胃痛と下痢同時の原因|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】
胃痛と下痢が同時に起こるとき、その原因は急性胃腸炎や食あたりから、ストレスによる機能的な胃腸の乱れまで多岐にわたります。多くの場合は数日で落ち着きますが、症状の内容によっては早めに内科・消化器内科を受診することが大切です。本記事では、考えられる主な原因と、受診の目安・自宅での対処法をわかりやすく解説します。
本記事は医療情報の提供を目的としており、診断・治療は必ず医師の診察に基づいて行ってください。
胃痛と下痢が同時に起こるときに考えられること
胃痛と下痢が一緒に起こるのはなぜ?
胃と腸は神経・ホルモン・免疫の面で密接につながっています。ウイルスや細菌が侵入したり、強いストレスがかかったりすると、胃と腸のいずれにも同時に炎症や機能的な乱れが生じることがあります。そのため「胃が痛むと同時に下痢も起こる」という状態は珍しくありません。
症状が出やすいタイミングの特徴
・食後まもなく(特に脂っこい食事や暴飲暴後)
・強いストレスや睡眠不足が重なったとき
・生ものや加熱不十分な食品を食べた数時間〜数日後
・抗菌薬など特定の薬を服用し始めたとき
胃痛と下痢が同時に起こる主な原因
急性胃腸炎
ノロウイルス・ロタウイルスなどのウイルスが胃と腸の粘膜を傷つけることで、胃痛・下痢・嘔吐が同時に現れることがあります。感染後24〜48時間以内に症状がピークを迎えることが多く、冬季に流行しやすい点が特徴です。
食あたり・感染性腸炎
カンピロバクター・サルモネラ・腸管出血性大腸菌(O157など)といった細菌が原因となる場合があります。発症まで数時間〜数日の潜伏期間があるため、「いつ何を食べたか」を振り返ることが原因の特定に役立ちます。
体質や生活習慣による胃腸の不調
暴飲暴食・不規則な食事・冷え・睡眠不足などが積み重なると、胃腸の粘膜や運動機能が低下し、胃痛や下痢が起こりやすくなります。
ストレスや自律神経の乱れ
精神的なストレスや過度の緊張は、自律神経を介して胃腸の働きに直接影響します。「試験や大事な会議の前にお腹が痛くなる」といった経験は多くの方に心当たりがあるでしょう。
過敏性腸症候群(IBS)
検査をしても明らかな器質的異常が見つからないにもかかわらず、腹痛・下痢・便秘などが繰り返す状態をIBS(過敏性腸症候群)と呼びます。ストレスや食事との関連が強く、日本消化器病学会のガイドラインでも生活習慣の改善と必要に応じた薬物療法が推奨されています。IBSが疑われる場合は消化器内科での相談が適切です。
薬の副作用や飲食物の影響
抗菌薬・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)・緩下剤などは胃腸に影響を及ぼしやすい薬剤です。また、過度のアルコール摂取・カフェインの多い飲料・人工甘味料なども胃腸を刺激し、胃痛や下痢を引き起こすことがあります。
発熱がない場合に考えやすい原因
熱はないが胃痛と下痢があるときの見方
発熱がない場合、感染性の原因よりも機能性の問題(IBS・ストレス・過食など)や、軽度の食中毒・ウイルス性胃腸炎の軽症例が多い傾向があります。ただし、発熱がないからといって必ずしも軽症とは限りません。
軽症の胃腸炎と見分けるポイント
発熱や嘔吐が伴わず、水分が十分に摂れており、症状が数日以内に改善傾向にある場合は、自宅での安静・水分補給で様子をみることが可能なこともあります。一方、症状が長引く・繰り返す場合は医療機関への相談をおすすめします。
こんな症状があれば早めの受診を
強い腹痛が続く
安静にしても治まらない激しい腹痛は、胃腸炎以外の疾患(虫垂炎・腸閉塞・膵炎など)が隠れている場合があります。
血便・黒色便がある
血便(赤みがかった便)や黒色便(タール便)は消化管のどこかから出血している可能性があり、早急な受診が必要です。
水分がとれない、脱水が心配
口の渇き・尿量の減少・めまい・ぐったり感がある場合、脱水が進んでいる可能性があります。特に乳幼児・高齢者では進行が早いため注意が必要です。
嘔吐を繰り返す
嘔吐が続くと水分補給が困難になり、脱水が急速に悪化します。吐き気が強く飲水できない場合は医療機関を受診してください。
高齢者・妊娠中・持病がある場合の注意点
免疫力が低下しやすい高齢者、妊娠中の方、糖尿病・心疾患などの持病がある方は、同じ症状でも重症化するリスクが高いため、早めの受診を心がけてください。
受診するなら何科がよいか
内科・消化器内科を受診する目安
