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大腸内視鏡検査が必要ない場合の考え方|医学博士が解説

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大腸内視鏡検査が必要ない場合の考え方

「症状がないから大腸内視鏡検査は必要ない」「若いから受けなくていい」と考える方は少なくありません。しかし、検査が本当に不要かどうかは、年齢・症状・家族歴・既往歴・過去の検査歴など複数の要素を踏まえて医師が総合的に判断するものです。本記事では、大腸内視鏡検査が「必ずしも不要」と考えられるケースと、逆に受診が勧められるケースを医学的な観点から整理し、受診判断の参考となる情報をお届けします。

大腸内視鏡検査は「必要ない」と言い切れるケースは少ない

まずは「必要ない」の意味を整理する

「大腸内視鏡検査は必要ない」という言葉には、いくつかの意味が混在しています。「今すぐ緊急で受ける必要はない」「症状がないため優先度は低い」「直近で受診済みのため再検査の間隔を空けてよい」など、状況によってニュアンスは大きく異なります。自己判断で「不要」と決めるのではなく、医師の評価を経たうえで判断することが大切です。

大腸内視鏡検査は何を目的に行う検査か

大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、肛門から内視鏡を挿入し、大腸・直腸の内壁を直接観察する検査です。大腸がん・ポリープ・炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎・クローン病など)の発見を主な目的とし、ポリープが見つかった場合はその場で切除できることも特徴の一つです。

症状がなくても検査が勧められることがある理由

大腸がんは早期段階では自覚症状がほとんどない場合があります。国立がん研究センターのデータによると、大腸がんは日本人のがん罹患数でトップクラスに位置します(2019年統計)。症状が出たときにはすでに進行している場合もあるため、リスクに応じた定期的な検査が推奨されています。

大腸内視鏡検査が「必ずしも不要」と考えられる主なケース

若年で症状がなく、家族歴や既往歴も乏しい場合

20〜30代で自覚症状がなく、大腸がんや大腸ポリープの家族歴もなく、過去に消化器系の病気にかかったことがない場合は、医師が経過観察と判断することがあります。ただしこれはあくまで「当面の緊急性が低い」という意味であり、将来的な検査の必要性がゼロになるわけではありません。

検診や便潜血検査で異常がなく、医師が経過観察と判断した場合

職場や自治体の健康診断で便潜血検査(二日法)が陰性で、医師から「経過観察でよい」と説明を受けた場合は、当面の内視鏡検査の優先度は相対的に低いといえます。ただし、便潜血検査で発見できない病変もあるため(後述)、定期的な再検査の重要性は変わりません。

直近で大腸内視鏡検査を受け、再検査の必要性が低い場合

異常なし(ポリープなし)で検査を終えた場合、日本消化器内視鏡学会などのガイドラインでは次回検査までの間隔として数年単位を目安とすることが多いとされています。ただし次回の受診時期は医師の指示に従ってください。

逆に、大腸内視鏡検査が勧められるケース

便潜血検査が陽性だった場合

便潜血検査が陽性となった場合、大腸内視鏡検査は精密検査として強く勧められます。陽性だからといって必ずがんがあるわけではありませんが、放置することはリスクが高いとされています。

血便、下血、便が細い、便通異常が続く場合

血便・下血・細い便・慢性的な下痢や便秘などの症状が続く場合は、早めに消化器内科を受診することが勧められます。これらは大腸の異常を示すサインである可能性があるためです。

腹痛、体重減少、貧血などの症状がある場合

原因不明の腹痛・体重減少・貧血は消化器疾患のサインであることがあります。内視鏡検査を含めた総合的な検索が推奨されるケースです。

大腸がんやポリープの家族歴がある場合

一親等(親・兄弟姉妹・子)に大腸がんの既往がある場合、発症リスクが高まるとされています。大腸内視鏡検査が必要な人の特徴と受診目安もあわせてご参照ください。

潰瘍性大腸炎やクローン病などの既往がある場合

炎症性腸疾患の方はがん化のリスクがあるため、定期的な内視鏡検査による経過観察が推奨されています。

「検査が必要ない」と判断する前に確認したいリスク

年齢とともに高まる大腸がんのリスク

大腸がんの罹患率は40代から上昇し、50代以降で特に高まります。年齢は検査の必要性を判断する重要な指標の一つです。

症状がなくても病変が見つかることがある点

大腸ポリープや早期大腸がんは、症状がまったくないまま発見されることも珍しくありません。「症状がない=問題なし」とは言い切れない点に注意が必要です。

便潜血検査だけでは拾えない病変がある点

便潜血検査は出血を伴う病変の発見には有効ですが、出血していない平坦なポリープや早期がんは見逃される場合があります。検査の限界を知ったうえで総合的に判断することが重要です。

