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下痢とは?|内科医がわかりやすく解説【たまプラーザ】
「お腹がゆるい」「トイレに何度も行く」と感じるとき、それが”下痢”なのかどうか、どう対処すればよいのかと迷う方は多いでしょう。下痢とは、便の水分量が増加し、形が崩れてやわらかくなった状態のことです。原因は食べすぎから感染症、ストレス、薬の副作用まで多岐にわたります。本記事では、下痢の定義・しくみ・原因・対処法・受診の目安を、消化器専門医の監修のもとわかりやすく解説します。
本記事は情報提供を目的としており、診断・治療は必ず医師の診察に基づいて行われる必要があります。
下痢とは?まずは「便の水分が多く、やわらかい状態」のこと
下痢の定義と、軟便との違い
医学的に下痢は「便の水分含有量が増加し、形状が不定形・液状になった状態」と定義されます。一般的に便の水分量が80〜90%を超えると軟便、さらに増えると泥状便・水様便となります。「軟便」は形はあるもののやわらかい状態を指し、「下痢便」は形が崩れた液状〜泥状の便を指します。日常会話では混同されがちですが、医療機関では便の性状をブリストル便形状スケール(7段階)で評価します。
回数や期間の目安はある?
日本消化器病学会のガイドラインでは、「1日の排便回数が3回以上」かつ「便の水分量が増加している状態」を下痢と定義しています。一方、回数が少なくても便が水様であれば下痢と判断される場合があります。また、4週間未満で改善するものを急性下痢、4週間以上続くものを慢性下痢と分類します。
下痢が起こるしくみ
腸は食べ物から水分・栄養を吸収する臓器です。下痢は主に以下のしくみで起こります。
- 分泌性:腸管から水分・電解質が過剰に分泌される(例:コレラ毒素など)
- 浸透圧性:腸内に水分を引き込む物質が増える(例:ラクトース不耐症)
- 腸管運動亢進性:腸の動きが速くなり水分吸収が間に合わない(例:過敏性腸症候群)
- 炎症・滲出性:腸粘膜の炎症により液体や血液が漏れ出る(例:感染性腸炎)
下痢の主な原因
食べすぎ・飲みすぎ・刺激物による一時的な下痢
脂っこい食事、辛い食べ物、冷たい飲み物、アルコールの過剰摂取は腸を刺激し、一時的な下痢を引き起こすことがあります。多くは数時間〜1日程度で改善します。
感染性胃腸炎などの一時的な下痢
ノロウイルス・ロタウイルスなどのウイルス性胃腸炎、カンピロバクターやサルモネラなどの細菌性食中毒は、急性の下痢・嘔吐・発熱を引き起こします。
ストレスや自律神経の乱れで起こる下痢
精神的なストレスや緊張は自律神経を介して腸の動きを乱し、下痢を引き起こすことがあります。試験や仕事のプレッシャーで腹痛・下痢を繰り返す場合、過敏性腸症候群(IBS)が関係していることがあります。
薬の副作用で起こる下痢
抗菌薬(抗生物質)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、一部の降圧薬・糖尿病治療薬なども下痢を引き起こす場合があります。服薬中に下痢が始まった場合は、自己判断で服薬を中止せず医師・薬剤師に相談してください。
生活習慣や体質が関係する下痢
乳製品でお腹がゆるくなるラクトース不耐症、食物アレルギー、腸内細菌叢のバランス乱れなども下痢の背景になります。
下痢に伴いやすい症状
腹痛、吐き気、発熱がある場合
感染性腸炎では腹痛・嘔吐・発熱を伴うことがよくあります。高熱(38.5℃以上)や激しい腹痛は医療機関への早めの受診が望まれます。
便に血が混じる、黒い便が出る場合
血便(赤い血が混じる)や黒色便(タール便)は消化管出血のサインとなる場合があります。これらの症状がある場合は、早めに医療機関を受診してください。水下痢腹痛なしの原因も参考にしてください。
脱水に注意したいサイン
口渇、尿量の減少、めまい、ふらつき、皮膚の張りの低下などは脱水のサインです。特に高齢者・乳幼児・持病がある方は進行が早いため注意が必要です。
受診を考える目安
すぐに医療機関を受診したほうがよい症状
- 血便・黒色便がある
- 38.5℃以上の高熱が続く
- 激しい腹痛がある
- 意識がもうろうとする、ぐったりしている
- 嘔吐が続き水分が取れない
数日続く下痢で受診を検討したいケース
2〜3日以上症状が改善しない場合、または下痢を繰り返す場合は、一度医療機関でご相談ください。
子ども、高齢者、持病がある人で注意したい点
免疫機能が低下している方、乳幼児、高齢者は脱水や重症化のリスクが高いため、症状が軽くても早めの受診が安心です。
医療機関では何を調べるのか
問診で確認する内容
下痢の開始時期・回数・便の性状・血便の有無・発熱・食事内容・旅行歴・服用中の薬・既往歴などを確認します。
必要に応じて行う検査
便培養検査(感染症の確認)、血液検査(炎症・脱水・栄養状態)、腹部超音波検査、必要に応じて内視鏡検査が行われます。
原因に応じた診断の考え方
急性か慢性か、感染性か非感染性かによって診断の優先順位が変わります。慢性下痢では炎症性腸疾患(クローン病・潰瘍性大腸炎)や大腸がん、過敏性腸症候群なども鑑別の対象になります。
下痢のときに自分でできる対処
水分・電解質補給のポイント
