下痢の時飲み物大人とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】
下痢のときに大人が気をつけたい飲み物の選び方は、「脱水を防ぎながら胃腸への負担を最小限にする」ことが基本です。適切な水分補給を行うことで症状の悪化を防ぎやすくなりますが、飲み物の種類・量・飲み方を誤ると胃腸を刺激してしまうこともあります。本記事では、消化器内科の視点から下痢時の飲み物の選び方を詳しく解説します。
なお、下痢の原因や全体像については下痢とは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】もあわせてご参照ください。
下痢のときに大人が飲み物を選ぶときの基本
まず意識したいのは「脱水予防」
下痢が続くと、体から水分と電解質が急速に失われます。脱水は倦怠感や頭痛、最悪の場合は意識障害につながることもあるため、早期からの水分補給が重要です。
すぐに飲めるもの・避けたいものの考え方
飲み物を選ぶ際は「胃腸を刺激しないか」「水分と電解質を補えるか」の2点を目安にしましょう。カフェインやアルコール、過剰な糖分は腸への刺激になるため、急性期には控えることが原則です。
下痢で水分補給が大切な理由
水分だけでなく電解質も失われやすい
下痢便には水分だけでなく、ナトリウム・カリウムなどの電解質が多く含まれています。水だけを補給すると体内の電解質バランスが崩れ、低ナトリウム血症などを引き起こす可能性があります。
脱水で起こりやすい症状
脱水が進むと、口の渇き・尿量の減少・めまい・倦怠感・皮膚の乾燥などが現れます。乳幼児や高齢者は脱水が進みやすいですが、大人も油断は禁物です。
下痢のときに飲みやすい飲み物
経口補水液
経口補水液(ORS)は、水・塩分・糖分を適切な比率で配合した飲み物で、腸管からの吸収効率が高く設計されています。日本消化器病学会などのガイドラインでも感染性胃腸炎の水分補給として推奨されています。市販のOS-1などを活用するとよいでしょう。
ぬるめの水・白湯
常温〜ぬるめ(35〜40℃程度)の水や白湯は、胃腸への刺激が少なく飲みやすい選択肢です。電解質は含まれませんが、脱水の初期段階や症状が比較的軽いときに適しています。
薄めた麦茶
麦茶はカフェインを含まず、ミネラルをわずかに含むためやや適した選択肢といえます。濃いものより薄めに作ると胃腸への負担を軽減しやすくなります。
スープや味噌汁などの塩分を含む飲み物
薄めのコンソメスープや具のない味噌汁は、塩分と水分を同時に補えるため有用です。ただし、脂肪分が多いスープや香辛料の入ったものは避け、なるべくシンプルなものを選んでください。
症状や体調に応じた飲み物の選び方
嘔吐もあるとき
嘔吐を伴う場合は、一度にまとめて飲むと吐き気が増すことがあります。ティースプーン1〜2杯ずつ、数分おきに少量ずつ試すところから始めましょう。経口補水液を少量ずつ継続的に補給するのが基本です。
発熱があるとき
発熱があると不感蒸泄(皮膚や呼吸からの水分蒸発)が増えるため、より積極的な水分補給が必要です。経口補水液や薄めたスープを中心に、こまめに飲むよう心がけてください。
食事がとれないとき
食欲がなく食事が十分にとれない場合、飲み物からわずかながら糖質・塩分を補うことが助けになります。スポーツドリンクを2〜3倍に薄めたものや、薄い味噌汁が参考になります(過剰な糖分は避けてください)。
下痢のときに避けたい飲み物
アルコール
アルコールは腸の蠕動運動を亢進させ、下痢を悪化させる可能性があります。また利尿作用により脱水を促進するため、症状が落ち着くまでは控えましょう。
カフェインを多く含む飲み物
コーヒー・紅茶・緑茶・エナジードリンクなどに含まれるカフェインには腸管を刺激する作用があり、下痢を悪化させる場合があります。急性期は摂取を控えることが望ましいです。
糖分の多い清涼飲料水やスポーツドリンクの飲みすぎ
市販のスポーツドリンクは糖分濃度が高いものが多く、そのまま大量に飲むと浸透圧の関係で腸内の水分バランスを乱し、下痢を悪化させる場合があります。どうしても使用する場合は薄めて利用してください。
冷たすぎる飲み物
冷たい飲み物は腸を刺激し、蠕動運動を高めることがあります。常温以上の温度を目安にしましょう。
飲み方のコツ
一度にたくさん飲まず、少量ずつこまめに
一度に大量に飲むと胃腸への負担が増し、嘔気や腹痛を起こすことがあります。100〜150mLを15〜30分おきに飲むことを目安にするとよいでしょう。
冷やしすぎない
冷蔵庫から出してすぐ飲むより、常温に戻したものや白湯に近い温度のものが胃腸に優しい傾向があります。
体調に合わせて無理なく続ける
強制的に飲もうとして嘔気が強まる場合は無理をせず、少し時間をおいてから再度試みましょう。
下痢のときに一緒に気をつけたい食事
胃腸に負担をかけにくい食べ方
おかゆ・うどん・食パン・煮た野菜など、消化しやすい食品を少量ずつ食べることが基本です。脂っこいもの・食物繊維が多いもの・香辛料を含むものは急性期には避けましょう。
食欲がないときの工夫
食欲がない場合は無理に食べる必要はありません。水分の補給を最優先しながら、食べられそうになったら消化のよいものから少量ずつ試してみましょう。
水下痢が続く場合の対処については水下痢を出し切る方法|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】も参考にしてください。
こんな下痢は受診を検討
血便がある
便に血液が混じっている場合は、感染性腸炎・虚血性腸炎・炎症性腸疾患など、早急な診察が必要な疾患が疑われます。
高熱がある
38℃以上の発熱を伴う下痢は、細菌性腸炎など医療機関での判断が必要なケースがあります。
強い腹痛やぐったり感がある
激しい腹痛・意識がもうろうとする・顔色が著しく悪いなどの症状がある場合は、速やかに受診を検討してください。
水分がとれない、尿が少ない
6〜8時間以上尿が出ない・口の中が極度に乾燥しているなど、脱水が疑われる場合も医療機関への相談が必要です。
症状が長引く場合
下痢が2〜3日以上続く場合や、改善と悪化を繰り返す場合は、慢性的な消化器疾患の可能性も否定できないため受診を検討しましょう。
病院では何をみるのか
問診で確認すること
いつから・どんな性状の便か・食事歴・海外渡航歴・発熱の有無・周囲の感染状況などを確認します。下痢止めや市販薬の使用歴もお伝えください。
必要に応じて行う検査や治療
必要に応じて便培養・血液検査・腹部超音波検査などを実施します。原因に応じて整腸剤・止瀉薬・点滴による補液などが検討されます。受診の判断でお迷いの場合はご予約・お問い合わせよりご相談ください。
下痢のときの飲み物に関するよくある誤解
スポーツドリンクなら何でもよい?
