも補給できるため、下痢時の体力消耗を和らげる一助になります。
豆腐・白身魚・卵などのたんぱく質
下痢が続くと体力が落ちやすいため、消化しやすいたんぱく質を少量ずつ取り入れることが大切です。絹豆腐・温泉卵・はんぺん・白身魚の蒸し物などが胃腸に比較的やさしい選択肢です。
スープ・味噌汁など水分と塩分を補いやすいもの
下痢によって失われる水分・ナトリウム・カリウムを補うために、薄めの味噌汁や野菜スープが役立ちます。具材はやわらかく煮た豆腐・大根・にんじんなどが適しています。
下痢の時に飲み物で意識したいこと
経口補水液や水でこまめに水分補給する
下痢のときは体内の水分・電解質が急速に失われます。経口補水液(ORS)はその補充に適した飲み物で、薬局で市販されています。症状が軽い場合は常温の水や薄めたスポーツドリンクでも対応できますが、脱水が心配な場合は経口補水液が推奨されます。
冷たすぎる飲み物や糖分の多い飲料は控えめにする
冷たい飲み物は腸を刺激し、症状を悪化させることがあります。また、糖分の多いジュースや炭酸飲料は浸透圧の関係で下痢を悪化させることがあるため注意が必要です。
下痢の時に避けたい食べ物
脂っこいもの・揚げ物
消化に時間がかかり、腸への負担が大きいため、下痢中は控えることが望まれます。
香辛料の強いもの・刺激の強い食品
唐辛子・わさび・からし・カレーなどの刺激物は腸粘膜を刺激し、症状を悪化させる可能性があります。
乳製品でお腹が悪化しやすい人の注意点
乳糖不耐症の方は、下痢中に牛乳・生クリームなどの乳製品を摂取すると腸内でガスが発生しやすくなり、下痢を悪化させることがあります。個人差があるため、自身の体調に合わせて判断することが大切です。
食物繊維が多すぎる食品や生もの
不溶性食物繊維(ごぼう・ブロッコリー・きのこ類など)は腸の動きを活発にし、下痢中には逆効果になることがあります。生野菜や刺身などの生ものは、腸が回復するまで控えましょう。
アルコール・カフェインを含む飲み物
アルコールは腸粘膜を直接刺激し、カフェインは腸の動きを促進するため、コーヒー・紅茶・お酒はできる限り避けましょう。
症状別に考える食べ方のポイント
急な下痢で食欲がないとき
無理に食べようとせず、まず水分(経口補水液や白湯)の補給を優先します。嘔吐がなくなり、少し落ち着いてきたらおかゆや薄いスープから始めましょう。
軟便が続くとき
急性の激しい下痢ではなく、軟便が数日続いている場合は、消化にやさしい食事を維持しながら徐々に通常の食事に戻していきます。腸を休ませることを意識しつつ、十分な水分補給を続けることが大切です。なお、水下痢腹痛なしの原因についても別記事で詳しく解説しています。
発熱・腹痛・吐き気を伴うとき
これらの症状が重なる場合は食事よりも水分補給を優先し、早めに医療機関を受診することが重要です。
何をどれくらい食べる?回復を助ける食事の進め方
少量ずつ、回数を分けて食べる
1回の食事量を少なくして、1日4〜6回に分けて食べることで、腸への負担を分散させることができます。
症状が落ち着いたら通常食へ少しずつ戻す
おかゆ → やわらかいご飯 → 通常のご飯というように、段階的に食事内容を戻すことが推奨されます。1〜2日で通常食に戻そうと焦ると、再び症状が悪化することがあります。
体調に合わせて食事内容を調整する
「これを食べたら調子が悪くなった」という個人の傾向を観察しながら、柔軟に食事内容を調整することが大切です。
下痢の時に注意したい市販食品・外食メニュー
コンビニで選びやすい食事
コンビニではレトルトのおかゆ・温泉卵・豆腐・はんぺん・バナナ・経口補水液などが比較的選びやすい選択肢です。おにぎりは白米や梅干し入りのシンプルなものを選びましょう。
外食で比較的選びやすいメニュー
和食系の店では、うどん(かけうどん)・おかゆ・茶碗蒸し・湯豆腐などが比較的胃腸にやさしいメニューです。
避けたい組み合わせの例
ラーメン(脂+塩分過多)+餃子(脂+辛み)、カレーライス(香辛料+脂)、揚げ物定食などは腸への負担が大きく、下痢中には避けることが望まれます。
子ども・高齢者・妊婦さんは特に注意
脱水を起こしやすい人の見分け方