水分補給は最重要です。水だけでなく、ナトリウム・カリウムなどの電解質も一緒に補いましょう。経口補水液(ORS)やスポーツ飲料(薄めたもの)が適しています。冷たい飲み物は腸を刺激することがあるため、常温か温めたものが望ましいとされています。
食事で気をつけたいこと
消化の良い食事(おかゆ、うどん、白身魚、豆腐など)を少量ずつ摂りましょう。脂肪分・香辛料・乳製品・生野菜は腸への負担が大きいため、症状が落ち着くまで控えるのが無難です。
休養と生活上の注意
腸を休めるため、無理な活動を避け十分な休養をとりましょう。感染性胃腸炎が疑われる場合は感染拡大防止のため、手洗いや食器の共有を避けることが重要です。
やってはいけない対処
下痢止めを自己判断で使う前に確認したいこと
市販の下痢止め薬(ロペラミドなど)は腸の動きを抑えますが、感染性腸炎では毒素の排出を妨げる可能性があり、むやみな使用は注意が必要です。下痢止めについての詳しい解説はこちらをご参照ください。
脱水を悪化させる行動
カフェインやアルコールは利尿作用があり脱水を悪化させる場合があります。下痢中は控えることを推奨します。
無理な絶食や偏った食事
「食べない方が良い」と長時間の絶食を続けると、腸粘膜の回復が遅れる可能性があります。症状が許す範囲で消化の良い食事を少量から再開することが望ましいとされています。
日常生活で予防するには
食事・睡眠・ストレス管理
バランスの良い食事・十分な睡眠・適度な運動は腸内環境を整える基本です。慢性的なストレスは過敏性腸症候群のリスクを高めるため、ストレス管理も重要です。
感染予防と手洗い
食前・トイレ後の手洗い(石けんで20秒以上)は感染性胃腸炎の予防に有効です。食材の十分な加熱調理も大切です。
薬を飲んでいる人の注意点
抗菌薬服用中は腸内細菌叢が乱れやすく下痢が起こりやすくなります。プロバイオティクス(乳酸菌製剤など)の活用について医師・薬剤師に相談するとよいでしょう。
医師が見る「下痢・軟便」の考え方
一時的な下痢と、繰り返す下痢の違い
食べすぎやウイルス感染による急性下痢は多くが数日で改善します。一方、繰り返す下痢・慢性下痢は腸疾患や全身疾患のサインである可能性があり、原因の精査が重要です。
症状の経過を記録しておくメリット
1日の排便回数・便の性状・発熱や腹痛の有無・食事内容を記録しておくと、受診時の問診に役立ちます。スマートフォンのメモ機能を活用するのも一つの方法です。
下痢とは?に関するよくある誤解
「便が1回ゆるいだけ」でも下痢?
1回だけ軟らかい便が出た場合は厳密には「下痢」とは限りません。しかし、回数が増えたり水様便が続く場合は下痢として対応することが適切です。
「腹痛がない下痢」でも受診は必要?
腹痛を伴わない下痢でも、血便・長期化・体重減少などがある場合は受診を検討してください。腹痛のない水下痢については別記事でも詳しく解説しています。
「市販薬で様子見してよい」ケースと注意点
軽度の一時的な下痢で、血便・高熱がなく水分補給ができていれば市販薬での対応を検討できる場合があります。ただし、2〜3日経過しても改善しない場合、または血便・発熱・激しい腹痛を伴う場合は医療機関への受診を優先してください。
よくある質問(FAQ)
下痢は何日続いたら病院に行くべきですか?
一般的に2〜3日以上改善しない場合や、血便・高熱・激しい腹痛を伴う場合は医療機関を受診することをお勧めします。脱水症状が出ている場合も早めの受診が望まれます。
下痢のときに食べてよいものは何ですか?
おかゆ・うどん・白身魚・豆腐・卵(半熟)・バナナなど、消化の良い食品が適しています。脂肪分・香辛料・乳製品・生野菜・アルコール・カフェインは症状が落ち着くまで控えることが望ましいとされています。
水のような下痢が続くのは危険ですか?
水様性の下痢が続く場合は脱水のリスクが高まります。経口補水液などで水分・電解質を補給しながら、改善しない場合や全身状態が悪化する場合は早めに医療機関を受診してください。
熱がなくても下痢だけで受診したほうがいいですか?
発熱がなくても、血便・長期化(2週間以上)・体重減少・夜間に下痢で目が覚める症状がある場合は受診を検討してください。腸疾患の早期発見につながる場合があります。
下痢止めはいつ使ってよいですか?
感染症(細菌性食中毒など)が疑われる場合、下痢止めの自己判断による使用は控えてください。症状の原因が不明な場合は、まず医師に相談することをお勧めします。
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本記事の監修医師
佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)
略歴
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。
公的役割
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。
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(横浜市青葉区・たまプラーザ)
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