腹痛・鈍痛が続くとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】
「お腹がずっとなんとなく痛い」「鈍い痛みが何日も続いている」という症状は、多くの方が一度は経験されるものです。鈍痛が続く腹痛には、便秘や胃炎などの比較的よくある原因から、胆のう・膵臓の病気など早めの対応が必要な状態まで幅広い原因が考えられます。本記事では、腹痛の鈍痛が続く原因・症状・対処法について、消化器・内科の観点からわかりやすく解説します。診断・治療は必ず医師の診察が前提となりますので、気になる症状がある場合はお早めにご相談ください。
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なお、腹痛全般の基本的な情報については、親ピラーページ「お腹痛いとは?原因・症状・治し方まで内科医が解説【たまプラーザ】」もあわせてご参照ください。
腹痛の「鈍痛が続く」とはどんな状態?
鈍痛の特徴と、差し込むような痛みとの違い
腹痛には大きく分けて「鈍痛」と「鋭痛(差し込むような痛み)」があります。鈍痛とは、重だるい・締めつけられる・圧迫されるような持続的な不快感を指します。一方、胆石や尿路結石で起こるような差し込む痛み(疝痛)は波があり、突然強くなる特徴があります。鈍痛はどちらかというと慢性的・持続的であることが多く、「じわじわ続く」という表現がよく聞かれます。
どのくらい続いたら注意が必要か
一般的に、腹痛が数時間以内に自然に治まる場合は経過観察で対応できることも多いとされています。しかし、2〜3日以上にわたって鈍痛が続く場合や、繰り返す場合は、医療機関への相談をご検討ください。「たいしたことはないだろう」と放置しているうちに、治療が必要な状態が進行するケースもあります。
腹痛の鈍痛が続くときに考えられる主な原因
便秘・腸内ガスによる腹部の張り
最も多い原因のひとつです。腸内に便やガスがたまると、お腹全体が重だるく痛む鈍痛を引き起こすことがあります。排便後に症状が楽になる場合は、便秘が関係している可能性が高いといえます。
胃炎・胃潰瘍など胃の不調
みぞおちを中心とした鈍痛は、胃炎や胃潰瘍に多く見られます。食後に悪化したり、空腹時に痛みが出たりするのが特徴のひとつです。ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)感染が関与していることもあります。
過敏性腸症候群など機能性消化管疾患
検査をしても明らかな異常が見つからないにもかかわらず、腹痛・下痢・便秘などの症状が繰り返される状態を「機能性消化管疾患」といいます。過敏性腸症候群(IBS)はその代表で、ストレスや食事との関係が指摘されています。
腸炎・感染症
細菌やウイルスによる感染性腸炎でも、下腹部を中心とした鈍痛が続くことがあります。発熱や下痢を伴う場合は感染症を疑う手がかりになります。
胆のう・膵臓など消化器の病気
胆のう炎や胆石、慢性膵炎なども鈍痛を引き起こすことがあります。特に右上腹部や背中への放散痛を伴う鈍痛は、これらの臓器の異常を示している可能性があります。早めの受診と画像検査が重要です。
女性に多い原因(月経関連・婦人科疾患)
子宮内膜症・子宮筋腫・卵巣囊腫などは、下腹部の鈍痛・重だるさの原因となることがあります。月経周期との関連がある場合は、婦人科への受診も検討してください。
尿路結石・膀胱炎など泌尿器の病気
側腹部から下腹部にかけての鈍痛は、尿路結石や膀胱炎でも起こります。排尿時の痛みや残尿感、血尿などを伴う場合は泌尿器科での評価が必要です。
痛みの部位で考える原因のヒント
みぞおちが痛いとき
胃炎・胃潰瘍・逆流性食道炎・膵臓の異常などが考えられます。
へその周りが痛いとき
腸の問題(腸炎・過敏性腸症候群)や、初期の虫垂炎が疑われることがあります。
右下腹部が痛いとき
虫垂炎・クローン病・卵巣囊腫(右側)などが候補となります。虫垂炎は放置すると穿孔(破れること)のリスクがあるため、早期受診が重要です。
左下腹部が痛いとき
大腸(S状結腸)の憩室炎・過敏性腸症候群・卵巣囊腫(左側)などが考えられます。
下腹部が重だるいとき
便秘・膀胱炎・子宮・卵巣の疾患などが関与している場合があります。詳しくは「下腹部痛みとは?原因・症状・対処を内科医が解説【たまプラーザ】」もご参照ください。
併発しやすい症状
血便・黒い便(タール便)は消化管出血のサインである可能性があり、速やかな受診が必要です。
自宅でできる対処法
まず安静にして痛みの経過をみる
横になってリラックスし、数時間単位で痛みが改善するか経過をみます。
水分を少しずつとる
脱水を避けるために、水・お茶・経口補水液などをこまめに補給しましょう。冷たい飲み物は腸への刺激になることがあるため、常温または温かいものが無難です。
食事は消化のよいものを選ぶ