・症状が2〜3日以上続く
・発熱や血便を伴う
・同じ症状を繰り返す
・ストレスとの関連が強い(IBS疑い)
上記に当てはまる場合は、内科または消化器内科を受診されることをおすすめします。
救急受診を考えるべきケース
激しい腹痛が急に始まった・意識がもうろうとしている・脱水が明らかに疑われる場合は、夜間・休日であっても救急外来への相談を検討してください。
医療機関で行う主な診察・検査
問診で確認する内容
・症状が始まった時期・経緯
・最近食べたもの(特に生もの・外食)
・服用中の薬
・渡航歴・周囲への感染者の有無
・既往歴・アレルギー
必要に応じて行う検査
血液検査(炎症反応・肝機能など)、便検査(細菌・ウイルス同定)、腹部エコーやX線、症状が繰り返す場合は内視鏡検査などが選択されることがあります。
自宅でできる対処法
水分補給のポイント
脱水予防のため、経口補水液(ORS)や薄めのスポーツドリンクを少量ずつこまめに飲むことが推奨されます。一度に大量に飲むと嘔吐を誘発しやすいため、ひと口ずつゆっくり補給するのがポイントです。
食事のとり方
症状が強い間はお粥・うどん・豆腐・バナナなど消化の良いものを少量ずつ摂るのが基本です。油分・香辛料・乳製品・生もの・アルコールは症状が落ち着くまで控えましょう。
安静に過ごすときの注意
腹部を冷やさないよう注意し、できるだけ身体を温めて休息をとりましょう。
市販薬を使う際の注意点
整腸薬(乳酸菌製剤など)は比較的安全に使用できますが、下痢止め(止瀉薬)は感染性の下痢の場合に原因菌の排出を妨げることがあるため、自己判断での使用には注意が必要です。詳しくは下痢止めとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】をご参照ください。
予防のためにできること
食中毒・感染予防
食事前・トイレ後の手洗い(石けんで20秒以上)を習慣化し、食品の十分な加熱・適切な保管を心がけましょう。厚生労働省は食中毒予防の三原則として「つけない・増やさない・やっつける」を推奨しています。
胃腸に負担をかけにくい生活習慣
暴飲暴食・深夜の食事・過剰な飲酒を避け、規則正しい食生活と適度な運動を継続することが胃腸の健康維持につながります。
ストレス対策と睡眠
十分な睡眠と休息、趣味やリラクゼーションによるストレス発散は、自律神経のバランスを整え胃腸の機能を安定させます。
こんなときは緊急性を考える
すぐに受診したい危険なサイン
・突然始まった激しい腹痛
・血便・タール便
・意識が薄れる・ぐったりして動けない
・脱水症状(口が極度に乾く・尿がほとんど出ない)が進んでいる
迷ったときの判断基準
「いつもと違う痛みの強さや性状」「水分が全くとれない」「高齢者・妊婦・持病がある」といった状況では、迷わず医療機関へご相談ください。
よくある質問(FAQ)
胃痛と下痢が同時にあるのは食あたりですか?
必ずしも食あたりとは限りません。ウイルス性胃腸炎・ストレス・IBS・薬の副作用なども同様の症状を引き起こします。最近食べたものや症状の経過を整理し、疑わしい場合は医療機関で確認されることをおすすめします。
熱がないなら様子を見てもよいですか?
発熱がない場合でも、強い腹痛・血便・水分が摂れない状態が続く場合は受診が必要です。熱の有無だけで緊急度を判断するのは難しいため、症状全体をあわせて評価することが大切です。
何日くらい続いたら受診すべきですか?
一般的に、症状が2〜3日経っても改善しない、あるいは悪化している場合は医療機関への受診を目安としてください。発熱・血便・脱水症状がある場合はより早めの受診が望まれます。
胃痛と下痢があるときに食べてよいものは?
お粥・うどん・豆腐・すりおろしリンゴ・バナナなど、消化が良く胃腸に負担の少ないものを少量ずつ摂りましょう。脂質の多いもの・刺激物・乳製品・生ものは症状が改善するまで控えることをおすすめします。
市販の下痢止めは使ってもよいですか?
整腸薬は比較的使いやすいですが、下痢止め(ロペラミドなど)は感染性腸炎では原因菌の排出を妨げる場合があります。市販薬の使用に迷う場合は、薬剤師または医師にご相談ください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省『地域連携クリティカルパスモデルの開発』班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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