口の中がひどく乾いている、尿量が著しく減っている、ぐったりして元気がない、皮膚をつまんでもすぐ戻らない(ツルゴール低下)などは脱水のサインです。特に乳幼児・高齢者・妊婦さんはこれらのサインが出やすいため注意が必要です。
食事より受診を優先したいケース
嘔吐が続いて水分を全く摂取できない場合、脱水症状が疑われる場合、下痢に血が混じっている場合は、食事の工夫より先に医師の診察を受けることを優先してください。
受診の目安
受診を急いだほうがよい症状
- 血便・黒色便が出ている
- 激しい腹痛が続く
- 高熱(38.5℃以上)を伴う
- 意識がもうろうとする、強いふらつきがある
- 水分が全く飲めない状態が続く
長引く下痢で相談したい目安
下痢が3〜4日以上続く、体重が急激に減った、食欲が全く戻らないなどの場合は、一度受診して原因を確認することをおすすめします。なお、下痢止めの選び方や使い方についても合わせてご確認ください。
受診時に伝えるとよいこと
- 下痢の始まった時期・頻度・便の状態(色・血液の有無)
- 発熱・腹痛・嘔吐などの有無
- 最近食べたもの・旅行歴・服用中の薬
下痢の時の食べ物に関するよくある誤解
「何も食べないほうが早く治る」は本当?
完全な絶食は腸粘膜の回復を遅らせる可能性があるため、一般的には推奨されていません。消化にやさしいものを少量ずつ摂ることで、腸の回復を助けると考えられています。ただし、嘔吐が激しく食べられない状態では、まず水分補給を優先しましょう。
ヨーグルトは食べてもよい?
プロバイオティクス(乳酸菌・ビフィズス菌)を含むヨーグルトは腸内環境の改善に役立つ可能性が研究で示されていますが、乳糖不耐症の方には逆効果になることもあります。症状が落ち着いてきた段階で少量から試すのが安心です。急性期の激しい下痢中は控えめにするのが無難です。
お腹にやさしい=何でも食べてよい、ではない
「消化にやさしい」とされる食品でも、食べすぎれば腸への負担は増します。量・温度・回数に気を配りながら、体調の変化を見ながら柔軟に対応することが大切です。
よくある質問(FAQ)
下痢の時はゼリーを食べてもよいですか?
果汁系のゼリー(糖分が少なめのもの)は水分補給の一助になり、消化への負担も比較的少ないため、下痢中でも食べやすい選択肢の一つです。ただし、人工甘味料(ソルビトールなど)を多く含むゼリーは腸を刺激することがあるため、成分表示を確認することをおすすめします。
下痢の時にうどんは食べても大丈夫ですか?
やわらかく煮込んだシンプルなかけうどんは下痢中でも食べやすい食事です。油揚げや天ぷらを多く加えたり、スパイスの強いつゆは避けるようにしましょう。
下痢の時にパンは食べてもよいですか?
白いパン(食パン・バゲットなど)を少量であれば、症状が落ち着いてきた段階から食べられることが多いです。ただし、バターや油脂分の多いパン(クロワッサン・総菜パンなど)は脂質が多く、急性期には控えることが望まれます。
下痢の時に牛乳は避けたほうがよいですか?
特に乳糖不耐症の傾向がある方は、牛乳の乳糖が消化されにくく、下痢を悪化させることがあります。普段から牛乳でお腹の調子が変わりやすい方は、下痢中は控えるのが安全です。個人差があるため、体調に合わせて判断してください。
下痢があるとき、コーヒーは飲んでもよいですか?
コーヒーに含まれるカフェインは腸の動きを活発にする作用があり、下痢中には症状を悪化させることがあります。症状が落ち着くまではカフェインを含む飲み物(コーヒー・緑茶・エナジードリンクなど)は控えることが望まれます。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門: 消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴: 1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割: 厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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