おかゆ・うどん・豆腐など消化に負担のかかりにくい食事を少量から始めてください。脂っこいもの・刺激物・アルコールは避けましょう。
市販薬を使う前に確認したいこと
市販の胃腸薬や整腸剤は症状を和らげることがありますが、痛み止め(NSAIDs)の使用は胃や腸の粘膜を傷める場合があります。また、痛み止めで痛みを抑えると、重篤な状態の発見が遅れるリスクもあるため、自己判断での使用はご注意ください。
やってはいけない対応
- 強い腹痛があるにもかかわらず長期間様子を見続ける
- 腹部を強く押したり揉んだりする
- 虫垂炎が疑われる状態でのカイロ・湯たんぽなどの温罨法(炎症を悪化させる恐れがあります)
早めに受診したほうがよいサイン
- 痛みが強い、または急激に悪化している
- 鈍痛が数日以上続く、あるいは繰り返す
- 発熱・嘔吐・血便を伴う
- 妊娠の可能性がある(子宮外妊娠などの緊急疾患を除外する必要があります)
- 高齢者や糖尿病・免疫抑制剤使用者など基礎疾患がある方(症状が軽く見えても重症化するリスクがあります)
すぐに救急受診を検討すべき症状
以下の症状がある場合は、躊躇せず救急外来を受診してください。
- 冷や汗が出るほどの強い腹痛
- お腹が板のように硬い・触ると激しく痛む(腹膜炎の疑い)
- 意識がもうろうとする・ぐったりしている
- 嘔吐が続いて水分がまったくとれない
- 便もガスもまったく出ない(腸閉塞の可能性)
医療機関では何を調べるのか
問診で確認する内容
痛みの場所・強さ・持続時間・排便状況・発熱の有無・既往歴・服薬歴・妊娠の可能性などを確認します。
身体診察
お腹の触診(圧痛の部位・筋緊張の有無など)が重要な情報を提供します。
必要に応じて行う検査
血液検査(炎症反応・肝機能・膵酵素など)、尿検査、超音波検査(エコー)、CT検査、内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)などが状況に応じて選択されます。
診療科の目安
- 消化器内科・内科:胃腸・肝胆膵系の症状全般
- 婦人科:月経関連・子宮・卵巣の症状
- 泌尿器科:排尿症状を伴う場合
- 外科:虫垂炎・腸閉塞など手術が必要な疾患が疑われる場合
迷ったときはまず内科・消化器内科への受診が入り口として適切なことが多いです。
受診時に伝えるとよいポイント
- 痛みの場所・強さ(10点満点で何点か)・続く時間
- 便通の状態(下痢・便秘・血便の有無)、発熱の有無
- 食事・体位(前傾み姿勢で楽になるなど)で変化するか
- 現在服用中の薬(特にNSAIDs・抗凝固薬)・過去の病気・手術歴
- 妊娠の可能性(女性の場合は必ず伝える)
腹痛の鈍痛が続くときの予防と再発対策
生活リズムを整える
睡眠不足や不規則な生活は腸の働きを乱します。毎朝同じ時刻に起床し、排便習慣をつけることが基本です。
食事内容と便通の見直し
食物繊維・発酵食品(ヨーグルト・納豆など)を取り入れ、腸内環境を整えることが便通改善に役立つとされています。水分摂取も重要です。詳しくは「腹痛の治し方・治療法|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】」もご参考ください。
ストレスとの付き合い方
腸と脳は「腸脳相関」と呼ばれる密接な関係にあり、ストレスは腸の動きに直接影響します。適度な運動・休息・趣味などでストレスをコントロールすることが、機能性腸疾患の予防にもつながります。
よくある質問(FAQ)
Q. 腹痛の鈍痛が数日続く場合は様子を見てもよい?
痛みが軽く日常生活に支障がない場合でも、2〜3日以上続くようであれば医療機関への相談をお勧めします。重篤な疾患でも初期は症状が軽いことがあります。
Q. 便が出ないのにお腹が痛いときは何が考えられる?
便秘・腸閉塞・過敏性腸症候群などが考えられます。特に「まったく便が出ない・ガスも出ない」状態が続く場合は、腸閉塞の可能性があるため早めの受診が必要です。
Q. 市販の痛み止めは使ってもよい?
NSAIDs(イブプロフェン・ロキソプロフェンなど)は胃や腸の粘膜を傷める可能性があり、また痛みが和らぐことで病気の発見が遅れるリスクもあります。自己判断での使用はなるべく控え、薬剤師や医師にご相談ください。
Q. 何科を受診すればよい?
症状の見当がつかない場合はまず内科・消化器内科を受診するのが一般的です。月経に関連した症状は婦人科、排尿症状を伴う場合は泌尿器科への受診も検討してください。
Q. どんな痛みなら救急外来を受診すべき?
冷や汗が出るほどの激しい腹痛、お腹が板状に硬くなる、意識が遠くなる、嘔吐で水分がとれないなどの症状がある場合はすぐに救急外来を受診してください。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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