大腸内視鏡検査を受けるか迷ったときの考え方

自分の年齢・症状・家族歴を整理する

40歳以上・消化器症状あり・家族歴ありのいずれかに当てはまる場合は、受診を検討する理由になります。

健診結果や過去の検査歴を確認する

以前に大腸内視鏡検査を受けた場合は、その結果と医師からの指示を確認し、次の受診時期の目安を把握しておきましょう。

まずは消化器内科で適応を相談する

「検査が必要かどうか」の判断自体、医師への相談から始めることが最善の方法です。ご予約・お問い合わせからお気軽にご相談ください。

大腸内視鏡検査のメリットと負担

病変の発見と同時に切除できる可能性がある

内視鏡検査の大きな利点は、ポリープが見つかった際に同日中に切除できる場合があることです。早期発見・早期治療につながる可能性があります。

検査前の下剤や前処置が負担になることがある

大腸内視鏡検査では、前日の食事制限と当日の下剤(腸管洗浄液)服用が必要です。この前処置を負担に感じる方もいますが、施設によって服用方法の工夫がされている場合もあります。

鎮静剤の使用や当日の注意点

鎮静剤(静脈麻酔薬)を使用して検査を行う施設もあります。使用した場合は当日の自動車運転ができないなど、生活上の注意点がありますので、事前に確認しておきましょう。

検査を先延ばしにする前に知っておきたいこと

「様子を見る」でよいケースと注意が必要なケース

若年・無症状・リスクが低い場合は、医師の判断のもとで経過観察が選択されることがあります。一方、症状が続く場合や便潜血陽性の場合は「様子を見る」ことで診断が遅れるリスクがあります。

自己判断で受診をやめないほうがよい理由

「気になる症状があるが恥ずかしい」「忙しくて時間がない」といった理由で受診を先送りにすると、発見が遅れることがあります。早めの受診が、より多くの選択肢につながります。

迷ったら早めに受診したほうがよい症状

血便・下血・慢性的な便通異常・原因不明の体重減少・腹部の違和感が続く場合は、早めに消化器内科への受診をご検討ください。

大腸内視鏡検査以外の選択肢

便潜血検査

自治体の大腸がん検診として広く普及している検査です。簡便で体への負担が少ない反面、出血を伴わない病変の検出には限界があります。

大腸CT検査(CTコロノグラフィー)

CT画像を用いて大腸の形状を三次元的に確認する検査です。内視鏡が困難な方に適用されることがありますが、組織採取や切除は行えません。

それぞれの検査で分かること・分かりにくいこと

どの検査にも長所と限界があります。症状やリスクに応じて適切な検査を選択するには、消化器内科医への相談が有効です。

受診の目安

早めに消化器内科を受診したほうがよい症状

  • 血便・下血が続く
  • 便の形状が急に細くなった
  • 腹痛・腹部膨満が慢性的に続く
  • 原因不明の体重減少・貧血

健診で異常がなくても相談したいケース

40歳以上で一度も大腸内視鏡検査を受けたことがない方、家族歴がある方は、健診で異常がなくても一度専門医に相談することが推奨されます。詳細は大腸内視鏡検査を受けた方がいい人とタイミングもご参照ください。

どの診療科に相談すべきか

消化器内科が最初の相談窓口として適しています。症状や検査結果を持参することでより詳しい評価が可能です。

よくある質問(FAQ)

症状がなければ大腸内視鏡検査は本当に不要ですか?

必ずしもそうとは言い切れません。大腸がんや大腸ポリープは無症状のまま進行することがあります。年齢・家族歴・過去の検査歴などに応じて、医師が検査の要否を判断します。

便潜血検査が陰性なら大腸内視鏡検査は受けなくてよいですか?

便潜血検査が陰性でも、出血を伴わない病変は見逃される可能性があります。リスク因子がある方や症状のある方は、便潜血検査の結果にかかわらず医師への相談をお勧めします。

何歳から大腸内視鏡検査を考えるべきですか?

一般的には40歳前後から検討されることが多く、大腸がんの罹患率が上昇する50代以降はより積極的な受診が勧められます。ただし家族歴がある場合はより若い年齢での検査が勧められることがあります。

家族に大腸がんがある場合は必ず検査が必要ですか?

「必ず」と断言することはできませんが、家族歴は大腸がんリスクを高める因子として知られています。一親等に大腸がんの既往がある場合は、早めに医師へ相談することが勧められます。

痛みが心配で検査を受けたくない場合はどうすればよいですか?

鎮静剤を使用した検査を行っている施設では、検査中の苦痛を軽減できる場合があります。不安な点は事前に医師や看護師へ遠慮なくお伝えいただくとよいでしょう。

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本記事の監修医師

監修医師

佐藤 靖郎(さとう やすお)
医師(医学博士)/AIプラスクリニックたまプラーザ 監修医
専門:消化器・内科(消化器外科/内視鏡/一般内科)

略歴:
1988年 福島県立医科大学医学部卒業、医師免許取得。1997年 同大学大学院修了、博士号取得。国立国際医療研究センター、東京新宿メディカルセンター、NTT東日本関東病院、横浜市立大学関連病院、国立病院機構横浜医療センター外科医長・救命救急センター副部長、済生会若草病院(横浜市)外科部長・内視鏡センター・診療部長を歴任。丸亀医療センター・佐々木病院副理事長、日立おおみか病院理事を経て現在に至る。

公的役割:
厚生労働省「地域連携クリティカルパスモデルの開発」班研究員、全国保健所長会 地域連携パス推進班アドバイザー、神奈川県がん診療連携協議会 地域連携クリティカルパス部会 相談役。

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