下痢血便とは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】
下痢と血便が同時に起こっている場合、感染性腸炎などの一時的な原因のこともありますが、炎症性腸疾患や大腸がんなど早期の対応が必要な疾患が隠れている場合もあります。症状が続くときや量が多いときは、自己判断せずに消化器内科・内科への受診をご検討ください。
下痢と血便とは?まず知っておきたい基本
下痢と血便が同時に起こる状態の定義
「下痢」とは、水分を多く含む軟便・水様便が繰り返し排出される状態を指します。一般的には1日3回以上の軟便、または水様便が続く場合が目安とされています。「血便」は便に血液が混じる状態の総称で、出血部位や量によって見た目が異なります。両者が同時に起こる場合、消化管のいずれかの部位で炎症・出血が生じているサインである可能性があります。
便に血が混じるときに見られる血便の種類
血便の見た目は出血部位によって大きく異なります。
- 鮮血便:肛門や直腸に近い部分からの出血。便の表面や便器に赤い血がつく。
- 暗赤色便:大腸の比較的上部や小腸からの出血で、酸化が進んだ暗い赤色を呈する。
- タール便(黒色便):胃や十二指腸など上部消化管からの出血が多い。便が黒くタール状になる。
- 粘血便:血液と粘液が混じった便。炎症性腸疾患などで見られることがある。
受診を急ぐべき症状の有無
以下のような症状が伴う場合は、早急な受診が望まれます。
- 便器が赤く染まるほどの大量出血
- 激しい腹痛・冷や汗・ふらつき
- 高熱・嘔吐
- 意識がもうろうとする、または脱水が強い
下痢と血便が同時に起こる主な原因
感染性腸炎・食中毒
細菌(カンピロバクター、腸管出血性大腸菌O157など)やウイルスが消化管に感染することで、激しい下痢・腹痛とともに血便が起こることがあります。食中毒は食後数時間〜数日以内に発症することが多く、集団発生する場合もあります。
潰瘍性大腸炎・クローン病などの炎症性腸疾患
腸の粘膜に慢性的な炎症が起こる疾患です。潰瘍性大腸炎では粘血便・下痢・腹痛が繰り返されることが特徴で、指定難病に該当します。クローン病は小腸や大腸など消化管のさまざまな部位に炎症が及ぶことがあります。
虚血性大腸炎
腸への血流が一時的に低下することで腸粘膜が傷つき、突然の腹痛・下痢・血便が起こります。動脈硬化がある中高年に比較的多く見られます。
大腸憩室炎・痔など肛門付近の出血
大腸憩室(腸壁のくぼみ)が炎症を起こした場合や、いぼ痔・裂肛(切れ痔)があると、排便時に出血を伴うことがあります。痔による出血は鮮血が多く、便に血が付着する形で見られます。
大腸ポリープ・大腸がんなどの消化管疾患
大腸ポリープや大腸がんは、初期段階では自覚症状が少ない場合もありますが、便に血が混じることで気づかれるケースがあります。血便が続く場合や、便の形が変わった場合は検査が勧められます。
薬の影響やその他の原因
NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)や抗血小板薬・抗凝固薬の服用が、消化管出血のリスクを高めることがあります。薬を服用中に血便が出た場合は、主治医・かかりつけ医に相談してください。
血便の色・便の状態で考えやすい原因
鮮血がつく・便の表面に血がある場合
痔・裂肛・直腸の出血が多く考えられます。ただし、直腸がんでも同様の出血が起こるため、「痔だろう」と自己判断せず、継続する場合は受診が勧められます。
黒っぽい便が出る場合
胃・十二指腸潰瘍や食道からの出血が疑われます。鉄剤・ビスマスを含む薬の服用でも黒っぽい便になることがあります。
粘液便や腹痛を伴う場合
潰瘍性大腸炎や感染性腸炎などで見られます。腹痛が強い場合は早めの受診を。
水様便に血が混じる場合
腸管出血性大腸菌(O157など)による感染が疑われる場合があります。特に発熱を伴うときは感染性の可能性が高まります。
併発しやすい症状と見分け方
発熱・腹痛・吐き気があるとき
感染性腸炎や食中毒が疑われます。38℃以上の高熱が伴う場合は医療機関への相談が望まれます。
強い腹痛や下痢が続くとき
虚血性大腸炎や炎症性腸疾患の可能性があります。突然の激しい腹痛は特に注意が必要です。
脱水症状に注意したいサイン
口の渇き・尿量の減少・めまい・ふらつきは脱水のサインです。水様便が続く場合は、水分補給に努めてください。詳しくは水下痢を出し切る方法|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】もご参照ください。
体重減少や貧血を伴うとき
数週間〜数ヶ月にわたる体重減少・疲れやすさ・顔色の悪さが伴う場合は、炎症性腸疾患や悪性疾患の可能性も念頭に置き、早めに受診することが大切です。
自宅でできる対処法
水分補給と食事の工夫
下痢が続くと水分・電解質が失われやすくなります。経口補水液やスポーツドリンクを少量ずつこまめに補給することが大切です。食事は消化のよいもの(おかゆ・うどん・白身魚など)を少量から始めてください。刺激物・脂質の多い食事・アルコールは控えましょう。