スポーツドリンクは電解質を含みますが、多くの製品は糖分濃度が高く、そのまま飲むと腸内浸透圧を高め下痢を悪化させる場合があります。使用するなら2〜3倍に薄めることが目安です。
お茶やコーヒーは少しなら大丈夫?
カフェインを多く含む飲み物は腸を刺激する可能性があるため、急性期は避けることが望ましいです。麦茶や温かいハーブティー(カモミールなど)はカフェインが少なく比較的選びやすい選択肢です。
ヨーグルト飲料は飲んでもよい?
整腸効果が期待されるプロバイオティクス飲料は、症状が安定してきた回復期には試す価値があるといわれています。ただし急性期の嘔吐・激しい下痢のときは乳製品自体が胃腸に負担をかけることもあるため、症状が落ち着いてから少量ずつ様子を見ましょう。
予防のためにできること
食中毒や感染性胃腸炎を防ぐ基本
手洗い(石けんでの丁寧な洗浄)・食材の適切な加熱・調理器具の衛生管理は感染性胃腸炎や食中毒の予防に有効です。厚生労働省も「食中毒予防の3原則(菌をつけない・増やさない・殺す)」を推奨しています。
日常でできる体調管理
睡眠不足・ストレス・偏った食生活は腸の機能を乱す原因になります。規則正しい生活と腸に優しい食事(過度なアルコールや脂肪・刺激物を控える)を心がけましょう。また下痢止めの使い方については下痢止めとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】も参考にしてください。
まとめ
下痢のときは「水分+電解質」を意識する
下痢中の飲み物選びは「脱水を防ぐ」「胃腸を刺激しない」の2点が基本です。経口補水液・ぬるめの水・白湯・薄い麦茶・薄いスープが比較的取り入れやすい選択肢です。アルコール・カフェイン・冷たい飲み物・甘すぎる清涼飲料水は急性期に避けましょう。
症状が強いときは自己判断せず受診する
血便・高熱・強い腹痛・尿量の著しい減少・症状の長期化がある場合は自己判断せず、医療機関を受診することをお勧めします。
よくある質問(FAQ)
Q. 下痢のときは水と経口補水液のどちらがよいですか?
A. 電解質も補えるという点で、経口補水液(ORS)がより適しています。ただし軽症であれば常温の水やぬるめの白湯でも対応できます。嘔吐を伴う場合や脱水が疑われる場合は経口補水液を優先しましょう。
Q. スポーツドリンクで代用できますか?
A. 市販のスポーツドリンクは糖分濃度が高いため、そのまま大量に飲むことは推奨されません。どうしても使用する場合は2〜3倍程度に薄めることが目安です。
Q. お茶やコーヒーは飲んでも大丈夫ですか?
A. カフェインを多く含むコーヒー・緑茶・紅茶は腸管を刺激する可能性があるため、急性期は控えることが望ましいです。カフェインを含まない麦茶やハーブティーは比較的選びやすい選択肢です。
Q. 牛乳や乳製品は避けたほうがよいですか?
A. 下痢が続くと腸粘膜が一時的に傷つき、乳糖を消化する酵素(ラクターゼ)の活性が低下することがあります。このため急性期に牛乳を飲むと下痢が悪化する場合があります。回復期以降に少量から試すのが安全です。
Q. どのくらい水分を飲めばよいですか?
A. 成人の場合、下痢の程度にもよりますが、1日に通常の水分量(1.5〜2L程度)を目安にしつつ、下痢の回数・量に応じて追加の水分補給が必要です。尿の色が濃い黄色になっている場合は脱水のサインのひとつです。
Q. どんな症状があれば早めに受診すべきですか?
A. 血便・38℃以上の発熱・激しい腹痛・水分がまったく取れない・6〜8時間以上尿が出ないなどの症状がある場合は早めの受診をお勧めします。迷われた場合はご予約・お問い合わせよりご相談いただけます。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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