下痢止めを自己判断で使わないほうがよい場合
感染性腸炎が疑われる場合、下痢止め(止瀉薬)の自己使用は腸内に病原体が留まるリスクがあるため推奨されません。下痢止めとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】も合わせてご参照ください。
安静にしながら様子を見るときのポイント
出血量が少なく、発熱・激しい腹痛・めまいがない場合は、安静・水分補給・消化のよい食事を心がけながら1〜2日様子をみることも選択肢のひとつです。ただし、症状が悪化する・長引く場合はためらわずに受診してください。
こんなときは早めに医療機関を受診
便器が赤く染まるほどの出血がある
大量出血は迅速な対応が必要なことがあります。すぐに医療機関を受診してください。
激しい腹痛、ふらつき、冷や汗がある
血圧低下や重篤な疾患のサインである可能性があります。救急受診も検討してください。
高熱や嘔吐を伴う
感染症の重篤化や他の疾患の可能性があります。早めに受診することが望まれます。
症状が長引く、繰り返す、改善しない
1週間以上症状が続く場合、または繰り返す場合は、消化管疾患の精査が必要なことがあります。
医療機関ではどんな検査をするか
問診・診察で確認すること
症状の始まりと経過・血便の色や量・発熱の有無・食事内容・服薬歴・海外渡航歴などを確認します。
便検査・血液検査
便中の細菌・寄生虫・潜血を調べます。血液検査では炎症反応(CRP・白血球数)・貧血・肝機能などを確認します。
必要に応じて行う大腸内視鏡検査
大腸の粘膜を直接観察できる検査で、炎症・ポリープ・がんの有無などを確認します。組織の一部を採取して病理検査を行うこともあります。
診断後に考えられる治療の考え方
原因疾患に応じた治療
血便・下痢の治療は原因によって異なります。自己判断での薬の使用は避け、医師の指示に従ってください。
感染性腸炎の場合の対応
多くは安静・水分補給で回復しますが、細菌性の場合は抗菌薬が使用されることがあります。腸管出血性大腸菌(O157)感染では、止瀉薬の使用に注意が必要とされています。
炎症性腸疾患の場合の対応
潰瘍性大腸炎・クローン病は、専門医のもとで5-ASA製剤・ステロイド・免疫調節薬・生物学的製剤などを組み合わせた長期的な治療が行われます。
痔や肛門疾患の場合の対応
軽症の痔は生活習慣の改善・軟膏などで対応できる場合がありますが、大腸がんとの鑑別のため、継続する出血は専門的な検査を受けることが大切です。
再発予防と日常生活で意識したいこと
食事・生活リズムの見直し
腸に負担をかけない規則正しい食事・十分な睡眠・過度なストレスを避けることが腸の健康維持に役立ちます。
感染予防の基本
手洗い・食品の適切な加熱・生食に注意することで感染性腸炎のリスクを下げることができます。
持病がある場合の受診継続
炎症性腸疾患など慢性疾患がある場合は、症状が落ち着いているときも定期的な受診を継続することが大切です。
たまプラーザ周辺で受診を考える方へ
内科・消化器内科を受診する目安
血便が初めて起こった・繰り返している・下痢が1週間以上続いている・体重が減っているなどの場合は、内科または消化器内科への受診をご検討ください。
早めの相談が望ましいケース
「痔だから大丈夫」「市販薬で治るはず」と判断してしまいがちですが、大腸がんなど重篤な疾患は早期発見が予後に影響します。症状が気になるときはお早めにご相談ください。ご予約・お問い合わせはこちらからどうぞ。
よくある質問(FAQ)
下痢と血便があっても様子を見てよいことはありますか?
出血量がごく少量で、発熱・激しい腹痛・ふらつきなどがない場合は、1〜2日様子をみることもあります。ただし、症状が改善しない・悪化する・繰り返す場合は受診が勧められます。
血便でも痔かどうか自分で判断できますか?
自己判断は難しく、推奨されません。鮮血であっても直腸がんなど他の疾患が原因となる場合があります。医療機関での診察・検査で原因を確認することが大切です。
下痢止めは飲んでも大丈夫ですか?
感染性腸炎が疑われる場合、下痢止めの自己使用は控えたほうがよいとされています。症状の原因がわからないうちは医師に相談してから使用するのが安全です。
何科を受診すればよいですか?
内科または消化器内科が適しています。大量出血・強い腹痛・意識の変容がある場合は救急受診もご検討ください。
受診までに食事はどうしたらよいですか?
消化のよいもの(おかゆ・うどんなど)を少量ずつ摂り、水分補給を十分に行ってください。刺激物・脂っこい食事・アルコールは避けてください。受診前は過度な食事制限は必要ありませんが、症状が強い場合は無理に食べなくても構いません。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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